『東京発どこいくツアー』中野界隈編|旅人:井門宗之

2013-02-14



 

東京にはいくつかの“マニアック”と呼ばれる町がある。
それはもはや良い意味でなのだけど、そうだなぁ、例えば「秋葉原」。
ここはもうマニアックの中でもワールドクラスの知名度なので、少し別格。 


ではここはどうだろう、「中野」。
誰かと中野の話をすると「そうそう中野に凄くマニアックなギターショップがあって…」とか、
「中古レコード店なんだけど、かなりマニアック品揃えなんだよなぁ。」とか、
結構な割合で“中野に限定感を持たせる店”の情報が出てくる。
不思議なんだけどままあるんですよ、こういう事が。

 

じゃあちゃんと中野の事を知っているか、というと意外と知らない。
僕の知ってる中野というと「中野サンプラザ」と煮込みの加賀屋、
中野ブロードウェイ、まんだらけ…。あと佐世保バーガーの店もあったなぁ。
うーん、やっぱり全体像ではなくて点でしか知らない。
中野の歴史と言われてもピンとこない。
いったい江戸時代の中野はどんなだったのか?
ブロードウェイはいつ頃から出来たのか?

 

 

井門「よし、次のどこ行くは“中野”にするよ!」

 

 

という訳で、知っている様で知らない中野を巡る事にした「どこ行く」。
ただそこはYAJIKITA。ど真ん中直球を投げるわけがありません!
今回の構成は親分。「勿論真ん中も攻めるけど、一味違う」のであります。
ちなみに中野駅は東京駅からだと中央線の快速で一本だ。時間も20分弱。 


そう、まず中野について特筆すべき点は“アクセスの良さ”だろう。
新宿まで5分、渋谷まで13分、池袋まで16分。
中央線と地下鉄東西線が走り、駅前は開発が進み今後は早稲田と明治の大学校舎も建つという。
そして中野区まで範囲を広げれば杉並・練馬・豊島・新宿・渋谷という5区に挟まれた場所。
南北に長い区でもあるのです。
どうしても中野=駅前のイメージが強いですが、それだけが中野じゃない。 


今回の旅のスタートは中野区の北にある哲学堂公園

 

 

 



 

 

かの哲学者:井上円了先生が創立された精神修養の場としての公園であります。
建てられたのが明治37年ってんですから、相当歴史がある。
どんな公園かって言うと…
「哲学世界を視覚的に表現し、
哲学や社会教育の場として整備された全国に例を見ない個性的な公園」との事なんですけど…。 


入口の門からして何やら…だって瓦に「」の字が入ってるしなぁ。

 

 

 



 

 

こちらの高橋一平さんにお話しを伺いました。
聞けば哲学堂の名前の由来には、 


公園入口すぐの場所にある「四聖堂」というお堂が関係しているようで。
こちらで言う四聖とは哲学の大賢人たちの事なんですね。
皆さん分かりますか?

 

 

井門「えーっと…えーっと…あれだ! 


卍丸センクウ羅刹影慶!!」

 

サリー「井門さん、それアレです。 


男塾のヤツです。」

 

高橋「四聖とは孔子釈迦ソクラテスカントの4人です。」

 

井門「ですよね、知ってた知ってた。(←おい)
四聖堂の中に祀られている像、あれは?」

 

高橋「はい、釈迦の涅槃像です。」

 

 

 

四聖堂内の中には、釈迦涅槃像が安置してあります

 

 

釈迦の涅槃像を見て、自分の空気読め無さに切なくなった井門P。
ちょうど四聖堂の西側に赤色の六角形の塔が建っている。 


どうしたって目を引くこちらの塔、その名を「六賢台」と言う。

 

 

 

屋根の棟瓦に、天狗がついています

 

 

井門「ここもどなたか祀られていると?」

 

高橋「はい、六人の賢人たちが…。」

 

井門「えっと…雷電、飛燕、月…ゴンッ!!!!!(←何か硬質な物で殴打)」

 

高橋「あっ、えぇと…聖徳太子菅原道真荘子朱子龍樹迦毘羅仙の六人を「六賢」として祀ってあるんですよ!
この公園内には全部で七十七の円了さんが名付けた施設や物もあります。」

 

 

そうなのだ。
円了先生が講義を行ったという「宇宙館」や、
蔵書の図書館でもある「絶対城」など、哲学にまつわるちょっと難しい施設が…。

 

 

 

宇宙館の中、皇国殿に安置されている聖徳太子立像

 

