三重県の世界に自慢できる食を探す旅|旅人:服部好伸

2012-12-07

 

 

美味しい物を求めて街を訪れる事が大好きな旅人、服部好伸です。
今回は三重県の食の旅です。
松阪牛、赤福、伊勢エビ・・・、三重と聞くだけでも代表的な食が浮かんできますが、
いやいや、もっともっと隠れた名産、知られざる歴史があるはずだ!ということで、
スタッフに連れられ、「三重が世界に誇れる食」を探し求めて旅がスタートします。

 

 

 


津駅からスタート!

 

 

 

最初に訪れたのは、三重県津市大門という繁華街。
お店には、「めいふつ 天むす 千寿」と書かれたのれんがかかっていました。
おや?おやおや?
私も天むすが大好きでよく食べていますが、天むすって名古屋の名物じゃないですか?
すると、千寿の3代目女将、福田さん曰く、
「天むすは、三重県が発祥で、ココ千寿が発祥の店です!」とのこと。
勉強不足で申し訳ありません。

 

 

 



 

 

 

天むすは、昭和30年代の始め、先代女将が天ぷら屋さんを経営してた。
忙しいお昼の時間に、ご主人のまかない用に、
車エビの天ぷらをおむすびの具にしたのがスタート。
これを商品としてお店で提供したところ、大行列が出来る人気商品になったそうです。
しかし、当時あんぱんが1個5円だった時代に、天むす1人前25円という超高級品!
それでも、ご褒美に天むすを求めるお客さんが絶えなかったとのこと。

 

 

 



 

 

 

実際にいただきましたが、シンプルであっさりした味にこだわっているという通り、
まさに素材そのものの味が凝縮されていました。
私も今まで、色々な天むすを食べてきましたが、タレの味が強すぎるものが多かった印象があります。
もちろんタレの味も好きなのですが・・・。
ただ、千寿の天むすは、米、エビ、油、塩、海苔、
それぞれの味・香りがちゃんとバランスよく感じられる絶妙な味です。

 

さて、天むすに添えられているのは、なぜ「たくあん」ではなく「きゃらぶき」なのか?
それは発祥のお店、千寿に秘密がありました。
「天むすを発案した先代が、たくあん嫌いだった」
・・・なるほど!そういう秘密があったんですね。
一人のワガママが、伝統を作り上げる事もあるんですねぇ。

 

 

 


2代目、3代目と…

 

 

 

三重県が世界に誇る食と言えば欠かせないのは、「松阪牛」。
ステーキ?すき焼き?と期待して次のお店に移動。
到着するとそこは「元祖 焼肉ホルモン 脇田屋」。

 

 

 

 



 

 

 

ありゃりゃ?ホルモン??
私が勝手にイメージしていたのは、分厚いステーキだったんですけどーー!

 

でも考えてみれば、牛ですから、ホルモンがあって当然なわけですが、
「松阪牛のホルモン」というのはあまり聞いた事がない・・・。
店長の森口さんに聞くと、古くから松阪牛を扱っている老舗じゃないと、
お肉そのものが手に入らない。特にホルモンとなると、仕入れるのは困難だそうです。
さすが!60年以上お店をやっている脇田屋さんだからこそ成立しているんですね!
そして、脇田屋のイチオシは、創業当時から伝わる秘伝の味噌ダレ。
盛りつけられているお肉の中央には、味噌ダレがたっぷりのっています。
こんなスタイル初めてーーー!

 

 

 



 

 

 

味噌を付けて網に乗せると、炭の香りと、味噌が焦げた香りが最高です。
生でも食べられるほど新鮮なお肉なので、焼き過ぎには注意!
焼き上がったら、お好みでさらに味噌ダレをつけて召し上がれ!!
うまーーーい!やわらかーーーい!ビールが欲しい!!
でも、「仕事中だろ!」とスタッフに睨まれたので、ご飯下さい。。。

 

 

 



 

 

 

ホルモンは油のノリが絶妙で、噛めば噛むほどジューシー。
カルビは柔らかく、口の中で溶けるとはこのことでしょうか。
個人的にはハラミが大好物。
程良い噛み応えと、カルビよりあっさり食べられるのがお気に入り!!
インタビューを終えたあと、ディレクター、作家、カメラマンとともに、
肉とご飯をおかわりして、ガッツリいただきました。

 

ちなみに、上カルビでも1人前1680円。老舗だからなし得るこの価格設定。最高!!

