鳥取の誇りを堪能する旅|旅人:中田美香

2013-06-20

 

「まったくオマエはアピールが下手なんだよっ」
今回の旅で何度このセリフをテツヤは浴びせられたのだろうか・・・。
鳥取県出身、我らがチームヤジキタの期待のホープ!カメラマンのテツヤである。自ら志願して決定した今回の鳥取だが、どちらかというと口数少ないテツヤは、地元の良い所をスタッフに大アピールするどころか、結構、いや、かなり控えめにアプローチをする。
旅をしている最中も我々は幾度となく叫んだ。

 

「スッゲー!!!鳥取って砂丘だけじゃないし、らっきょうだけじゃないぢゃん、テツヤー!知られざる魅力がタンマリだよ!」
そんなふうに興奮気味なる我々を横目に、テツヤは静かにほくそ笑むのである。
決して自慢はしない。そーいうオトコなのだー。

 

でもこの仕事にそんな控えめさはいらないとばかりに“アピール下手”のレッテルを貼られてしまった悲しいサガ。
しかし、今回の旅は、そんなテツヤを含めた「鳥取県民が全国に誇る“鳥取の誇り”」徹底調査だっ!!!
いくよー。

 

 

 



 

 

まずは河原城に向かった。
ここは、豊臣秀吉も陣を築いたという城だ。
天守閣のテラス展望台からグル~リ一周。
オーーー!ナイス景色!
遥か遠くに鳥取砂丘がボンヤ~リ&中国山地の山並みが一望。
そして、田んぼがあって、低い山々があってと、これぞまさに“ザ・ニッポンの原風景”!見事な里山が広がっているではないかーー。こりゃあ、一見の価値ありっ。

 

私:「テツヤ、ココ、スゴい綺麗じゃん!幼い頃にも良く来たの?」
テツヤ:「いや、初めてっす」
全員:「おーーーーーーーい!」

 

続いて、鳥取市内からブ~ンとクルマで30分、八頭町に到着した。
これまた、田植えを終えた田んぼに、緑の山々が広がり、澄み切った空気がな~んとも心地良い。
その豊かな自然風景の中、突如としてクリーム色に赤や緑があしらわれたお洒落な建物が出没した。
ナンダ?ナンダ?ナンダ?
早速クルマを停める。

 

 

 

 

 

 

花壇に花が植えられ、アイビーのツタが絡まるお洒落な看板には
「大江ノ郷自然牧場・ココガーデン」の文字。
そして、家族連れから、恋人、女子のグループなどなど、まだ朝も早い時間からひっきりなしに人々が集まってくるではないか。
どうやらココは、ジモティに愛されるカフェらしい。
店内は、ガラス張りで、北欧のインテリアが光り、里山の風景が借景のようになっている。う~、こんなところにデートで訪れたいワ♩
メニューを見ると、美味しそうなスウィーツの数々がズラー。
そんな甘味ラインナップの中で、目を引いたのは「大江ノ郷特製たまごかけご飯セット」だ。
カフェなのに、た・ま・ご・か・け・ご・は・ん???
「大江ノ郷自然牧場ココガーデン」の店長、岡村浩道さん曰く、一番の自慢は、こちらの牧場特製「天美卵」と呼ばれている卵なんだそうだ。
なんでも、全国から注文が入るほどの人気を誇る自慢の逸品らしい。
その卵へかける愛情やこだわりは、とにかく徹底している。

 

 

・鶏は、平飼いであること
・採卵当日に発送すること
・天然由来の飼料と天然の地下水を使用
・DHAと天然ビタミンEが豊富
・鳥インフルエンザとサルモネラ菌の検査を徹底

 

 

贅沢な環境から生まれる「天美卵」は、鶏の一生の中でも一番美味しい時期のみに採っている。その美味しさは、特に生で味わうと、より実感できるという。
そこで、早速たまごかけご飯をオーダー!

 

 

 


岡村浩道店長

 

 

 

まずは、天美卵を割って器に移してみた。
黄身はコユ~い橙色。芸術的なほどに美しぃ。
白身は2段になっていて、黄身の周りがより厚めに包みこまれている。
さらに岡村さんに促されて、卵全体をお箸でぐいっと持ち上げてみた。
これが、も~ポヨポヨ。黄身の弾力性がハンパない!
だって、お箸でツンツンしてもなかなか崩れないんだもん!

