これからも楽しめる!これからの“築地”|旅人:井門宗之

2018-10-04

 

およそ6年ぶりであります。

えっ?何が?どこが??って…、

 

東京の、いやさ日本の台所!と言えば、そう築地!

かつてこの番組がYAJIKITAと呼ばれていた頃、

東京を象徴し、且つ美味しい食べ物がいっぱい…という理由で訪れたのが築地でした。

しかし実際に築地をぶらりしてみれば、そこかしこに残る歴史的な遺産の数々。

ただ「美味しい街」というだけじゃない、「文化の街」の表情も存分に見せてくれた築地。

そう、あの取材から6年なのであります。

過去の旅日記を読み返すと『2014年には豊洲に移転する』と書いてあり、

あの頃から随分と紆余曲折を経ての移転なのだなぁ、と思わずにはいられません。

2018年10月6日、ついに市場としての歴史に幕を下ろす築地場内市場。

 

今回の旅はその築地の中でも、まだまだこれから賑わっていく築地場外をぶらり!

美味しい食べ物にも、ターレーにも出会ってきました!(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても6年ぶりの築地であります。

東京で暮らしていてもなかなか来る機会の少なかった築地。

でも今回久々の築地で、6年前に感じた「外国人多いなぁ」は、

「外国人めっちゃ多いっ!」に変わり(笑)、

「美味しい食べ物、めっちゃ多いっ!」はちゃんとそのまま上書きされました。

 

 

築地は場内市場と場外市場に分かれているのですが(勿論どちらも入れますが)、

観光客がお寿司を食べたり卵焼きを買ったりと、手軽に楽しむ事が出来るのが場外、

プロの為のお店があるのが場内、そんなイメージでしょうか。

その場内市場は2018年10月6日を以って豊洲に引っ越しが始まる訳で、

KIKI-TABIのネット局の中だと早い局さんはまさに引っ越し当日のOAになります…よね。

ですので、今日は朝から築地移転のニュースをよく目にされた方も多いと思います。

じゃあ我々もそんな移転ですったもんだする築地に潜入取材!…という訳ではなく、

場内市場は豊洲に移転するけど、場外市場はこれまで通り残っていく訳で、

なんなら新しいお店もオープンしている訳で、外国人観光客もめっちゃ多い訳で。

父さん、僕は新鮮なお魚が大好きな訳で…。純…(なぜ)。

だったら、この「これからの築地場外市場」に想いを馳せつつ、

場外市場を楽しんじゃおうっ!!というのが今回の旅のコンセプトなのです。

 

 

 

という訳で、「これからの築地」を象徴するかの様な施設で僕らは待ち合わせる事に。

 

それがこの10月1日に正式オープンとなった『築地魚河岸』。

築地場内市場の移転後も、築地の活気を維持する為に中央区が設置したのがこの施設。

築地の仲卸業者のお店が小売店となり、2棟の施設におよそ60店が入ります。

(2棟はそれぞれ小田原橋棟と海幸橋棟)

 

公式HPには「築地の名店がここに集結!」とあり、

まさに施設の中は多くの買い物客で溢れておりました!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「あれだねぇ、やっぱり外国人観光客が多いねぇ。」

 

吉武「お店の品物にも英語表記がされているもんね。」

 

 

 

築地の場内市場に限って言えば、

これだけの品数と人とお金が集まる市場は世界的に見ても築地が一番なのだとか。

その場内で仲卸をやっている業者さんの小売店ともなれば、

品揃えと品質は折り紙つき。僕らが取材に入った時間は遅かったのですが、

それでも並ぶ鮮魚の新鮮さ、そして美味しそうなことと言ったら…んもうっ!

 

 

 

井門「どのお店も古くから築地で営業している所ばかりみたいだけど…。

 

おっ、マグロ専門のお店だって。洸峰さん、かな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

御主人の渡部峰夫さんは築地にお店を開いて45年の大ベテラン。

 

 

 

井門「こちらはマグロ専門の仲卸さん、という事でよろしいんですか?」

 

渡部「えぇ、うちは特にマカジキを専門に扱う店になります。

築地の中でもマカジキを専門に扱うのはうちだけですね。」

 

井門「マカジキ…日本だとどの辺りで獲れるんですか?」

 

 

渡部「そうですね、岩手から福島、茨城の沖合で獲れますが、

今年は水温が高かったせいか青森や北海道でも獲れてますよ。

本当はこれから10月を過ぎてからが、どんどん脂が乗って旨くなるんです!」

 

井門「まさにこれからが旬の魚なんですね!

