「のぼうの城」公開直前!浮城のまち…行田探訪|旅人:安田美香

2012-10-26

 

わっしょーい!みなさん、ご機嫌麗しゅうございます。YAJIKITAの「でくのぼう」、安田美香でございます。

 

 

いよいよ、映画『のぼうの城』が、11/2公開になりますねぇ。待ち遠しいですのぅ。
安田は、昨年の小田原ロケの際に、小説を井門アナに薦められて読んだのがきっかけだったのですが…あっという間に『のぼうの城』のモーレツファンになり…
いつしか、「あぁワタクシは、生まれ変わったら、甲斐姫になりたい…」というロマンティックが止まらなくなりました。

 

 

今回の旅の前に試写にも行かせていただいたんですが、『のぼうの城』に出てくる人物たちは、1日1日を一生懸命に生きていて、みんなピカピカしています。中でも甲斐姫の凛とした生き方には、胸を打たれます。そして訪れる、甲斐姫の切ない恋の結末…はああぁぁぁ~!

 

 

ここで映画の中に出てくる、”安田が勝手に選んだ、甲斐姫の名セリフ!”を、ご紹介しますね。

 

 

まずはこちら。
甲斐姫「うん、そうする。」

 

 

もひとつ。
甲斐姫「お前も、馬鹿!」

 

 

…カァーッ!!さ、最高ですー!!!!たまらん~!!!!!鼻血ブー!!!!!
みなさん、映画『のぼうの城』を観て、ぜひこの名セリフに涙してくださいね。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、映画『のぼうの城』の舞台となった埼玉県行田市を、ぶらり旅しますぞ。

 

 

「行田は、忍城だけじゃあないんです!」とおっしゃるのは、「観光情報館 ぶらっとぎょうだ」の小笠原宏之さん。
こちらには市内特産品がズラリとならんでいて、行田市の観光情報がゲットできます。
小笠原さんに、ココは外せない!という観光スポットや、行田のオススメの味を教えていただきました。

 

 

 


「ぶらっとぎょうだ」の島村さんと小笠原さん


 

 

 

 

「行田をまだ知らないという方もいらっしゃるかと思いますが、自然と歴史のあふれた素晴らしい街なんですよ。11/11には、忍城時代まつりも行われます。市民のみなさんも参加して「のぼうの城」の寸劇も行います。ぜひ行田にお越し下さい!」と、行田市観光協会の島村絵里香さん。
行田に来たら、まず行田市商工センター1階の「ぶらっとぎょうだ」に立ち寄って、1日の観光プランを立ててからスタートするのがオススメです!

 

 

 

 

 

小笠原さんに教えてもらった情報を元に、まずはお隣の「足袋とくらしの博物館」へ。

 

 

 



 

 

 

 

外観は、とっても昭和レトロなカンジ。大正13年頃に建てられたというコチラの建物は、実際に使われていた老舗の足袋工場だったそうです。
中に入ると…おぉ!木造の昔懐かしい香りとともに、黒光りする古いミシンがズラリ並んでいます。ステキ!!
しかもこのミシンたち…動いてます!ひゃあ~!1899年製のミシンが、現役で動いていますぞ!

 

 

 



博物館の責任者・中島さん

 

 

 

「足袋とくらしの博物館」の中島洋一さんに、お話を伺いました。
「こちらは、昭和初期頃の工場を再現し、今も動いている足袋の製造工程がわかる博物館となっています。行田は、足袋の生産量日本一の街です。最盛期の昭和13年には8.500万足を作り、全国の8割のシェアを誇っていました。当時は100社以上の足袋屋さんがあって、街中いたるところからミシンの音が聞こえてくる、そんな街だったんですよ」
行田は木綿の産地でもあり、近くに中山道が通っていたことで、旅行や作業用の足袋づくりが盛んになったんだそうです。

 

 

 

