東京探訪 山手線一周ぶらり旅 御徒町~秋葉原編1|旅人:井門宗之
2012-04-13
ある日メールを開くと構成台本が届いていた。
今回の旅は人気シリーズ「山手線ぶらり」の御徒町~秋葉原編である。
いつも通り軍師:メルシー久保氏のスケジュールは緻密だ…。
『○月×日○○時○○分JR御徒町駅の改札前集合。
井門、駅ビルトイレで着替えてから、取材先へ移動。』
ん?
んー??
着替え?
御徒町で着替えてから取材先へ…??
気になって仕方無いが、これを電話でメルシー氏に聴いてしまっては、
プロデューサーとしてのYAJI魂がすたる!!
ここは思い切ってノー準備で待ち合わせ場所に行こうではないか!?
メルシーさんだって、流石にそこまで変な格好はさせないだろう?
俺は信じているよ、メルシーさんの事を…。…いや、しかし大丈夫なのだろうか…?
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はい、信じた俺がバカだった……。
この人、俺に秋葉原Tシャツを着せて秋葉原を歩かせようとしている…。
大体がこの秋葉原Tってどこで売ってるんだよ!
メルシー「あっ、それね~!(首を傾げて佐々木氏を見ながら)」
佐々木「ね~!(それに応じる様にして首を傾げながら)」
メルシー「名古屋のロケに行った時に、
リニア・鉄道館のある駅の売店で買ったんだよ!」
佐々木「名古屋で買うってのがポイント高くないっすか? きゃっきゃっきゃ。」
メルシー「もうさ、東京で井門が着てるのを想像したもん。きゃっきゃっきゃ。」
YAJI魂、ここに極まれり!
もうコイツらの純真さは、美し過ぎるカードゲームよりも美しいのではないだろうか。
秋葉原ロケの為に秋葉原Tシャツを買い、それをPに着せて楽しんでいる。
しかもこう言うのは笑いの賞味期限が短いので、ほぼ出オチに決まっている。
*案の定、いじられたのは最初だけでした。
しかし、最初に思いっきり笑いたいが為にこういう小道具を用意するのだ。
良いですか、新社会人の皆さん。
一見無駄に思える事でも、どんなケミストリーを起こすか分かりません。
自分の価値基準で「これはあり、これは無し」を決めつけてはいけないのです!
とにかく経験を積む内は何でもやってみる。
経験とは、やってみた事からしか生まれないのです。
やる前から「これは無しでしょ?」と決めつけてしまっては、経験には絶対にならない。
かく言う僕もこうして秋葉原Tシャツを着て街を闊歩してみると、
物凄く新たな自分を発見出来……無ぇよっ!!
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さて、今回のぶらりだが軍師メルシーさんにとって、
そして我々Teamヤジキタにとっても大事な放送になる。(それは旅日記の最後に明かします。)
そんな大事な放送回の仲間を紹介しよう!
この旅の要、緻密なスケジュール作りはもはや神! 軍師:久保氏。
機材への愛は尋常ではない! 今回アキバで萌えた! D:佐々木氏。
若手の有望! 仕事の丁寧さが慶吾の所で働い…“(ry。” カメラ:橋本君。
更に、4月から新しく入った知識の泉! 新作家:コバヤシ氏(今回は見学)
そして、最早ぶらりの達人と言っても過言ではないぜ! 旅人:井門P。
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御徒町駅の辺りは一杯飲み屋などがいっぱい! |
井門「秋葉原には僕の東京初心者の頃の思い出が…、詰まってるんだよね。」
佐々木「ほうほう、ちなみに僕はジャンクショップに子供の頃から通ってますよ。」
メルシー「さすがだね(笑)もう佐々木君は雰囲気がジャンクだもん。」
井門「そうそう、ジャンク放送局!(謎)きゃっきゃっきゃ。」
佐々木「はいはい。それでDJジャンクのその秋葉原の想い出って何ですか?」
あれは上京してすぐの頃。
6畳の部屋はまだ何の家電も置いてなくて、
部屋の真ん中には提灯型の和紙の照明がぶら下がり、
壁には「Passion」と毛筆で力強く書かれた書が飾られておりました。
窓のカギはネジ式で(つげ義春か)、トイレを流す時は紐を引っ張らないとダメだった。
いよいよいけない、と思い立ち家電を買いに行ったのが秋葉原。
街に降り立った時のあの衝撃は忘れられない。
今の様な“若者が簡単に集まれる街”では無かった。
多分ガチンコの電気街。何だか空気感が違った。
雑然とした中で街中に流れる沢山の家電量販店のBGM。
♪デカイ電気は、秋葉原バラ~♪
青年井門はその中の一つに誘われる様にして入った。
無事にTVやら(当時はテレビデオだったなぁ)を買いこんで外に出ると…。
井門「丁度さ…、ELTの“Time goes by”が流れていたんだよね。」
佐々木「あぁ~、時代だなぁ。分かります。」
メルシー「きっとこの話をしているあたりでBGMに流れてるよね。」
だから僕の中での音の記憶は“Time goes by=秋葉原”なのだ!
