風評被害を吹き飛ばそう!弘前満喫オシャレ旅!|旅人:工藤彰乃

2011-04-29



私にとっては、まいど! 青森県。今回は、弘前市を中心に旅をしました。
といっても、訪れたのは震災前のお話で3月の5日と6日。
まさか、1週間後にあんな大変なことになるなんて知るよしもなく…。

 

そんな呑気な私は何故か緊張ぎみで旅することに。それは…、
「今回の旅は、ちゃんとした格好をしてきてね。お洒落してきて! ワンランク上の旅だから!」
と言われていたからです。
という訳で、私なりにドレスアップして出かけたのですが…。

 

 

 

 

 





 

 

 

なのに、どうしてこんなに寒いの??
なぜ、雪の積もっているところでこんな格好なの??? おかしいでしょう!
とにかく寒い!!!!! と嘆いている私は弘前城へ。
周りは雪景色。石垣の上に建つ天守閣がさらに情緒を増しています。
お堀の池には氷もはっていて積もった雪の上に鳥の足跡が残っていました。とてもいい景色です。
この格好じゃなければ、もっとゆっくりと味わえたことでしょう。

 

その弘前城は今年で400年ということで、「弘前城築城400年祭」が計画されているというので、
推進室の大和田淳さんにお話を伺いました。

 

 

 

 

 




大和田さんにお話を伺った「弘前市立観光館」には
弘前城を作った津軽為信公の銅像と
弘前ねぷたの山車が飾ってある




大和田さん、400年祭頑張って下さいネ!











弘前のシンボルでもある弘前城の歴史や、焼失した後に再建を試みたことなどを聞いていると、
400年という重みを改めて感じます。お堀の周りの桜は有名で、春が楽しみだとも教えてくれました。毎年見ているけれど、毎年感動するという大和田さん。 


その弘前城の「さくらまつり」が震災でどうなるのか心配していましたが、
復興のためにも行うことが決まり、また被災者の方々も招くと聞いて嬉しくなりました。
弘前城の桜をみれば、被災者の方はもちろん、支える方たちも「これからも頑張ろう!!」と思えそう。日本人の心を癒して励ましてくれる桜を心から楽しんでください。
今年のさくらまつりは、いつもとは違うお祭りになりそうですね。

 

そして、弘前城を後にして向かったのが「カトリック弘前教会」。
真っ白な壁にモスグリーンの屋根が印象的な教会です。お洒落でとてもキレイな教会。



 

 

 


















 

 







せっかくなので、中に入らせていただきました。
まず、目に飛び込んで来たのが正面にある祭壇でした。とても高い祭壇で、細かい彫刻がしてあります。ひと目で引き付けられました。左右の壁にはステンドグラスがあり、こちらもとても綺麗です。

 

 

 

 

 

 




ガブリーさん、ありがとうございました!





 







お話を伺った神父のジャン・ガブリーさんは、優しい暖かい雰囲気の方で、
わかりやすく説明してくださいました。
祭壇はロマネスク様式で、アムステルダムの教会から譲り受けたものであること、
1866年に作られたという歴史のあるものであること。
左右のステンドグラスに描かれている意味など…。

 

 

 

 

 

 

 

 









教会オリジナルのステンドグラス









よ~く見てみると、津軽三味線やリンゴ、岩木山も描かれている!

 







ステンドグラスは、祭壇の左横に1枚。その手前、入り口から左右に3枚ずつありました。
よく見ると、入り口に近いものはブルーが基調になっているのですが、
祭壇に近づくにしたがって、少しずつオレンジなどの明るい色が入ってきて、
祭壇の横のステンドグラスはオレンジが基調になっています。 


これは、イエスキリストに近づくと心が温かくなるという教えに基づいていて、
“キリストである祭壇に近い=オレンジ”が使われているのだそうです。
ステンドグラスは綺麗! と見るだけで、そんな意味があるなんて知りませんでした。 


それぞれの絵にも、イエスキリストの教えにそった意味がありますが、
左手にある1枚はこの「カトリック弘前教会」のために作られたもので、
弘前の街を表現している世界に一枚だけのステンドグラスなのだそうです。
一般の方も見学出来るそうなので、弘前を訪れたときにはぜひ見てくださいね。

 

続いて訪れたのは、「旧弘前市立図書館」です。
こちらも、素敵な洋館で左右が八角形の塔のようになっている赤い屋根が印象的な建物でした。

 

 

 

 

 





















