またひとつにつながります!三陸鉄道リアス線!|旅人:井門宗之

2020-03-04

三陸鉄道のシンボルカラーは3色。
「三陸の海」の青。
「鉄道に対する情熱」の赤。
「誠実」を表すアイボリー。
海への誇り、鉄道への情熱、誠実さへの決意表明。

 

その三陸鉄道が運行を再開するというニュースを聞き、お邪魔したのは1年前でした。
あの時の三鉄の皆さんの嬉しそうな顔、そして沿線の皆さんの期待感…。
様々な方のお話しを聞いて、僕も胸がいっぱいになった事を覚えています。
しかし復旧して間もなく、今度は台風による被害の為、ふたたび三陸鉄道は運休。
その区間はおよそ7割、線路や駅舎など93か所が被災しました。

 

井門「ちょうど宮古のここでエンディングだったんだよね。」

 

橋本「井門さん、あの時と同じアングルでオープニング撮りましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

その三陸鉄道が再び立ち上がります。
今年の3月20日全線運行再開が決定したのです!
これは僕らもまたお邪魔せねば!という事で、
やって来たのが前回のエンディングの場所だった宮古駅。
まずは三陸鉄道の運行本部長で取締役の金野淳一さんにお話しを伺いました。

 

金野「まさに今日ですよ、3月20日に全線運行再開のプレスリリースを出したのが。」

 

井門「取材日は2月14日ですが、まさに今日正式発表だったんですね!」

 

金野「はい、お陰様で運行再開の発表が出来ました。」

 

三陸鉄道と言えば震災後にいち早く運行を再開した鉄道。
沿線に暮らす方々にとって、まさに復興のシンボルの様な鉄道なのです。
そしてそのシンボルは昨年の台風で運休になっても決して諦める事なく、
三鉄マン達の奮闘と、沿線の方々、全国のファンの想いを受けて見事に復活を果たすのです。

 

金野「我々は震災からも復活を果たしていますからね。
あれを乗り越えたんだからって、今回だって何とかなるって想いでした。」

 

井門「しかも運行再開の後には大きなイベントも控えてますからね。」

 

金野「はい、五輪の聖火を三鉄で運ぶんです。
まさかそんな日が来るなんて思いもしませんでした。」

 

井門「でも沿線の方々にとって、今の三鉄の姿は励みになってるんじゃないですか?」

 

金野「はい、見ての通り田舎の電車なもので、乗降客も少ないんです。
でもだからこそ、人の生活を繋いでいく。
ワクワクしているその想いを乗せて走るんですよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

金野さんの語りはとても優しく。
その優しさには三鉄マンの矜持が滲み出ているのです。
そうそう、三陸鉄道はイベントを沢山行っていて。

 

金野「日本で一番長い163kmですからね。
一気に走ると通常で4時間半くらいなんですが、
9時間くらいかけて走る夜行列車を考えています。」

 

井門「夜行列車ですか!?」

 

金野「はい、夜に出発してどこかで朝日を眺めて…という様な。
夜なんかは三陸の海の漁火なんかも綺麗に見えますよ。」

 

他にも『食』にフォーカスしたイベント列車の運行もある三陸鉄道。
いよいよ、運行再開に向けて着々と準備が進められているようです!

 

 

 

 

 

 

 

 

吉武「おっ、駅前には美味しそうなポスターが貼られてるなぁ。」

 

永尾「あるね“瓶ドン”、これが今の宮古の名物なんだよ。」

 

井門「瓶ドン??」

 

 

 

 

 

 

 

 

という訳でお邪魔したのが宮古駅前に店を構える魚彩亭すみよしさん。

 

店長の宇都宮純一さんにお話しを伺いました。

 

井門「瓶ドンって…なんですか?(笑)」

 

宇都宮「牛乳瓶型の容器の中に宮古の海の幸を詰め込んだ宮古名物です。
宮古では昔から時期になると牛乳瓶に入ったウニが出回るので、
そこからヒントを得た形ですね。」

 

宮古名物として今では飲食店が10店舗参加する“瓶ドン”。
ピンドンの様でもあり、壁ドンの様でもある(ないない)。
しかしすみよしさんの瓶ドンを写真で見ると、物凄く贅沢な事だけは分かる。

 

宇都宮「店としては採算的に厳しいですね(笑)」

 

井門「という事はお客さんは嬉しいんですね!(笑)」

 

各店舗様々な瓶ドンを提供しているのだが、
すみよしさんのこだわりは『宮古以外の物は使わない』というところ。
そして中身も通年で食べられる物にこだわったそうな。

 

宇都宮「うちの瓶ドンには焼きウニ、イクラ、メカブ、タラ、ホタテ、タコが入ってます。」

 

井門「その他にも汁物にサイドメニューが付いて、お幾らですか?」

 

宇都宮「1500円です!

 

井門「お安いっ!

 

という訳で、お待たせ致しました。
瓶ドンの旗振り役、すみよしさんの海の宝石箱がこちらや~!

