あまちゃんだけじゃない!久慈の名物を実体験~2~|旅人:井門宗之

2016-12-14

琥珀のロマンに触れ、すっかりロマン派の旅人になった井門と仲間達。

続いては地下水族科学館もぐらんぴあである。

 

1994年に開館した日本初の地下水族館、もぐらんぴあ。

久慈の国家石油備蓄基地の作業用の坑道を活用して誕生したもぐらんぴあは、

“地下に進んで行く”というアミューズメント感も手伝い、地元の方に愛された水族館でした。

しかし2011年3月11日、東日本大震災による津波で建物が全壊。

その後は久慈駅前に「もぐらんぴあ まちなか水族館」として復活しましたが、

ついに今年4月23日に、元の場所にリニューアルオープンを果たしたのです!

 

 

井門「館長、まずはおめでとうございました!」

 

宇部「有り難うございます!」

 

 

今回館内を案内して頂いたのはもぐらんぴあ館長宇部修さんです。

リニューアル後に新しく設けられた久慈市防災展示館あーすぴあで、まずはお話しを。

 

 

 

 

 

 

 

 

宇部「この展示館は震災の教訓を忘れない為に作った場所です。

久慈市の航空地図があるのですが、震災時の津波は斜めに湾に入ってきて…」

 

 

地図を見ながら当時の様子を語ってくださった宇部さん。

我々も震災後、東北の様々な場所を訪れてきたが、

お話しを伺いながら様々な光景がフラッシュバックしてくる。

きっとこの場所は“その為”に作られてもいるのだと思う。伝える為に、忘れない為に。

 

 

井門「震災後はまちなか水族館として営業を再開されましたが、

当時の状況はどうだったのですか?」

 

宇部「えぇ、当時はまちなかで水族館なんて全く考えもしませんでした。

水族館が津波で全壊して、我々職員は一度失業しましたから。

それが国の緊急雇用創出事業で市の方に声を掛けて頂いたんです。」

 

 

津波によって水族館にいた生き物を失ったもぐらんぴあ。

市に声を掛けられても何も生き物がいなかった状況である。館長もそれを市に伝えた。

 

 

宇部「何も生き物はいないよって言ったんです。見せる物が無いですよって。

そしたら“良いんです。水槽に金魚でも花でも飾っておいてください。

この状況で文句を言う人はいないから。”って言われて。

それで“まちなか水族館”をオープンさせました。」

 

 

こうして市の中心部に震災の年の8月にオープンした“まちなか水族館”。

館長はやはり地元住民の方に支えられたと言います。

しかしそれはリニューアルオープンした現在も同じなのです。

取材したこの日も、外の駐車スペースには地元の方の車が沢山停まり、

館内も家族連れで本当に賑やかだったんですから。

そして、そんな館内へ我々も案内して頂く事に。

スロープを降りると壁面には、

地元のお母さん達が作ってくれたという海の生き物のぬいぐるみが!

 

 

宇部「これもリニューアルオープンの時に贈られた物なんです!

漁網にかかる三陸の生き物たちですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

建物は5階建てになり、以前と同じ様に地下の作業抗を水族館として活用。

以前と違う点は、作業抗内に入る場所に頑丈な防潮扉が設けられた事だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしあれですね、男ってのは何だろう、地下に弱い(笑)

きっと子供の頃から持っている“探検心”をくすぐるのでしょうなぁ…。

どんどんと地下を進んでいくとまずは地元の海で生きている生き物たちの水槽が。

子供達が集まっているのは、海女さんのエサやりが見られるからだそうな。

 

 

井門「うわぁ~!!メバル、メバルが可愛い!!」

 

 

まるで“さかなクン”の様に無邪気にはしゃぐ井門。

実はもぐらんぴあとさかなクンの縁は深く、

応援団長として魚を寄贈したりイラストを描いていたり、非常に頼もしい存在なのだとか。

 

 

宇部「お忙しい中でもフラっといらっしゃって、絵を描いてくださったりするんです。

トレードマークでもあるハコフグも、館内に“さかなクンコーナー”として展示してあります!」

 

 

どんどんと進んでいくと面白い展示がずらり。

圧の関係で水が溢れない不思議水槽や深海の生き物コーナー。

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「おぉっ!タカアシガニにダイオウグソクムシ!!(キャッキャッ)」

 

親分「おっ、ドクターフィッシュのコーナーだね!

どれどれ、僕も手を入れてみようかなぁ…。

 

おっ!

 

おおっ!

 

ピリピリするぅ~!ピリピリするぅ~!