こちらにお勤めの三浦史子さんにお話を伺ったところ、
ルネッサンス様式で建てられていて、一時は民間の方が所有されていたので、
アパートとして使われれたり、喫茶店になっていたこともあるそうです。

 

 

 

 

 





ここは本の貸し出しをしていた図書室




階段もレトロでオシャレ





 







また窓が多いのは、本を読むための明かりを取り入れるために、このような設計にしたのではないか、ということでした。 


図書館の中へ入り、そのたくさんの窓から外を見ると、ところどころですが外の景色が歪んで見えます。これは当時のガラスがそのまま使われているので、
修復をした今のガラスとは違い歪んで見えるとのこと。
ガラス一枚からも昔を感じることができるので、訪れた時にはぜひそんなところも見てください。

 

 

 

 

 



















三浦さん、ありがとうございました!






 

 






「婦人閲覧室」にあった机とイスも興味深いものでした。
図書館として使われていたときのものではないということですが、
昭和の始め頃に実際に学校で使用されていたというもので、
机の上が開くようになっていたり、机とイスがつながっていたりして現在のものとは違います。 


体の大きな人は座れたのかな…と心配になるくらい机とイスの間は狭いと感じました。 


また、机の右上のところに丸いくぼみがあって、ドリンクホルダー?? と思ったのですが、
そんなはずもなく、インクを置くところだと聞いてなるほど! と思いました。
建物だけでなく、いろいろなところで時代を感じることが出来ました。

 

洋館を見学した後は、フレンチレストランへ。
しかも、弘前では有名なレストランの「シェ・タテヤマ」さんです。

 

 

 

 

 









 

 

 

 

 


店内は白い壁の、落ち着いていて暖かい雰囲気のするお店。
バーカウンターもあり、とてもお洒落です。そして、個室へ…。
YAJIKITA“らしくない”リッチな気分です。 


フレンチというと敷居が高い気がしますが、シェ・タテヤマさんは敷居が高すぎない安心感があります。家が近ければ何度も通っているだろうと感じる居心地のよいお店でした。 


その後お話を聞いて知ったのですが、
家族で気軽にフレンチを楽しめるようにというのが、お店のコンセプトでもあるそうです。

 

 

 

 

 



















清藤さんは、とってもジェントルマン!






 

 

 

 

 

 

弘前にはフレンチレストランが多いと聞いたので、支配人の清藤千秋さんに伺ってみると、
ホテルのシェフたちが、
フランス料理を広めようとフランス料理研究会を作って活動をしていたというのです。 


その後、気軽にフランス料理を楽しんでもらおうと、
何人ものシェフが独立して自分のお店を開いたので、
系列店や大型店舗ではないフランス料理のお店が街に増えたということでした。

 

無理を言って「青森を感じることが出来るお料理を…」をお願いしたところ、
豪華なフルコースを作ってくださいました。

 

オードブルは、オリーブオイルの香りがホタテなどの素材の味を引き立てる見た目も綺麗な一品でした。
スープは、人参のポタージュで優しいオレンジ色のスープ。
人参の臭みがなく、お砂糖などもほとんど使っていないというのに、とても甘くて美味しかったです。聞いてみると、私が以前取材をさせていただいた「深浦産の雪掘りにんじん」を使っているとのこと。確かに、あの人参は忘れられないほど美味しかったです。 


スープも、その素材を生かして作られているのですね。
メインは、フィレ肉のステーキ。とても柔らかく、お肉の旨みが感じられる一品でした。

 

 

 

 

 

 


私が頂いた「テロワールのコース」







オードブルは「スモークした陸奥湾産ホタテの
タルタル」と 「八戸産前沖サバのスモーク」








スープは「深浦産雪掘りにんじんのポタージュ」








お魚のメインは
「下北産クロソイのポアレ トマトの
ピューレとふきのとう味噌添え」








お肉のメインは「青森県産牛フィレステーキ」





 








コースメニューではないのですが、お店で人気の「カスレ」も出していただきました。
フランスの田舎料理で、キャセロールという器の中に、
白インゲン・自家製ソーセージ・豚肉・鴨肉などをブイヨンで煮込んだものが入っていて、
見た目以上にボリュームがあります。
手間がかかるので出しているお店は少ないそうです。
人気があるのがわかる、また食べたいお料理でした。

 

 







お店の名物料理「カスレ」


















デザートは「アップルパイと わさおのふるさと鰺ヶ沢のジャージー牛乳のバニラアイスクリーム」











デザートはアップルパイ。
シナモンを使用していないというアップルパイは、リンゴの香りと甘みが感じられる優しい味でした。とても気にいって、隣接しているお店で帰りに買ってもうひとついただきました。
アップルパイといえば、弘前には「アップルパイガイド」もあって、45店舗ものお店が載っています。
このアップルパイめぐりだけでもYAJIKITAの旅が出来そうです(笑)。

 

 

 

 

 

 


お肉を前に満面の笑顔!

