会津の酒はこでらんに!|旅人:井門宗之

2018-02-28

♪ここはお風呂の遊園地~

なんてったって宇宙一~♪

 


はい、40代以上で北海道出身者なら分かってくれるCMソングで始まりました。

旅日記長い長いで有名な井門Pでございます。(洞爺サンパレス)

どうしてこんな懐かしいCMソングを歌いだしたかと言えば、

今回の旅で私はお風呂の遊園地ならぬ、

お酒の遊園地…いやさ理想郷にお邪魔したからなのです!

(いや、お前は酒どころに行ったらいつもそのテンションだろとか言わないで)

 


我々がお邪魔したのは福島県会津地方。

鶴ヶ城、八重の桜、おきあがりこぼし、ソースかつ丼、お酒…お酒…お酒…

そう会津はお酒好きにとっては聖地と言っても過言ではない場所!

今回は奥様が会津出身の永尾D全面プロデュースの下、

(だって昨年末には既に行程が出来上がっていたもの、笑)

た~~~っぷりと会津のお酒と、そこに携わる挑戦者のお話しをお伺いしてきました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに今回のタイトル『こでらんに!』とは会津の言葉。

「たまらない!」「こたえられない!」を目一杯表現した方言なのです。

そう、まさに会津の酒は『こでらんに!』なのでありました。

 

我々一行は福島市から会津へと車で移動したのですが、

次第に景色がぐぐっと真っ白になっていきます。

鶴ヶ城に着いた時にはかなりの雪も降ってきて…。

 

 

井門「河合さん!ちょっといい加減にしてくださいよ!」

 

河合「え~~!私のせい!?私、世が世なら神様って言われてもおかしくないのに!」

*注:極度の雨女である作家の河合さん、天気が悪いと『いい加減にしろ』と言われる。

 

 

そんな雪景色(そんな?)の会津。鶴ヶ城から車で20分ほど移動すると、

会津の伝統工芸品『会津本郷焼』の町、会津美里町に到着します。

 

 

永尾「今回はせっかく美味しいお酒を飲む旅なんだから、

地元で作られたぐい呑みを買って、それで乾杯するといいかなって思って。」

 

井門「さすがお酒大好き永尾さん!分かってる!

酒飲みのツボを押さえてますね~!

地元で作られたぐい呑みで地元のお酒かぁ…。(想像して恍惚の表情)」

 

 

 

 

 

 

 

 

お邪魔したのは『会津本郷陶磁器会館』


こちらでは現存する13の窯の作品が展示され、購入する事が出来るのです。

館内のショップには永尾さんイチ押しの本郷焼の作品たちが。

あれ??でもどれも表情が違っていて、それぞれの個性が際立っているぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

松田「それぞれの窯元で個性が違うんです。

ですから見た感じがバラバラなんです(笑)」

 

 

お話しは会津本郷焼事業協同組合の松田純一さん

分かり易く会津本郷焼について教えて頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

松田「全国には様々な焼き物の産地がありますけど、

会津本郷焼の特徴は陶器と磁器の両方があるということです。

両方を作っている焼き物は珍しいんですよ。」

 

 

ショップに並ぶ作品を手に取ってみると、それぞれ重さも表情も全く違う。

13の窯の特徴がバラバラで若手の陶芸家が増えている、というのも理由なのだそうで。

陶房 彩里閑山窯窯元 流紋焼樹ノ音工房…etc.

表情が違うからこそ、それを使ってみた時の事を想像すると楽しくて仕方ない!

 

 

井門「僕、お酒も大好きなんですけど、

酒器も大しゅき(しゅき)ですからっ!

 

全員「(失笑)」

 

 

酔ってないのにこのテンション。

いかに井門がこのロケを楽しんでいるのかがお分かり頂けただろうか…?