この日は、「My足袋づくり体験会」というイベント(月に1回開催)が行われていて、足袋作りの体験に来られた観光客の方と職人さんが、ミシンを踏んで一緒に足袋を作っていました。「カタカタカタ…!」という軽快なミシンの音が館内に響きます。

 

 

 

 

 

 

 

中島さん「足袋つくりには13~15の製造工程があり、職人さんは各工程ごとに専業です。1つの工程を一生やっている方が多いので、全部の工程をできる職人さんというのは逆に少ないんです。今、そこにいらっしゃる職人さんは、つま先縫いの伝統工芸士の資格を持っているんですよ。」

 

なるほど。かかとを縫う人はかかと、つま先を縫う人はつま先、という風に、分業するんですね。なので、ミシンは横並びに並んでいて、縫い終わったら隣の人に渡す、といった流れ作業ができるようになっています。
縫製の工程は8割方は女性が縫っていたそうですが、最初の裁断と、仕上げの工程は力がいるので、男性がやっていたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、ミシンを踏んでいた職人さんは77歳、熟練のおじいさまです。「カタカタカタ……ガガガ!…ガガガガ!」と、繊細な部分は優しく、スピードを上げて縫うところは豪快な音をたてながら縫っていきます。
でも、縫っているのはなんと…水玉模様のポップな柄!(笑)。ええ~!?こんな今風の足袋もつくれちゃうんですねぇ。体験する方が好きな生地を選べるということで、世界に1つだけのオリジナルが作れるんです。コレ、いいなぁ~!私もやりたいっ!!”足袋”だけに、”旅”の記念になりますよね。ってね…。プププ…。

 

今もトップシェアをほこる行田の足袋つくり。伝統の技を守りつつ、新しい若い感覚とコラボすることで、新しい足袋の魅力を伝えてくれます。

 

 

 

 

 

さて、お次ぎは「水城公園」へ。
「はあぁ~。気持ちがイイわぁ~」。緑ゆたかで広々とした園内には、大きな池があり、こちらが忍城の外堀にあたるんだそうです。
釣り糸を垂らす地元の方の姿が多く見られます。地元の方にとっても、ここは憩いの場所なんですねぇ。

 

 

 



 

 

 

安田「こんにちは~。何が釣れるんですか?」
地元のおじさま「鯉やブナが釣れるよ。どっから来たの?東京から?あぁそう、お城行った?埼玉古墳行ったらいいよ。そこからバスに乗って行きな」
…とっても親切です(笑)。

 

 

 

 

そして、「さきたま古墳公園」に到着。広々として、家族連れでにぎわう、緑いっぱいの公園です。公園内には5世紀後半から7世紀はじめころまでに造られた「埼玉古墳群」があり、9基の大型古墳が群集しています。こちらが埼玉県名の、発祥の地なんだそうです。

 

 

 



 

 

 

 

「埼玉県立さきたま史跡の博物館」主任学芸員・岩田明広さんに案内していただきました。
岩田さん「こちらの古墳の特徴は、大きな古墳が1カ所にギュッと集まっていることです。これだけの前方後円墳が1カ所に密集しているのは、全国でもココだけなんですよ」
見渡すと、「あ!これ、古墳だ!あ、あれも古墳じゃないの?」というように、あっちにもこっちにも古墳の丘が続いています。こんな光景、見るのは初めてです、ワタクシ。

 

 

 


主任学芸員・岩田明広さん

 

 

 

岩田さん「こちらは稲荷山古墳です。教科書に必ず出てくる有名な古墳ですよ。というのも、この古墳から、国宝である「金錯銘鉄剣」が見つかったからです。
天皇に近い身分の”大王”に仕えていた人物(大王の警備隊の隊長)が、記念に剣を作らせたんですが、この鉄剣に文字が彫りこんであるんです。彫り込んだ所に金が埋めてあって、文字がキラキラ光るんですね。日本で書かれている文字の中で、1番古い年代がほぼ特定できる内容の年が記されているんです」

 

