激辛 ザ・ファイナル!|旅人:井門宗之

2013-08-29

 

井門「(草笛を吹きながら)なぁ、サリーよ。 


最近はもうあの夢は見てねぇのか…?」

 

サリー「えっ?夢…ですか?」

 

井門「そうだ、夢だよ。
あのロケの日に、サリーが言ってくれたじゃねぇか。
もう忘れちまったってのか?」

 

サリー「はっ…ま、まさか…!?」

 

井門「俺も見てぇもんだなぁ…。 


虎に襲われる夢』ってぇのをよ…。」(激辛探訪1回目の旅日記参照

 

 

――某月某日都内某所
会議は一つの話題でもちきりだった。

 

 

ゴルッチ「あれは鈴木さんが棚橋に気を遣って優しい店をチョイスしたんでしょ。」

 

テツヤ「確かに前回のレベルに比べたら全然辛くなかったですもんね。」

 

サリー「ちょいちょいちょい!?そんな甘っちょろい所を回った上に、 


ウチの激辛大将(=井門P)に向かって“ひよった”発言かよ!
ねぇ、大将!何とか言ってやって下さいよ!」

 

大将「ふむ。せやったら……見せたろか、真のヤジ気っちゅうのんを。」

 

ゴル「真の…ヤジ気…??」

 

大将「あぁ、そうや!最後に華々しく散ってみせようやないかいっ!」

 

一同「!!!!!!???」

 

大将「今度の激辛は、卒業式や! 


これが激辛の食べ納め…そう、激辛・ザ・ファイナルや!

 

 

思いがけず大将の口から発せられた「ファイナル」の言葉に、一同は茫然とした。
あんなに気が重い企画であった筈なのに、
毎回スタッフ調整でひと悶着する企画であった筈なのに、
「ファイナル」の言葉が重い余韻となって会議室にこだまする…。

 

 

サリー「ま…マジっすか…?そんなの俺…信じたくないっすよ…。
最後の激辛にするなんて…、なんでだよっ!(腿を拳で殴りながら)」

 

ミラクル「(溢れる涙を抑えようともせず)でも最後にするなら…良い卒業式にしたいね。」

 

親分「(おもむろに席を立ち)どっこいしょっ、と。
だったら…今度はワテが作家をやりまひょか。
そろそろお鉢が回ってくる頃やないか思とったんですわ。
最近エチオピアの40倍で鍛えてあったさかい、イケまっしゃろ。」

 

 

横山「ぼくはやめとくよ…。死んじゃうから。

 

こうして激辛企画の最終回「激辛・ザ・ファイナル」は発動したのである。
メンバーはD、サリー!作家、親分!カメラマン、橋本君! 


そして旅人は井門Pと激辛御意見番、鈴木浩二さんであります!

 

 

 

 

 

思い返せば旅先での何気ない四方山話から発展したこの企画。
第1回目の放送は2年前の事である。
我々はブレーンに“激辛界の道端ジェシカ”こと鈴木浩二さんをお迎えし、
数えること今回で4回目。「ファイナル」と聞いて鈴木さんの感慨もひとしおだ。

 

 

激辛モンスター「今回が最後と聞いて、 

 


凄いの選んでますから。ふふふ。」

 

 

激辛モンスターが「凄い」って言った…。 


これは最早チーターが「速ぇ…って言うようなもの。
こうして我々の卒業式に向けた旅は北品川から始まったのだ。

 

京急線の北品川駅は東海道の宿場町、品川宿があった場所。
その昔、山手線ぶらりでも散策したポイントなのだが…こんな所に激辛が?? 


いや、あるのだ!住宅街の中にひっそりと佇むカレー屋さんが、ここにあるのだ! 


