第84回 岡本知高さん②

2017-05-07

ゲストは、ソプラニスタの岡本知高さんです。

http://www.okamototomotaka.com

初夏先取りのマリンスタイルで

スタジオにいらしゃった岡本さん!

出身地は、高知県です。

「高知特産の、純天然物のソプラノ歌手です (笑)

宿毛市という、四万十川市の隣で、

泥んこになって遊ぶ、天真爛漫な子供でしたね。

田舎でしたが、姉が弾くピアノに素敵だなと思っていて、

僕もいつか習いたいなって思ってましたね」

ですが、足の病気をお持ちだった岡本さんは、小学校1年~4年は、

養護施設で過ごしていたため、ピアノは習う事が出来なかったそう。

その後、5年生でピアノを習い始め、

憧れからか上達が早く、歌手の道へと進まれました。

 

「両親も街の合唱団で出会って結婚したので、

音楽一家ですね。中学では、吹奏楽部に入って、

サックスを担当したんです。将来は、音楽の先生になって、

吹奏楽と一生共にしたいと思ったの。」

しかし、サックスでの音大受験をするためには、

1人での練習や、東京までのレッスンが多く、

本来“みんなで音楽をする事”が楽しかった岡本さんには

思いとどまってしまう原因になったそう

 

「教師を目指していて、歌もピアノももっとやりたいなら、

音楽教育の専攻に変えようってなったんです。

そこで、受験科目に、声楽が入ってたんです。

高校3年で、受験間近で、声楽を始めなきゃいけない、

そこからがスタートでした。」

最初の宇和島でのレッスンで、声の高さに先生が驚き、

その場で国立音楽大学へ連絡をされたとか。

 

今週は、昨年発売の最新アルバムのタイトルトラック、『春なのに』。

この作品は、陸前高田市出身で、ウィーン在住の

菅野祥子さんが書かれた楽曲です。

「震災で生まれ育った町が失われた、心の痛みと、

でも前を向かなければ、という思いを込めて、

震災後10日で、日本に帰りたいという思いの中で、書かれたそうです。

この楽曲は、ピアニストの河原忠之さんから

”ともちゃん、この曲歌うといいよ”って、教えてもらって。

演奏家同士で楽譜を回していい事になっているんです」

 

実は”ともちん”という愛称もお持ちだという、岡本さんの

ライフワークとなっているのが、”学校訪問コンサート”です。

きっかけは、最初の声楽の恩師からの誘いでした。

「僕が大学3年生の時に、その恩師が校長先生だった

愛媛県の小学校に行ったんです。

そこで、初めてソロコンサートをしたんですけど、

僕は発表会のように真面目にオペラを歌ってしまって。

そしたら、子供たちはワイワイガヤガヤで

大失敗のコンサートになってしまいました。

一番厳しいお客様がこども達で、

子供にうけるコンサートは大人も楽しいんです。」

楽しんでもらう事こそが大切である、というのが

岡本さんの考えでもあり、現在でも30~40校を訪問しています。

 

「子供扱いして、上から、音楽って素敵だよって

頭ごなしに押し付けるのは絶対に嫌なので、

どう?どう?って(笑)

僕はこんな事を考えて、この歌を歌うよって説明するし、

いつも通りで衣装で体育館中練り歩いて、

コミュニケーション取りながら、楽しんで。

遊んでる感覚ですね! ライフワークには違いないけど、

僕を育ててくれた社会への恩返しにもなるんじゃないかな」

 

まだまだ日本では、クラシックへのハードルは高く、

いかに日本人としてオペラを歌っていくか、という事を

日々岡本さんは考えていらっしゃるとか。

 

「元気の源は、絶対に、歌うこと。

だからね、皆さんにも歌ってほしいの!

心の中でも歌っていれば、人の顔や風景を思い出すんですよ。

生活の中で思い出せない事も、歌うと出てくるの。

  歌って、僕にとっては、鏡なの。」

 

2週にわたり、有難うございました!