うん、確かに社会科の授業で習ったような…。す、すみません!勉強不足で(涙)。
5世紀末の古代国家成立の謎を解く、貴重な剣「金錯銘鉄剣」。この剣に彫られている銘文が、日本古代史の基準点となり、その他の歴史事実の実年大を定める上で大きく役立ったんですね。100年に1度の大発見といわれたお宝が、この稲荷山古墳から出土したんですねぇ。スゴい!
「金錯銘鉄剣」は、隣接する「さきたま史跡の博物館」で実物を観ることができます。

 

 

 


「さきたま史跡の博物館」

 

 

 

すすきが揺れる斜面を登り、稲荷山古墳のてっぺんに上がると…わぁ~!絶景です!
東側には田んぼが広がり、のどかな光景が広がっています。

 

 

 



 

 

 

岩田さん「左手に見えるのが、将軍山古墳です。こちらはある程度発掘をしてありますので、復元もできてるんです。だから、埴輪が並んでますよね?あの埴輪は復元した複製品になります」
うぉー!まさに教科書で習った、前方後円墳が目の前に!上から見ると、形がよくわかります。そして、その古墳を縁取るように、茶色の埴輪くんたちが何十体も並んでいます。ミステリアスな光景ですが、埴輪くんたちが列をなして並んでいる姿は、なんともかわいらしくて親しみが湧きます。

 

 

岩田さん「そして正面にみえるのが、埼玉古墳群で1番大きい、二子山古墳です。140mほどの長さがあります。さらに右手に見えるのが、日本で1番大きい円墳、丸墓山古墳です」
安田「おおー!石田三成様が、忍城攻めの時に陣を張ったと言われる、あの丸墓山ですな!」
岩田さん「でも実際には、本当に登ったかどうか?陣をどこに張ったか?ということは、わかっていないんですよ」
…ええー!?そっか、それも謎なのですねぇ。でも目を閉じると…やっぱり、丸墓山に三成が立っているような気がします!

 

安田「しかし、なぜこんな風に1カ所に、古墳がかたまっているんですか?」
岩田さん「お墓ですから、1カ所にかたまっているものなんです。今、この埼玉古墳群では9基の古墳が整備されているんですけど、ほら、後ろに丸い植え込みが見えますよね?あれ、古墳の跡なんです。あちらに見える田んぼの下にも、実はたくさんの古墳があったんです。古墳って、実はものすごくたくさんあるんですよ。そういう形で、古墳というのは基本、集まっているものなんですが…
ただ、この埼玉古墳群が歴史上謎だと言われるのは、大きな古墳が集まって連続して作られたという点です。
なんでこの場所に作られたのか?ということに関しては……1番楽しみな”謎”というコトで(笑)」

 

 

昔はここに河川があって、交通の要所だったから、という説も考えられているそうですが、ハッキリしたことは誰にもわからないそうです。
「1番楽しいのは、想像していただくことですね」と、岩田さん。

 

訪れた私たちは、古墳のてっぺんに登って、古代のロマンに思いをはせることができます。

 

 

 

そんなこんなで夕暮れ時になりまして、腹がへってまいりました。
そこで、「行田ゼリーフライ研究会」会長・松井秀二郎さんと待ち合わせ。
松井さん「行田には”ゼリーフライ”と、”フライ”という、2つのB級ご当地グルメがあるんです。ぜひ食べていってください!」
というコトで、「まちこ庵」という”フライ屋さん”へ連れて行っていただきました。

 

 

 



 

 

 

しかし一体、ゼリーフライとは何ぞや?まさか、プルプルしたお菓子のゼリーを揚げちゃったの?