ロビンソンクルーソーカレーハウス

 

 

 

 

 

このお店も数々の激辛戦士達を迎え入れてきた名店である。
もっと言えばここの激辛の前に撃沈をして、
激辛界から転じた者も数多く輩出した激辛界のダーマの神殿。
この店の特徴は、その辛さUP方式にある。
カレー店によくあるこの方式、要は自分で辛さを調節出来るというものだが、
ここのカレーはその上限がちょっと振り切れちゃってる。
店内にはその辛さの行をクリアした猛者達の名が辛さの度合いと共に貼り出されているのだが…

 

 

 

 

 

お分かり頂けるだろうか…??
貼り出される最低ラインは50倍からだそうだ。
しかし店内に飾られた辛さの度合いは…1000倍、3000倍、8000倍。 


更には…10001!?おい、どうしたんだい?(ベラっぽく)
あんた達はここでどんな激辛の旅をしたって言うんだい?
因みに料金は2倍で20円、そこから1倍増す毎に10円UPという方式。
なので10001倍になると…えっと…じゅ・10万円を超えてしまう!?
なんや!ここはセレブ御用達の店やったんかい!?
えぇ、激辛モンスターよ、最後の最後にセレブな店を選んできおってからに!

 

 

坂本「いやいや、カプサイシンパーティーってのをやっててね。
3500円の会費でその時だけは辛さも無制限に出来るんですよ。でも残したらダメだよ。」

 

 

現れたのは穏やかそうなおじさん。この方こそこの店の御主人、 


ロビンソンなのである! 


あっ、うそうそ…、御主人の坂本章さんね。
なんか色々“カプサイシンパーティー”とか興味深い事だらけだけど、
鈴木さんと坂本さん親しげに話しちゃってるし、もうっ、早速メニュー持ってきて!
*聞けば鈴木さんは5年ほど前にここでカレーを食していたとか。

 

井門「ここは50倍から名前が貼りだされるんですね?」

 

鈴木「そうですね、でも結構みんなクリアしてますね。」

 

井門「まぁ、ここは1軒目だしぃ、まだ午前中だしぃ、50倍からで良いよね…?」

 

サリー「(バチーンッ!!井門の頬を殴る音) 


このドアホーッ!!!!

アンタ、今回の激辛をなんやと思っとんねん!
最後やろ、卒業式やろ!?本気出すちゃうんかい!?え~?」

 

井門「はっ…、た・確かに…。」

 

サリー「せやったら何で簡単に50倍なんて言えるんや! 


男やったらその倍100倍のカレー見せてみいっ!」

 

親分「いや、しかしサリーそれは…。」

 

サリー「親分は黙っといて下さい。これは俺と大将の問題や!
どうなんや、大将!あんたウチらの大将やろ!?」

 

大将「せやな、サリーの言う通りや。
1軒目から弱気になってたら、“ひよった”って言われた頃のワシに逆戻りや。 


ここは腹ぁ括って…100倍いこか!

 

サリー「(涙をこぼしながら)うっ…、た…大将!」

 

親分「ふっ、流石は井門くん。男だね。」

 

激辛モンスター「あのー、すいませ~ん!御主人~! 


僕、この御殿山カレー(挽き肉)の辛さ300倍で!」

 

一同「今のやり取り意味なかった―――(゚A゚)―――― !!!!

 

 

 

 

 

ってな訳でございまして、久しぶりに鈴木パワーを見せつけられまして。えぇ、えぇ。
井門Pは街道(みち)カレー(ビーフカレーっすね)の100倍、
鈴木さんは御殿山カレー(キーマカレーっす)の300倍を注文。
待つ事10分くらいでしょうか?悪い色をしたカレー達の到着でございます。

 

 

 

 

 

うわぁ…悪い色してるぅ…。懲役175年みたいな色してるぅ…(謎)。
ん?あれ??鈴木さん?

 

 

鈴木「いや、これは辛そうだなぁ。ちょ…、参ったなぁ…。」

 

 

って、鈴木さん参ってた━━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━━ !!!!!
確かに見た目は真っ赤なカレー。これは恐らく唐辛子で辛さを増しているんだろうけど、
それにしてもその香りも辛そうな事この上ないのである。
しかしここで足踏みをしている訳にはいかない。
まずは1軒目、ここを超えていかねば先へは進めないのだ!
よしっ、いっただっきまーす!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

鈴木「ではまずサラダからね。(モシャモシャモシャ)」

 

 

 

 

 

激辛王、まさかのサラダからいった━━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━━ !!!!!