 

 

 

 

 

 

 

 

瓶の入口から溢れんばかりのイクラ!
そして海の幸が美しくグラデーションした美味しそうなビジュアル。
隣に控えし丼御飯の上に、長めの匙を使ってそろりそろりと載せていきます。
こうして出来上がった丼が…これだ~!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、美味しい。
美味しいに決まってる。
この旅日記を書きながら自分の写真フォルダに入っている瓶ドンの画像を見てるんだけど、
もう宮古に行きたい。瓶ドンのハシゴしたい。
お魚の旨味もそうなのだけど、名産のメカブの旨さがまた…。

 

宇都宮「色々と試行錯誤してここに辿りついたんですけど、
メカブとか地元の人にとってみれば日常の食材で。
特別な物ではないので、盲点だったんですよ。でも入れてみたら美味しいでしょ?」

 

井門「美味しいです!そしてイクラがもうこぼれそうじゃないですか!」

 

宇都宮「最初は瓶の蓋も作っていたんですけど、
途中から“だったらもう溢れさせてしまえ”と思いまして(笑)」

 

井門「瓶の中身も注文を受けてから詰めるんですもんね?」

 

宇都宮「そうです。一つ一つ注文を受けてから詰めているんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもの様に、僕が試食している時から物欲しそうにしているKIKI-TABIスタッフ(笑)
収録後すぐにスタッフ全員で頂きました。
全国各地で色んな物を食べて来たスタッフが感動していたもの。
はぁ…また食べに来たいなぁ。

 

井門「宇都宮さん、お店にはまだ美味しい物が沢山あるんですよね?」

 

宇都宮「はい、夏になると三陸のウニを使ったウニ丼が名物になります!」

 

絶対食べにきまーす!!
最高の瓶ドン、御馳走様でした!

 

僕らが東北を取材に行く時は道中ずっとレンタカーなんだけど、
その車中は本当にしょうもない話ばっかりしている。
(永尾さんとの旅の時は3割位は競馬の話だけど…)
でもいつだって笑いが絶えなくて、きっとそれは綺麗なものは綺麗だと、
嫌な物は嫌だと、美味しい物は美味しいと、そんな価値観が近しいからで。
僕らは今回宮古から車で山田町に入ったんだけど、
少し小高い場所から見下ろした山田湾を見た僕らは、
全員で「綺麗だね~!また来たよ~!」なんてワイワイしていたのです。
おっさん4人が等しくこういうテンションなのも、
このメンバーでの旅が楽しい要因なんだろうなぁ。
そしてこの日は山田町の「湯らっくす」にて一泊。
その晩は三陸の海の幸にお酒に目一杯楽しんだとさ。

 

翌日。
陸中山田駅前でレポートをした後、いよいよ山田の牡蠣を食べに!
とは言え生の牡蠣ではなく「燻製の牡蠣」。
その名も山田の牡蠣くんであります!

 

佐々木「本当は今日はお休みなんだけど、昨日思いのほか牡蠣が入って。
だから今日は急遽作業場を開けて作業しているんですよ。」

 

笑顔で僕らを工場に迎えてくださったのが代表の佐々木俊之さんです。

 

井門「山田の牡蠣くんってのは牡蠣君なんですか?
それとも牡蠣の燻製で牡蠣くん??」

 

佐々木「どっちの意味もあります(笑)」

 

井門「山田と言えば牡蠣ですもんね。
因みに燻製には何を使っていらっしゃるんですか?」

 

佐々木「せっかくですからちょっと見に来ますか?」

 

そう言いながら佐々木さんに案内されたのは作業場。
中に入るとふわっと燻製の香りが…。
それもそのはず、燻製器が2台、稼働中でした。
扉を開けるともわ~っと煙が飛び出して、中には牡蠣を並べた網が何層も。

 

佐々木「下からスモークするんですけど、
時間になったら網を入れ替えないと均一に火が通らないんですよ。
すみませんね、インタビュー中に何度も…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして手作業によって出来上がるのが『山田の牡蠣くん』です。
もちろん震災後、佐々木さんの歩みも平坦ではありませんでした。
ご自宅も作業場も養殖場も被災され、
山田から一時離れることも余儀なくされ、
それでも様々な人の力を借りて再びここで『山田の牡蠣くん』を作っていらっしゃるのです。

 

佐々木「僕は“三陸鉄道勝手に応援隊”ってのをやっていてね(笑)
去年の再開も嬉しかったんだけど、台風でまたダメになったでしょ?
それでも三陸鉄道の人達が頑張っているから
その姿を見て、俺達も頑張ろうって思えるの。

 

三鉄マンの奮闘に奮起する三陸の海の男。
う~ん、なんとも素敵な関係性だと思いませんか。
そうして出来上がる絶品の「牡蠣くん」。
えぇ、えぇ、もちろん佐々木さんの御厚意で頂きましたとも!

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「おっきい!!そして旨っ!!!

 

永尾「あぁ~、これは旨いね…。

 

吉武「あっ、うまー!!

 

橋本「これは…!

