東京・山手線一周!宝探しぶらり旅・西日暮里~田端~駒込編|旅人:井門宗之

2020-01-09

ゴル「田端エリアの情報なんですけど…」

 

ゴル「あの辺りは…」

 

ゴル「西日暮里って意外と…」

 

ゴルちゃんからロケ近辺に送られてきたグループメールである。
僕らは特にこの辺りについて何か言及したわけではないのだが、
しきりに持ち上げたり卑屈になったり、メールでの感情が乱高下している。
それもその筈、この辺りはゴルちゃんにとって『地元』。
地元をロケで回られるって、意外と嫌なものなのであります(笑)
だって「何もないじゃん!」とか思われたら嫌じゃん!?
全国各地を旅する百戦錬磨のスタッフが一体自分の地元にどんな感想を持つか…。
考えただけでも背筋に冷たいものが走る。
だからだろう、いつも会議で橋本君が地元『板橋』の旅を拒否るのは。

 

とにもかくにも西日暮里なのであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

晴れ渡る空のした駅前で待ち合わせたKIKI-TABI一行。
ロケの直前に井門Pから爆弾話を投下されたにも関わらず、
カラっとした笑顔でロケをスタートしてくれる皆の心にじ~んとする井門P。
しかしじ~んとしたのも束の間、
今回の作家であるミラクルさんの口からはとんでもない言葉がっ!!

 

ミラ「いやぁ、この辺は本当に何もなくてさ。
久しぶりにあれだよ、ロケハンしたんだから!

 

一行「えっ!?

 

そうなのであります。
かつてこの番組に軍師メルシーさんという作家がいた頃。
メルシーと言えばロケハン、ロケハンと言えばメルシーというくらい、
この番組にロケハン文化をもたらし、
ロケハンをしないミラクル吉武とよく比較されておりました。
その『ロケハンをしない方』の作家がロケハンをした、と。

 

ミラ「そしたらアレですよ、今日巡る西日暮里~駒込ってのは、
都内有数の聖地の宝庫!!」

 

井門「例えば?」

 

ミラ「ほらほら、ポンコツPの横に聳える名門校。
ここはかの開成中学、開成高校だからね。」

 

井門「なるほど、日本有数の進学校といえば頭脳明晰な学生の聖地っ!
はっ!!!

 

ミラ「へへへ…。」

 

こうしてまんまとミラクルの術中にハマった井門P。
わいわいと歩いていると間髪入れずにミラクルが『聖地』の呪文を唱え始める。

 

ミラ「この通りのすぐそこにある物の聖地があるんだよ。
もう今日はこの時間だと売り切れてるかなぁ…。
あっ!!あった!!まだ辛うじて残ってるじゃないか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、ここはサンドイッチの聖地『ポポー』さん。
愛情たっぷり手作りの味とボリュームで近隣のみならず、
遠方からもここのサンドイッチを味わおうと沢山のお客さんが訪れる聖地なのだ!

 

ミラ「このお店は早朝から営業していてね。
この時間(ロケ時は11時過ぎ)はほとんど売り切れているんだよ。」

 

井門「朝からやっているって事は、開成の子達もここのサンドイッチを…。」

 

ミラ「そうだよ、あの頭脳はこのサンドイッチで出来ていると言っても過言ではない。」

 

ポポーさんのサンドイッチはたっぷりの具がパンからはみ出んばかり!
気さくで優しい店員さんが売り切れていた、
『ポパイ』というサンドイッチを作ってくれました!
*ポパイはね、ポテトサラダとタマゴがたっぷり入ったサンドイッチなのだよ。
その他にフルーツサンドとカニサラダを買って先へと進む一行。
因みにこの先には『おにぎりの聖地』である『もがみ』さんも。

 

井門「なんだなんだ、こんなに炭水化物ばかりじゃ太っちゃうじゃないか(嬉)」

 

ミラ「喜んでんじゃねぇか!
でもね確かにそんな風に言うひともいるみたいだよ。」

 

井門「もがみさんはビルの建て替えで駅近くに移動したみたいだね。
それにしてもこのサンドイッチはどこで食べようかな…。」

 

ミラ「ほら、あそこに駐車場があるからあそこで食べようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

令和2年、最初の外ロケの食レポは寒風吹きすさぶ駐車場で、
おっさん4人がサンドイッチの回し喰いでした(笑)
しかし美味しかったなぁ・・近所にあったら通うはポポーさん。
フルーツサンド評論家のミラクルさんも太鼓判を押すはずだわ。
あっ、ミラクルさんは去年あたりから、
可愛い子ちゃんと都内のフルーツサンドを食べ歩いてるんですって。いやらしい!