スタッフ全員こけたわっ(笑)新喜劇かって言う位こけたわっ!
そして俺もサラダからいったわ(いったんかい)。
さて、気を取り直して主役のカレーです。
スプーンをひと匙カレーに入れただけでその粘度の高さがわかる、ドロリとしたカレー。
これが唐辛子によるものだとすると…恐る恐る口に入れてみる。
ん?んんん??

 

旨い!!!

 

確かに辛いは辛い。100倍だけの事はある。
しかし同じ100倍ならエチオピアの100倍の攻撃力の方が凄まじい。
100倍とは言え、まだまだ旨味を感じられる辛さなのだ!
同じ様な感想を僕の隣の鈴ンソンが言っている。

 

 

鈴木「300倍も全然大丈夫ですねぇ。
最初に色を見た時に不安になりましたけど、これなら全然いけます!」

 

 

そうなのだ、それが証拠に味見をしたスタッフ達も「旨い旨い!」と食べられる辛さ。 


いつもの激辛だと1軒目からぽんぽんぽんぽんぽんで、 


思わずみんなでもんじゃりばんばんになる所なのだが、ここは難なくクリア!
あまりにも余裕で完食し過ぎて、
お店を出る時に「もっと辛そうにしてよぉ」と御主人に言われる始末(笑)
激辛企画で鳴らしてきたYAJIKITAには500倍位からが良かったのかもしれません。

 

 

 


カレー、ごちそうさまでした。

 

 

 

鈴木「次は麺です。その名も…カライカライそば…。」

 

…もうその名前が既にコワイコワイ…
お店の場所は我々の根城・半蔵門からもほど近い四谷。 


お店の名は「支那そば屋こうや」さん。
鈴木さん曰く、その攻撃力はあの“ほたる”にも匹敵する程だとか…。
そんな店を2軒目に持ってくるなんて…、 


やっぱり今日は卒業式なんですね(泣)



 

 

親分「(アキラ中尾Voiceで)こうやはねぇ、ワンタン麺が美味いんだよぉ。しの~。」

 

橋本「じゃあもうワンタン麺でよくないっすか!?」

 

一同「ドアホー!!!(バチーンっ!)

 

 

さっ、ここでの猿芝居は割愛するとして…。
「支那そばこうや」さんはラーメンのみならず、中華の一品おつまみも充実している。
取材で訪れた時間帯は昼過ぎだったのだが、
お客さんは思い思いに中華の酒肴とビールで楽しそうだ。しかもそれが旨そうだ!
だがしかし、我々が辿り着こうとしているのは「美味しい」ではない。
まぎれもなく「辛い」だ。

 

 

謎の声「はっはっは!それは頼もしい!

 

一同「その声はっ!?」

 

謎の声「ようこそいらっしゃいました!主人の川口です。」

 

 



川口尚登さん。
この名店「支那そばこうや」を仕切る主であります。
その風格、只者ではない感が凄い…。
ふと鈴木さんを見ると…お…怯えているっ!

 

 

怯木「ビクビクビクビク…

 

川口「ウチのカライカライそばはね、
島唐辛子をふんだんに使っているんですよ。見た目はだから赤いとかの感じじゃないです。
スープを下の方から掬うと、刻んだ唐辛子がいっぱい出てくるんです!」

 

 

 

 

 

怯える鈴木さんに我々も動揺しながらも、
だけど出てきたラーメンは野菜いっぱいの非常に旨そうな一杯。
量は多いが白いスープと野菜の量はタンメンのソレの様でもある。
“ほうほう、これならイケるだろ。”そんな気持ちで小さな器にラーメンを分けた時だった。
湯気の合間から立ち上るなんとも言えない鼻孔を刺激する、
そう、俺達がさんざん嗅ぎ慣れた、あの刺激が一気に襲ってきたのだ!

 

ンヴェッホッ!!