*そう言われるのは心外だというファンの皆さん、御容赦下さい。
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今回のぶらりには実はテーマがあります。
どうもメルシーが言うには「井門Pへのおもてなし」がそれだとか。
なのに何でおれ、秋葉原Tシャツ着せられてんの??
メルシー「何言ってんの? それも含めておもてなしぢゃん!
あとそれはあくまでも気持ちの問題で、本当のテーマは“ラジオ”だからね!」
佐々木「そうだよ、この馬鹿プロデューサー!!」
井門「ば…ばっ…(肩を落とす)」
と言う訳で馬鹿プロデューサーとその一行は(根に持つな)、
御徒町をスタートして一路、秋葉原という名の天竺を目指したのだ。
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井門「おぉっ! あそこにメイドさんの写真が付いた看板が!
アキバ城なんて書いてあるぞぉ!!
よぉしっ! 者ども~、いざいざ城攻めじゃ~!!」
メルシー「行かないよ。」
orz……。
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井門「おぉっ、ほらほら! いつの間にか秋葉原に着いたけど、
そのドン・キホーテの8階にAKB48劇場があるじゃない!
おもてなしなんだから、行くんだろうなぁ…。」
メルシー「行かないよ。」
orz……。
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井門「た・確かに今や本家の劇場は入れないもんね。
だとすれば、そうだとすれば!! 秋葉原の駅前に店を構えるあそこだ!
AKB48 CAFE&SHOP!!
公式ショップだし、シアターもあるし! 今日も雨が降ってるのに行列が凄いよ!
でもあれだろ? メルシーさんが先に取材申請してるから、
マスコミです! っつって入ってくんだろ? いやぁ、悪いね!」
メルシー「行かないよ。」
orz……。
そうなのだ…、メルシーが“本当のテーマがラジオ”って言っていた通り、
まずはラジオについての謎を解きに行かなくてはならないのだ。
メルシー氏も言っていたが、
秋葉原=ラジオって感覚は実は割と一般的な感覚なんじゃないだろうか?
なんせラジオと名のつく店が至る所に存在するし、
パーツ屋さんなんかもコアなお店が相当ある。
一体秋葉原の成りたちって何なんだろう…??
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秋葉原には「ラジオ会館」「秋葉原ラジオセンター」「東京ラジオデパート」など "ラジオ"と付く場所がたくさん |
我々はまずその疑問から探っていく為に、
秋葉原電気街振興会の事務局長:日村丈夫さんにお話しを伺った。
ビルの一室にひっそりと居を構える振興会の事務所。
しかし中に入ると秋葉原の現在過去の写真が様々に飾られている。
日村「秋葉原という街が発展したのは、大きな通りや大学が近くにあったからです。
人の流れが途切れる事が無い街なんです。」
井門「僕もお隣の御茶ノ水の大学に通っていたんですが、確かにこの辺は大学が多い!」
まず一つの謎が解けた気がした。
秋葉原から人がいなくならないのは、人の循環が毎年行われる大学が近くにあるからなのだ。
春になればまた新たな若者達が、一人また一人と秋葉原へやってくる。
そして自分のライフスタイルに合わせた趣味を見つけ、それを深化させていく。
(趣味を深めていくには秋葉原って最適かもね。勿論趣味の中身によるけど…。)
日村「秋葉原は戦前からラジオを売っていたんです。
当時、ラジオは高価だったので、
少しずつ自作する人が増えていって、そのせいでパーツ屋が増えた。」
井門「完全に需要と供給のバランスですね。」
日村「ですから歴史があるお店には、
○○ラジオとか○○無線が付いてるんです。」
日村さんのお話しに膝を打つYAJIKITA一行。
なるほど、だから秋葉原ラジオセンターとかがあるのか…。
あっ、ラジオセンターには今回のロケでも行ってますからね!!