 

そんないやらしいミラクルさんの先導で、続いてお邪魔したのは素敵なスナック街。
こちらに何やら怪しげな張り紙が…。

 

井門「なによこれ、土偶と埴輪のワークショップ…?」

 

ミラ「楽しそうでしょ?」

 

井門「いや、あの、僕もこの仕事始めて長いけどさ…。」

 

なんとも言えないはハウルの動く城みたいな建物の螺旋階段を昇りまして。
『谷中ジンジャー』と書かれた扉を開けると…そこは!!

 

 

 

 

 

 

 

 

怪しい!怪し過ぎる!!
所狭しと並ぶ土偶と埴輪、そして御朱印。
店内は完全にスナックの佇まいだが、
そこが埴輪と土偶のワークショップである事が「さも当然」という表情の御主人。
この方こそ埴輪と土偶を愛し、埴輪と土偶に愛された男、
完全無欠のナカノアヲバさんなのであります。
物腰がとても柔らかく、不思議なオーラを纏っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「あの…ナカノさん?」

 

ナカノ「はい?」

 

井門「これだけの埴輪や土偶に囲まれていると…あの、その、
夜中に話しかけられたり、不思議体験をした事はない…ですか?ないんですか?」

 

アヲバ「ないです(笑)」

 

井門「そうかぁ。そういう恐怖体験みたいなものはないのかぁ(残念)。」

 

ミラ「ちょっと残念がるんじゃないよ!失礼でしょ!」

 

アヲバ「ははは。」

 

どこまでも優しいアヲバさんのレクチャーを受けて、
井門Pが制作に取り掛かったのは埴輪である。
何を隠そう、子供の頃は『おーい!はに丸』にハマった井門P。
(何も隠さなくていい)
埴輪への愛は恐らくここにいるアヲバさんに次いで強いはずだ!
その埴輪への深い愛で丁寧に粘土をコネコネ~、コネコネ~していくお粘土おじさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「よいっしょ、最後に形を整えたら…はい完成!」

 

橋本「井門さん、何か作ってる間って全く喋らなくなるからなぁ。」

 

井門「それは違うよ、橋本くん!
喋る声ばかりを拾っていると、本当の声を拾えなくなる!
そこから滲み出る『声』も拾うのが本物の制作者じゃないのかい?」

 

永尾「いや、無理だわ!」

 

井門「うん、無理だね!」

 

そうこうしている内に出来上がったのがコチラ!

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだろう、あっと言う間に愛せるフォルムだ。
まるで井門Pの分身と言っても過言ではない。
こんなに埴輪が愛せるだなんて…。
是非、日本でも珍しい埴輪と土偶のワークショップ『谷中ジンジャー』さんへGO!

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そこからまた素敵なスナック街をぶらりしつつ、一路田端へ。
この田端という駅は昨年ある映画の舞台として『聖地』になった場所である。

 

ミラ「ほら!ここ!ここがまさにじゃない!?」

 

橋本「おぉ~!あの一応これが映画の場面の画像なんですけど…。」

 

永尾「はいはい、ここね。」

 

ミラ「ちょっとこの建物がどこになるんだろうなぁ。」

 

橋本「あっ、吉武さん、違う、もう少し坂を降りたところですよ!」

 

ミラ「本当だ!ここだね!」

 

井門「(ポケ~)」

 

ミラ「ほら、井門さ、ここだよ!ね?あの映画『天気の子』の舞台!」

 

井門「あっ、ああ、あれね、新海監督のアレね。大ヒットしたね。」

 

ミラ「あの…まさかとは思いますけど、観てない?」

 

井門「♪あい~にで~きる~こと~はま~だあ~るか~い♪」

 

橋本「これ、この人絶対に観てないわ(笑)」

 

永尾「でも観光でここに来ている人もいるんだねぇ。」

 

井門「本当だ、さすが大ヒット作品!」

 

ミラ「しらじらしいわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで『天気の子』の聖地を巡った後は、
時代をぐぐっと遡って明治時代から大正、昭和の時代へ。
田端の町には至る所に『文士の碑』が建てられているのですが、
そう、何を隠そうここは文士の聖地でもあるのです!