因みにマカジキは何を食べて育つんですか?」

 

渡部「サンマなどを食べてますね~。」

 

井門「なんと!今年はまた不漁だ、高級だ、なんて言われてますから。

そんな“高級魚”サンマを食べてるとなると、さぞかし美味しいんでしょうねぇ(欲しがり)」

 

渡部「あっ、食べていきます?(あっさり)」

 

井門「お願いします!!(あっさり)」

 

渡部「取材の皆さん、御一緒にどうぞ!(素敵)」

 

一同「お願いします!!(めちゃあっさり)」

 

 

 

 

 

 

 

 

気になるマカジキの味わいもあっさりしていて(笑)、

うん、あっさり、というよりは淡泊で上品。

僕らが頂いたのは中落ちのお刺身だったんですけど、

この上品な味わいが生姜醤油にぴったんこで…。

更に渡部さんの御厚意で頂いた中落ちを、家で山芋と一緒に日本酒で頂いたのですが…、

 

これがめっちゃくちゃ旨かった!(そりゃ合うよねー)

築地すげー、普通にこんなに新鮮で珍しいお刺身が味わえるんだもの!

でもそれもひとえに築地の歴史と、そこで働く方々が積み重ねてきた努力の賜物ですよね。

昭和46年からここで働く渡部さんに、今の素直なお気持ちを伺ってみました。

 

 

 

井門「築地が豊洲へ移転しますけど、率直に今のお気持ちはいかがですか?」

 

渡部「ここ(築地)での思い出はそれこそ沢山あるからね・・・。

私は築地が大好きです。築地の人間は言葉は悪いけど、人情のある人ばかり。

でも本場(場内市場)が無くなっても今度はここが賑わうでしょう。

仕入れの流れは変わらないですから、いつでも新鮮で美味しい魚が買えますよ!」

 

 

 

そう、これからも変わらず美味しい物を届けてくれる方々は数多くいらっしゃるのだ。

築地魚河岸に来れば、築地で働く方々の心意気を必ず感じられる筈!

あっ、因みに築地魚河岸の営業時間は午前5時~午後3時までですが、

午前9時までは業務用の仕入れを想定した時間となりますので、

皆さんは午前9時以降にお買い物や御食事にいらっしゃってください!

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、美味しいマカジキのお刺身でエンジンがかかった一行(笑)

築地場外に来て食べ歩きしない訳にはいかんでしょう!という事で、

まず食いしんぼターゲットの目に止まったのは、玉子焼屋さんです。

築地に目立つ玉子焼の名店。なんで築地に玉子焼屋さんがこんなにあるの??

諸説ありますが、やはり近隣(銀座)などに玉子焼を卸す店舗が多かったのがその理由とか。

 

どのお店も店頭で食べられますが、もうね、どこも美味しそうで目移りしちゃう(笑)

テリー伊藤さんのお兄様・アニーさんのお店としても有名な「丸武」さんや、

有名百貨店でもその名を目にする「つきぢ松露」さんなどなど、

勿論商品として買って帰る事も出来ますからお土産にも是非です。

 

そんな中、小雨ちらつく築地場外でひと際目を引く行列が!

目の前では職人さんが手際よく黄金色の玉子焼きを焼いている。

それを動画に撮りながら「OH~!」と呟く外国人達。

何やら竹串に刺した状態で食べるスタイルらしく、その手軽さも外国人には受けているよう。

 

お店の名前は築地 山長さん。

創業昭和24年というから、既に70年近くの歴史を誇ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

見ると食べ歩き用の『串玉』は一串たったの100円!お値打ち!

 

 

井門「みんな、お腹空いてる?」

 

玉武「へへへ、こんな目の前で美味しそうなの見せられちゃねぇ。」

 

ゴル「食べたいですねぇ。」

 

井門「よし!みんなの御馳走しちゃう!」

 

一同「やったー!!」

 

 

でも300円だからね(笑)

しかもこんなにお値打ちなのにボリューム満点!