日村「自作で…っていう文化はずっと秋葉原を支えているんですよ。」
井門「ラジオだけじゃない、とすると…。
あぁ、後はPCを自作するってありますもんね!!」
日村「その前にももう一つ自作文化があったんですよ、分かりませんか?」
井門「…あぁっ!! オーディオだ!!」
そうなのだ。
自作ラジオがブームになった後に、若者を虜にしたのがオーディオだった。
レコードなどの流通でオーディオマニアが世に溢れ、
そのニーズに応えるべく秋葉原のお店も様々なパーツを売りだした。
実は日村さんも熱狂的なオーディオマニアの一人で、学生時代はよく通ったのだと言う。
井門「秋葉原は言っちゃなんですけど、マニアの街なんですね。」
日村「(膝を叩いて)まさにその通り!
秋葉原はマニアが支えていると言っても良いくらいだと思います。」
人の循環があり続ける秋葉原では、日々そのニーズは変わり街の姿も変化している。
しかしこの街の本質は、実は戦前から変わらないのかもしれない。
マニアの夢を叶える街が秋葉原なのだ。
しかも最近は多様なニーズに対応すべく、店も増え、形も様々になってきた。
オタクの街と言われながらも、門戸が開いてきたとも言える。
秋葉原でデートだって、よく聞くワードですもん。
なるほどなぁ…秋葉原の成り立ちから現在まで、
とてもよく理解する事が出来たぞ! 日村さん、有難うございました!
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成り立ちが分かったら、今度は店だ!
秋葉原のジャンク街に行くぜ…って、おいおい佐々木君、何ドキドキしてんの?
佐々木「いやぁ、ここはよく来るんで。フンガフンガ」
流石はラジオ界きっての機材マニア!
一歩「秋葉原ラジオセンター」の中に足を踏み入れると、水を得た魚だ。
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ここはJR総武線のガード下に1階・2階と分かれてお店が入っているのだが、
右も左も専門的なパーツばかり置いてある。もうそれぞれの名前もよく分からない。
そんな中にあって、何十年もラジオを扱っているお店、
【内田ラジオ アマチュアショールーム】にお邪魔した。
ラジオセンターのHPで扱う商品を見てみると、
「日本製ラジオ真空管・オーディオ用真空管その他パーツ(バリコン各種)
マニア向(3バンド)ラジオ各種・測定器 他」と記載されている。
2階にあるとの事で狭い通路を進んでいくと、あった!
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棚には 骨董品の様な真空管ラジオがいっぱい! |
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ここでお話しを伺ったのは、ラジオに囲まれた内田久子さん。
何と御歳85歳というではないか!!!
昭和35年からお店を続ける内田ラジオ。
久子さんのご主人:秀男さんが亡くなってから20年は、
久子さん一人でこの店を守り続けているという。
内田「昔のラジオは良い音したの。
私は今でも真空管のラジオの音が好きなのよ。ちょっと聴いてみる?」
井門「是非お願いします!」
徐に助手の男性がお店の奥にあった木製のラジオのチューニングを合わせてくれた。
スイッチを入れてもなかなか音は出てこない。
真空管のラジオは(TVも)温まらないと音が出てこないのだ。(この感覚ね!)