 

 

永尾「僕は樹ノ音工房さんの焼き物が大好きで、

一つ買ったらまた欲しくなっちゃってね(笑) 御飯茶碗とか女房と揃えちゃったよ。」

 

 

酔ってないのにサラリと奥さまへの愛を滲ませる永尾D。

いかに永尾Dがこのロケに気持ちを注いでいるのかがお分かりだろうか…?

そして自分は飲めないのに、元旦那の為にお土産で日本酒を買って帰ろうとする河合さん。

いかに河合さんがこのロケで旦(ゴンッ!!!←河合さんから何か飛んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

永尾さんオススメの樹ノ音工房の作品を見てみると、確かに可愛い!

シンプルな中にもしっかりとした個性が出ていて…、

う~ん、でも悩むなぁ。どれにしようかなぁ…悩むなぁ…。

 

 

永尾「早く選んでよ!(笑)」

 

井門「決まんないよ~!」

 

 

悩みに悩んで結局、樹ノ音工房のぐい呑みを購入した私。それがこちらです!

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに永尾さんも別の窯のぐい呑みを購入。

酒飲み二人が「マイぐい呑み」を片手に、会津を巡り始めたわけです(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

会津の酒はこでらんに。

まずは酒器を購入し、準備万端整ったところで…、

曙酒造合資会社さんへ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お話しは曙酒造合資会社の営業部長、鈴木孝教さん。

曙酒造さんは創業から114年を数える老舗の酒蔵で、主要銘柄は『天明』。

もし居酒屋や酒屋で天明を見かける事があれば、是非呑んでください。間違いないです。

天明の他にも金賞を受賞した『一生青春』や、

ヨーグルトリキュール『スノードロップ』など絶品のお酒を造っているのです!

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木「息子が酒造りをする様になってから、賞を取るようになりました。」

 

井門「自慢の息子さんですね!」

 

鈴木「はい、そうですね!」

 

 

酒のプロが息子さんが造る酒に太鼓判を捺す。

ふわりと良い空気が流れる。

 

 

鈴木「天明は瑞穂黄金という品種の食米を使って造ります。

9月中旬から準備をして11月の第1日曜日が天明の新酒を出す日なんです。」

 

 

瑞穂黄金も会津のお米です。

会津のお米を使って会津の水で会津の酒を造る。

新米で造るのが新酒ですから、新酒はその年のその土地の味そのものなのです。

 

 

鈴木「酒造りには1年の中でスケジュールがあります。

私どもは毎月新商品を出荷しているので、

それを追って頂くとお酒で季節感を味わう事が出来ると思います。」

 

 

お酒で季節感…素敵な言葉です。

酒造りに携わる方はロマンチックな方が多いイメージ。

出来上がったお酒を楽しみにしている人を常にイメージして酒造りをしているんだもんなぁ。

あっ、僕らラジオマンも常にリスナーさんを笑顔にしたいなぁ…、

なんて思いながら番組を作っているので、ラジオマンにもロマンチストが多いです(笑)

話しが脇に逸れましたが、天明のお話し。

天明の中には『ハート天明』という銘柄があります。復興支援のお酒でもあるのですが…。

 

 

鈴木「東日本大震災が発生して、うちも沢山のお酒が割れてしまいました。

天明も様々な銘柄が割れてしまったのですが、

その中で大丈夫なものを集めてブレンドしたんです。

最初は味見をしながら“これは純米吟醸だ”と確かめていたんですけど、

数が有り過ぎてこれは無理だと。それならいっそブレンドして、

復興支援に役立てられないかと造ったのが“ハート天明”だったんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

震災以降、全国からも沢山の応援を得て今の曙酒造はあると鈴木さんは言います。

だからこそ復興支援の旗振り役を担ってきた。

そしてその道の途中に出来たのが『絆結』というお酒でした。

 

 

鈴木「一昨年は熊本の地震もありましたよね。そんな事もあって我々東北の被災3県、

福島・岩手・宮城と熊本の4県の米でお酒を仕込んだんです。

お米の銘柄はひとめぼれ。プロジェクトの名前は“興し酒プロジェクト”と言います。」

 

