東京探訪 山手線一周ぶらり旅 上野~御徒町編|旅人:井門宗之

2012-04-05

 

小雨降る東京。
YAJIKITAロケで雨が降る事もそんなに無いのだが、
待ち合わせ場所に集まったYAJIKITAの面々は手に手に傘を持っている。
とは言え、雨の上野もなかなか良い。
ここは職人さんや飲食店、問屋さんなんかも多い地域。
もちろん、暮らしている方も多いし、観光地になる場所だって多い地域。
朝も昼も夜も違う人種の人達が忙しなく動いている、上野はいつだってそんな印象。
更に言えばね、この街は東京の中でも一大ターミナル拠点。
なので人の動きは止まる事がないわけです。

 

そうそう、上野って確かにターミナルなんだけど、
東京駅みたいな“カラっとした感”が無い気がするんです。
長い年月をかけて出会いと別れが時間の中に蓄積されていって、
それがその空気をちょっとだけ親近感のあるものにしているような。
だから上野駅に来るとほんの少しだけ、ホッとする。

 

ホッとするとか、そうでも思わないと、

「雨が降っているのは俺のせいじゃないでゲスよ。へへへ。」 


と言っているミラクルの顔を正視出来ない
しかも待ち合わせ場所に行くと、

「ちょっと1本だけ煙草吸っても良いでゲスか?へへへ。」
などと傘を差す喋り手をよそに、許す許さないに関わらず、
このオッサンは既に1本目の煙草に火をつけている。

これで今回のロケがつまらなかったら、この男…許すまじ!!
そんな想いを胸に、今回のぶらり旅はスタートしたのでした。

 

 

 


 

 

 

上野の辺りは東京に7つある副都心の一つ「上野・浅草副都心」と呼ばれるエリア。
東京の中でも古くから町を形成していた、歴史ある土地であります。
前回の旅でも不忍池の歴史に触れたり、色々お伝えしたかと思います(うわ、アバウト)。
一応ぶらりの基本は駅to駅なのですが、何やら今回の旅は上野駅近辺をぐるりすると。

もはや【ぶらり】ではなく【ぐるり】旅だと。

 

 

ミラクル「だってさ、上野から御徒町って距離にすると大体600mしかないのよ。」

 

 

確かに上野~御徒町間は山手線に乗っても1分くらいの距離。
しかしその割には物凄く個性豊かな店がひしめいてもいるのだ。

 

 

ミラクル「今回も一応テーマがあってさ。

歴史あるこの街の新旧スポットを探ろうと思ってるんだ!」
井門「なるほど、街の歴史を学ぶのではなくて、
その街の歴史を作り続ける場所と元々根付いている場所を見て回る事で…」

仏の横山「その街個性が分かってくる!」
ミラクル「へへへ。そうでゲスよ!」

 

 

前回の終わりにも書いたのだが、上野エリアは相当に取材候補がある。
どこを取り上げても面白いので、ここは作家の腕の見せ所。
そんなミラクルセレクションで始まった今回の【ぶらり】はここから始まった!

 

 


 

 

ベタか!

 

まぁ、仕方ない。
ミラクルのやる事だ…。
しかし、しかしですよ、
毎年年末恒例の様にアメ横の映像が流れるので皆さんも場所と名前は御存知だと思いますが、
この場所の成り立ちって御存知でしょうか??