思い返せば僕も子供の頃、
TVのスイッチを入れてもしばらく画面が映らないなんて事はよくあったなぁ。
特に住んでたのが北海道だったので、冬場はTVが冷たくなっちゃってて。
そんな事を思い出していると、じんわり音がF.I.してくる。
井門「あぁ、本当に隣の部屋に人がいるような聴こえ方しますねぇ。」
内田「音がソフトなのよね。最近はまた真空管ラジオが人気なのよ。」
井門「内田さんにとっての、ラジオの良さって何ですか?」
内田「TVと違ってね、映像が無いから想像出来るじゃない。それが良いんですよ。」
内田さんはそう言いながら目を細めた。
ラジオの懐かしいこの音が大好きなのだ。
そして、その音の先に想いを馳せるのが好きなのだ。
こうして日本屈指のラジオ専門店の名物店主が、
毎日ラジオへの愛をもってラジオを売っている。
その心意気に触れ、ラジオの中身を作っている僕らも心を新たにした。
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井門「何か良かったなぁ…。」
メルシー「何が?」
井門「いや、僕らが携わる世界の人の心があんなに温かくて。」
佐々木「そうですね。僕らはその人達の想いに応える様に、良い番組を作りましょうね。」
こうしてYAJIKITA一行はラジオセンターを出て、喧騒の中を先へと進んだ。
雨の中だってお構いなし! まだまだ進むよメルシーセレクションのぶらり。
今回の旅日記も終わりを探すのが大変だ。
なんだろう、一旦読み始めたんだけど終わりそうに無いから翌日持ち越し! みたいな。
うん、今回の旅日記はそれでも良いや(笑)無理しないで読んで下さい。
さぁ、張り切って末広町方面に戻るよっ!
今度は、裏道を歩いてみたのだけど、この辺は古き良き秋葉原って感じだなぁ。
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この寒い中を綺麗な足を出したメイドさん達が頑張ってチラシを配っている。
未知の両側にメイドさんが並んでいるので、さながらマラソンの沿道の様だ…。
おぉ…、テラスから顔を出して手を振るメイドさんもいる。
(これに関しては非常に思う所があるのだけど、ここに書くと炎上しそうなので書きません。)
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こんな状態の中でどこにも行こうとしないYAJIKITA一行。
確か今回の裏テーマは“井門Pのおもてなし”ぢゃなかったのか!?
井門「ねぇねぇ、メイドカフェに入ろうよぉ、久保氏ぃ、久保氏ぃ~!!」
久保「井門氏、もうちょっと待つでありますっ!!
今日のテーマはおもてなしでありますぞ!
この先に井門様をおもてなしする、
その名も【ヌードルカフェ】があるんだお!」
井門「お~!! あるんだお~(」゚ロ゚)」((((オ-----ーッッッ!!!!!!!! 」
汚らしいオッサン達が繰り広げる「にわか秋葉原TALK」。
何だろう、秋葉原Tシャツを着ている筈なのに、誰よりも秋葉原から遠い気がする…。
そんな事を思いながらメルシーの言うままに通りを歩いていると、見覚えのある看板が!!
井門「あっ、“鉄道居酒屋Little TGV”ぢゃん!!」
佐々木「えっ、知ってるんですか。あぁ、井門さんってこっそり系なんスね。」
井門「違うわっ!!」
そう、あれは今から4年程前。
実はその時も井門が旅人で、この秋葉原を訪れているのだ。
その際に萌え萌えした場所がこの「鉄道居酒屋Little TGV」。
あの時の旅日記にはこんな事が記されている。
――入場する時に電車の切符を渡されます。入場料なんですかね。
入ると中には鉄道ファン垂涎のアイテムが所狭しと並び、
迎えてくれるのはミニスカ車掌さん達(笑)――
ちょっと嬉しそうぢゃねぇか!
メルシー「いや、ヌードルカフェはもっと嬉しくなるスポットでゲスから。」
佐々木「何と言っても、おもてなしでゲスから、へへへ。」
到着したのはとある雑居ビル。
「NOODLE CAFE」はその中にあるのだが、ヌードルと聞くと…何かしら想像してしまう。
佐々木「(小声)ちょ…ちょっとちょっと!! 今ビルから出て来たおじさん見て!」
井門「(小声)はわわわわわわ…ズボンからがっつりシャツがはだけて出てるぢゃない…。」
い・一体この中で何が行われているのか!?
