変わりゆく街!東京・下北沢|旅人:井門宗之

2020-01-16

僕が東京に暮らして22年。その中でも新婚時代を過ごしたのが下北沢であります。
あの頃の下北沢は駅の階段を降りると南口(もしくは北口)が広がっていて、
広がってって言うくらい開けてはいなかったんだけど、
でも『階段を降りる』ってのが、とても大切な下北沢の舞台装置だったような気がするんです。
その下北沢も2013年(でしたっけね)に線路が地下化しまして。
『階段を降りて下北沢』ではなく、『エスカレーターを昇って下北沢』となりました。

 

それに伴い駅舎も色々と変化、街の様子も少しずつ変わっていきました。
きっとこの少しずつってのが下北沢の元々持っている時間の流れには合っていたのかなと。
でも少しずつだからこその大変さもあって、駅の出口がコロコロ変わったり(!?)
そんな駅、しかもターミナルとなる様な駅では日本で下北沢だけだと思います。
これは後ほどご登場くださる般゜若 の店長さんも仰ってましたけど、
お店の場所を電話で説明するのに難儀したと。

 

僕的にはかつて暮らした南口が無くなったのが寂しかったなぁ。
いえ、もちろん南口商店街の賑わいは健在なんですけど、
実際の出口が無くなってしまったのはなんとも寂しいもんで。
下北沢と言えば小田急線の改札を出て南口の階段を降りるってのが僕の青春だったのです。

 

河合「当日は下北沢駅東口で待ち合わせでお願いします!」

 

そうなのです。
かつての南口は無くなり、いまや下北沢の玄関口となったのが『東口』。
小田急線と京王井の頭線の駅舎も分離され、大きな広場が昨年新たに完成しました。
地下と高架で二つの路線がクロスする。そんな場所に誕生した東口。
駅前にはフリースペースも設けられて、
「何かを発信しよう!」とする若者が豊かなアイデアで活用していたり、
新しいビルが建てられていたり、とにかく変化が大きい場所なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のKIKI-TABIにはとんでもないスペシャルゲストが登場します。
それが…世田谷区長、保坂展人さん!

 

 

 

 

 

 

 

 

とんでもなくお忙しい合間を縫って、下北沢の街を案内して頂きました。
きっとそれだけ下北沢という街がこれからの世田谷区にとって重要な場所なのでしょう。
東口をスタートしてまずは新しくなった小田急線の下北沢駅へ。
ここにはシモキタエキウエという商業施設がオープンしたのです。

 

井門「昔の下北沢駅からすると本当に様変わりしましたね!
まるでショッピングモールの様に色々なお店が入ってる!」

 

保坂「飲食店から雑貨屋さん、様々ですね。
外から来る方は勿論、地元の方にも多く利用して頂いているんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

確かにシモキタエキウエのお店を見てみると、子供連れのお母さんの姿や、
お年寄りがコーヒーを飲む姿も見る事が出来ます。
地元住民にとって、一つの憩いの場所が出来たということなのかもしれませんね。
飲食店の中にはなかなかに個性的なお店(焼き鳥屋さん)もあって、
保坂区長曰く内装のデザインはあの隈研吾さんなのだとか!

 

 

 

 

 

 

 

 

どこを見ても目新しいシモキタエキウエ。
保坂区長は街の南西を見渡すテラスへと連れて行ってくれました。
ここから西は小田急線世田谷代田への線路があった場所。
保坂区長は新しい下北沢について、
『住民が暮らしやすい街づくり』への想いを語ってくださいました。
そこにあるのは昔からの下北沢のイメージを大切にしながらも、
安心・安全な街づくりという基本的な姿勢。

 

 

 

 

 

 

 

 

保坂区長はとても優しいまなざしで下北沢の未来を語るんです。
そしてその眼差しは商店街で働く方々にも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保坂「ここは昔からある老舗のお煎餅屋さんね。
とても美味しいんですよ。
あっ、このお店は私も知らなかったなぁ、どうも、こんにちは!」

 

店主「あっ、こんにちは!」

 

井門「世田谷区長の保坂さんですよ!」

 

店主「!!!」

 

下北沢一番街を歩きながら色んなお話しをしてくださる区長。

 

保坂「ここにはあの俳優の松尾貴史のお店があるんですよね。」

 

さすが、ちゃんと般゜若も押さえていらっしゃる。

 

