第80回 鏡リュウジさん②

2017-04-09

ゲストは、心理占星術研究家で

翻訳家の鏡リュウジさんです。



今週は、翻訳家としての活動のお話から。

鏡さんが翻訳されるのは、

占星術の専門書などの本が中心です。

「専門のものしかできないんですよ!

小説とかさっぱり分からなくて。

もともと僕の好きなジャンルのものって

日本に資料が無かったので、英語読むしか無かったんです。」

 

最初に翻訳をしたのは、19歳ごろ、学生時代のバイトでした。

数冊を翻訳、まとめた本を作り、この本が初版2万部、

累計10万部の大ヒット!

「景気も良かった頃でしたから、

学生にしてはびっくりするお金が入ってきて、

それが運の尽きで、人生が今みたいになっちゃって(笑)」

 

大学院に行き、助手を経験しながらも、

最終的には占星術研究家としての道を進まれます。

昨年末は、日常生活のさまざまな物に意味を持たせる、

どんな願いも叶う! 鏡リュウジの魔法の教科書』を発売されました。

「例えば、ハーブは典型的で、ラベンダーは水星と関係があって、

リラックスして気持ちを穏やかにして、効率があがるとか。

リンゴは、愛の象徴の果物で。横に切ると、種が五角形に並んでいて、

その星型の軌道は、愛の星である金星の軌道なんです。

だから、アップルパイは、好きな人と食べるといいです」

 

さらに、先月には、フェルメールの天文学者が表紙になった、

『占星術の文化誌』を発売されました。

こちらは、音楽、文学など、文化と占星術のつながりを

紹介したものです。

「占星術の知識がないと、

シェイクスピアは本当には楽しめなくて。

有名なところだと、お気に召すままのセリフで、

“人生は舞台。人は皆役者だ。人生には7つの幕がある”。

これは、七つの惑星の事なんです。」

戯曲が書かれた当時は、占星術が一般的にも広まっており、

このセリフだけでも、多くの人が、人間の一生は宇宙的なものである、

と理解できていたのだとか。

 

今週の1曲は、今月公開で楽しみだという映画の主題歌、

アリアナ・グランデとジョン・レジェンドの

”Beauty And  The Beast”でした。

 

間も無く、熊本地震が起こった4月14日がやってきます。

「3.11の時、僕、しばらくボーッとしちゃって。

でも、雑誌の星占いの締め切りは来るわけで、、、

恋の行方とかラッキーカラーとか書いてて

良いのかなって思って、筆が進まなかったんですけど。

でも、こういう時だからこそ、当たり前の星占いを書き続ける

事にも意味があるんじゃないかな、とも思って。」

 

さらに鏡さんは、東日本大震災から数日後に、

ブログで同業者へ向けて、英語と日本語のメッセージを出されました。

「”私がこの震災を当てていた”って言う人がいるんですよ。

それは、言うなって書いたんです。

そもそも良くない事だし、万が一当たっていても表に出れば、

それを皆気にするし、また次の悪い予言を出すんです。

我々は、予言など誰もできないと認めた上で、

日常の星占いを書き続ける。これが一番良いんじゃないかって。

そうはいっても、皆同じ星を見てるよっていうメッセージを

発信し続けようと書きましたね。」

 

鏡さんご自身、占星術をやっているからこそ、

良かったと感じる事もあったそう。

「満月は29日に1回、春分の日は1年に1回、

木星は12年に1回、全部サイクルなんです。

だから、人類には同じような星の配置っていうのが必ずあって、

自分だけが大変というのは無くて、

これまでの誰かが経験していたと考える事ができる。

その一方で、全ての星の配置が、全く同じというのは

何万年経っても、出来ないんですよ。

だから、この人生は、この時だけの

かけがえのない物なんだって、思う事もできるんですよ。」

 

本当に多忙な鏡さんの、元気の源は、

“美味しい物を食べてワインを飲むこと”。

「特にイギリス産のスパークリングワインが

劇的に美味しいんですよ!

まだ日本にはあまり入ってきてないですけど、好きです。」

 

2週にわたり、ありがとうございました!