 

 

ミラクル「ほら知らないでしょ?」
井門「確かここは進駐軍が戦後いろんな物資を横流しして売っていたから、

 
通称アメリカ横丁と呼ばれたってのと、

正式には戦後に飴を売る人が多くいたからアメヤ横丁ってなったんだよね?」
ミラクル「へぇ…知ってるんだ…。あっそう、勉強してきたんだ…。」

 

 

今回も喋り手に知識の先回りをされて、意気消沈する作家:ミラクル。
心無しか肌の色もくすんで見える。というかくすんでいる。
しかしここからがミラクルの真骨頂。

最初の取材先は伝統ある天然出汁のお店【伊勢音】さんだ。

お店の染谷康文さんにお話しを伺う。

 

 


 

 

通りに面して数多くの天然出汁(鰹節・昆布・どんこなど)が並ぶこちらのお店。
実は井門もアメ横を通る度に気になっていたお店である。
ただ良い鰹節はお値段もそれなりにする。
いつも店の前で「むむぅ…どーしよっかなー」と悩んでいたのだ。

 

 

 

 

 

染谷「一回の味噌汁でも鰹節2~3gで十分なんですよ!」
井門「えっ?それぐらいでも良い出汁が出るんですか?」

 

 

そうなのだ。

こちら【伊勢音】さんで扱うのは鰹節の中でも【本枯節】という逸品。
鰹節はカビ付けを何回するかによって名前も変わってくるのだが、
本枯になると最低でも3回はカビ付けが必要になってくる。

しかしこちらで扱う本枯節のカビ付けはなんと…7回と言うではないか!?
そりゃあ味の深みも違いますよ。
まるでその姿は木材そのものなのだが、これを削っていくとルビーの輝きが見えてくる。
アメ横の店を構えたのは戦後の事だが、歴史を辿ると創業150年の老舗。
仕事は丁寧かつ真摯なのであります。

 

 

染谷「出汁、ちょっと飲んでいきます?」
井門「ひょっとして店の前に置いてあるポットの中身は…」
染谷「ちょっと醤油をたらした本枯出汁です!」

 

 

 

 

 

ここに来た方なら誰でも試飲する事が出来る、本枯の出汁。
冷たい雨の日に、ふわ~っと腹の中に沁みていくようだ。
そして口の中にしばらく残る、鰹出汁の芳醇な香り。
旨味が凝縮されたその元を飲んでいるわけで、なんとも贅沢な気分なのです。
目を閉じて静かに出汁に集中すると、それでも耳には威勢の良い掛け声が入ってくる。
「安いよ、安いよ!」「今日は鮭だ!」「カニも3ハイまとめてどうだ!」
アメ横は年末ばかりがフォーカスされがちだが、
こうして毎日商売人達は熱気に溢れている。その姿はとても格好良いのであります。

 

 

染谷「アメ横は働いているお店の人達との会話もぜひ楽しんで下さい!」
井門「みなさん気の良い、そして気風の良い方々ばかりですもんね!」

 

 

東京はどこもかしこも新しい物が乱立し、古き良きものが少なくなっている。
それは上野も然りなのだが、ここで働く人達の気質は変わらない。
それはきっとこれからどれだけ年月が過ぎても変わらないのだと思う。
東京の中で堂々と「ねぇ、ちょっと安くならないの?」なんて言える場所は、
もうアメ横くらいなのかもしれないなぁ。
アメ横って面白くて、ここから発信されていった“本物の洋服”も多いのです。
色々探して回ると、きっとあなたも本物に出会えるんじゃないでしょうか??
僕らも本物の出汁の味を堪能し、再びアメ横を進むと…

 

 

井門「あれ、ミラクルさん!御徒町の駅に着いちゃったよ!」
ミラ「着いちゃったねぇ。」

横山「今回もブッキングミスったんだ…さすが!」
ミラ「ちょっとちょっと、横ちゃんって言ったっけ?

終わるわけないでしょう!?今回はここからぐるりするよ!」

 

 

随分と余裕の表情を浮かべるミラクル氏に導かれるように、
我々は雨の中を上野広小路方面に進んでいった。
ちょうど中央通りとの交差点に出てくるとまた賑わいも変わってくる。
ここを更に越えて、我々は古き良き伝統を守り続けるあの名店をお邪魔した。

 

 


 

 

創業昭和5年「井泉本店」だ。
上野は東京屈指のとんかつ激戦区。
名店も多数ある中で、
やはり「箸で切れるやわらかいとんかつ」を標榜するこちらは今も昔も人気店である。
以前YAJIKITAでもお邪魔したことはあるのだが、改めてお話しを伺いにきた。

お話しは取締役:石坂桃子さん。

 

 

 


※いやらしい目の井門に注目!