串を持つとずっしり重みを感じる程です!

 

この『串玉』は購入するときに「ふつう」か「甘い」かをセレクトするのですが、

折角なので僕らは「甘い」のを選びました。

ほら、40過ぎて甘い玉子焼きを食べるとか、なんかいいでしょ?(なにが)

こうして差し出された『串玉』のなんとフォトジェニックなことでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴル「目の前に休憩所がありますね!」

 

井門「おっ、両替まで出来ちゃうのかぁ…。」

 

玉武「これは完全に外国人向けのスペースでもあるね。」

 

 

そんなこんなで休憩所に入ると(勿論日本人も利用出来ます)、

中にはベンチや自動販売機なども並び、僕らと同じ様に『串玉』を頬張る人の姿も。

 

 

井門「では焼き立ての串玉ちゃんを、頂きます!

おぉ~顔を近付けるとふわっと出汁の香りもしますよ~。もぐもぐもぐ。

 

うま~~い♪

 

もうね、スイーツの様なうっとりする甘さの中に、ちゃんと出汁の香りがするの。

噛み締めるとじゅわ~っと出汁が広がってさ。これで100円かぁ。」

 

玉武「ほんとでゲスか?それならわっちも頂きますでやんす。もぐもぐもぐ。

うっま~い♪

 

ゴル「ほんと?ミラクルさん、すぐ旨いとか言うからなぁ。もぐうま~い♪

 

 

ほらね、すぐ旨い(笑)

で、甘いものを食べたら今度はしょっぱいものを…って散策してたら。

 

 

 

 

 

 

 

 

お姉さん「新鮮なお刺身、食べていけますよー!いかがですか!?」

 

井門「ほうほう、どれも美味しそうなお刺身が並びますね。

これは帆立、エビ、マグロ、色々あるなぁ。ねぇ、皆はどれが食べたい?」

 

一同「どれも美味しそうですねぇ。」

 

お姉さん「だったらこのサザエのお造りどうですか?

ひと山2000円だけど、そろそろお店閉めるから1500円で良いよ!」

 

井門「よし買った!」

 

一同「早ぇよ!」

 

お姉さん「有り難うございます~!」

 

 

築地でのこういうやり取りもまた楽しい。

いきなり「ちょっとまけてよ!」は品が無い。

だけどこういう値引きってのは嬉しいもので。

何だか途端に買い物上手になった気がする。

 

 

井門「しかしデカい!凄いね、このサザエ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「実はいままで黙ってたけど、

僕の大好物はサザエなんだ。」

 

一同「知らねぇよ!聞いた事ないし!」

 

井門「ふふふ、だからこそ僕のサザエへのこだわり、知らないね。

相当サザエのお造りにはうるさいよ。」

 

一同「だから知らないよ!良いから食えよ!」

 

井門「ふふふ、だからそんな簡単に旨いなんて言う訳ないだろ?

どれど旨~いっ♪♪

 

一同「早ぇよっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

新鮮なサザエのみに出す事を許されたコリコリ感、

そしてどこまでも突き抜けていく豊かな磯の香り…。

これを築地の空の下で食べる事が出来る幸せ、そしてこの旨さ知ってしまった不幸せ。

あまりにも凄いフォルムのサザエのお造りだったので、

近くにいた外国人観光客が物凄い興味深そうな目で見てたっけ。

 

 

 

いも摩呂「これはもはや、サザエのかき氷や~!

 

 

 

うん、自分でも何言ってるんだかよく分からなかったね(笑)

築地買い食いぶらり旅(タイトル変わっとる)、最後は再び築地魚河岸へ!

向かった先は築地魚河岸3階にある『魚河岸食堂』。

フードコート形式の食堂で、場内にある名店の味をここで楽しむことが出来るのです。

 

 

井門「あっ、チャーシューエッグで有名なとんかつの小田保さんも入ってるんだ。

そして奥にあるのが、鳥藤さんじゃないですかー!」

 

 

築地にあって鶏肉の名店と言えば…、そう鳥藤さんであります。

築地の男達は毎日魚を扱い、それこそ見飽きる位に魚と接している。

だからこそ、朝飯・昼飯には肉を喰らいたいっ!そんな欲求が生まれてくるのであります。

そんな彼らの憩いの場が小田保さんであり、この鳥藤さんなのです。

元々は鶏肉専門の卸業者で創業は明治40年という老舗中の老舗。

そんな鶏肉のプロが提供する鶏料理が美味しくない筈がない!