 

山田湾まで届かんばかりのおっさん達の喜びの声(笑)
それを見ている佐々木さんもなんだか楽しそうだ。
そうそう別れ際に作業場の入口に干してあったイタヤ貝の貝柱を貰ったんだけど、
これがまた美味しくて…。

 

永尾「昨日の夜に飲んだ店でも蒸したイタヤ貝が出て来たんですけど、
この貝柱も商品にしちゃえばいいのに。」

 

佐々木「これね、ここに吊るしておくでしょ?
するとお客さんが入ってくる時に勝手に食べてっちゃうの(笑)
だから知らないうちにどんどん減っちゃうんだよ。」

 

全員「(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「佐々木さん、良い人ですね…。」

 

吉武「本当だね。だからみんな貝柱食べちゃうんだろうね(笑)」

 

全員「(笑)」

 

優しい人と出会うと優しくなる。
美味しいものを食べると、心が豊かになる。
僕らはこうしてほかほかの心のまま、車を走らせたのでした。向かった先は大槌駅。

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「ここが三陸屋台村おおつち○○横丁かぁ。
生放送で偶然電話繋ぎをしたんですよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 


僕らはこの横丁の運営を担っているばぁばキッチン代表
小向祥子さんにお話しを伺いました。

 

井門「すみません、お忙しいところ。(本当にお忙しそうだったのだ)」

 

小向「いえいえ。そうそう、前にラジオに出た時に、知り合いから結構言われたんですよ!
ラジオに出てたでしょー!って(笑)」

 

ばぁばキッチンは横丁の入口に店を構えるピザのお店。
取材にお伺いした時も店内はほぼ満席、
僕らがお話しを伺っている時もお一人テイクアウトのピザを待っていらっしゃいました。

 

小向「始める前はピザのお店が受け入れられるか分からなかったんですけど、
始めてみると毎週テイクアウトのピザを買っていくお客さんとか、
お陰様で多くの方に来て頂いています。」

 

井門「小向さんは元々飲食店をやられていたんですか?」

 

小向「えぇっと、いいえ!(笑)」

 

井門「えっ!!じゃあ修行なんかも?
ピザ作りなんかもイチから学ばれたんですか?」

 

小向「そうですね、手探りで始めました。」

 

昨年12月にOPENした「おおつち○○横丁」。
大槌駅前に賑わいの拠点となる施設を…という想いで作られました。

 

井門「この横丁があるからなんですかね、
駅前の駐車場に車が沢山停まっていたんです。」

 

小向「そうですね、この時間ならお昼ご飯を食べに来る方が多いですからね。」

 

小向さんとそんなやり取りをしていると、
店にいらしたお客さんがこんな話をしてくれたのです。

 

お客「前はね駅でよそから来た方に“お店どこかにないの?”って聴かれても、
“ごめんなさい…”だったんです。
だからここにあるお店は“待ちに待ったお店”なんですよ!」

 

ばぁばキッチンのカウンターには『定食メニュー』もあって。
聴けばこれは横丁内の他のお店のメニューだそうで、
電話一本で運んできてくれるんだとか。
夏は横丁に床几を出して、外で様々なお店の味を楽しむことも出来るそうで。
それはきっと楽しくて、平和で。
間違いなくここは『賑わいの拠点』になっていくんだろうなぁ。
実は取材の後にランチも兼ねて食事をさせて頂いたんです。
ピザは勿論、ナポリタンにカレーライス。
この日のサービスランチはカレーライスだったんですけど、
たっぷりのカレーにサラダまで付いて500円ですよ!
オーブンで焼き上げるピザの味も本格的で、僕らはここでも幸せな時間を頂いたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

宮古から始まった今回の僕らの旅も、
前回のスタート地点でもある釜石駅でエンディングとなりました。

 

間もなく震災から9年。

 

昨年の運行再開と再度の運休を経て、再び三陸鉄道リアス線が一つに繋がります。
本来であれば、皆さん是非東北へ!!
三陸鉄道に乗って三陸沿岸の旅を!と大きな声で言えるのですが、
今年は新型コロナウイルスの影響もあり旅行の計画も立てづらく。
旅番組を制作している身として、なんとも複雑な気持ちでいます。
しかし、そうは言っても東北はこれから良い季節。
すみよしの御主人も仰ってましたが、夏にはウニも待っています。

 

「この先にはこんな楽しい事が待っている!」

 

それを知っているだけでも、随分と違う気がするんです。
僕はいつか三鉄のイベント列車に乗ってみたいなぁ。
それとまた山田町の「いっぷく」で三陸の旨い物が食べたい。
あのスナックにもまた行かなきゃいけないし(笑)
すみよしさんで瓶ドンの他のメニューも頂きたい。
そうそう、夏になったらおおつち○○横丁で夜風に当たりながら酔っ払ってみたいなぁ。

 

旅行の計画を立てる前に、東北でやってみたい事を想像してみる。
きっとその願いって形になると思うんです。
だったらいくらでもやりたい事を、今は想像してみませんか?
今回の僕らの旅が、その想像のお手伝いになっていれば嬉しいです。
また必ず、行くぜ!三陸!!