保坂「確かあのお店は吟醸酒の飲み放題をやってるんじゃなかったかな…。
あぁ、ここにも新しいお店が出来てますね。
下北沢は飲食店の数も物凄くて、とても回りきれませんね(笑)」

 

一番街はかつての下北沢北口方面に広がる商店街。
ここには僕のいきつけのイタリアンやら居酒屋やらカレー屋やらが軒を連ねます。
勝手知ったる我が街を保坂区長と共に歩くと、そんなエリアもなんとも新鮮に感じられる(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

最後はかつての線路があった場所で。
ここもこの日はフリーマーケットっぽくなっていて、
沢山の若者が買い物を楽しんでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

その横にはフリースペースがあって、子供の笑い声も聞こえてくるのです。
確かに僕が暮らしていた頃の下北沢とは随分と変わっていて、
なんとも未来へ向かって一歩一歩進んでる事を実感させられました。
今回丁寧に街を案内頂き、保坂区長と関係者の方々には心より御礼申し上げます。
世田谷区民として(笑)これからも下北沢を応援させて頂きます!

 

 

 

 

 

 

 

 

さて保坂区長からもその名前が出たのが般゜若でございます。
僕はもうここのカレーが大好きで、大好きで。
子供が生まれてからはなかなかお邪魔出来てなかったお店なんですが、
下北沢に住んでいた頃はよくお邪魔しました。
昔は一番街から茶沢通りの方へ折れて少し先にありまして、駅からは少し遠かったんです。
ところが2017年に旧北口に近い方へと移転されまして。
より駅からはお邪魔しやすくなったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

店内に入るとその瞬間からスパイスの良い香りが漂います。
ゴルちゃんも河合さんもその香りにうっとり。

 

河合「以前ロケハンでお邪魔した時も本当に美味しいカレーを頂きました。」

 

ゴル「あれ?一人で来たんですか??」

 

河合「いえ、あの、元旦(もと旦那)と…。」

 

ゴル「出た!もとだん!」

 

河合「(苦笑)」

 

ゴル「もうさ、ヨリを戻しちゃえばいいんだよ!」

 

河合「いや、絶対にない!それはない!」

 

ゴル「なにかあるたんびに“もとだん”“もとだん”だもんな、
ヨリを戻しちゃうんじゃないの??」

 

井門「だまらっしゃい!」

 

河合「私の心の声を井門さんが(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

スパイスの香り漂う店内で、スパイスの効いた会話(?)を楽しむ一行。
そんな一行を笑顔で迎えてくださったのが店長の岡井けいさんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「下北沢と言えばカレーのお祭りもあったりして、
東京の中でもカレーの激戦区じゃないですか!?(大好きなカレー屋さんなので熱量多め)」

 

岡井「はい、そうですね。。」

 

井門「そんな中でずっと人気店であり続けるって凄い事だと思うんですよ!(熱量)」

 

岡井「あっ、有り難うございます(笑)」

 

井門「そもそも般゜若のカレーの特徴ってなんですか?」

 

岡井「はい、小麦粉を使用しないのでもたれずにサラッと食べられるカレーです。」

 

井門「中でも人気と言えば、アレですよね?黒いカツカレー!

 

岡井「マハーカツカレーですね!
人気があるので売り切れてしまうこともあるんです。」
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売り切れるカツカレー、しかも黒い。。。
いったいどんなカツカレーなのかというと、
カツの衣にイカスミを練り込んであるというものなのです。

 

岡井「このイカスミがカツにコクを生みだすんですよ。」

 

という訳でスパイスの香り漂う素敵な店内で、一番人気のカレーを頂きました!

 

 

 

 

 

 

 

 

岡井さんがお皿にカレーソースをかけてくれる。
その瞬間に華開くスパイスの香り…。
サラサラとしたルーの中に黒いカツが不思議な美しさを放っている。
味?
そんなもん旨いに決まってるじゃないか!!(逆ギレ)

 

 

 

 

 

 

 

 

岡井さんにお伺いするとオーナーの松尾さんもしょっちゅう店にいらっしゃるそうで。
物を食ってる時は話しかけちゃだめだぞ!なんて言いながら、
岡井さん、本当に美味しいカレーを有り難うございました!

