令和の祭り!福島わらじまつりに行こう!|旅人:片桐千晶

2019-08-21

こんにちは!旅人の片桐千晶です。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のテーマは『令和の祭り!福島わらじまつりに行こう!』

 

隣県・山形出身の私も初めて見るわらじまつり。

 

しかも今年は50回目の節目を迎えて新しい形に生まれ変わるとのこと。

 

どんな盛り上がりを見せるのか…ん~~楽しみ!

 

 

 

 

 

 

 

 

福島に到着しての第一声。

 

「あ、あ、暑い・・・‼」

 

ギラギラと照り付ける太陽。

 

アスファルトから容赦なく立ち上ってくる熱気。

 

東北だから涼しいというイメージの方もいるかもしれませんが、

 

福島盆地に位置する福島市は夏はものすごく気温が上がります。

体感気温は40℃くらい。

 

止まらない汗を拭いてお話を伺ったのは福島わらじまつり実行委員会の広報座組・座長、佐藤卓宏さん

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもわらじまつりが始まったきっかけは、江戸時代から400年続く冬の「信夫三山暁まいり」。

 

健脚や商売繁盛を願って真冬に大わらじを信夫山の羽黒神社に奉納するお祭りで、大わらじを担いだ若衆たちが街中を練り歩き、最後は雪の山道を頂上まで登って奉納します。

その伝統と盛り上がりを夏のお祭りにも生かしたいと始まったのが福島わらじまつり。

 

巨大わらじの大きさは12m、重さ2t!

 

世界最大のわらじです。

 

 

 

 

 

 

 

 

並んで立ってみるとほんとに大きい!そびえたってます。

 

これを60人ほどで担ぐそう。

2011年の東日本大震災があった年にも開催されたわらじまつり。

 

こんな時こそと元気に担いで盛り上げたことで、福島の復興のシンボルのような存在になったそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

これまでは大わらじが練り歩き、「わらじおどり」やヒップホップ調のダンス、大わらじを台車に載せて走る「わらじ競争」など盛り沢山の内容でしたが、 福島にゆかりのある作曲家の大友良英さんを総合プロデューサーに迎え、

 

50回目の節目に新しく生まれ変わることになりました。

今年の日程は特別に3日間。

 

1日目はこれまで通りの形で行う最後の「平成わらじまつりファイナル」と引継式。

 

2日目に新わらじまつり。

 

3日目に羽黒神社に大わらじの奉納です。

50年も続いた祭り。新旧の引継ぎをしっかりしてスタートするのがいいですね。

 

運営サイドの佐藤さんからひしひしと伝わってくるワクワクと不安と緊張感。伝統を引き継ぎながら新しいことを始めるってドキドキしますよね…成功しますように!

 

祭りがスタートするまで時間があったので、私もわらじ作りを初体験。

 

 

 

 

 

 

 

 

福島市では小学校でも体験授業をするなどわらじは身近な存在なんだとか。

 

子どもたちが作れるなら大人の私だってちゃーんと作れるはず。

 

楽しそう!レッツチャレンジ!

 

 

 

 

 

 

 

 

木製のわらじ作り機とわら縄を使って編み込んでいきます。

 

足の大きさに合わせてギュっギュっと押し込んでっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

…ん?あれ?ちょっと待って。様子がおかしい。

 

私が知ってるわらじってもっと全体的に幅が広かったはず…

 

いやちょっと、周りのキキタビスタッフがカメラやマイクを持ちながら笑って震えてますけど?

はい、完成しました。巨大な松ぼっくり~!

 

ではなく、一応わらじです。いびつ!小っちゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

どこで道を間違えたんだろう。

 

編めば編むほど理想から遠ざかっていくのは感じていたんです。

 

でも気付いた時にはもう後戻りできなかった…(泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤さんが作ったお手本と比べると、これぞ雲泥の差。

 

履いてみると佐藤さんの方はふんわり包まれてしっかり足がのる感じ。

 

私の松ぼっくりはゴワゴワでごつごつして痛い。

 

これで歩くなんて拷問という代物。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隣にいた小学生はそれはそれは綺麗に作っておりました。

 

甘く見ていてすみませんでした。片桐、出直してきます。

続いては「わらのわ」作り

 

 

 

 

 

 

 

 