全員が乗れない程の小さなエレベーターで、我々はヌードルカフェへと向かった。
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ここでお話しを伺ったのは【NOODLE CAFE】の、門田湧也さん。
井門「で、どんなお店なんですか?」
門田「入口を入ってすぐに食券機があるんです。
ボタンが並んでますが、そこにはアイドルの顔写真が入っているんです。
お客様は好みのアイドルを選んでカウンターへ!」
井門「ここで働いている子は、アイドルなんですか??」
門田「そうなんです! 大手タレント事務所に在籍している現役のアイドルの卵や、
モデル志望のコ、女優志望の子なんかが働いているんですよ!」
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実はこのヌードルカフェの母体が大手芸能プロダクションになっていて、
そこに所属する卵達がこのカフェで働いているのだ。
あっ、さっきから「ヌードルカフェ」の「ヌードル」について触れて無かった。
このお店はアイドルがカップラーメンを作ってくれるお店なのだ。
(サラっと言ったなぁ…、おれ)
門田「好きなカップ麺を選んで、アイドルにお湯を入れてもらって、
カップ麺ができる3分間だけ、アイドルの子と1対1で話ができるんです。
3分経ったらイーティングスペースに移動して、
カップ麺を食べるというシステムなんです。」
井門「門田さん。」
門田「はい?」
井門「ばかやろう!(笑)」
そんな事を言いながらも井門も体験したかったわけで…。
父さん、僕は今、秋葉原でアイドルの卵にカップラーメンを作って貰おうとしているわけで…。
という訳で、井門(34)が券売機で選んだのは塚本怜美ちゃん。
目鼻立ちの物凄くはっきりした美女。
聞くとまだ20歳前(取材時)という。
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塚本「いらっしゃいませ! ではお湯を注ぎますね!」
井門「3分なんてあっと言う間じゃないの?」
塚本「いやいやいや、意外とたっぷり時間ありますよ!!」
井門「本当かなぁ。」
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そんな思いを抱きながら3分スタート。
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井門「へぇ~、そうなんだぁ♪きゃっきゃっきゃ♪」
塚本「そうなんですぅ♪もう、いやだぁ♪」
井門「ははは~♪そうそう。きゃっきゃっきゃ♪」
塚本「えぇ~、それほんとうですかぁ?♪」
井門「(デレデレ)うんうんそうなんだよぉ~♪きゃっきゃっきゃ♪」
塚本「…はい、3分経ちました。」
orz……。寂しい…。
いやいや、寂しがっている場合ではない。
アイドルがいるカウンターには砂時計が置かれているのだが、
それが3分経ったら我々お客さんはイーティングスペースに移動せねばならない。
そしてアイドルと話した余韻の中で、作ってくれたカップラーメンを食べるのだ。
よし、カップラーメンを持って、移動して…と。
いっただっきまーす…って、あれ?
(蓋の文字)熱湯4分
orz……。1分多い……。
まぁ、ただ普通のカップラーメンより旨い…ような気がした。
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確かにアイドルと話せてカップラーメンを作って貰って、
じゃあそのラーメンはいくらで買うのか? っていうと、800円なんだけど。
きっとここは夢を買う場所なんだな~って思うのです。
アイドルの卵達との3分間をたっぷりと楽しむ事で、自分の夢にお金を払っている。
ここから巣立ってビッグなアイドルになる女の子だっているかもしれないのだ。
何年か経って僕の番組にゲストに来てくれる子も出てくるかもしれない。
いやさ、その頃にはこっちからオファーしても、
「はっ? 誰そのDJ。うわっ、きったない顔!」と断られる可能性もある(ないない)。
そう思って店内のお客さんを見渡してみると、
何だかその子達への愛情というよりも、優しく包む父性の様なものさえ感じる。
何だろう、実はこのカフェを包む空気感が凄く優しいのだ。
それはきっと女の子達の雰囲気もあるのだろうが、お客さんの空気も優しい。
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井門「いやぁ、おもてなしされたわぁ。」
メルシー「お店もかなり賑わっていたもんねぇ。」
佐々木「秋葉原は本当に色んなお店がありますね。」
メルシー「それを言ったら、次のお店も最高に面白いよ!」
そんなメルシーさんの言葉に誘われる様に、最後に向かったのがこちら。
その名も「声優Cafe」。
名前の通り声がキーポイントになるお店なのだが、
こちらの店長さんが何て言っても凄い!!
