ジミ・ヘンドリックス “Electric Ladyland”特集!!!

2011-08-28

ElectricLadyland

『過激で繊細なギタリスト:
   ジミヘン“ELECTRIC LADYLAND” 特集』。

 

M.     GIPSY EYES   /  Jimi Hendrix   

1曲目にお送りしたのは、1968年のそのアルバムから、
ジミのギタープレイが堪能できる
GIPSY EYES”です。

このギターグルーヴ。
最小限のオーバーダビングで、このリッチなサウンド。
やっぱ凄い。

ロック界で最も有名な2枚組アルバムの1つ。(CDでは1枚ですが・・・)
そして、サイケデリックロックの最高傑作で、ロックギターの教科書。
全部聴くと、クタクタに疲れてしまいますが、やっぱり最高です。

M.    ELECTRIC LADYLAND   /  Jimi Hendrix 
 

さて、次にお送りしたのは、1968年のそのアルバムから、
アルバムの実質的なオープニングナンバー“ELECTRIC LADYLAND”です。

フランジがかったジミのギターが左右から聞こえますね。
本当に、ロックギターという現在の基準からは明らかに外れた
ブルージーでジャジーなギタープレイ。
独特の和音感覚が、まさにジミヘンサウンド。
いつまでも追いつけない本当に至高のサウンドです。

ファルセットのボーカルは、カーティス・メイフィールドを思わせます。
昔は、ジャンルなんて、ほぼ関係なかったんですよね。

さてさて、ジミ・ヘンドリックス。

アメリカのシアトル出身です。
オルタナロックの伝説、NIRVANAのカートコバーンとか、パールジャムとか、
DEATH CAB FOR CUTIEの故郷でもあるシアトル。
考えてみたら、ジミの音楽もかなりオルタナですから、そういったものが
生まれやすい土地柄なんでしょうか?

1942
年に生まれて、幼い頃に母親がいなくなってしまった彼。
父親も第2次世界大戦に出征していて、おばさんの家に預けられていたそうです。

その後、父が戦争から戻ると、お父さんと2人暮らしに。
15歳でアコースティックギターを買ってもらったJIMIは、
独学でギターを弾き始めます。
その後、ついにエレキギターを手に入れた後は、ブルース、ジャズ、R&B
ロックンロールのレコードを聴いて練習。バンド活動も行います。

しかし、18歳のときに自動車泥棒で逮捕。投獄を逃れるために、
陸軍に入隊します。
しかし、信じられないほどの劣等生。ギターとポルノにしか興味を示さないため、
すぐにクビになりました。
(クビになりたくて、わざとオナニーばかりしていた噂もあります。)

その後は、ティナ・ターナー、アイズレー・ブラザーズ、リトル・リチャードの
バックバンドで経験をつみますが、当時からとにかくギターサウンドが大きくて、
アクションがド派手だったため、メインよりも目だってしまって
こちらもすぐにクビ。

レコード契約なんて獲得できるハズもありませんでした。

そんな彼を見初めたのは、あのイギリスの人気バンド“アニマルズ”の
ベーシスト:チャス・チャンドラー。
“とんでもないギタリストがいる!”という話を聞きつけたチャスは、
早速ジミのライブを見にいきます。

『3人のギタリストが同時に演奏しているかと思うほどの音圧で、
 ものすごい衝撃だった。
 レコードメーカーの誰もこの才能に気付いていないなんて、
 何かものすごい裏があるのではないか?と逆に怖くなった』

と当時を振り返っています。

M.    CROSSTOWN TRAFFIC   /  Jimi Hendrix  
 

さて、さっきの話の続きですが・・・、
アメリカで、ジミ・ヘンドリックスを発掘したアニマルズの
チャス・チャンドラー!!