 

 

 

 

 

 

お味のほうはもちろん濃厚。
こりゃ、ロッキーなみに卵を一気飲みしたくなるゼー。
自慢のコシヒカリにタラーっと垂らして頂いたもんならば、こりゃまさに昇天でございます。
この天美卵を使ったスウィーツの数々が、日々ココガーデンからドーンと誕生しているのだ。

 

「大江ノ郷ぷりん」に「大江ノ郷バウムクーヘン」、「メープルシフォンケーキ」などなど、端からぜーんぶ食べてみたいんですけど・・・・モチロンそーはいかず・・・・。
悩みに悩んだ末、パンケーキを注文した。

 

 

 


スフレパンケーキ


フレンチパンケーキ

 

 

 

スウィーツへのこだわりとして、もう一つ。
ココガーデンではベーキングソーダなどはいっさい使用せず、白身でしっかりメレンゲを作り、膨らませているソーダ。
パンケーキにフォークを入れると、生地がフッカフッカなのが分かる。
そして、口にいれると、すーっとトロケていく。
スタッフは異口同音に、東京で大人気のパンケーキ店の数々をかる~く、はるか~に凌ぐ美味しさだねって。これマジです。秀逸過ぎです。

 

帰りにワタクシ、お土産にしっかり卵を購入・・・。
自宅で既にたまごかけご飯を3日続けて堪能してしまったです。ハイ。

 

続いての鳥取の誇りは、“とうふちくわ”。
とうふちくわとは、江戸時代から鳥取東部に伝わる特産品なのだそうだ。
名前のとおり、原料には豆腐が入っている。
各メーカーによっても微妙に異なるが、豆腐が7割で、魚のすり身が3割という割合が基本だそうだ。
この“とうふちくわ”を全国にPRし、“とうふちくわ”をもって、地元・鳥取を楽しむことを目指して活動している「鳥取とうふちくわ総研」なるところがある。植田英樹所長は、お会いするやいなや、満面の笑みで、
「こんにちくは」!

 

 

 


こんちくわ~!終始ノリノリの植田所長

 

 

 

完全に掴みからモッテカレマシタ!
“とうふちくわ”の美味しさにはもちろん、植田さんのマシンガントークにもオドロキ&オモシロすぎなのだ。

 

ちなみにコチラ、地元の殆どのスーパーなどで扱っているそーだ。
早速、“とうふちくわ”を頂いてみた。
「ん?ちくわだと思って口に含んだら、やわらか~い。溶けますぅ~」
そしてしばらく噛むと、大豆の香りが口いっぱいにジワ~と広がり、さらに噛むと、魚のうまみがホンワ~りと。
この食感や味、見た目、その全てが初体験だった。

 

 

 

 

 

 

私:「これ、テツヤも食べてたの?」
テツヤ:「はい。フツーに家で食べてます」
皆:「それ早く言えよーーーー!全国の人が知らない情報こそ貴重なんだゾ」
テツヤ:「そ、そーいえば、東京には売ってないっすねぇ」
全員:「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!」

 

一般的なちくわと比べても、豆腐だけに低カロリーで高タンパク。
たらふく食べても太りにくい、ヘルシー且つ美味しい“とうふちくわ”。

 

私:「なんで全国的に販売しないのでしょうか?」
植田所長:「んー、賞味期限が短いですしねぇ。要冷蔵ですから~」。

 

ちなみに、鳥取県民はコレを“手でちぎって”そのまま、またはショウガ醤油、わさび醤油につけて食べるんだそうだ。
植田所長:「炒め物にしてもイケるよ」
たしかに・・・・・美味しそうだ!

 

日常生活において、ちくわを生で食べるという、古くは江戸時代から伝わるこの食文化。やっぱり、鳥取県!食文化もオモシロいな!