 

高橋「でもあまり難しく考える事はないですよ。
ここは四季折々で花も美しいですので、どうぞ気軽に足をお運び下さい!」

 

 

 


高橋さん、ありがとうございました

 

 

 

サリー「何だかちょっと賢くなった気がしますね。」

 

親分「もうちょっと中野について詳しくなりたくないかい?」

 

一同「もっちろん!」

 

 

という訳で続いては中野区歴史民俗資料館へ。
大通りを一本中に入った場所にある資料館、
かなり立派な建物で展示物もしっかりしている。

 

 

 



 

 

館内は1階、2階に分かれていてそれぞれの展示がなされているのだけど、
かなり面白いんですよねー。
で、そんな面白い館内をご案内してくれたのが、

 
中野区歴史民俗資料館 企画・広報ディレクターの石村篤史さん
この方の「中野愛」が凄かったんだよなぁ…。
恐らくこの方が招致すれば「中野オリンピック」も開催可能なのではないか!?
そんな石村さんに中野区のあれこれを教えて貰いました。

 

 

石村「中野区はそれこそ縄文時代から人が暮らしていた痕跡が残っているんです。
こちらの展示は区内から出土した縄文土器、弥生土器を展示しています。」

 

井門「縄~文土~器、弥生~土器~、どっちが好き~♪」

 

石村「どっちも土~器♪」

 

 

 

じょ~もんどきっ! やよいどきっ!

 

 

石村「かなり人が生活した跡が残っているんですが、 


実は凄いミステリーがあるのです!」

 

井門「おぉ!不○議発見だ!」

 

石村「縄文時代、弥生時代にこんなに痕跡が残っているのに、
奈良時代-平安時代-鎌倉時代に渡って、 


人の生活の痕跡一切無いんですよっ!!」

 

井門「じゃあ、その間の事は…?」

 

石村「それは想像するしか無いんですよね。」

 

 

な…中野区のミステリー、結構ハンパ無いっす。
例えば5年、人の住んでいた痕跡が無いくらいならまだ分からないでもないですけど、
だいたい600年くらい、この広い中野区に人が生活していた痕跡が無い。
タイムマシンがあったら、是非ともこの時代の中野区に来てみたいなぁ。
館内には1階に大きな中野区の地図があって、
そこには歴史的な施設が“当時この辺にありましたよ~”というのを示してくれる。

 

 

 



 

 

石村「江戸時代には綱吉の時代に駅前に犬屋敷があったんですよ。」

 

 

生類憐みの令で集められたお犬様、その数およそ8万頭。
犬屋敷の場所は現在の中野駅前の敷地で、面積は最盛期でおよそ30万坪もあった。
これは東京ドームおよそ20個分と言わるわけですが…。

 

 

井門「相当な広さですけど、匂いも凄かっただろうなぁ。」

 

石村「江戸中の犬が集められていたんでしょう。
犬を運ぶ籠の展示もありますが、
これは文献でしか残っていないので、想像での復元展示になります。」

 

 

 



 

 

石村「中野区は住宅の多い杉並区さん、練馬区さんや都会の新宿区さんなんかに挟まれた場所。
だからこそ面白い文化や歴史が生まれたっていう点もあると思うんです。」

 

井門「石村さん?」

 

石村「はい?」

 

井門「中野区の事、愛してるでしょ?」

 

石村「はい!愛してます!

 

 

こういう方がこういう施設で働いている限り、中野区は安泰だと思います(笑)
石村さん、お忙しいなか有り難うございました!

 

 

資料館を後にした我々は、中野区の中でも大きな公園「平和の森公園」へ。
復元された遺跡を冷やかしたり、アスレチックでキャッキャしたりしながら、
(親分に「早く行くぞ!」と怒られながら)、ここで目指すは刑務所の跡。

 

 

井門「え!?中野に刑務所があったんですか?」

 

親分「そうなんだ、しかも昭和58年までここに存在したんだよ。」

 

井門「それがこの平和の森公園の中に?」

 

親分「というか元々刑務所の敷地がこの平和の森公園になったんだよ。
その刑務所の名残が少しだけの残ってるんだ。」

 

 

公園内を歩いていると…親分の言う通り、ありました。 


旧豊多摩刑務所表門
赤レンガ作りの門で、アーチの両側に窓がある。
聞けば大正時代の名建築らしいのです。

 

 

 



 

 

親分「さぁ、ここから沼袋を抜けて中野の方に歩くよ!」

 

 

という訳でこの辺りに土地勘のない男達がぶらぶら。

 

 

サリー「こっちで良いのかなぁ…。」

 

井門「どっちかなぁ…。」

 

親分「地図で見るとこっちなんだけど…。」

 

哲也「あっ、僕の友達が昔この辺に住んでたんで、詳しいっすよ!」

 

一同「先に言えよ!!(怒)」

 

 

 



 

 

という訳で哲也の先導で中野を進むYAJIKITA一行。
薬師あいロード商店街をぶらぶらしていると、甘~い香りが。
ここでお洒落なキャンディ屋さんはっけーん!!!