 

 

 





ナイフとフォークを持って早く食べさせてよ~っ!
…オシャレが台無し!








お隣のデザートショップで手に入る絶品の「アップルパイ」!





 

 

 




素敵なフルコースをいただき大満足でしたが、個人的には、
“慣れていない”+“見られている緊張”とで、ナイフとフォークがうまく使えず、
さらに大口を開けて食べてしまったのは反省です。
清藤さん、失礼いたしました。そして、ご馳走さまでした。

 

 

 

 

 

 





収録が終わった直後の姿! みんなガッツキ過ぎ!

 

 

 

 

 

さて、続いては大人の雰囲気漂うBar「侍庵」さんに伺いました。
とても落ち着いた感じのお店で、カウンターの奥には蒔ストーブがあります。
棚にはたくさんの種類のお酒が並んでいて、
そこに立つマスターの渡邊直人さんも背筋がスッと伸びた素敵な方です。

 

 

 

 

 

 









 

 

 

 

弘前はカクテル文化があるというので伺ってみると、
「弘前市に興味を持ち観光にきてもらいたい」という思いから生まれた、
「弘前カクテルコンペティション」というコンテストがあるそうです。 


2008年から開催されている大会で、毎年テーマを決め、
そのイメージに合ったのオリジナルカクテルを全国から募集しているのだそうです。
プロ部門とアマチュア部門があり、去年行われた大会のテーマは「夜空を焦がす弘前ねぶた」でした。

 

 

 

 

 

 


とってもかっこいい渡邊さん





 

 

 

この大会で選ばれたカクテルは、弘前市内の多くのBarで飲むことができるということで、
私は、受賞作品の中から、アマチュアのグランプリ作品である『唐美人』を作っていただきました。
梅酒を多く使われているという『唐美人』は、ねぶたの山車に多く使われている色=オレンジで、
ちょっと酸味のきいたフルーティなカクテルでした。

 

 

 

 

 

 


去年のアマチュア部門グランプリのカクテル「唐美人」










 

 

 

 

そして、もう一杯は私に似合うカクテルという注文をしてみました。
高校生の頃、私はお洒落なBarでカクテルを格好良く飲む。というのに憧れていて、
一度お願いしてみたかったので実現して本当に嬉しかったです。 


夢と現実は違うので格好よくとはいきませんでしたが、そこは流してください。
作っていただいたのは、誕生日(5月19日)にちなんだカクテル。 


「ボクシング記念日」でもあるので、
パンチのきいたとても強いカクテルも考えていてくださったそうです。
私のイメージはこっちのほうだと作家の久保氏とカメラの仲野氏には言われましたが…、 


私があまりお酒が強くないのを知ると「レジオンドヌール」という、
ナポレオン1世によって制定されたフランスの勲章をイメージしたカクテルを作ってくださいました。勲章ということで、グラス柄の部分には赤いリボンが結んである、
薄いブルーの見た目も素敵なミントのきいたスッキリとしたカクテルでした。
渡邊さん、私の願いを叶えてくださって、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 


とってもキレイなグリーンの
「レジオンドヌール」










渡邊さん、ありがとうございました!





 

 

 

 

今回の旅は、YAJIKITAらしくないリッチなものとなりました。こんなYAJIKITAもあるんですねぇ。とても贅沢な気分を味わい大満足です。
いつでも大歓迎ですので井門さん! スタッフの皆さん! 似合わないと言わず、
またよろしくお願いします(愛想笑)。

 

皆さんも、日ごろ頑張っている自分へご褒美としてワンランク上の旅をお薦めします。
4月29日には東北新幹線も復旧を終え全線で運転を再開しました。
「はやぶさ」のグランクラスも乗ってみたいですよねぇ。
私もたくさんの楽しみがある青森へまた行きたいです! 


震災で被害にあった地域の皆様に今までの生活が戻って、
一人でも多くの方が素敵な旅ができますように…。
また、東北にたくさんの人たちが訪れますようにお祈りしています。
では、またお会いしましょう!