 

こうして醸された純米大吟醸『絆結』はたちまち話題になり、

限定5000本という希少さも手伝って幻のお酒となりました。

しかしっ!!実は地元の酒屋さんに取り置きをしてもらい、

『絆結』を曙酒造の蔵に持ってきてしまったのです!(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「今日は会津の酒を美味しく頂く為に、酒器も用意しておりますので…。

(ゴソゴソ)このマイぐい呑みで頂きます!」

 

鈴木「用意が良いですね(笑) ぜひ呑んでみてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ふわ~っと純米大吟醸ならではのふくよかな香りが広がって、

何とも華やかな味わい。そしてその香りが途切れずに膨らんでいきます。

 

 

井門「(うっとりしながら)美味しいですねぇ…。」

 

鈴木「有り難うございます!

我々も全国の方々に応援をされ、今があります。

ですので、とにかく元気に美味しいお酒を造って恩返しをしたい、そう思っています。」

 

 

感謝の気持ちを伝えると共に、曙酒造のお酒を広める事で地元を全国に発信したい。

そんな想いが鈴木さんには強くあるのです。

 

 

井門「あの…もし他にも何か味見が出来るお酒があれば…。」

 

永尾「おい、酒バカ!なにを意地汚いこと言ってんだ!」

 

井門「だって…だって…。」

 

鈴木「良いですよ(笑) 搾ったばかりのお酒があるので、槽場にいきましょうか!」

 

 

“槽場”とはお酒を搾る場所。

搾り立てのお酒が入った機器がどーんと待ち構えています。(待ち構えてはいない)

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木「この中の気温はマイナスになってます。

マイナスまで温度を下げるとお酒の香りが飛ばないんです。

ではこの柄杓で、どうぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「うわ~~!!!!!

香りがふわっと開くわけではないんですが、鮮烈な旨味!!

まるで舌の上に電気が走ったかのような、旨味が凄いです!」

 

鈴木「有り難うございます!

本当に電気を混ぜてるかもしれませんよ(笑)」

 

 

収録が終わってからカメラマンの慧も搾り立てのお酒を飲ませて頂いたけど、

槽場からニコニコしながら出てきて、

『いや、ニコニコしちゃいますね!』と赤ちゃんの様な笑顔なのであります。

想いと情熱が詰まったお酒、本当に貴重な経験でした!

鈴木さん、有り難うございました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

会津のお米と水、気候風土。そこに杜氏の技術が入り完成していく日本酒。

僕らはどうしても、その最後の形である日本酒にばかり気持ちが向きますが、

日本酒を造るのに欠かせない存在と言えば『お米』であります。


僕らはそのお米を作る農業家、長谷川純一さんを尋ねました。

 

 

 

 

 

 

 

 

本来長谷川さんの畑でインタビューをする予定だったのですが、

河合さんのパワーにより生憎の吹雪(!?)

急遽予定を変更して、長谷川さんのお宅でのインタビューとなりました。

 

 

井門「長谷川さんは会津伝統野菜を作られているそうですが、

そもそも会津伝統野菜ってどんなものなんですか?」

 

長谷川「例えば“菊南瓜”という野菜があるんですけど、

これは上から見ると菊の御紋に見える所から名付けられた野菜です。

自然な甘さで食べるとねっとりとした食感が楽しめるんですよ。」

 

 

会津伝統野菜には他にも会津丸茄子や慶徳玉葱など様々な種類があり、

長谷川さんは故郷の野菜を広めたいという想いから17年前に伝統野菜作りを始めたそう。

 

 

長谷川「今では会津農林高校の生徒達も伝統野菜作りに携わっています。

今は23種類くらいになりますかね。

でも僕の目的は学校給食で伝統野菜を食べて、子供達に舌で覚えてもらう事なんです。」

 

井門「地元に自慢の野菜があるって良いですよね。

しかも舌の記憶に残る事でより故郷の記憶が濃くなるというか。

僕も地元が北海道なので、ジャガイモの段ボール箱を見ると心がキュッとなります(笑)」

 

長谷川「(笑)でもそうした野菜がある事で、

地元が帰りたい場所になると思うんですよね。」

 

井門「いやぁ、素晴らしい取り組みですね!

