東京発どこ行くツアー 羽田編|旅人:井門宗之

2013-09-05

 

 

 

天空橋!!

その名前から想像するのは、晴れ渡る空に架かる幻想的な大橋。
その橋を渡れば幻の天空人達が暮らすという、天空の国に渡る事が出来る…。 


天空橋!!

人々はその橋の名前に酔いしれ、数多くの旅人がここを目指す。
そう、ここを渡れば自分の背中にも綺麗な羽根が生えるかもしれない…という夢を抱いて。 


天空橋!!

その住所、東京都大田区羽田空港1丁目!
この素敵な名前の橋は、京浜急行、東京モノレールの駅名である! 


テンクウバシッ!!

さぁ、みんなで言ってみよう! 


テンクウバシッ!!テンクウバシッ!!

わっしょい、わっしょい! 


テンクウバ…ゴンッッ!!!!!(←何かで殴られる音)

 

 

……大変失礼いたしました。
あまりにもこの駅名が格好良くて、テンションが上がってしまい…。
だってこの駅、とあるフリーペーパーで「日本一格好良い駅名」に選ばれた事もあるんです!
なんか期待してしまいません??

 

そんな期待感を抱きつつ、「東京発どこ行くツアー:羽田編」のロケは天空橋からスタート!

 

 

 

 

 

天空橋の駅名はひょっとするとご存知の方も多いかもしれません。
羽田空港へ向かう途中の駅ですし、何より名前が印象深い。
でもですね、はっきり言いましてこの駅で降りた事のある方は少ないと思うのです。
かく言う私もこのロケで初めて天空橋駅で下車、地上に出てみたのですが…。

 

 

 

 

 

駅前、東側には羽田空港の敷地がどーんとあって、
西側には多摩川の分流でもある海老取川。それを渡ると住宅街…というね。
知らなかったなぁ…これだけの住宅街があったなんて。
しかもその川では沢山の方が釣りなんかをのんびりと楽しんでいらっしゃる。
下町の風情もあって、凄く良い時間が流れているんですよ。
隣はもう羽田空港だって言うのに(笑)

 

ちょっと思いましたよね。
この雰囲気、これはこの街について何も知らないぞ、と。
なので今回の強力な助っ人!
羽田ボランティア推進の会の吉田さん、伊藤さん、金子さんにご案内して頂きました!

 

 

 

 

 

羽田ボランティア推進の会の皆さん、凄い熱量で!
とにかく羽田の歴史を広く色んな方に知って欲しいって思いが強いんです。
だってそれが証拠に取材に7人くらいの方が同行したんですもの。
お話しを伺うのも通常だと1人くらいなんですけど、
それぞれ得意ジャンルが違うって事で3人の方が御出演!
しかも聴けば皆さん子供の頃からの知り合いってんで、その阿吽の呼吸がたまらない(笑)

 

 

吉田「みんなガキの頃からの知り合いですからね、
結束は強いですよ!」

 

 

そんな話を聞くと、間違いなく羽田という町が下町なのだという感じを受ける。
それでもやはり空港のイメージが強い事は否めない。
そんな事を話すと、ボランティア推進の会の皆さんが羽田の最も重要な話をしてくださった。

 

 

吉田「羽田という町にはかつて3つの町がありました。 


それぞれ羽田鈴木町羽田穴守町羽田江戸見町と言って、

およそ3000人の住民が暮らしていたんです。」

 

井門「空港はもともとあったんですよね?」

 

吉田「はい、1931年に空港は出来ていたんですが、
終戦後GHQの政策で空港拡張事業が行われる事になったんです。


その事業の為にここで暮らしていた3000人の住民が強制退去させられました。」

 

井門「えっ?強制退去って…どの位の期間でですか?」

 

吉田「最初は24時間以内って言われたそうですが、流石に拒否したそうです。 


するとGHQから最終宣告が出され、だったら48時間以内だ、と。」

 

井門「えっ!?」

 

吉田「住民達はGHQが恐ろしくて、ほうほうの体で退去したようです。
まさに着の身着のままだったそうで…。」

 

金子「ぼくらの親の世代がちょうどそこに当たる訳ですが、
話を聞くと本当にそうだったらしいです。
親戚が隣町に住んでいたりした場合は羽田に残れたみたいですが、
そうじゃない人達の中には羽田から高円寺の方まで荷物を抱えて歩いた人もいたそうです。」

 

 

終戦直後の日本だ。
辛い思いをしなかった人の方が少ないと思う。
しかしまさか羽田という場所でそんな事が起こっていたなんて…。
吉田さん達ボランティア推進の会の方々はこの歴史を知って欲しい、と強く仰っていた。

 

続いて「平和の大鳥居」の前で羽田の歴史についてお伺い。

 

 

 

 

 

皆さんと共に多摩川河口沿いをぶらりしていると、 


なんと日本三弁天様の一つだという玉川弁財天がっ!

