第74回 歌舞伎俳優: 三代目 中村扇雀さん ②

2017-02-26

ゲストは、歌舞伎俳優、

三代目、中村扇雀さんです。

 

今年歌舞伎の初舞台から、50年目となる中村扇雀さん。

2017年最初の幕開けは、野田秀樹さん作・演出の

舞台『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』です。

 

「野田さんのお芝居の特徴がよく出ていてるんですが、

今回は、18代目勘三郎へのオマージュと銘打っていて。

同い年だったんです、野田さんと。そこに、勘三郎さんと

30年間舞台一緒に出ていて、野田版歌舞伎も一緒にやったので、

お互い気心も知れているので、僕を誘ってくださって。」

さらに、勘三郎さんだけでなく、歌舞伎へのオマージュも

含まれているような内容になっています。

 

今回、扇雀さんは ”伊達の十役”として

歌舞伎を取り締まる、10人の役をこなしています。

「完全に僕で遊んでるな~って(笑)

いきなり僕が出てきて、”歌舞伎なんて大っ嫌いだ”って

言わせるところが野田さんの面白いところですよね。

僕だったらそれを楽しんでやってくれるって

分かってらっしゃるので。」

野田さんは、舞台を書く時、キャストを先に決めてから

キャラクターを作る、当て書きを行います。

そのため、役者にあったセリフが随所に見受けられます。

 

今朝の1曲は、椎名林檎さんの歌う、”君の瞳に恋してる” 。

「この曲は、元歌のスタンダードナンバーですが、

それを椎名林檎さんがカバーしてるのを知って聞いてみたら、

このノリは最高だなって思って、目覚ましの曲に使うようになったんです」

 

舞台『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』で

オマージュされている、18代目中村勘三郎さん。

2012年に亡くなるまで、扇雀さんも30年来のお付き合いがありました。

「とにかく寝ても覚めても、お芝居のことしか頭にない方でしたね。

何でもお芝居につなげたり、人のお芝居をよく見て、

先輩後輩関係無く、思ったことはどんどん言って、

少しでも良い舞台にしたいと。とにかくどうしたらお客様が喜ぶのか、

客席のことをとにかく気にされた方でした。」

舞台のセリフ、キャラクターの雰囲気など、様々なところに

18代目中村勘三郎さんを感じます。

さらに、後半で流れる歌舞伎の音楽は、『高坏(たかつき)』。

これは、実際に勘三郎さんが舞台で演じていた時の録音を使用しており、

勘三郎さん自身も、出演者の1人となっています。

 

「今年で、亡くなって今年で5年になるんですけど、

その時から、ずーっと、この事を温めていたんじゃないかと思うんです。

病室で ”俺の寝ている姿を芝居にしろよ” って冗談で野田さんに

言っていて。1度僕が、野田さんと2人きりで、勘三郎の兄貴の足元に座って、

“なにしてるんだろうね、俺たち”ってボソッと言った事があって。

その時の事もあって、今回僕も使ってくれて、舞台が成立したんだと思うんです」

舞台のあり方、思い、すべてが詰まっている作品になっている、とも。

 

海外の様々なステージを見てきた扇雀さんは、

”歌舞伎は世界で1番優れた演劇である”と感じていらっしゃるそう。

「とにかく、劇場に足を運んでいただくと、

目から鱗、歌舞伎って面白いじゃない、って感じていただけると思います。

海外公演いったり、ブロードウェイなど見てますが、

歌舞伎で負けたって思った事1度ものないので!」

さらに、”伝統は革新から生まれる”という思いを大切に

歌舞伎の歴史をどんどん先につなげていきたい、と扇雀さん。

 

お休みが少なく、毎年10ヶ月間舞台に立ち続ける

扇雀さんの元気の源は、、、

「ジムに通う事。あと、歌舞伎は25日間休みが無くて

待てど暮らせど、日曜日が来ないので終演から翌日の開演までを

日曜日だと思うように切り替えてます。

Every Night SUNDAY! みたいな感覚が元気の源です(笑) 」


2週にわたり、ありがとうございました!