 

―――これはもはや…普通のラーメンではない。
(だから“カライカライそば”だっつーの。)  


スープと麺を取り分けた段階で“1ンヴェッホッ”なのだ。 


これを口に入れたら一体“何ンヴェッホッ”になるというのだ。
いかんいかん、余計な想いがアタマを過ぎりすぎる。
「冷静になれ」そんな事を考えながら丼と向き合っていると、ふと視線を感じた。
その先にサリーが小さく頷いている。

 

――大将、逃げちゃ…逃げちゃダメだ。

 

ふっ、そうだったな…。今回のファイナルは、背負ってるもんが違ったんだ。
踏ん切りのつかない、不甲斐ない大将でごめんな。
でもな、お前の視線、そして皆の思いでオイラは前を向ける。
な~に、見た目はタンメンなこのラーメンに何を臆する事がある。
恐れる事など何もないわ、いただきます!!ズルズルズル~~!!

 

 

バホッ!!




 

 

 

 

出た…。
業界では「ンヴェッホ!!」を凌駕するという伝説の「バホッ!!」…。
俺もこれだけは出さないように、出さないように、
負けないように、枯れないように、笑って咲く花になろうとしていたのに…。
見た目のタンメンジャケとは裏腹に、
青唐辛子の独特の「ピリッ」と感が強烈に刺激してくる。 


野菜も具材も麺も、はっきり言って最高に旨い。 


ただ…、辛い

 

 

サリー「俺、普通のワンタン麺が食いてぇよぉ…。」

 

橋本「カハッ…ほ…ほれははらいっふへ…(これは辛いっすね、の意)」

 

 

周りのスタッフも悶絶する中、
ただ一人、親分だけは違った…。

 

 

親分「みんなさ、辛い物の食べ方がなってないんだよ。
むせない食べ方ってのがあるの!ほら見ててごらん、ほらほら。
(ずずずずず~)うん、旨い!」

 

 

坊主頭を真っ赤っかにして、そこに大粒の汗を滲ませて麺をすすっている。
その姿、そのセクシー。
まるで別人のプロポーションなのだ(謎)

 

 

鈴木「うん、これは旨い。青唐辛子の辛さがキリっとしていて…良いです!」

 

井門「確かに食べ進めていくと、旨さのその奥深さに気付きます。
量も多いですし、これはかなり満足な一杯なのではないでしょうか?」

 

そんな風に話していると御主人がにこやかにほほ笑んでくれている。
メニューをよく見ると酒好きのヤジキタにぴったりな物ばかり。
サリーや親分は「ヤジキタの飲み会をここでやろうよ♪」なんて無邪気に話してる。
辛い物って…こうだったな。
同じ様に辛い物を食べた者同士に生まれる…深い絆。 


通称:「YAZUNA」である。

 

 

鈴木「ふっ、今日も見せつけられてしまいましたね…。
うらやましいや、ヤジキタさんは!(笑)


強いYAZUNA結ばれてるんだから。」

 

井門「何を仰ってるんですか!
僕らと鈴木さんだって、強いYAZUNAで結ばれてますよ!」

 

スタッフ「その通りだぜ!鈴木さん!友情、努力、勝利!」

 

鈴木「へっ、お前たち…。泣かせるねぃ…。(ズズッ)」

 

 

 


カライカライそば、ごちそうさまでした。

 

 

 

四谷でYAZUNAを深めた我々。
なんだろう、高校時代を思い出す。
あんなにバラバラだったクラスメイト達が、卒業式の前くらいになると突然結束したりして。
何だろうな…、涙の多い卒業式に…なりそうだな…。くすん。

 

 

鈴木「あんまり言いたくないんだけど…(ゴニョゴニョゴニョ…)。

 

井門「え!?なに?鈴木さん、どうしたの?」

 

鈴木「最後の店、初台なんだよね…(ゴニョゴニョゴニョ…)。

 

井門「えっ!?いま何っつった?」

 

一同「おい、おい、鈴木!アンタ、いま何つったよ!?」

 

 

初台

ここはヤジキタにとって、いや、激辛界にとって最後の砦を擁する街だ。 


マリオで言えば8-4であり、ドラクエで言えば竜王の城。
そう、激辛企画マニアの方なら覚えていらっしゃるだろうが、
あの鈴木さんをもってしても「麺数本しか食えなかったラーメンを出す店」、 


支那そばやぐら亭が店を構える、ある意味で激辛界の聖地なのだ。
まさかここを卒業式の会場にするなんて…。

 

 

鈴木校長「諸君、いいかね? 