『こりゃやばい。こんな凄い才能。イギリスに読んだら、
 ビートルズもストーンズもTHE WHOもクラプトンもみんなぶっ飛ぶぜ!』

ということで、すぐにジミをイギリスに呼びます。
バンド“JIMI HENDRIX EXPERIENCE”を結成させて、
すぐにレコードデビュー。

誰も聴いた事のない激しいギターサウンド。
とんでもない演奏技術とフレーズのアイデア。圧倒的なアドリブ能力。
そして、右利き用のストラトを左に持ち替えて
女性を抱くように愛撫して、そして歯で、背中で、ギターを弾いて、
そして最後には火をつけてブチ壊す、という衝撃的なパフォーマンス。

全ての人が驚いて、一気にスターの座に。

ライブには長蛇の列。
クラプトンやジェフ・ベックは余りの凄さに“廃業まで考えた”と語っています。

まさに、ロックギターの歴史が変わったんですね。

M
  VOODOO CHILE (SLIGHT RETURN)  
   /  Jimi Hendrix
  

次にお送りしたのは、1968年のそのアルバムから、
JIMIが晩年までステージでの定番楽曲にしていた
VOODOO CHILESLIGHT RETURN)”でした。

これだけギターで表現できることが驚き!
まさにギターがメインボーカル。
ボーカルはあくまで全体のオブリ程度の存在です。
それぐらいギターが凄い!

ギターの音を変えるエフェクターなんかもまともにない時代。

そんな中で、変幻自在のサウンドをワウワウなんかのちょっとした
エフェクターと、
そして、ギターのトレモロアームと
彼のテクニックだけで表現する。

しかも、それがほぼ、ジャズのようなインプロヴィゼーション。
即興でやっている。

簡単にアドリブ、インプロヴィゼーション、といいますが、
バンド内でアドリブをするなら、
(そしてそれがアルバムとして幾度の聞かれるクオリティとなるには)
とんでもないテクニックと、フレーズの引き出し、
そして音楽的なセンスがないと不可能ですよね。

そして、ロックギターとは何たるか?という定義がない時代。
というよりも、ロックギターがあくまでも歌のバックだった時代。

ジミは、ジャズやモータウンR&B、ロックンロール。

様々な場所で得たフレーズ、テクニックを駆使して、
新たなロックギターのコンセプトを作ったんです。

まさにジミは、クロスオーヴァーの名人。
そして、ロックギターのパイオニア。発明家だったんです。

M
ALL ALONG THE WATCHTOWER  /  Jimi Hendrix 

お送りしたのは、1968年のそのアルバムから、ボブ・ディランのカバー
“見張り塔からずっと”でした。
ディラン自身も大好きだった、というこのバージョン。
印税の半分は、ジミのものだよ!なんて冗談も言っていたそうです。

さてさて、このアルバム前にはアルバム『Are you experienced?』で
パープル・ヘイズなんかのヒット曲と共にイギリス、そしてアメリカで
センセーションを起こしたジミ。
セカンド『AXISBOLD AS LOVE』では、
より静と動を意識して、LITTLE WINGなんかの名曲も生んで、
名実ともに、スーパーギタリスト、スーパースターとなったわけですが。

そんな中、壮絶なプレッシャーと、そして過度のドラッグ中毒の中で
生まれたのが
このアルバム『ELECTRIC LADYLAND 』です。

それまでの、粒ぞろいの曲が揃ったアルバムとは趣が違って、
ブルージーでジャジーなフレーズを爆音でアドリブ満載で演奏する
新しいスタイルで
音楽家としてのジミ・ヘンドリックスが
堪能できる1枚になっています。

楽器をやらない人にとっては、
それまでの2枚と比べて多少地味に映るかもしれません。

そして、ファンであっても、その濃密さと信じられないほどの熱気に
疲れてしまうかもしれません。

とにかく、1968年という時代性と、そして稀代のスーパーギタリストが
アナログ2枚というフォーマットに、ぶちこんだ渾身の16曲。
自身が初めてプロデューサーとして自分の思うがままに作ったこの音宇宙は、
評価するのもバカバカしいくらい、猛烈なエナジーを放っています。

M
 RAINY DAY, DREAM AWAY  /  Jimi Hendrix