福島商工会議所青年部の岸秀樹さんに教えて頂きました。

 

今回わらじまつりが新しくなるのに合わせて考案された道具「わらのわ」。

 

踊り手はこれを手にもってわらじおどりを踊ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縄でわっかを作り、そこに藁をくくり付けてほぐしていきます。

 

持った時にふわふわと揺れるので、踊った時に動きが出るんですね。

 

藁がぶらぶらと揺れるように、緩みを持たせて結ぶのがポイント。

 

さっきのわらじに比べて作り方がシンプル。

 

これは上手くできました~!(ホッ…)

 

鈴を付けたりカラフルなリボンを結んだりして、自分だけのオリジナルのわらのわが作れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

さてさて、初日に行われた平成わらじまつりファイナル

 

これまでのまつりの形で行うのはこれで最後です。

 

3mほどの大わらじを台車に載せて走るわらじ競争

 

 

 

 

 

 

 

 

サッカーチームや部活、職場ごとなど10人位のチームでわらじを引っ張りながら猛ダッシュで競います。重そう!

 

子どもたちや現役高校生のスピード感と、途中でバテながらも必死に走る大人の姿。みんな真っ赤な顔で走り切っていました。

そして日が暮れて始まったわらじおどり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼間の猛暑の熱気が残る中、わらじ音頭の曲に合わせながら浴衣やハッピ姿で軽快です。

 

ん~~、夏祭りのいい雰囲気。

大わらじが担がれてくると観客も一層盛り上がります。

 

さすが12m。そばで見ると迫力があります。

 

近くまで来てくれて、大わらじに触れることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ご利益ありそう!嬉しい~

 

これからもキキタビで良い旅ができますように、祈願祈願!

 

がらりと雰囲気が変わってダンシングそーだナイト

 

浴衣姿の大人たちから子どもや若者にバトンタッチ。

 

ヒップホップ調にアレンジしたわらじ音頭でキレッキレのダンスを披露。

 

一輪車にチアガール、アラビアン衣装まで。まさにお祭り騒ぎ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若いエネルギーが溢れていて、見ているこっちが元気になりました。

 

今年で最後になっちゃうけど、この形のわらじまつりもいいなぁ~

いい気分で祭りの雰囲気を味わっていた我々。

 

でも何かが足りない…そう、あれが…あれが足りない…

 

そう思っていた矢先、きました!

 

作家の河合さんが差し入れしてくれたビールと焼き鳥~!

 

待ってました!これこれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

くーーー、冷たいビールが沁みるーーー!

 

こうして最後の平成わらじまつりを堪能したのでした。

 

さて、翌日。

 

いよいよ新しい形に生まれ変わった新わらじまつりのデビューの日

 

総合プロデューサーを務めた作曲家の大友良英さんにお話を伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

大友さんといえば、NHK「あまちゃん」や「いだてん」など数々の人気ドラマや映画の作曲をされている日本を代表する作曲家のお一人。

 

なぜ福島わらじまつりのプロデュースをすることになったかというと、

なんと大友さん、小学生の時に福島に引っ越してきた福島育ちなんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

小さい頃からわらじまつりに参加していたのかと思いきや、

 

なんと当時は祭りが嫌いだったそう(笑)

 

思春期にみんなの前で踊るなんて恥ずかしい、それより好きなポップスやロックの曲を聴いていた方が楽しいぜ、と。

 

でも東日本大震災以降、復興支援で祭りに関わるようになりその楽しさや大切さに気付いたそう。

 

そんな時「福島わらじまつりを新しく変えたい」という依頼がきて、引き受けることにしたそうです。

 

震災復興を願い東北6県の祭りが一堂に会する「東北絆まつり」で福島わらじまつりを見た時、ざわつく観客の姿を見て複雑な気持ちになったという大友さん。

 

他県の祭りに比べ、伝統の薄さと見劣りを肌で感じたそうです。

 

それは福島の人たちがまさに変えたいと悩んでいたこと

 

回を重ねるにつれ、形を変え方向性を見失っていると感じたわらじまつり。

 

福島の街中で楽しく盛り上がる姿も良いけど、他県に誇れる祭りにしたい…そんな思いが生まれたそうです。

とはいえ、50年続き、ダンスで若いエネルギーが溢れる今までの形を変えるのは苦渋の決断。今までの祭りを引っ張ってきた人たちの想いもあります。

 