あの声優・松風雅也さんなのであります。
松風さんと言えば、「おはスタ」の番長! 「電磁戦隊メガレンジャー」のメガブルー!
俳優、声優、そしてラジオパーソナリティとしても活躍している方。
なんて言ってもイケメンだからね、マジで。しかも男気溢れる…という。
ビルの8階にある「声優Cafe」。エレベーターを降りると、目の前にお洒落な扉。
その扉を開けると…おぉっ!!
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中に入ると右手奥にはカウンター。その後ろには超本格的なスピーカー。
カウンター横には何故かスタンドマイク。
店内の内装もウッディでありながら、何だろう、妙に落ち着く雰囲気なんだよなぁ。
松風「実はこの内装、収録スタジオをイメージして作ったんです(笑)
だから壁にも防音クッションっぽいアレンジがしていて。」
井門「本当だ! だから僕らも落ち着くんですね(笑)」
カウンターの後ろのスピーカーも、スタンドのマイクも、
実はどれもが超が付く程の一級品。一体このカフェのシステムってどうなっているんだろう?
店内にあるスタンドマイク…これ、誰もが気になる所でございますな。
実はもう一つ気になる物がございまして…。
松風「メニューが通常のフードメニュー以外にもう1つあるんです。
通常、お店に置いてあるメニューのサイズじゃないんです。結構大きい。
これがこの店の要になるメニューです。開いてみて下さい。」
井門「“声優ジュークボックス”って書いてありますけど…。」
この声優ジュークボックスのメニューが面白い。
こちら「声優Cafe」で働いているスタッフは、プロの声優達。
ひとたび声優の仕事になれば、途端にその声で物語の世界に引き込む技術を持っている。
声優ジュークボックスは彼らのその技術をお客さんにたっぷり堪能してもらおうという物。
ページを捲ると様々なキャラクターとセリフが載っている。
例えば「パイロット」とか「執事」とか、中には「ペンギン」なんてのも。
それぞれのキャラにセリフは5つぐらいだろうか。
更にページを捲ると、今度はここで働く声優さんの顔写真と得意な声質、
今までの経歴、そして料金が記載。(松風さんも載っているよ)
――ご希望のキャラクター・声優をお選びください。
オーダーに沿って声優があなたの為に読み上げます。――
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メニューには声優さんのプロフィールが! |
「声優ジュークボックス」とはこういうシステムなのだ。
お客さんがメニューから好みの声優さんを選んで、
その声優さんにやって欲しいキャラをオーダーする。
するとそれまでカフェのスタッフとして働いていた声優さんが、
徐にスタンドマイクの前に行き、その台詞を喋るのだ!
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そしてセリフの書かれたキャラクターを選ぶ! |
松風「しかもお客さんの好みによって、
例えば“パイロット”にしても“熱血漢のパイロット”なんてのも出来ますし、
キャラによっては“太ってる”“痩せてる”、“眼鏡をかけている”“若い”“老人”など、
好みがひとそれぞれなので、そこはプロの技術で完全に演じる様にはしています。」
井門「ではここで働く声優さんもかなり厳選されるのでは?」
松風「ウチで働くのは本当に大変ですよ。
その前にここで働く為のオーディションが大変だと思います。
毎日人前で“プロとして”演技するわけですから、そこは生半可なものは出せません。」
この日も若い声優さんが働いていたのだが、
松風さんが僕の質問にそう答えると、店の中の空気がピンっと張りつめた気がした。
こんなに緊張感と楽しさを毎日新鮮に味わえる場所も珍しいのではないだろうか?
