第82回 ハービー山口さん②

2017-04-23

ゲストは、写真家のハービー山口さんです。

 

 

今週は、エッセイストとしての活動のお話。

書き始めたきっかけは、20年前、

新たに創刊された音楽雑誌でのエッセイ執筆でした。

「僕にとっては、写真も表現手段ですけど、

文章もまた、写真に描けないディテールを伝えられて、

それがいいなと思ったんですね。」

その雑誌が廃刊になるまで、毎月書き続け、

写真と同時にエッセイストの経験も積まれていきます。

 

”良い写真”を撮るために、

多くのHowTo本を読んできたというハービーさん。

「でも、回りくどい参考書ばっかりで読破した事なくて、

もっと短い言葉で”良い写真とは”って言えないかなと思っていて、

夜中でもツイッターで呟くようになりました。」

例えば、”良い写真とは、5秒以上見ていられる写真”や、

”良い写真とは、自分の心を限りなくフラットにしてくれる写真”など。

 

今回、この”良い写真とは” の呟きをまとめた著書、

『良い写真とは?-撮る人が心に刻む108の言葉- 』

が先月末には発売になりました。

「最大でも、140文字で、短ければ20文字。

カメラには、ISO感度というものがあるですが、

この本の中では、ダイヤルでその人の年齢を変えられたら

いいなって話も入っていて。僕はいつも20歳に合わせています」

人の写真と撮影するとき、上を空けると希望を写し、

靴までいれるとリアリティが写る、横で撮れば周りの状況がわかり、

縦で撮ればその人の本質が見えてくる、とも。

 

「だから、森さんが男の人にカメラを渡して、

その人が縦位置にカメラを構えたら、

森さんの事がお好きなんでしょうね!拡大解釈すれば(笑)

あと、目線くださいって言わない。

君の心のピントを僕に合わせてって(笑)」

 

今週は、ロンドン時代に生活を共にした、ボーイ・ジョージが

ボーカルを務めた、カルチャー・クラブの楽曲。

Karma Chameleon”をお届けしました。

 

デビュー前のボーイ・ジョージと、偶然同じアパートで

フロアをシェアをして暮らしていたハービーさん。

1枚だけですが、プライベートな姿の写真を撮影されています。

「彼はベッドに寝てて、大家さんの女の子に

ガス代払ってないわよ!って起こされてるところを

僕は1枚撮って。デビュー後の彼にあげたら、喜んでいて。

怒られるかと思ったんだけど。

“ほら、ハービーが僕の貧乏時代を撮ってくれてた!

  僕は1日にして有名になったんじゃないよ!”ってメンバーに見せてて。」

 

当時からボーイ・ジョージは、

女性の服を着たり、奇抜な格好をしていました。

「そういう格好が嫌いな人、アンチパンクも街にいて、

彼はツバ引っ掛けられたり、喧嘩して帰って来る。

でも、自分の主張、生き方を曲げなかった。

僕らは、華やかな彼らを見ているけども、裏にある彼らの葛藤、涙を

一緒に暮らしていて見ていたな、って思うんだよね。

ときに、David Bowieでも、ボーイ・ジョージでも、

バラードを歌っているときの高い声に、苦労や悲しみを感じてしまう。」

 

ハービーさんは、

偶然レースをリタイアしたアイルトン・セナを撮影したり、

チェコ・プラハでの革命の現場に偶然居合わせたり、、、

多くのシャッターチャンスを引き寄せています。

「振り返ると、良い写真を撮りたいなって思いが

強ければ強いほど、写真の神様が微笑んでくれるんですよ。」

 

今年5月にはパリの個展も決定した、

ハービーさんの”元気の源”は、、、

「常にワクワクする、新しい事を学ぶ。

そして、20歳サバをよんで、服装、言動をする。

でも僕は47歳サバをよんで、写真を撮っていますね(笑)

 

自分を信じて、立ち位置も個性ですから。信じて。」

 

2週にわたり、ありがとうございました!