…うん??今回の旅は“会津の酒はこでらんに”なんですけど、

お酒の話、出てきてます?(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

長谷川「そうでしたね(笑) 実は地元に高橋庄作酒造店という酒蔵がありまして。

土産土法で酒造りをする酒蔵で、会津娘という銘柄の日本酒を造っています。」

*土産土法とはその土地での人がその土地の手法で、

その土地の米と水を使ってお酒を造り上げる手法。

 

長谷川「そこで造られる『春泥』というお酒に使われるお米、

『会津春泥』を私たちが作っているんです。」

 

 

会津春泥を長谷川さん達が作ろうとしたきっかけとなったのは、

あの奇跡のリンゴで有名な木村秋則さんとの出会いだったそうな。

 

 

長谷川「震災後、木村さんとの出会いがあって。

木村さんから“ここで自然農法で米を作ってみないか?”と。

そんな後押しもあって自然栽培で米を作ることにしたんです。

いや、当時家族には怒られましたけどね(笑)」

 

 

農薬や肥料も使わず、ただ土の力と植物の育つ力を信じる自然栽培。

やはり最初は全く上手くいかなかったそうです。

 

 

長谷川「農薬や肥料を使っていた事によって、土が弱くなっていたんでしょうね。

バクテリアがほとんどいない土壌になっていたんです。

最初の方はみすぼらしい田んぼで、全くダメでした。」

 

 

その田んぼで出来たお米を、

“美味しい。こんな美味しいお米、食べた事がない。”

と御家族に言われたのは、米作り2年目の事。そこからコンクールで金賞を取り、

会津娘の酒蔵から“お酒にしないか”と言われ完成したのが『春泥』。

例え最初が上手くいかなくても、決して負けずに、出来るまで想いを貫く。

会津人の強さ、そして真っすぐさを教えられました。

 

 

井門「その“春泥”なんですが、

うちのスタッフから物凄く希少なお酒だとお伺いしてます。はい…。

でも呑めたら良いなぁ~、呑めたら良いなぁ~、呑めないかなぁ~…。」

 

長谷川「はい、せっかく井門さんにお越し頂いたのでご用意させて頂きました!(笑)

ここではなんなので、とっておきのお店に移動しましょう!」

 

井門「やったー!!有り難うございます!!」

 

と、言う訳で向かった先が鶴ヶ城から歩いて10分ほど、

繁華街の一角の路地裏にある名店『もっきり』でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとこちらの女将さんは永尾Dの奥様の同級生。

御主人も女将さんも永尾Dをよく知る方々で、永尾Dも奥様とよくいらっしゃるそうな。

 

 

永尾「ここのおでんがまた旨いんだよね。

おでんの出汁ってさ、お酒のアテに存在してるんじゃないかって思うよ。ふふふ。」

 

 

呑み始める前から相当嬉しそうな永尾D(笑)

でもこちらでお酒と料理を頂いて、その笑顔の理由が分かりました。

だってどの料理も出されるお酒も物凄く美味しいんですもん!