 

かわっての鳥取の誇りは、三徳山三佛寺にある「投入堂」だ。
旅の前日、ミラクルからポヨヨ~ンとメールが届いた。
「投入堂への登山は非常にハードですから、各自ホームページを見て装備をしてきて下さいネ。では明日宜しく!!!」・・・。

 

ん?どれどれ?
前日にホームページを検索して、ワタクシ、あ・ぜ・んとしました。
だって、標高900メートルの三徳山に境内を持つ山岳寺院の中にある投入堂。垂直に切り立った絶壁の窪みに建てられた国宝で、「日本一危険な国宝見学」と書いてあるではないか!

 

登山心得は以下の通りだ。

入山届けを提出すること。
2人以上で入山すること。
靴の確認を受けてから入山すること。
立ち入り禁止区域には入らない事。
荒天時は入山を禁止する。

 

かなりビビリまくり、体力に自信がないワタクシ、本格的なトレッキングの服装とシューズをカバンにつめた。
そして、取材当日・・・・朝から雨がポツポツ・・・登山可能か微妙なお天気である。
完全装備でホテルのロビーに降りると、開口一番にミラクルが言った。
「気合い入りすぎじゃね」?!
ふんにゃー!(ワタクシのココロの声)
見ると、ミラクルは前日となんら変わらぬジーンズにシャツという出立ち。足元はデッキ・シューズ風の履物。
私:「だって、しっかり装備してコイっていったのは、ミラクルじゃん」
そんな言い合いがありつつ、ひとり上下しっかりキメ込んだワタクシは、弱冠KYな雰囲気を感じつつも、いざッ、現場まで直行した!

 

投入堂までは、三徳山三佛寺の執事次長、米田良順にご案内頂いた。

 

 

 



 

 

 

まずは、参拝者受付案内所で投入堂への参拝希望を確認、靴のチェックをうけた。
すると・・・・ワタクシ以外のスタッフは全員、入山に危険な履物と判断され、わら草履を購入して履き替えることになった。
ザマー、じゃなくて・・・・。 


わ、わら草履も、なかなか履く機会はないし、そもそも一番滑りにくいと米田さんが教えて下さる。
また、素足に近く、見た目にも気持ち良さそーだ。

 

霊山であり、修行の山でもある三徳山は、これまで決して歩きやすいように道を直したりしてきてはいない。
それだけに、登り始め早々から、その険しさにスタッフから悲鳴が漏れた。道なき道を、木の根を伝って登ったり、急傾斜の巨大な岩の壁を鎖を伝って登ったりするのだ。
さらに、この場所にどうやって運んだか分からない、巨大な鐘楼堂があり、そこで鐘を鳴らし、左右絶壁の細い道である馬の背、牛の背をトコトコ、フラフラと慎重に歩いていった。
片道およそ1時間、厳しい道のりを経て、ようやく「国宝・投入堂」に到着だ。

 

 

 



 

 

 

道中、ココロとカラダに様々な変化があった。
360度、緑の山々で眺めながら、ふぅーーーーーっと深呼吸を数回。
一汗一汗かくごとに、ココロが少しずつ軽くなっていく気がするのだ。
肉体的には疲れているハズなのに、不思議と英気を養うことが出来る。
そして、どこからともなく、懺悔の気持ちがフツフツ沸き上がっては消え、また沸き上がっては消えていく。
突然、とめどなく涙が溢れてきたりする。
まさに、登山を通して、ココロを浄化しているのかもしれない。
そんな様々な変化を感じながら、登り切り、眺める投入堂は、もう人間業とは思えず、ただただ息をのむばかり。
米田さん:「よ~く観察してみてください。手前の柱が一番長く見えませんか?本当に細かい所まで計算されつくした建築美が光るんです」
軽快な反りの屋根、堂を支える柱の構成など、建築美に優れた投入堂。詳しい建造時期ははっきりとしていないそうだが、修験道の開祖、役小角が法力で建物ごと平地から投げ入れたという伝承が語り継がれていると米田さんが教えてくださった。
思わず、頭をたれ、合掌する。

 

 

 

 

 

 

続いての鳥取の誇りは、キング・オブ・梨である“二十世紀梨”だ。
なんでも、梨をテーマとした日本で唯一の博物館「鳥取二十世紀梨記念館・なしっこ館」なる場所があるという。
倉吉パークスクエア内にあるこちらの施設の案内は、「鳥取二十世紀梨記念館・なしっこ館」のシニアマネージャーである髙橋宏さんにご案内頂いた。