正直、しんどい役目だよ」と語る大友さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

「震災や原発事故で福島が失ったのは、誇りなんだよね」

 

食べ物や空気、それまで自信をもってうまい!と言えていたものがストレートに言えなくなってしまった。しっかりと放射線量を検査し安全安心なものだけど、他県の人は同情で買ってくれているんじゃないか…それはまさに誇りを失ったということ。

 

それを自分たちの文化に自信を持つことで取り戻すのはとても大事なこと。

 

その最初の芽を、根っこを作りたいと思い改革に取り掛かったそうです。

新しいわらじおどりでこだわったのは生演奏

 

これまでは録音した曲を流していましたが、それを大人数の和太鼓や笛の迫力あるアンサンブルの生演奏に変え、そこに踊りが加わります。

 

わらのわを持って車いすの方でも外国人でもみんなが参加できるオープンな祭りにしたい、ここから福島が自信をもって誇れる祭りにみんなで育てていきたい。

 

そんな大友さんの強い決意を感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ、いよいよ始まった新わらじまつり!

 

オープニングではわらじまつりの伝説や由来を昔話風の語りとともに音楽や踊りで表現。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、振り付けが変わった新わらじおどり

 

踊り手がみんなそれぞれわらのわを振ったり回したり。

 

足のステップや飛び跳ねる動きも加わってより軽快な振り付けに変わりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大わらじの上には福島市の木幡浩市長の姿が!

 

市長自ら新しい祭りを盛り上げています。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして迫力ある太鼓や笛の生演奏

 

大人数で一気に打ち鳴らします。

 

祭囃子のリズムが音の振動とともに直接伝わってきて、体に響く響く!

 

祭りに力強さとダイナミックさが生まれました。

熱いまなざしで見守る実行委員会の佐藤卓宏さんの姿も。

 

汗をかきながら生き生きと楽しそうにおどる踊り手たちの姿を見て感無量の様子。

 

「やっとこの姿が見られた。これからこの新しい形でやっていきます!

 

力強く語った佐藤さんの目にはうっすらと涙がにじんでいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

祭りはいよいよフィナーレへ。

 

最後は踊り手に観客も混ざってみんなで大きな流れに。

 

もちろん、私も参加!

 

手には自分で作ったわらなわ。

 

みんな細かい振り付けは気にせず、わらのわを振りながら大盛り上がり。

 

輪の中に入るとさらに伝わってくる熱気と息づかい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スピーカーで自ら「わっしょい!」と掛け声で盛り上げる大友さんや、弾ける笑顔の木幡福島市長の姿も。

 

この一体感はすごい!楽しい!

 

思わず汗だくになって一緒に踊ってしまいました。

 

いや~これぞ祭り!

 

今回新たに生まれ変わった福島わらじまつり。

 

これまで続けてきた人々の思いや新たに変えることへのプレッシャー、

 

故郷の誇りを取り戻したいという強い願い。

 

様々なものが入り混じって形になった新しいわらじまつりは、熱気と一体感に包まれた力強いものになっていました。

ああ、またここから新しい伝統が築かれ育っていくんだなぁ…と。

 

どんな風に育ち、どんな盛り上がりをみせていくのか。

 

その姿を見に、また参加しに来たいと思いました。

 

皆さんも是非、熱い熱い夏の福島わらじまつりへ!

 

 

 

【おまけ】

 

祭りの最後に大わらじが奉納される羽黒神社。

 

福島市の中心部から車で15分ほどの信夫山に鎮座していて、キキタビ一行もお参りしてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

車を降り、途中からゴツゴツした石だらけの急な山道を登ります。

 

止まらない汗と切れる息。

 

これを山裾の方から登ってくるなんて…しかも猛暑や大雪の中、大わらじを担いで。す、すごすぎる…

 

辿り着いた先には鮮やかな朱色の本殿と2月の暁まいりで奉納されたもう一つの大わらじが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は福島で良い旅をさせて頂きありがとうございました。

 

わらじまつりがますます盛り上がってこれからも続いていきますように…。」

 

旅の御礼と祈願をして帰ってきたのでした。

 

福島わらじまつり、また来よう。

 

次はわらじ作りもリベンジじゃー!笑