正直あまり教えたくなかった(笑)

 

 

長谷川「でも、もっきりはいつも混んでますからね。繁盛店です!」

 

 

カウンターに座って長谷川さんとお酒談議をするにあたり、

御主人にお店オススメの会津のお酒を並べて頂きました。

もちろんその中には『春泥』も3種類。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『春泥』3種類。

生酒、今年の一回火入れ、昨年の一回火入れ(これはここでしか飲めない)。

生酒はフレッシュな味わいが鮮烈で、今年の火入れはフルーティーさが増し、

昨年の一回火入れはそこに更に豊かな味わいが広がっていきます…。

長谷川さん達が丹精込めて作ったお米が、こんな風に土地の水や気候風土、

杜氏の技術と相まって最高に旨い酒に変化する。

 

 

長谷川「春泥って名前も“春”に“泥”じゃないですか。

これにもちゃんと想いが込められていて、

泥の中からも春は必ず訪れる…って想いを込めて名付けられたんです。」

 

井門「あぁ、なるほど…それを初めて聞いた時、どんな風に思われましたか?」

 

長谷川「もう…涙が出ますよね…。」

 

 

長谷川さんのお米や野菜に対する想いを伺いながら、

次々と出てくるお酒や食べ物の数々。

途中で何度もおでんのお代りに立ちあがる永尾D(笑)

僕も牛スジ、こんにゃく、卵、大根、白滝のおでんを頂いたのですが、

全部がしみしみで、しかもこんにゃくは自家製で(!!)

ちょっとこんなに旨いおでんは東京でもなかなか食べられない。

 

「はい、これが大和川のおりがらみ。」

 

「会津娘の上汲みです。」

 

「ゆりの大吟醸になります。」

 

「会津のお酒じゃないけど、冷蔵庫に入りきらなくて(笑)、山形の十四代です。」

 

 

呑みも呑んだり、数えてないんですけど恐らく一升は飲んだと思う(笑)

その間も長谷川さんが作ったお米やキャベツを頂いたり、

お酒の効いたイカのもろみ炒めが出てきたり。

 

 

永尾D「これが後でバターライスと合わせて貰うと最高に旨いんだよ!!

2つ頼もう!2つ!足りないとやだもん!」

 

井門「いや、もう相当お腹もいっぱいだから(笑)

1つを取り分けながら様子見ましょう。」

 

永尾D「えぇ~、足りなくても知らないよ!」

 

 

結論から言うと、もうお腹一杯だと言っていた河合さんが、

「もう一口、もう一口」と言うほど。最高に美味しかったです!

美味しいお酒と素敵な人達に囲まれた、夢の様な時間。

身動きが出来なくなるほど食べ、呑み、もっきりの夜は更けていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日…。

前の日にあれだけ呑んだのだから少しは残っているのかと思いきや、

全く残らない。凄いぞ、会津の酒!!頭もシャキーンとした状態で(朝ご飯もいっぱい食べ)、

我々は一路喜多方市へと向かいました。

喜多方市はYAJIKITA時代にもお邪魔しましたが、何と言っても『蔵の町』。

何とも言えない素敵な風情で、しかもラーメンの町でもある!

そしてそして、忘れちゃいけないのが『酒の町』でもあるということ。

ぐい呑みの用意も万端、お伺いしたのが228年続く老舗『大和川酒造』さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらでお話しを伺ったのは会長の佐藤右衛門さん

実は佐藤さん、お父様の代から喜多方の蔵の街並みを守っている町の名士。

更にお酒だけではなく、震災後にエネルギーの地産地消を目指し、

会津電力株式会社という電力会社を立ち上げた方でもあります。

 

 

佐藤「ちょうど震災が起こったのが私が60歳になる手前だったんです。

“自分が60歳になったらもう少し環境に目を向けよう”と思っていた矢先で。

福島は原発のあの事故がありました。だから尚更、その気持ちを強くしましたね。」

 

 

こうして立ち上げたのが7つの自治体が株主となる会津電力株式会社。

地域の電力会社としての熱い想いを佐藤さんは語ります。

 

 

佐藤「会津の土地が持つ自然エネルギーで膨大な電力を生む事が出来るんです。

こうしてそれぞれの地域で地域電力の会社を作ればいいと思います。

東京が主体じゃなく、エネルギーで主導権を握ればいいんですよ。」

 

井門「でも自分達で電力会社を立ち上げって、相当なご苦労もあったんじゃないですか?」

 