 

 

 

 

 

 

 

 

10年前にこの辺りをぶらりした時もお邪魔した『田端文士村記念館』。
久しぶりにお邪魔したのですが、企画展の芥川龍之介に関する展示が熱くて熱くて。
研究員の石川士朗さんの立て板に水な解説も本当に面白かったです。

 

石川「僕は生まれも育ちも田端なので、
ここで研究をして街の歴史を知っていくと本当に面白いんです。」

 

井門「僕が前に来た時は天気の子の聖地なんて言われてなかったですけど、
やっぱり訪れる方も増えましたか?」

 

石川「天気の子のお陰で訪れる方は増えたんですけど、
個人的にはあのモデルになったすぐ隣の階段である不動坂は、
芥川龍之介の通学路なので(笑)芥川ファンの聖地でもあるんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

なんせかんせ田端は1km圏内に名だたる文士が100人いたエリア。
勿論時代は違うけど、記念館に展示されている地図を見るだけでも驚かされます。

 

石川「元々は明治22年に東京藝大が出来て、明治29年に田端駅が出来ました。
上野までの交通の便の良さも手伝って、最初は芸術家が、
その後はまるで数珠つなぎの様に文士たちが集まり住んだのが田端という町なんです。」

 

記念館の入口近くには当時芥川龍之介が暮らした家の模型が展示されている。
その庭には龍之介が取材時に登った木も再現されていたり、
編集者や仲間と文芸談議を交わしたであろう書斎が緻密に再現されていたりする。
耳を澄ませば彼らの熱い議論が聴こえてきそうなくらいだ。

 

石川「龍之介は夏目漱石の最後の弟子の一人です。
漱石が仲間や編集者と面会をするのが木曜日だったので、
龍之介は日曜日を面会の日としていたようです。」

 

井門「なんか、格好良いですね。
“日曜日を面会の日とする”とかやってみたいなぁ。」

 

ミラ「はい。無理―。」

 

永尾「いやぁ、面白かったね。」

 

橋本「ここはずっと居られますね。」

 

ミラ「この町に実際に暮らしていた文士たちの足跡が分かるって良いなぁ。」

 

井門「文士村記念館の尽力で文士たちが暮らした場所のマップとか、
街の至る所に碑が出来ていたりするんだもんね。これはぶらりしてみたいなぁ。」

 

―― スマホ、鳴る ――

 

井門「あっ、ゴルちゃんからだ!
なになに…皆さんのロケ中の写真に笑顔が少ない。
きっと楽しくないんだ、だって!?」

 

ミラ「卑屈!!卑屈でゲスよ、ゴルちゃん!」

 

井門「さっき田端駅前の画像を送ったらこれだもん。
絶対にそんなことないんだけどな!よしっ!笑顔の自撮りを送ろうぜ!」

 

―― 写真、送信 ――

 

―― 既読、スルー ――

 

井門「スルーかよっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

田端文士村記念館のすぐ近くにあるのが東覚寺であります。
江戸で最も古い信仰をもつ『谷中七福神詣で』でお馴染み。
福禄寿様をお祀りするお寺としても有名で、
かくいう井門Pもかつてはよく田端から上野(弁財天)まで歩いたもんです。
その東覚寺にはもう一つ面白い像がございまして。

 

井門「それがこの赤札仁王像だね。」

 

ミラ「いやぁ、赤いお札が貼られまくっているね…。」

 

井門「そう、お寺で赤札を授かって、自分の悪い所や治したい所に貼るんだよ。
するってぇと、御利益で快癒に向かうって仁王様だ。」

 

という訳で我々も寺務所にお邪魔して赤札とお線香を。
しっかりと自分の治したい部分にペタペタ貼りつけ、しっかり御参り。

 

 

 

 

 

 

 

 

東覚寺を後にした我々はゴールの駒込駅に到着。

 

ミラ「ほらね、今回は聖地の宝庫だったでしょ?」

 

井門「確かに!ちょっと地味なエリアだけど(笑)
しっかり歴史や見所があるもんだね。さすがロケハンしただけはある!」

 

ミラ「いいですか?
次回の山手線ぶらりも、このメンバーですよ。」

 

永尾「えぇっ!こっから巣鴨とか大塚とか、本当に何もないよ!」

 

ミラ「何もないから『何かある』を探すのが一流の作家でゲス。」

 

橋本「そして何も喋らないところから『本物の声を拾う』のが真の制作者…。」

 

井門「ふふふ、みんなようやく“ぶらりの真髄”が分かってきたようだね。」

 

一行「って、うるせーわっ!」

 

何も知らずに誰かの宝物の隣をスルーするのは勿体ない。
東京には実はそんな「誰かにとってとんでもなく楽しい場所」がいっぱいなのです。
令和2年のぶらり旅。いよいよ新駅開業まで日がなくなりました(笑)
いったい次のぶらりではどんな出会いが待っているのか!?
不定期だけど、きっとここからは頻繁にやるであろう山手線ぶらり!
次回の旅もお楽しみに!!本当にここから先にドラマはあるのかー!?