 

 

 

 

 

 

 

 

体験コーナーも充実していて、タッチングプールは子供達に大人気。

また日本の海のゾーンでは三陸だけではなく、日本各地の海を再現。

それぞれの海で生きている生き物が展示されており…

 

 

井門「おぉっ!オオカミウオじゃないですか!!」

 

宇部「普段はおとなしいですけどね、

水槽に付いた細かな傷がありますでしょ?これはこの子が付けた傷なんですよ(笑)」

 

 

オホーツク海などに生息するオオカミウオは顎力最強の魚である。

なんせカニとか貝とかを噛み砕いてバリバリ食べるのだ!

親分の頭くらいならバリバリと美味しくお召し上がりになるはずだ!

因みに白身魚で食べると意外と美味しいという噂もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそして、もぐらんぴあの目玉、トンネル水槽の登場だ!

 

宇部「ここで泳いでいるのが震災を生き残ったウミガメのカメ吉です。

震災の津波で魚は殆どが死んでしまいました。そんな中で生き残ったのがカメ吉です。

震災から1カ月後に八戸に疎開して、今年のリニューアルオープンで戻ってきました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

今はトンネル水槽の中を悠々と泳ぐカメ吉。

その姿を見上げる子供達の目はキラキラと輝いている。

それを嬉しそうに見つめる宇部館長。

そう言えば館長のお話しの端々には『こどもたち』という言葉が出てきた。

震災を乗り越えて、この場所を通じて、未来に『希望』を紡いでいく。

そしてそんな“もぐらんぴあ”には全国の水族館から支援が集まる。

 

 

宇部「先程の日本の海を再現したコーナーでも各地の水族館から支援がありました。

またクラゲの展示コーナーでは鶴岡の加茂水族館さんに色々とご支援頂いているんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

リニューアルしたもぐらんぴあ、最上階は展望台になっている。

この日は天気がとてもよく、三陸の海を見渡す事が出来た。

 

 

宇部「今年無事に再開することが出来ました。

ですから今年が復興第一弾なんです。

これから先が第二弾、第三弾と色々とやっていきたいですね。

そして子供達に生き物の面白さを伝えられる様に、私も頑張っていきたいです!」

 

 

 

 

「さかなクン」プロデュースの水槽

 

 

 

 

地下にある事で“もぐら”、そしてそこに“ユートピア”を合わせて作られた“もぐらんぴあ”。

あの震災で失われた物は計り知れないが、

それでももぐらんぴあはあの海を眺めながら、同じ場所に悠然と建っている。

宇部館長、貴重なお話しを有り難うございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

見て、触れて、食べて!久慈を満喫する今回の旅…ん?

そうだ、まだ「食べて」が無い!!!

 

 

親分「八重櫻さんも言ってたよね?まめぶ汁のことをさ。」

 

井門「かつて僕らもまめぶ汁を食べたよねぇ。美味しかったなぁ、お腹空いてたし。

ねぇ、親分、あの時はお昼ご飯を食べる時間をどこかの作家さんが作らなくてね、

15時頃だったかなぁ、まめぶ汁の取材で試食をさせて頂いて。

温かくて美味しかったなぁ…。」

 

親分「だってしょうがないだろ!

その前の取材で船に乗って船酔いしちゃったんだから…!

お昼御飯を食べる気にならなかったんだもん。」

 

井門「子供かっ!」

 

親分「なにぃ~っ!?」

 

井門「やるか~っ!?」

 

ゴル「やめなさい!!(ゴンッ!!←ゲンコツお父さん)」

 

 

そんなこんなで久しぶりのまめぶ汁であります。

前に久慈でまめぶを食べた時はドラマ「あまちゃん」の放送前。

久慈の観光協会の方が“これから始まる”ドラマに期待を寄せていた事を覚えている。

それが国民的なヒットドラマになるなんて、

そしてその中でも登場した「まめぶ汁」が全国的に有名になるなんて、想像もつかなかった。

久慈駅前にはそんなまめぶ汁を食べるだけじゃなく、

なんと手作り体験も出来る『まめぶの家』というお店があるんです!

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前という事で台風の被害も大きかったとのこと。

今回まめぶの先生になってくださったのは、お店の才無左真紀子さん

台風10号の被害を振り返ってこんなお話しを…。

 

 

才無左「お店の壁、そうですねぇ…1m20cmまで水がきたんですよ。

半月ほどはお店の営業が出来ず、ボランティアの方に助けて貰いました。」

 

 

お店の壁には「あまちゃん関連」の写真や演者さんのサインがびっしり飾られている。

氾濫した水はそのサインのすぐ下まで押し寄せてきたそうです。

 

 

才無左「ほんとに危なかったんですけど、なんとか水に濡れずに助かりました…!」

 

 

やっぱり一番多い片桐はいりさんのサイン(笑)

その他にもサンドウィッチマンさん、ホンジャマカの石塚さん(やっぱりグルメロケ!)、

久慈を訪れた数多くの笑顔が壁いっぱいに飾られている。

なんだか自然とこちらも笑顔になってきます。

…と、才無左さんとお話ししているテーブルの横には既に“まめぶ作り”の準備が!

