『カナダの至宝：
　　RUSH“MOVING PICTURES” 特集』。

M.     LIMELIGHT    /  RUSH  

M.   TOM SAWYER   /  RUSH  (4’33”)

さて、RUSH。
カナダ：トロント出身のロックバンドです。

メンバーチェンジも少しだけありますが、主なメンバーは・・・
ギターのアレックス・ライフソン。
ベース、ボーカル、シンセ、ペダルベースのゲディ・リー。
ドラム、パーカッションのニール・パート。の3人です。

1968年に、トロント教会で友達を集めてLIVEをやったところから
RUSHはスタート。
その後、一生懸命デビューに向けて頑張りますが、
カナダのどこのレコード会社も彼らに手を付けません。
当時の彼らは、LED ZEPPELINに心酔していた為に、
その音楽性もZEPPELIN風。

所詮、ZEPPELINのフォロワー。2流バンドだと思われてたみたいです。

それじゃ、しょうがない！ということで、彼らは自費レーベルから
デビューアルバム『RUSH』を1974年にリリース。
これが、アメリカのラジオ局に目を付けられて、ちょっとした話題になって、
一気にアメリカのメジャーレーベルと契約することになります。

と同時に、バンドの核となるドラマー：ニール・パートが加入して
黄金の布陣が揃います。

とにかく読書家でインテリジェンスに満ちたこのドラマーは、
SF小説にインスパイアされたような、SFチックでかつ哲学的な、
本当に天才的な歌詞をバンドに提供。
その近未来的な世界観をバンドで表現していく中で、遂にバンドは、
“ZEPPELINのフォロワー”というイメージを完全に払拭するオリジナリティを
手に入れることになります。

M． YZZ （LIVE）  /  RUSH　

次にお送りしたのは、1981年のそのアルバムに収録された
インストナンバー“YYZ”。2007年のLIVEテイクからお送りしました。

これをLIVEで何のミスもなく3人でやり遂げるこのテクニック！！
そして、この拍数も全く分からない変拍子のインストナンバーで、
シングアロングして熱狂する観客。

す、すげぇ・・・。

さて、さっきの話の続きですが・・・、
ニール・パートというドラマー、そしてバンドの頭脳を得たRUSHは、
音楽性を更に進化させて、より複雑に、より音楽的に、よりテクニカルに
なっていきます。まさに“プログレッシブ”なロックバンドに
成長していったんですね。

そのための練習はまさに地獄だったようで、
それ故に、RUSHは“練習の鬼”なんていうニックネームもあるほどです。

そして、世の中もYES、KING CRIMSON、PINK FLOYDなどの
プログレバンドが全盛期だったこともあり、RUSHも“負けるもんか！”
と努力を重ねて、とにかく楽曲は、大作志向になっていきます。

LIVEもとにかく鬼。
ドラマーの周りには360度全てドラムキットが並んで、
ベーシストは、鬼のようなフレーズを弾きながらメインボーカルをとり、
そして足元ではペダルベースを踏み、そしてその合間にシンセを弾くという
1人4役の阿修羅マン的な活躍。
ギタリストはダブルネックで音質を変化させながら、
変拍子を何もなかったかのように、完璧に弾きこなして・・・と、
本当にバンドマンじゃなくてもその凄さに圧倒されるまさに、
楽器の鬼！のような存在になっていきました。

そんな中、ヨーロッパでは大きな成功を収めていたRUSHですが、
なかなか“分かりやすい音楽を好む”アメリカ市場では、
苦戦を強いられていました。

1979年．その状況を打破しようと、バンドはより要素を凝縮した、
コンパクトな曲を揃えてアルバムを作り始めます。
SF色も色褪せて、ニール・パートの歌詞はより
現代的なリアルな世界へと変わっていきます。

それが全米4位を記録したヒット作『PERMANENT WAVES』。
そして、今日特集している全米3位を記録してRUSH最大のヒット作となった
アルバム『MOVING PICTURES』なんですね。

M.    RED BARCHETTA    /  RUSH   

さて、そんなアルバム『MOVING PICTURES』。
ヨーロッパものほど重たくなく、アメリカものほど能天気てもない、
独特なPOPセンスのあるプログレハードロックは、まさにRUSHそのもの。

とんでもなくテクニカルで、一見難解でありながら、
しっかりとシングアロングできる要素も備えている・・・
という本当によくできたアルバムです。

そして、これをLIVEで完全に3人で再現してしまう、というバンドの力。
まさにカナダの至宝。ロック界最高のトライアングル。

彼らがいなければ、METTALICAもスマパンも、プライマスも
DREAM THEATERもこの世にはいなかったでしょう。

M． WITCH HUNT （LIVE）  /  RUSH