場内にある鳥藤さんのお店は、今や大人気店として知られていますが、

この築地魚河岸のフードコートにも手軽に鳥藤のメニューが味わえるお店があるのです!

 

 

井門「この親子丼の写真見てよ…とろんとろんの卵がもう…。

絶対に美味しいって!これは是非頂きましょう!」

 

 

こうしてカウンターで親子丼を注文してテーブルに着くと、

ほどなくして4代目の鈴木昌樹さんがいらっしゃった。

 

 

鈴木「すみません、遅くなっちゃって!」

 

井門「今日は宜しくお願いします!

鳥藤さんは築地の中にあって、鶏肉の専門店なんですよね。」

 

鈴木「はい、僕で4代目になります。

場内で軍鶏や比内地鶏、様々なブランド鶏の他に鴨肉など国内外の物も取り扱っています。

こうして今は飲食もやってますけど、日々試行錯誤です。」

 

井門「こちらの看板メニューは?」

 

鈴木「やはり軍鶏入りの極上親子丼ですね。

軍鶏の食感がたまらない逸品に仕上がってます!」

 

 

お店のメニューにはその他にも『親子カレー』『鳥そば全部入り』『蒸し鶏ごはん』など、

どれもが目を引くものばかり。

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木「やっぱりずっとウチは鶏肉一筋でやってますからね、

使う鶏肉には本当にこだわっています。…って、僕の話、長くないですか?(笑)」

 

井門「(笑)いえ!そんなことないですよ!」

 

鈴木「どうも鶏肉の話になると熱くなっちゃうんで…」

 

井門「そんな4代目の前で早く目の前の親子丼を食べないと怒られちゃうな(笑)」

 

鈴木「いえ(笑)どうぞどうぞ!」

 

井門「因みにこの親子丼のこだわりはどこですか?」

 

鈴木「はいタレにこだわってます。

タレがですね…いや、いいです!早く食べちゃってください!(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

この親子丼がまたバランスが良いのなんの。

鶏肉も噛むと『ぎゅっ、ぎゅっ』って言うんですよ。

そして鈴木さんの仰る通り、タレがまた堪らない。

聞けば水炊きの出汁を使用しているとのこと。だからこそのこのコクか…。

僕も含めてスタッフ一同、この親子丼の虜になってしまいました(鶏だけに)。

 

 

鈴木「フードコートのウチの店の営業時間は7時~22時までです。

昼と夜とまた違うメニューが出たりもするんで、それぞれの時間に是非いらしてください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして場外に人がいなくなる時間までロケをしていた今回の旅。

まぁ、築地の人がいなくなる時間って15時~16時くらいなんだけども(笑)

 

丁度最後の締めコメントを収録していたのが波除神社の前で、

ここからだと築地場内の中が見えるんです。

時間が遅いので働いている人はまばらだけど、それでも中からは音が聞こえてくる。

ここから働く音がしなくなるのか…と思うと、何とも寂しいですね。

渡部さんも、鈴木さんも実は口を揃えて仰ってました。

「築地が移転するのは寂しい」って。

それはきっと単なるノスタルジーではなくて、

長い歴史が育んだ「場内と場外の切っても切り離せない関係」が、

「切り離されて」しまうことによる寂しさなんだとも思うんです。

 

市場が出来てから83年。世界随一の市場、築地場内の灯が消えようとしています。

 

しかし、しかしです。

 

場外で働く方々の熱意はここのそのまま在り続けます!

寂しさは人それぞれあれど、世界一の魚を扱うというプライドを持って、

場外市場は残り続けるのです!

 

きっとこれからここに残るのは『築地市場』ではなく『築地PRIDE』。

かつての築地場内市場の面影は、

ここで働く方々の姿を通じて、この場所に残り続けるでしょう。

是非、そんな『築地PRIDE』を感じに、

そしてお腹いっぱい美味しい物を食べに、築地場外に遊びにきませんか?

これからも楽しめる、これからの築地に。