 

 

井門「まめぶ…簡単に作れますかね??」

 

才無左「大丈夫ですよ!では団子をこねる所から始めましょう!」

 

 

料理は愛情!をモットーに日々暮らしている井門。

スタッフに美味しいまめぶを食べさせる為に、一生懸命まめぶの生地をコネコネ…。

少しずつお湯を注いで団子の塊にしていく。こねて、こねて、またこねて。

良い具合の弾力が出てきたら、これを一口大にちぎっていく。

まめぶの家のまめぶ汁は1人前にまめぶ8個。

私の分も入れて合計32個のまめぶを作らなくてはいけない。

 

 

――私は、こねた。一心不乱に、こねた。

故郷に残してきた愛する家族を想いながら、必死にこねた。

もうまめぶの世界に入ってどれくらいの月日が経っただろう…。

団子の中に、刻んだくるみと黒糖をいれて閉じ込める。

見た目は普通の団子に見えるのだが、噛みしめた途端に甘味が溢れだすのがまめぶだ。

それはまるで久慈の人達の人情のようで、私はこの団子が何ともいえずに好きになった。

気がつけば、私は自然とまめぶの世界に足を踏み入れていたのだ。

 

コバヤシ「師匠、これくらいでよろしいでしょうか?」

 

師匠「ん?どれどれ、おお、なかなか筋がええやないか。

まめぶの世界に入ってどれくらいなんや?」

 

コバヤシ「へぇ、まだまだ入ったばかりで…。」

 

師匠「この世界に入る前は、なにしとったんや?」

 

コバヤシ「へぇ、鉄道の方で…ちょっと…。

 

あっ、師匠、なんか作るの遅くないですか?」

 

師匠「なに!?お前、それが師匠に向かっていう言葉か!?」

 

コバヤシ「いや、だって明らかに遅いでしょ?」

 

師匠「なにぃ~っ!?」

 

コバヤシ「やるか~っ!?」

 

ゴル「やめなさい!!(ゴンッ!!←ゲンコツお父さん再び)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳で才無左さんの指導の元、完成したまめぶ。

その団子を厨房に持って行き、ベースのスープの中へと投入!

出汁の効いたスープの中は具沢山で、その全てから旨味が溢れているようだ。

 

 

才無左「はい、お待たせしました~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

いやぁ、作り立てですよ!しかも団子も出来たてですよ!

季節も良い感じに冬になり、やっぱりこういった温かい団子汁が欲しくなりますよねぇ。

では早速…ずずずぅ~~……

 

 

井門「旨いっ!!

 

 

隣で食べていた(団作りにも参加した)作家の親分もその旨味を噛みしめている。

かつて僕も親分も久慈で食べていたまめぶ。

あの時は空腹のスパイスも相まって美味しく感じたんだろう(失礼)と思っていたが、

こうして改めて食べてみると何とも美味しいではないですか!

 

 

才無左「もともと私の地元でもある山形町の郷土料理なんですけど、

冠婚葬祭なんかで出される特別な料理なんですよ。

“まめぶ”の意味は色々あるみたいですけど、“まめまめしく”から来ているみたいです。」

 

 

確かに団子の中に入る砂糖は当時高価なものの代表格。

それをふんだんに使用するまめぶは、まさにハレの日の料理だったのだ。

汁の味は深く、まめぶは噛み締めるとじんわり甘く…。

確かに文字にすると何とも不思議な料理なのだが、

ここに込められた優しさが、なんとも東北人の気質を表しているようだ。

まめぶの家に来れば手作りまで体験出来る“まめぶ”。

久慈のソウルフードは自ら手でこねてこそ、その味わいも深くなるというもの。

是非、皆さん、これはオススメ体験ですよ~!

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

『あまちゃんだけじゃない!』とか言いながら、

最後はドラマ「あまちゃん」のロケ地、小袖海女センターの前へ(笑)

 

 

親分「なんだかんだ言ってさ、ここに来るとテンション上がるよね!」

 

ゴル「いや、本当ですよね!」

 

 

夏ばっぱや海女さん達の仕事場でもあるあの場所。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流石に冬の海に入る事は出来ませんが(笑)気分だけなら味わう事が出来ます!

今回は久慈の名物をまるっと体験した旅でしたが、

なんだろうなぁ、これが仕事だと言う事を忘れてしまうくらい楽しんでしまいました。

前の日の夜に食べた三陸の海の幸も、東北のお酒も本当に最高でしたし、

あっ、三鉄でしか売っていない雲丹弁当も食べ損ねたし(だから)。

これから本格的な冬を迎え、また食べ物も美味しくなっていく東北。

また違う表情を見に、遊びにきますからね!

自分の中の東北思い出アルバムに、また素敵なページが増えました。

お世話になった皆さん、本当に本当に有り難うございました!!