松風「日本のアニメ人気は日本だけじゃなく世界的。
でも声優の何が凄いのかがわかる場所が無かった。
声優の存在そのものにこだわっているので、
見ていただけると分かると思うんですが、店内にアニメの絵や漫画も、
更にはアニメを流すモニターもないんです。敢えてそういう物は置いてません。
純粋に声優の力、技術の凄さを知って欲しかったんです。
そして、1時間いれば必ず声優の凄さがわかるんです。」
ちなみに僕も声優ジュークボックスのオーダーをしてみた。
大石達也さんで、「ど熱血のエースパイロット」。
そして宮坂香奈さんで、「ザ・アキハバラな雰囲気のメイド」。
彼らがスタンドマイクの前に立ち、そして声を発した瞬間。
その瞬間に世界が変わった。ある筈のない物語の始まりと終わりが見えた気がした。
たった1フレーズ、彼らが発しただけでその世界に引き込まれた。
――1時間いれば声優の凄さが分かる――
松風さんのその言葉がよく分かった気がした。
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ちなみに店ではドリンクなどにも相当なこだわりがあり、
メニューも本格的なものばかりだった。
あ、こちらのお店、秋葉原的な要素は本当に無いです。
声優さんが“声優さんとして声を発しなければ”、物凄く小洒落たカフェです。
だからこそ、そのギャップが面白い。
松風さんの熱さがこの店を本物にしているのだと思う。
そしてだからこそ訪れるお客さんはそんな事お構いなしに、
純粋にこの空間を楽しむ事が出来るんだと思う。
僕も同じ様に声を仕事にするだけに、改めて背筋の伸びる思いだった。
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声優Cafeを後にしたYAJIKITA一行。
すっかり秋葉原の多様性に改めて感心しながら歩いていると…
女の子「OLカフェで~す! 宜しくお願いしま~す!(チラシをくばっている)」
!?
OLカフェ?
コバヤシ「ねぇ、見てよこれ。新人教育担当って…(笑) きゃっきゃっきゃ。」
井門「各担当があるのね、きゃっきゃっきゃ。」
こうして我々がOLカフェのチラシに夢中になっていた、まさにその時!!
橋本「はっ!! うわぁっ!!(僕の後ろを見ながら叫ぶ橋本)」
井門「どうしたっ!? (振り返り)はうわぁっ!!」
雨の秋葉原、傘を差すその姿は最初全貌が分からなかったのだが、
傘を少し傾げた瞬間にその異様な光景が明らかになった。
赤いリボンのセーラー服を着た、
おじいちゃんだったのである。
長めの白髪はその頭頂部が寂しくなり、若干の無精ひげも生やしていらっしゃる。
しかし秋葉原の街を歩く姿は堂々としていて、
チラシをくばるメイドの女の子に積極的にコンタクトを取っている。
井門「あれはヌシや! 秋葉原のヌシが出たんや!」
佐々木「秋葉原、凄いぜ…。」
じいさんショック、いやさGショックを受けたYAJIKITA一行だったが、
いやいや、これってよく考えてみたら秋葉原と言う街の寛容さが生み出しているのではと。
秋葉原のカルチャーはこうした寛容さから生み出されているとも思うのだ。
しかしその寛容にはギリギリのルールもあって、
ルールを守るから楽しいのだとも思うのだ。(ゲーム好きな人も多いしね)
まぁ、勿論そのルールを肌で覚えるには相当通わないとダメなんだろうなぁ(笑)
秋葉原という街は新宿や渋谷、池袋と言った他の街とは違うエネルギーを持っている。
通常、街の展開の仕方はこんな感じだろうか。
◎人が集まる ⇒ 店はその層に合わせて展開していく ⇒ 発展する。
ところが秋葉原はこんな感じなのだ。
◎店がある ⇒ それを目指して人が集まる ⇒
ニーズに合わせて街が展開していく ⇒ 発展する。
かつてラジオを買い求めた人達が、
いつしかラジオを自作するようになり、
その為にあらゆるパーツがこの街に置かれる様になった。
客は店側に「こういうパーツが欲しいけどある?」と聞く。
店側は専門店の意地にかけて「ありません」とは言いたくない。
結果どんな要望にでも応えられるように、色んなパーツを扱う店が増えた。
それが秋葉原をマニアの街にし、マニアがいたお陰でこの街は発展したのだ。
『この街に来る人は、
この街の楽しみ方を知っている。』
この言葉に尽きる、秋葉原。
寛容でありながら、決して簡単ではない、秋葉原。
――この街に今度来た時は、今日よりもう少し上手に付き合えるだろうか。――
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秋葉原Tシャツを着て秋葉原駅に到着! |
ロケ終わりにそんな事を考えながら「秋葉原Tシャツ」を脱いだ時、
ちょっぴり寂しさを感じた井門だったとさ。
秋葉原Lvがちょっとだけ上がったね、オレ。