 

 

2代目の娘さんという石坂さんは、井泉の歴史を丁寧に語ってくださった。
昭和5年、初代が考案した箸で切れるとんかつ。
現在もその製法をしっかりと守る為、仕込みにもかなりの手間を要するとか。
日本人はやはりお箸。だからこそ「箸で切れる」というのが肝心なのだ。

 

 

石坂「とんかつソースは初代の考案なんですよ。」
井門「えっ!?」
石坂「それまではお客様はウスターソースをかけて召し上がっていたんですけど、
とんかつによく馴染むソースを…という事で初代が作り上げたんです。」

 

 

そうなのだ、箸で切れるとんかつだけではなく、
今のとんかつソースがあるのも井泉があったお陰と言っても過言ではないのである。
そして井泉にはもう一つ、このお店発祥のものがある。

 

 

石坂「祖母がパン食で、パンにとんかつを挟んで食べてみたら美味しかったと…。
それで生まれたのがカツサンドなんですよ。」
井門「何か美味しさの秘密は…?」
石坂「ソースを通常のものとは変えて、冷めても美味しいよう工夫してあります。」

 

 

かつサンドは6切れ入りで850円、9切れ入りで1250円。
実は井門は井泉のカツサンドがソウルフードでもあるのです。
札幌にも井泉があるのですが、祖母が大好きでして。
祖母と井泉に行くと必ずカツサンドを買ってくれるんです。
今思えば贅沢な話なんですけど、子供の頃はよく食べていた。
だから僕の中でカツサンドの味=井泉の味になるんです。
祖母はもう亡くなってしまったんだけど、
だから井泉のカツサンドを食べると祖母を思い出すのです。

 

 


 

 

揚げたてのカツで作った出来たてのカツサンド。
下谷花柳界の芸者さんの為に、小さな口でも食べられるように考案されたカツサンド。
その大きさも、冷めても美味しく食べられるようにソースを変えたりしたのも、
全てが井泉の心意気。お客様に少しでも喜んでもらえるように、という優しさが詰まっています。
歴史のあるお店は、でもそう言う心意気を持った店ばかりですね。
そのカツサンドを一つつまむと、パンの中から熱々のトンカツの気配。
熱さからソースの香りが…たまらず一口。

 

 

 

その柔らかさ、カツのジューシーさ、そしてソースの香り。
サンドというと軽く聴こえてしまうが、これはもう立派な料理なのです。
本当はロケ中で、しかも石坂さんにインタビュー中なので一つ食べておしまいの筈が、
もう一つ、もう一つとなってしまい止まらない(笑)
石坂さんのお話しを聴きながら、3切れ食べてしまいました…。
しかもスタッフの分のお土産まで戴いて、
すっかり井泉の心意気に打たれたYAJIKITAであったとさ。

 

 

 

井門「ミラクルさん、良いぢゃない!」
横山「しかもお土産までいただいて、良いぢゃない!」(お土産貰ってホクホクだ)
ミラクル「老舗繋がりで、日本最古の演芸場行こうよ。」
井門&横山「上野で演芸場と言えば…」

ミラクル「言わずと知れた鈴本演芸場だね。」

 

 


 

 