佐藤「いやいや、会津電力は楽しいことばかりですよ(笑)」

 

 

佐藤さんと御挨拶した時に大和川酒造店の会長の名刺だけじゃなく、

他にも5つ位の名刺を頂いたんです。それほどにエネルギッシュで情熱家。

もう佐藤さんだけで発電出来るんじゃないかと思うほど(笑)

 

 

佐藤「これからの時代は電気も産地で買えたらいいですよね。

ウチの電気は○○の太陽光だとか、ウチのは○○の風力発電だとか。

地熱、水力しかりですけど、自然エネルギーでこの国はまかなえる筈なんです。

安易にお金が生まれるからじゃなく、

何事も手間暇かけて足元の物を汲み上げる事の方が大切なんですよ。

その苦労をしないからおかしくなっちゃうんです。」

 

 

この佐藤さんのお考えは当然、お酒にも。

 

 

佐藤「ウチではいま55haの水田を持っていて、そのうち15haが酒米です。

米、水、気候風土…その風土と合った酒の味。

自分の所の土から生まれた米を使って、酒を造る。

これはヨーロッパなんかでは当たり前の事でテロワールのことなんだけど、

それを日本でもやってしまえるんです。

私はそれを地酒ではなく、郷酒(さとざけ)と呼んでいます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

これだけ熱い気持ちを持って酒造りに携わっていらっしゃるんだから、

その酒も旨いに違いない!!(ごそごそ…ぐい呑みは…と)

 

 

佐藤「そりゃ、酒に関しては私も長年の経験はあります。

でも今の杜氏がね、生意気にも私に意見するんだよ。

ただ今の杜氏の方が私より味覚が優れてるんだ(笑) だから私は引退しました。」

 

井門「今もお酒の味のチェックはするんですか?」

 

佐藤「そりゃしますよ!引退したので、私は今は批判勢力です。

まずい酒が出てきたらコテンパンにしてやります!(笑)」

 

 

なんだかとても清々しい気持ちになります。

佐藤さんについていこうって方は本当に多いんだろうなぁ。

僕も近くに佐藤さんがいたら大いに影響を受けそうだ(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤さんにお話しをお伺いした後は、ショップで試飲もさせて頂きました!

よ~しっ!ここでもマイぐい呑みの出番だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

試飲させて頂いたのは、

全国新酒鑑評会7年連続の金賞受賞『弥右衛門 大吟醸』、

季節限定『超直汲中取り 生原酒』、『弥右衛門 超辛口生』、

酵母が生きている『弥右衛門 活性にごり』、

こちらも季節限定、もち米を使った『弥右衛門 カスモチしぼり』、

『純米大吟醸 いのち』。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのどれもが旨味たっぷりで、香りがふくよかで。

飲み口が優しいのは使っている水は軟水だからとのこと。

だから『超辛口生』もキリっとした中に柔らかさがある。呑み易いんです。

でも、よく考えてみたら試飲とは言え結構呑んだよね(笑)

いやぁ、さすが228年続く老舗の味、間違いありませんでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

会津の酒はこでらんに。

いや、まったくその通りの旅でした。

でも『こでらんに』だったのはお酒だけじゃなくて、

そこで暮らす方々も、その土地で作られる食べ物も、気候風土も全てが『こでらんに』。

なんだろうなぁ…会津の美味しいお酒を呑み歩く旅になる筈が、

(まぁ、なってはいたんだけど、笑)

結局、会津でまた逢いたい人がどんどん増えた旅でした。

でもそれで良いんです。良いの。

だって、また会津の酒をたっぷりと呑みに来る口実が出来たもんね。

あと酒器もまた揃えに来なきゃ。

あ、そうそう『もっきり』でもう少しおでん食べたかったし(笑)

今度は家族も連れて来たいなぁ…。

 

よし、最後に大きな声でもう一度言わせてください!

せ~のっ!!!!


 

会津の酒は、こでらんに~~!!!