 

 

 

 

 

 

エントランスでいきなり迎えてくれるのは、枝の広がりがおよそ20mもある二十世紀梨の巨木だ。
これがまるで現代アートのような雰囲気を醸し出していて、鳥取二十世紀梨記念館のシンボル的な役割を担っている。
そして、併設されたパーラーでは、「梨ソフト」を食べることができるほか、ナント、一年中梨の食べ比べが出来るんだそうだ!ワンダフォー!
滅多に食べ比べてみることなんて出来ない梨だけど、よ~く観察すると、大きさも、色も、形も、実に様々だ。
味も、甘み重視から、歯ごたえのあるもの、溶けるように瑞々しい食感を持つものまで本当に多種多様なのだ。
改めて、梨を研究し、品種改良を重ねる人たちに敬意を表さなければ。
ここで、季節を先取りし、ジューシーな梨を頬張り、すっかりご満悦。至福の気分だなー。

 

 

 

 

 

 

そして、最後の鳥取の誇りは“白バラ牛乳”だ。
こちらは、珍しくテツヤが猛烈にプッシュしている逸品だ。
テツヤは、鳥取に到着して最初に立ち寄ったお土産屋さんで、この白バラのコーヒー牛乳パックを購入し、ニコニコ&ゴクゴクしていた。
白バラ牛乳とは、決して全国的には有名なブランドではないが、鳥取県民が愛してやまない、鳥取が誇る地牛乳で、鳥取の酪農家による、鳥取の牛だけから搾った、鳥取の気候風土から生まれた鳥取の牛乳なのだそうだ。
つまり、鳥取の皆様はこの牛乳を飲んで大きくなったというワケ!(あってます?鳥取県民のみなさま?)
そう、テツヤ曰く、給食の牛乳だって、この白バラだったそーだ!

 

そこで、白バラブ牛乳を頂けるという「大山まきばみるくの里」“みるくの里”にお邪魔した。
こちらは、大山牧場内にある大山で一番人気のスポットなのだ。
広い牧場内では放牧された牛を間近に見ることができ、背後には雄大な大山、目の前には弓ヶ浜半島がくっきりと見えるという大絶景だ!

 

 

 

 

 

 

早速「大山まきばみるくの里」の中村廣文支配人にお話を伺った。
まずは、自慢の白バラ牛乳を頂いた。うん、確かに味がしっかりしていて、いつも呑んでいる牛乳よりも遥かに濃厚だ。
さらには、シュークリームやチーズ、練乳などなど、白バラブランドのオススメ商品の数々を頂いた。
どれも、味が濃くて、新鮮で、牛乳の臭みが全くない。
さらには、評判の“大山まきばみるくの里特製まきばみるく特製ソフトクリーム”は大山に来たら、ぜひとも一度は食べてみてほしい!
このソフト、オモシロいほどにマッハのスピードで溶けていくのだ。
つまり、それだけ滑らかで、濃厚な成分がたっぷりなのだ。
あ~ん、もう思い出すだけでまた食べたくなってきた。
アナタも、機会があったら、急いで黙ってこのソフトに喰らいついてほしい!

 

帰りの飛行機の時間ギリギリまで鳥取を堪能した我々は、離陸時間までのわずかな時間を使って最後の収録を米子鬼太郎空港で行った。
数々の旅をしてきたけれど、「かえりたくなーい」とスタッフ一同が同じコトバを漏らしたのは初めてだったかもしれない。
普段は、不規則で、寝不足の中で激務をこなすヤジキタスタッフだが、2泊3日の旅を終え、なんだか顔から“もののけ”が取れたような表情をしているのが印象的だった。もちろんワタクシも、鳥取の大自然、人、食からコトバでは言い尽くせないほどのエネルギーをもらった。
鳥取の誇りは、溢れんばかりに人々に与えてくれるパワーそのものなのだと感じた。
実際、鳥取出身のテツヤでさえ、地元をより誇らしげに感じたことだろう。
そうだ!また鳥取に行こう!
その際もやっぱり、他の県とセットにして旅のプランを考えるのではなく、鳥取のみを十二分に堪能したい。
あ~、こういう素敵な出会いがあるからこそ、旅はやめられないのだーー!!!