中央通り沿いにあり、上野駅からもほど近い場所にある演芸場。
それが鈴本演芸場であり、ここは日本最古の演芸場として古くから人々を楽しませてきた。
ここも風情が良いんですよ。
もちろん今はビルになっているんですけど、
入口にはその日の高座に上がる噺家さん達の名前と写真が飾られ、
色とりどりの提灯も所狭しとぶら下がっている。
そう言えば上野のこの界隈は、舌の肥えた師匠達のお腹を満たす料理の名店も多いです。
蓮玉庵さんなんかは小さん師匠がよく通ったなんてエピソードも。
僕は30代になって初めて池の端の「藪そば」で日本酒を飲んだ時、
果てしなく自分が大人になったと感じたもんです。
旨くて歴史があるお店が多いという事は、
お店を育てたうるさがたのお客さんも多いという事。
きっと演芸場の名人達も、高座が終わった後はこの辺りをぶらりしていたんだろうなぁ。
そんな事を考えながらブラブラするのも、実はとても楽しかったりするのです。
いけないいけない、今日はまず演芸場の方にお話しを伺うんだった。

お話しを伺ったのは、鈴本演芸場の森澤徳哉さん。

 

 


 

 

井門「今日もお客さん大入りですね?」
森澤「そうですね、若いお客さんも増えましたし。
早朝寄席も行っていますので、少しずつお客さんの層も変わってきたようです。」

 

 

早朝寄席は毎週日曜日の10時開演で、真打になる前の二つ目が高座に上がっている。
噺家に経験をさせる事と技を研鑽させることが狙いなのだろう。
そして勿論、熱心なお客さんは“客の立場で噺家を育てる”事もするのであります。

 

 

井門「そう言えば噺家さんの序列ってどうなっているんでしたっけ?」
森澤「まず師匠の所に弟子入りして、前座見習いからです。
その後に前座、二つ目、そして最後に真打となるんですが、完全に逆ピラミッドの世界ですから。」
井門「そうか、師匠達は多いけど下がなかなか増えていかない、と…。」
森澤「厳しい世界ですけど、それだけどんな世界よりも遣り甲斐はあるんです。」

 

 

森澤さんの話を聞いていると、落語への愛が伝わってくる。
名人と呼ばれる方々の名人たる所以、噺家さんが育っていくのを見守るという事…。
寄席は敷居が高くてなかなか入れない人も多いんじゃないでしょうか?なんて聞くと、

 

 

森澤「とんでもないです!どなたでも自由に入ってきてください!
確かに昼の部4時間、夜の部3時間と、時間を聞いただけだと長く感じるかもしれませんが、
実際にいらっしゃったお客さんは、終演後は“アッと言う間だった”と仰っていただけます。」
井門「話を長く感じさせないのも話芸の一つですもんねー。」

 

 

現代人は芸人さんの話をTVサイズでしか見た事が無い人がほとんどだ。
そうすると寄席に行った時に驚くだろう。
だって一人の噺家さんが15分くらい話しているんだから。
でも、だからこそ“間”という芸が生まれるのではないだろうか。
時間の使い方も笑いの一つにしてしまう。
きっと演芸場に行けば、新しい笑いの世界に入る事が出来るだろう。
そして鈴本演芸場を出れば、そこは風情ある上野の町並。何とも味わい深い。

 

 

井門「ミラクルさん、何か良いですね。」
ミラクル「そうでしょ?古き良きものがしっかりと根付いていて、
しかもここには若い人達も集まってくるんだから。」

 

 

この人は実は無類の落語好き。
こういう演芸場が元気なのが何よりも嬉しいのだ。
嬉しそうなミラクル氏の隣を、これまた嬉しそうに歩いているサラリーマンの姿。
気付けばもう陽も暮れてきて、上野は夜の姿に変わり始めている。
今のサラリーマンだけではなく、路地にはまさに“これから!”な雰囲気の人達がいっぱい。

 

 

ミラ「これから行くのは、まさに新しい上野のスポットだよ!」

 

 

鈴本演芸場から路地裏を進んでいくと、
何やら江戸の風情を感じる2階建ての建物。
木戸が設けられ、中には江戸時代の大川(隅田川)の絵。
看板には【江戸酒場】とまで書かれているではありませんか!