 

 

 



 

 

 

さて、松阪市へ移動してやって来たのは「エスカルゴ牧場」。
ここでは、エスカルゴを養殖されているという噂ですが、あじさいでも栽培してあって、
そこにたくさんいるのでしょうか?それはかたつむり?エスカルゴってかたつむり?
食べられるの?養殖ってどういう事?世界に誇る食?フランス料理じゃないの?
すみません。

 

 

 

 

 

 

とにかく「?」がたくさん頭の中を巡っているので、とにかくお話を聞いてみましょう!

 

結論から言います!
株式会社三重エスカルゴ開発研究所の高瀬社長は、
「世界で初めてエスカルゴの養殖に成功した人」です!!!

 

エスカルゴのブルゴーニュ種は、本場フランスでも絶滅の危機にある貴重な食材。
ヨーロッパに何度も足を運び、調査・研究を重ね、
土、温度、湿度、餌など、全て自然界に生きている環境を長年かかって再現し、
30年かかって、何億という費用をかけて、
世界で初めてエスカルゴのブルゴーニュ種の養殖に成功。
しかしなぜ、もともと鉄工所の社長だった高瀬さんがエスカルゴの養殖に成功したのか?
色々話を聞いて、私なりに結論が見えました。

 

 

 


エスカルゴについて熱く語る…高瀬さん

 

 

 

そもそも、高瀬さんがエスカルゴに興味をもったのは、
「エスカルゴという生物を見てみたい」という生物学的な興味だそうです。
小さい頃から生き物が好きで、“生物”というジャンルにとても興味があったので、
「エスカルゴという生き物についてもっと知りたい!」と思ったのが全ての始まり。
実際にフランスへ行っても、本物のエスカルゴはなかなか生息していなく、
希少な生物であることを知り、ここにビジネスチャンスがあるのではないか?!
そこで厳しい規制を乗り越えて研究を重ねているうちに、「研究にはゴールがない」
という事を思い知らされ、「今も研究を続けている」そうです。

 

一方で、エスカルゴという生き物について、「一人でも多くの人に知ってもらいたい」
という思いから、今はエスカルゴ牧場で、試食のみならず実際の養殖現場の見学会や
一流レストランのシェフを招いて勉強会を開いています。

 

 

 

 

 

 

私も実際に「ブルギニョン」と言われるフランスの代表料理をいただきました。
エスカルゴのむき身を、ソースで煮込んで、パンに乗せて食べる。
人生初のエスカルゴ・・・。一言、美味い!食感は「貝」と一緒。
社長がフランスへ行って研究し、再現したというソースがバツグンに美味しい。
そのソースもただ材料を集めるだけでは再現できないそうです。
少しでも美味しく、本場の味に近づけるため、使う食材を研究所の庭で栽培しています。
とにかく徹底的にこだわり抜いた逸品なのです!
そりゃ、美味いはずだ!!

 

最後に、普段は口にする事ができない、エスカルゴを湯通ししただけの“刺身”も
特別にいただきました。最後の最後にカミングアウトします。

 

 

 


見た目は…(汗)。でもお味は格別なんです!

 

 

 

「私・服部は、生の貝類が苦手です!!!」

 

 

天むす、松阪牛、エスカルゴ。三重が世界に誇る食を巡って来ました。
普段何気なく口にしている物にも、たくさんのエピソードがあり、
追求していくと勉強になることが多くあります。
旅に出かけ、気になる食材を口にした時は、「なぜ?」という言葉を投げかけてみると、
新しい世界が見えてくる事間違いありません!!

 

食に歴史あり、人に拘りあり!!

 

 

 


高瀬さん!これからも頑張ってください!