 

 

 

 

 





 

 

 

 

 

 

≪オフショット・1≫

今回の“チームYAJIKITA”!
FM青森弘前支社の齋藤さん、佐々木ディレクター、カメラマンの慶吾さん、
そして私 工藤と、この写真の撮影者 作家の久保さんでした!

 

 

 

 

 

 








 

 

 

 

 

 

≪オフショット・2≫

「シェ・タテヤマ」のデザートショップで見付けた衝撃のプリン!
その名も…「レオナルド・デカプリン」!

 

 

 

 

 

 








 

 

 

 


 

 

 


【編集後記】

 

3月11日 午後2時46分。
YAJIKITAの定例会議中だった。
会議を中断し、井門はJFNアナウンサーとしてスタジオに走り、マイクに向かった。

 

あの日から50日が経った。

 

今回の旅は、東北新幹線に新しい新幹線「E5系はやぶさ」がデビューするということで、
そのデビュー日に合わせて、3月5日と6日に青森県を訪れて取材したものだ。
「はやぶさ」には“グランクラス”という日本の鉄道の中では最高峰の車輛が付いている。
グリーン車よりもさらに上、飛行機のファーストクラスにあたる車輛である。 


そこで我々も、ちょっとリッチに、
「東北新幹線はやぶさに乗って、ファーストクラスの旅をしてみよう!」というテーマで、
青森県の弘前に向かった。
放送は、春休みに合わせて3月下旬の予定を組んだ。

 

東北新幹線が不通になったこと、旅行どころではないことなどを考えれば当然だが、
放送は未定となった。
放送するのはやめようか、それともずっと先に延ばそうかと、我々もずいぶん悩んだ。
そもそも「旅番組」なんて放送していていいのかとまで思った。

 

でも、あえてこの時期だからこそ、放送しようということになった。
東北新幹線が予想を遥かに上回る速さで復旧し、全線再開の時期を迎えたのもある。
東北の青森に行って、少しでも近い場所から、
頑張っている皆さんにエールを贈ろうという意味もある。
東北地方に行って経済効果としてお金を落としてあげたいという狙いもある。
でもそれよりも、もっと大きな理由は、
「旅の魅力や楽しさを忘れないでいて欲しい」という想い。

 

全国の観光地が悲鳴を上げているのは、自粛などによる風評被害と言われているけど、
自粛というよりも、私達自身が旅をする気分になれないのが大きいんだと思う。
「旅をして楽しむ」というただそれだけのことが、
こんなにも大きなハードルだったなんて、みんな思わなかったよね。
それだけ、みんな優しいんだと思う。
だから、無理して旅に行けとは言わない。
でも、せっかくのゴールデンウィークだから、
近所の公園にでも散歩に行って、思いっきり深呼吸をしてみてはどうだろう。
買い物ついでにデパートの屋上に行って、住んでいる街の風景を眺めてみてはどうだろう。
そんな一歩から、また「旅がしたい」という気持ちが生まれるような気がする。

 

スマトラ沖地震から1年8ヶ月後。タイの被災地に行った時の旅日記を読み返してみた。
家族や友達を失った子供達は、明るい笑顔で接してくれた。
津波で流された学校も新しくなり、カオラックの街もどんどん復興していた。
人間は倒れたままでは生きてはいけない。
だから、今回の被災地が復興して、また新たな一歩を踏み出すことも判っている。
でもその日が、一日も早く来ることが大切である。

 

我々にできることは微力だけど、微力は無力とは違う。
たくさんの人の微力が合わさると、こんなにも大きな力になるのか、みんな実感していると思う。
みんなが「自分にできること」や「自分にしかできないこと」を考えて、その一歩を踏み出すと、
復興はより早いのではないだろうか?

 

YAJIKITAにしかできないこと。
それは、旅をして、その地に暮らす人々に出逢い、その想いを、その地の魅力と共に伝えること。
だから我々は、旅を続けて行こうと思う。

 

今日、これから行われる定例会議で、
復興しはじめた姿を伝えるために、宮城県へ向かう旅が検討される予定になっている。

 

 

2011年4月29日

「YAJIKITA ON THE ROAD」 担当作家 久保有輝

 

 

 

PS:弘前の取材の時は、まだ雪景色だった。
現在「弘前さくらまつり」の真っ最中。
この弘前公園の桜の木も、まさに今、満開になっていることだろう。