激辛の旅路は長く険しく、ぽんぽんぽんぽんぽんだったでしょう?」

 

一同「そーですね!」

 

鈴木校長「ですが、やっぱり卒業式にあたり、 


皆さんをちゃんと連れていかねばならない!と先生は思いました。」

 

一同「そ・そーですね!!」

 

鈴木校長「あの時数本しか食べられなかったラーメンに、 


もう一度御挨拶にいきましょう!」

 

一同「そ・そーですね…いや、何を言ってやがるこのじじいは…。

 

 

 

 

 

前回チャレンジした時の旅日記にこんな事が書いてあったので、おさらいしておこう。

 

 

『聞けばここの“ほたる”、麺にもハバネロを練り込んであるとかで、
麺自体の辛さが半端な物では無い。
初心者は一口すすり、そのあまりの辛さにスープに逃げようとするのだが、
そのスープの中にも細かくハバネロが躍っている。

 

 

麺にもスープにも逃げ場なし!

 

 

それが「やぐら亭」の“宇宙一辛い味噌ラーメンほたる”なのである。
ここで我々は考えた。
どんな激辛でもこなす鈴やんが麺を5本しか食べられなかった8辛。 


ひょっとすると、井門が食べたら…死ぬかもしれない…。

ならば鈴やんはリベンジの意味も込めて、

井門はチャレンジの意味も込めて、

ここは「5辛」で勝負だろう!!と。』

 

 

以上が当時のチャレンジ直前の旅日記の様子だ。
そしてこの後、我々は5辛とは言え「宇宙一」の凄さを体感するのだが…。
もしヤジキタを聴いたとか旅日記を読んだって方が「ほたる」を食べたい!
と言ったところで俺達には止めようがない。しかしこれだけは言っとく。死ぬな!!

 

御主人:清水克哲さん

 

職人肌の雰囲気を持ちながらも、気さくなお人柄は2回目の時にも重々感じた。
今回「卒業式」と聞いて喜んで応じてくれたのだ。
店内はあの時のまま、そしてあの時の席が…空いている!?

 

 

清水「ははっ、ちゃんとあの時の席、空けておきましたよ!」

 

鈴やん「なんか…思い出しますね。」

 

井門「そうそう、ここで俺達、悶絶したんだっけ(遠い目)」

 

 

なんだろう?このSMクラブの待合室(まてまて)のような会話は…。 


もはや俺達は悶絶した事美談の様に語ってしまっているではないか!? 


仮にも全く歯が立たなかったと言うのに!!

 

 

清水「実はですね、今回の“ほたる”に入れるハバネロペースト、
昨日オーストラリアから届いたばかりでして…まぁ、物凄くフレッシュに辛いですよ!」

 

井門「何故ハバネロをペーストで輸入するのですか?
ここでペーストにした方が…」

 

清水「前はそうした事もあったんですけど、
あまりの辛さで仕事にならないんですよ!」

 

井門「そうか…それ程の辛さの物が使われているのか…。」

 

 

―――そうなのだった。
こちらの宇宙一辛いラーメン“ほたる”にはふんだんにハバネロが使われているのだ。
しかも、しかもだ。スープだけではなく、麺にも練り込んであるのだから…。
あれ?えっ・・・す・鈴木さん?

 

 

怯木「ビクビクビクビク…。

 

 

また鈴木さんが怯えてた━━━━━━ヽ(゚Д゚)ノ━━━━━━ !!!!!
いや、これは怯えてしまうのも仕方ない。 

 


だって鈴木さんにとってみれば「激辛界からの引退を考えさせられた店」なのである。
その心を思うと、胸がチクリと痛む。

 

 

親分「あのね、今回は卒業式じゃない?
やぐら亭さんの自慢のラーメン、食べてみたくない?」

 

清水「ウチの自慢は店名にも付いている“支那そば”ですからね!
ぜひ召し上がって頂きたいです!」

 

サリー「い・いきましょう!絶対にいきましょう!
だって前回も鈴木さんのお友達が“普通のラーメンが美味いよ”って言ってたじゃないですか!」

 

大将「うむ、折角の卒業式だ。
やぐら亭の真骨頂も味わっておこうかい!」

 

 

 

 

 

こうして我々は最高に旨い支那そばにありつけた…。本当に旨かった

 

 

 

 

 

ここはちょっと通ってみたくなるくらい好みの味。
え?そのレポートは無いのかって?