 

 

 

 

 

 

 

 

変わりゆく街で最後にお伺いしたのは、南口の路地裏。
ここにあるのが梅干しサワー専門店
店名もまんまで、ど直球。

 

 

 

 

 

 

 

 

聴けば去年の4月にオープンした新規店なのだが、
それにしても初めて聞いたぞ「梅干しサワー専門店」。
オーナーの藤井拓郎さんにお話しを伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうせやるならとんがった事を。
もう一人のオーナーと藤井さんが選んだ街が下北沢でした。

 

藤井「梅干しサワーってみんな惰性で飲んでるけど、
最初のひと口目で納得してるんですか!?
ひと口飲んで、おっ、梅干しサワーやなってならないじゃないですか。
梅干し潰して、2杯目、3杯目、4杯目…そして5杯目くらいになってやっと、
自分が求めていた梅干しサワーになるじゃないですか!?」

 

井門「は…はぁ…。」

 

藤井「それじゃダメだと思うんですよ。
ひと口目から旨くないとダメでしょ?
最初のひと口から求めていた梅干しサワーになってないと本当はダメじゃないですか!?」

 

井門「は…はい…。」

 

藤井「だからここで出している梅干しサワーは最初から旨いです。
いきなり求めていた梅干しサワーになっているんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「梅干しも焼酎も自分で組み合わせられるんですね?」

 

藤井「はい。常にあるのは4種類で、そこに焼酎も3種類あります。」

 

井門「因みにオススメってなんですか?」

 

藤井「こんなこと言ったら2度と来るかってなるかもしれませんけど、
ボードにこれだけ丁寧に書かれているわけじゃないですか?」

 

井門「そう…ですね…。」

 

藤井「だからこそ“選ぶ楽しさ”を味わって頂きたいんですよ!
だからオススメなんですか?って聴かれると、
こんだけあるんだから自分で選ぶ楽しさを選んでくださいよ、と。」

 

井門「なるほどねぇ。
じゃあそうだなぁ…あの出汁の味が強いって書かれている千紅梅にします。」

 

藤井「井門さん、あんなこと言ってなんですけど、
一番オススメです!

 

井門「ふざけんな!

 

藤井「あと、こんなこと言うのもなんなんですけど、
千紅梅には芋焼酎を合わせてください!

 

井門「ばかやろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして頂いた梅干しサワーのお味ですが…。
これがめちゃくちゃ旨い!!
梅の果肉を入れて潰してから、漬け汁を7割位入れて…と意外と色々言われるんだけど(笑)
でも藤井さんとの会話がなんとも楽しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

藤井「僕、カウンターでこうやってお客さんと喋るのが大好きなんですよ。
だから何も気負わずにお店に来て欲しいです。
梅干しサワー専門店を目指してくるんじゃなくて、
たまたま通りかかったら面白そうなお店があったから入った…みたいな。
そんな気楽な気持ちでお店に来て頂けると嬉しいです。」

 

井門「年齢層も幅広いですか?」

 

藤井「20代のお客さんから年配の方まで幅広いです。
色んな組み合わせがあるので、1回で終わらせるんじゃなく、
次に来たらアレを試してみたい、その中からお気に入りを見つけたからこれ1本でいく、
そんな使い方をして貰えたら嬉しいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

『変わりゆく街!東京・下北沢』というシンプルなタイトルで改めて巡った下北沢。
僕が暮らしていた13年前とはその表情は少し変わっていたけれど、
でも街を歩く若者を見ていると「下北沢の個性」みたいなものは失われていないなぁって。
音楽が好きで、ファッションが好きで、演劇が好きで。
でもその好きに干渉してこない街が下北沢。
どんな形であれ「好きは自由」を認めてくれるのがきっと下北沢なんです。
だからこそ、この街を歩く若者はどこか芯が通っている。
そして芯が通った若者が集まるからこそ、この街が強い個性を放つのだとも思うのです。

 

変わりゆく街、下北沢。
変わらないものの中に、少しだけ変化があったとすれば、それはやはり街の様子。
かつての良い意味でのアンダーグラウンドな雰囲気は薄れ、
いまは開かれた雰囲気が街全体から漂っている。
保坂区長とのインタビュー中も子供達の声が聴こえてきたし(笑)

 

きっとこれから下北沢はもっともっと面白くなるに違いない。
それは昔からの住民にも優しく、
新しく下北沢を訪れる人にも優しい、とても良い面白さなのだと思う。
まるで蛹が蝶になる途中の様に、
変化の途中はまさに今しか味わう事が出来ません。
変わりゆく街がどう変わっていくのか、皆さんご自身の目で見てみませんか?
世界が注目する下北沢が、いったいどんな街へと変化するのか?
僕自身もそんな下北沢の風景の一つとなって、その変化を楽しんでみたいと思います。