 

 

 



 

 

お話を伺ったのはキャンディに負けず劣らず、 


可愛らしい広報の小井土仁美さん
こちらのお店は『パパブブレ』という名前で、本店はバルセロナにあるそうな。
都内にも何店舗かあるんですけど、
こちらのお店同様、駅からかなり遠い場所にある。

 

 

 



 

 

井門「何か理由はあるんですか?」

 

小井土「実はバルセロナのお店も街の中ではなく、郊外にあるんですよ。
それは歩きながら街の中を見て欲しいからなんです。
お店を目指して歩きながら、街も同時に楽しんで欲しいという思いがあるんです。」

 

井門「店内は目の前でキャンディを作ってくれるんですね!」

 

小井土「今日もこれから始まりますよ!」

 

 

 



 

 

 

すると店の奥から飴の原料を運ぶ男性2人の姿。
大きな鉄板の上にその原料を流し込むと、空気を含ませながら成形していく。

 

 

スタッフ「この状態の飴は160℃くらいありますから、熱々ですよ!
少し固まってきても100℃はありますから、気は抜けません。」

 

 

 

 

 



 

 

マンゴー味のキャンディは様々な色の変化を見せながら、
最終的には金太郎飴の様なキャンディになりました。
どこから切っても中からマンゴーの絵が出てくる!!
出来たてのキャンディを試食させてくれるのも嬉しい!
街の子供達がお店には集まっていて、目をキラキラさせながらその様子を見てるんだよなぁ。
お洒落な店内に、地元の子供達の歓声。
絵本の世界の様で、楽しいお店でした。

 

 

 


小井土さん、ありがとうございました。

 

 

そしてYAJIKITAの旅は、ついに中野の本丸と言うべき場所へ。 


そうです中野ブロードウェイです。
理事長の青木武さんにお話しを伺いながら、ブロードウェイの歴史を知るわけですが…。

 

 

 



 

 

 

サリー「ちょっ、俺、中野ブロードウェイ…初めて来たですよ…。」

 

親分「えっ!?じゃあ、ちょっと後で見ていこうか?」

 

サリー「いや、悪いっす。そんな、俺一人でロケの後に見てくるんで…。」

 

 

 

 

 

と遠慮するサリーだったが、
結局ロケ終了後、おっさん4人でまんだらけ等を堪能するのでありました(笑)
僕も久々に行った(恐らく10年以上ぶり)んですけど、
それぞれのお店の個性が、妙に惹きつけられるんですよね。
漫画然り、機材関係然り、プラモ然り。
普段は全く見ないジャンルなのに、初心者の僕でも楽しめてしまう。
これ…上級者になったらどれだけ楽しいんだ、このエリア…なんて事を考えてしまうのですが、
いやいや、たまに来るから楽しいんだろうなぁ、と。

 

ブロードウェイの後は、犬屋敷の碑を確認しに行ってロケも無事に終了。

 

 

 



 

 

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本来ならば中野駅前からスタートして、界隈をブラる(“ぶらりする”の意)どこ行く。
それを今回は輪を広げて、どんどんと中心に近付いていく様なぶらりをしました。
でもだからこそ、中野の歴史を体感する事が出来た様な気もします。
たまにはこういう“どこ行く”も良いですね。
広い範囲でその街を見る。
あっ、そうか。
途中で出会った「パパブブレ」の趣旨はこういう事なのかもしれないなぁ。
今回はいつもにも増して、色んな歴史に触れられた気がします。
中野の魅力、再発見!出来たかな??
本当はですね、中野って駅前のすぐ近くにDEEPな飲食店街があって、
そこがまた楽しいんですけど…それはまた皆さんがいらっしゃった時に、
思い思いに楽しんでくださいませ。
*ちなみにYAJIKITAはロケの後、早々に飲み屋街に消えました。
東京発どこ行くツアー!
次はどこ行く?