 

 


 

 

 

そう、ここが2012年1月にOPENしたばかり【江戸酒場 いろは横丁】。

1階の木戸をくぐり階段を上がると、まさにそこは時代劇の世界。
引き戸を開けてちょいと暖簾をくぐれば、迎えてくれる様々な飲食店は7軒。
いわゆる複合型の居酒屋テーマパークと言える。

 

 



時代劇で、なにやら事件が起こりそうな雰囲気?

 

 

 

もうね、酒好き美味しい物好きの井門率いるYAJIKITA一行はたまらないわけです。

 

 

横山「もうさ、今晩ここで飲んで行くってどう?」

 

 

仏の横山氏が間髪いれずにそう言ってくる、相当魅力的な場所なのであります。

ここでお話しを伺うのは店長の前川誉彰さん。

 

 


 

 

井門「店長もお着物を着ていらっしゃるんですね!」
前川「私だけじゃなく、お店の料理人やスタッフ、それぞれが違う着物で出迎えます。
町娘の格好をした娘もいるんですよ~。」

全員「なっ!!町娘!!

 

 

すぐさまギラつくオヤジ達。
そんな事だからお店を出る間際に、
「町娘ともHP用に写真を撮りたいんですけど…」とお願いしたにも関わらず、
ほとんどの町娘に拒否されるんだぞ。
リスナーの皆さんもこちらでは決してギラギラしちゃダメです!
あくまでも江戸の風情を楽しんでいただくのが、この「いろは横丁」のコンセプト。

 

 

前川「ここのお店は1軒1軒に相当なこだわりがあります。
店の名前も、例えば焼鳥屋さんは銭形平次から取った“平次”とか(笑)」
井門「でも7軒もあったら全部のお店に行ってみたくなっちゃうなぁ。」

前川「7軒行けますよっ!

 

 

聞くとこちらの横丁は入店時に通行手形を受け取るのだそうだ。
そこには番号が書いてあり、それを持って各店舗で飲食すれば、
退店時に一括で会計をする事が出来るシステムらしい。
1軒に長っ尻するのも良いんだけど、 


こちとら江戸っ子、色んな味を試してみてぇじゃねぇか!
*井門は道産子です。

ちなみにお店は天麩羅とうなぎの「油屋」、居酒屋「野乃」、江戸前寿司「与兵衛」、
炉端焼き「太助」、焼鳥「平次」、おでん・夜鳴きそば「おせん」、寄合処「いろは草庵」。

 

 


 

 

お店の中には江戸時代の味を堪能出来る場所もあるようで、
ただ単に「タイムスリップ」という言葉では括れない程にこだわっている。
内装も至る所に遊び心があるので、良い心地で酔いながらかなり楽しめそうだ。

 

 



旦那…町娘でげす…。

 

 

 

「江戸酒場 いろは横丁」を後にした我々の“ぐるり旅”。
次に向かうのが今回の旅の最終ポイントだと言うのだが…あれ…?

 

 

井門「ねぇ、ミラクルさん!いま御徒町駅通り過ぎたよね?」
横山「吉武君、このまま進むと秋葉原方面で、

御徒町~秋葉原間は久保ちゃんが担当だよ。怒られるよ。」
ミラ「分かってますよ!でも新旧をテーマにした今回の旅では、どうしても外せないんだ!」
横山「え~、山手線ぶらりの常道から外れるの~?
分かってるの?え?この企画コンセプト。」

ミラ「…い・良いんでゲスよ!
ホラ、行ったらちょっと感動するんでゲスから!」

 

 

“ぶらりの基本”から外れたミラクルに怖いもの無し。
彼に導かれるままガード下に沿って進んできた我々の目の前に、不思議な空間が飛び込んできた。
基本的にガード下というのは、何となくアンダーグラウンドな雰囲気を醸し出している。
それはきっとどの地域でもそうだろう。
東京の動線と言われる山手線でもそれはやっぱりそうで、
特に御徒町~秋葉原間というのは特にガード下が賑わうエリアでも無い為に、
暗さや治安の悪さは昔から言われていたらしい。
ところがである。
我々の目の前に突如現れたのは清潔感溢れる真っ白な新施設!