 

ふっ、勘違いしちゃ困る。ここは激辛1丁目!
君たちが知りたいのは、美味レポートじゃないだろぅ?
激辛の方じゃないのか!? 


俺達が壊れていく様を見たいんじゃないのか!?

 

 

清水「はい、出来ましたよ! 


“ほたる”の辛さ5倍!

 

 

 


ラーメンから炎が……


早ぇっっ!!!
心の準備が出来てねぇ!!!

 

ここでの戦いで出るのは、
果たして「ンヴェッホ!!」なのか「バホッ!!」なのか…。
隣を見ると鈴木さんの顔が徐々に白くなっているのが分かる。
その顔には既に表情が無い…。

 

 

 


鈴木:あわわわわわ。。。

 

 

 

スタッフ一同「井門さん、鈴木さん、いきましょう!(涙ながらに)」

 

鈴・井「よしっ、行ってきます!!
(でもおそるおそる麺、2本くらい)

 

チュルチュルチュルチュル~!!!!

 

 

痛ぇっ!!




井門:ぐぎぎぎぎ。。。

 

 

………宇宙一辛いラーメン、ほたる。
その辛さはやっぱり群を抜いていた。次元が違った。
もはや「ンヴェッホ!!」でも「バホッ!!」でも無かったのである。 


ただ痛かったのである…。 


しかもさすがフレッシュなハバネロペースト。
鈴木さんですら麺を数本しかいけていない。

 

 

鈴木「これは前回の5辛よりも…数倍辛い…です。 


だめだ、これは危険なラーメンだ…。
清水さん、これは流石女性で頼む方はいないでしょう?」

 

清水「いえ、そんなに多くは無いですけど、いらっしゃいますよ!

 

怯木「そうか…いるのか…。カタカタカタカタカタ…。

 

 

そしてやはりやって来る、
おっさん達で減らないラーメンを眺める時間帯。
なんだろう、やぐら亭ではこの時間すら愛おしい…。
激辛大将に至ってはサリーにどうしても食えと言われて食ったチャーシューのせいで、
涙が溢れて止まらない(辛過ぎて)。言葉が出るまで数分を要した。

 

 

大将「……涙の多い良い卒業式でしたね。

 

鈴木「私も……激辛界から…引退しちゃおうかしら…。」

 

一同「鈴やん、そんな事言わないでくださいよ!」

 

清水「また、お待ちしてますよ!」

 

鈴木「へっ、お前たち…。泣かせんなょ…。(ズズッ)」

 

 

 


支那そば、とってもおいしかったです。

 

 

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激辛…
そこにあるのは辛さだけでは無かった。
辛くする側の矜持、チャレンジする側の想い、
それが合いまみえた時に生まれる熱い熱い物語。

 

激辛…
僕達はこの企画中、いったい何度むせただろう?
激辛好きである筈の僕達が、いったい何度本気で「辛ぇっ!」って言っただろう?
でも僕は知っているんだ。
辛いって言ってのけ反った後のスタッフの「どや顔」を。

 

辛さは結束力を生み、
辛さは思い出を作る。
肝心な事はあなたが辛さとどう向き合うか、なのだ。

 

そして向き合った先にはきっと、
辛さからの卒業証書が渡されるのだ!
前の旅日記で書いたのは「辛さと辛さは紙一重」だった。
しかし今は間違いなくこう言うだろう。 


辛さ(からさ)と幸せは紙一重!!

 

良いかい、リスナーズ?これで本当に卒業だぜ!
激辛企画を応援してくれた全ての皆さんに、カプサイシンを!!(なんでだ)