 

さっそく、ゼリーフライが運ばれてきましたが…ややっ!?なんじゃこりゃ?
見た目は、衣の付いてないコロッケです…(笑)。
安田「いただきまーす!アツッ!熱っ!ハフハフ……ん!美味しい~!!」
松井さん「でしょう?」

 

 

 


これが…「ゼリーフライ」

 

 

 

ふかしたジャガイモ、おから、人参、ネギのみじん切りをこねあわせて、衣を付けずに揚げてある、これが”ゼリーフライ”なのです。
外側カリッと、中はモチモチしてるんですけど、口の中でおからが「ハラハラッ!」とこぼれて、今までに食べたことのない食感にビックリ!
松井さんいわく、「どっかで食べたことあるけど、今まで食べたことのない味」とのコト。
揚げてからウスターソースにくぐらせてあるので、そのままパクつけます。素朴で懐かしい、優しい味です。

 

 

 


「行田ゼリーフライ研究会」会長・松井秀二郎さん

 

 

 

安田「美味しいわぁ!…でも、なんで”ゼリーフライ”なんですか?」
松井さん「名前の由来は、形が小判の形をしていることから、昔は”銭フライ”と呼ばれていて、「銭」→「ゼリー」となまって、現在の”ゼリーフライ”となったと言われています」
なるほど、”銭”からきてるのかぁ。銭、なんて古い言葉が出てくるっちゅーコトは、この食べ物は歴史があるんだなぁ。そのルーツは、日露戦争の頃、中国から伝わった「野菜まんじゅう」なんだそうです。
松井さん「行田は水が良くて、お豆腐屋さんが多かったんです。するとおからが出ますよね。それを利用して作られたんですね」
おからたっぷりなのでヘルシーで、カロリーはコロッケの3分の1しかないんだとか。

 

 

もう1つの行田のB級グルメ、”フライ”も運ばれてきました。は!?これは…お好み焼きでは?明らかに粉モノ。エビやサツマイモを揚げる、いわゆる”フライ”とは全く別物です(笑)。

 

 

 


これが…「フライ」

 

 

 

安田「ハフハフ……おひょ~!これまた、美味しい!」
お肉とネギと桜えびがいっぱい入っていて、イ~イ香り。お好み焼きより薄くて、クレープのようにフワリとしているのがおもしろい!ちなみに、桜えびを入れるのはコチラのお店のオリジナル。ソースまたは醤油で食べるお店もあり、それぞれ味が違うそうなので、食べ比べるのも楽しいかも!

 

松井さん「昭和初期、行田では足袋の生産が盛んで、足袋工場で働く女工さんがたくさんいたんです。この”フライ”は、安くてボリュームがあるので、女工さんたちが小腹がすいた時に食べるおやつや夜食として、大ヒットしたそうです。今でも行田では、”フライ屋さん”が40軒もあって(その中でゼリーフライを扱っているのは20軒)、私たちも子どもの頃からお昼ご飯に食べたりと、行田市民に愛されている味なんですよ」

 

 

関東では、行田のフライか、月島のもんじゃくらいしか、粉もので商売になっている所はないそうです。
へ~、知らんかった!みなさんに、これはぜひ体験してほしい味です!

 

 

 

 

「ふぅ~、美味しかった!ごちそうさまでした!!」
店の外に出ると、もうとっぷりと日は暮れ、見上げるとお月様の姿が。これで旅もおしまいかぁ。…名残惜しいなぁ。
安田「いやだよぉー!まだ帰りたくないよー!よっしゃ、もう1軒行くぞー!!」
ヤジキタスタッフ一行「いやだー!帰るっ!行田は良い所だけど、もう安田には腹いっぱいだー!!」
叫ぶヤジキタ一行をひきずりながら、あらたなお店を探しに旅立つ、安田でございました…ゲッヘッへ。

 

 

映画「のぼうの城」の舞台として、今、注目を浴びている埼玉県行田市。その魅力は、忍城だけじゃあありません。昔から伝えられてきた伝統の技、自然、歴史、食があって、それは今を生きる行田の人々の中にしっかりと受け継がれています。
みなさんもぜひ、歴史の街・行田へ、タイムスリップしに行ってはいかがでしょうか?
旅人は、安田美香でした!バハハ~イ!!