 

 

 

 

 

 

一体いつの間にこのガード下がこんなに綺麗に…。
ミラクル氏以外は度肝を抜かれつつ、早速こちらの運営推進センターに向かった。

お話しを伺ったのは2k540運営推進センター所長:宮森康友さん。

 

 

井門「宮森さん、そもそも何で名前が“2k540”なんですか?」
宮森「そうきますよね(笑)ここが東京駅から2kと540mの距離にあるからです。」
井門「あっ、意外と単純って言うか…何と言うか(笑)」

 

 

ネーミングはシンプルなのだが、この場所のコンセプトはしっかりしている。
公式HPでは以下のコメントでそれをしっかり知る事が出来るのだ。

 

「かつて御徒町周辺は、江戸の文化を伝える伝統工芸職人の街でした。
現在もジュエリーや皮製品を扱うお店が数多くあり、職人の街の印象を残しています。
けれども昨今、時代とともに、変化する人々の感性やセンスが望むものに対して、
満足な答えを用意出来ていなかったのではないでしょうか。
このところ、東京の東エリアがおもしろくなってきています。
ギャラリー、工房、カフェ、ショップなど、
角度の高いセンスとクオリティをもった人々が東エリアに移りはじめているのです。
この流れを背景に「ものづくり」をテーマとした施設が、御徒町エリアに登場します。
工房とショップがひとつになったスタイル、ここでしか買えない商品、
ものづくりの体験が出来るワークショップなど、さまざまな個性あふれるお店が集まります。
単にモノを売るだけではなく、生活スタイルの提案ができるお店です。」(公式HPより)

 

しかもここが出来たお陰でガード下の治安も良くなったという。

 

 

宮森「やはり暗い、汚いと言う理由で地域住民の方から何とか出来ないかと要望がありました。
更に言えばここが出来る前はガード下が塞がっていた為に、
高架下を潜って通り抜けする事が出来なかったんです。」
井門「では遠回りしないと行けなかった?」
宮森「そうなんです。ところが“2k540”が出来て通り抜けが出来る様になりました。
もちろん夜の共用通路の解放は治安の関係でしていませんが、
10時~20時までは自由に通り抜けが出来るようになったんです。」

 

 

水も空気も流れを作らないと、それは澱んでしまう。
この場所が新たな発想で息を吹き返した事は間違いないだろう。

 

 

井門「しかも秋葉原から御徒町、さらに上野までの徒歩での流れが出来ましたね!」
宮森「そうなんです!電車移動だけではなく、
徒歩で流れを作る事によって、地域の活性化にもつながるんです!」

 

 

取材した日は生憎の雨だったにも関わらず、
この新しいスポットは若い買い物客で大盛況だった。

 

 


 

 

上野から御徒町エリア。(本当はちょっとだけ秋葉原に近いエリアまで来たけど…)
ここは山手線の東側でも古くから賑わっていた場所である。
しかし古くから賑わうという事は、新陳代謝が成功している場所とも言えるのだ。
古き良きものはそのままに、もちろん新しい物もどんどんと入ってくる。

 

そうすると、ともすれば新しい物に浸食されてしまいそうなものだが、
上野という場所の下地が物凄くはっきりしているせいで、この街の色は全くブレない。
それがこの街の凄い所。まさに街の“器”が大きいのだろう。
今回のテーマである「新旧スポット」を巡る旅、
僕らはこの旅で改めて街のスケールを知る事が出来た。
そして次回の旅が東京でも1、2を争うディープゾーン秋葉原への旅である。

ななな、なんとその旅でメルシー氏から重大発表もあるとか!?
次回のぶらりも耳が離せないYAJIKITA ON THE ROAD!
井門もあんな格好や…あんなカフェに行っちゃいますよ~。お楽しみに!!