第69回 ドリアン助川さん①
2017-01-22
ドリアン助川さんです。
ドリアンさんは、1962年東京都生まれ、
早稲田大学第一文学部を卒業。放送作家を経て、
1990年代にはバンド”叫ぶ詩人の会”を結成し活動。
現在は、作家、詩人としての活動のほか、
歌う道化師としてパフォーマンスを行っています。
たくさんの著書を出されている中、
昨年映画化され話題となった、
『あん』もドリアンさんの作品です。
「これを書くと決意したのは、正にラジオなんですよ。
ハンセン病は、今はもう薬で治る病気ですが、
かつては、一度かかると療養所から出られない、
っていうのがあったんです。この法律がなくなったのが
1996年で、当時ラジオやってたんです。もう20年前。」
”なぜ生まれたのか”、”生きる意味がないのでは”と
と思ってしまう、若者たちがいることや、
“社会の役にならなければ”という考えに疑問を持たれたそう。
「もっと大きな地球規模で見れば、
違う意味合いが見出せるんじゃないかなって思ったの。
だから、ハンセン病を背景に物語を書こうと思ったんだけど、
医療関係者でもないですから、まず勉強することに時間かけました。」
歌う道化師として活動する中で、元患者さんとも交流ができ、
療養所に入るきっかけもできたそう。
そんなドリアンさんは、自身のことを”怠慢だ”とおっしゃいます。
しかし、それが功を奏す場合があるのだとか。
「明日できることは、明後日で良いだろうって、何もしたくないの。
でも、どうでも良いことって、
怠慢こいている間に消えてっちゃうんだよね。
だから、本当にやらなくてはいけない事は、
何年経っても消えなくて、胸の中に宝石のように残るの。
”怠慢のフィルター”と言ってるんですけど(笑)」
20年をかけ、世の中に出た『あん』は、
ドリアンさんだからこその作品になっています。
今回の選曲は、映画『あん』の主題歌、
秦基博さんの ”水彩の月” でした。
この楽曲は、この映画のために秦さんの書き下ろしです。
『あん』は、女優:中井貴恵さんとドリアンさんで
朗読劇としても2015年初演以来、各地で上演され続けています。
1月29日、お二人の母校である早稲田大学の
大隈記念講堂での上演が決定しています。
「小説、映画、朗読劇では全部違う終わり方をしています。
この小説書くのに、3年かかって、
10数回書き直していて、
一番書きたかったのかもしれない、という終わり方を
朗読劇にしています。」
『あん』は、
“なぜ自分は生まれ、なぜ生きるのか”を考える内容になっています。
「私たちはいつの間にか、極端に言うと、お金をいくら儲けるか、
という事で、勝ち負けを分けたりしますよね。
でも、それが全然関係ない、というのを感じてくださる方もいます。」
来週もドリアン助川さんにお話伺います!