 

 

 

 

 

こちらの弁天様、広島県厳島神社、神奈川県江の島弁財天と共に、
日本三弁天と言われているそうで…その御由緒も歴史があるのだ。

 

 

金子「弁天様の御神体がね、綺麗なお顔をしているんですよ。
ちょっと覗かれていかれますか?」

 

井門「えっ!?良いんですか!?
弁天様は芸事の神様でもありますからね!ちょっと御利益を期待しつつ…。失礼します!
(扉から中を覗きつつ)
うわぁ~、本当にお綺麗なお顔をされていますね!
ではちょっとしっかりお参りもしていきましょうね。」

 

 

 

 

 

井門「江戸時代の人達はどんな願い事をしていったんでしょうね??」

 

金子「そりゃ、いま井門さんがお願いした様な事でしょうね(笑)」

 

井門「(心を見透かされたかの様で…)えっ!?え~っ!? 


いやいや、僕はYAJIKITA未来永劫続きますようにって…。」

 

スタッフ「絶対に違うな!

 

 

その後もボランティア推進の会の皆さんとぶらりしながら羽田散策。
左手に多摩川、右手に住宅街を眺めながら歩いているので、
そののどかな風景から“本当にここが羽田?”と思ってしまう。
そんな中、何やら赤レンガの建造物がずらーっと並ぶ。

 

 

 

 

 

金子「これはかつての堤防です。
今は新しい高い堤防が出きてますけど、
かつてはこれがその役割を担っていたんですよ。」

 

 

更に歩くと羽田ボランティア推進の会の皆さん自慢の場所がもう一つ。 


それが“みんなの羽田ひろば”。

 

 

 

 

 

元々はゴミの不法投棄などで汚れていた場所を、
ボランティア推進の会の皆さんが清掃・美化活動を行った結果、
これだけ美しい場所へと変貌を遂げた。皆さんの顔が誇らしい。

 

 

吉田「綺麗にしていけば、こうやって保たれるんですよ。
こうした活動こそ地元の人間が中心となってやっていかないと!」

 

多摩川沿いでは取材の日も思い思いに川の風を感じながら楽しむ人で溢れている。
地元の若者達がお酒を飲みながら日光浴とか、魚釣りとか。
そんな人達に金子さんも声をかけたり、なんせ地元の絆が強い。

 

 

吉田「羽田っ子の良い所はやっぱり人情でしょうね。 


多少おせっかいな所はあるけど、人情味溢れる人間が多い

それが羽田の良さの一つなのかもしれません。」

 

 

最後に一行が向かったのは「羽田の渡し跡」。
かつては対岸の川崎大師とこちらの穴守稲荷を結ぶ交通手段として非常に賑わったという。

 

 

 

 

 

いやぁ…それにしても羽田の町の事を知らなさ過ぎました。
ここにこれだけの人情が溢れていて、この町を愛する人がここをしっかり守っている。
空港だけじゃない、とても良い表情が垣間見えた気がする。
羽田ボランティア推進の会の皆さん、有り難うございました!

 

 

 


ありがとうございました!

 

 

井門「そう言えば、ボランティア推進の会の皆さん、
羽田で獲れるしじみとかの話しをしてましたよね?
江戸前の地元の魚が食べられたら最高だろうなぁ…。」

 

親分「ふふふ。井門くん、最後に良い所に行くよ!」

 

 

 

 

 

こちら穴守稲荷の駅から歩くこと少々。
地元で40年以上営業を続ける江戸前魚介海鮮居酒屋であります。
佇まいがもうね…酒場放浪記な感じなわけですよ(笑)
扉を開けると奥にお座敷、手前にはテーブル席とカウンター。
カウンターの中では奥様や御主人が料理の腕を揮っているのです。 


田牧博信さん

 

 

 

 

 

こちらのお店はなんと御主人自らが釣り上げた江戸前の魚を、
新鮮さ100%で味わえるという素敵なお店なのです。

 
その名も「釣りバカセット」「羽田セット」。
釣りバカセットはカルパッチョ、天ぷら、アナゴの白焼き。
羽田セットは天ぷら、釜めし、しじみの味噌汁。
釣りたての魚ってこんなに旨いの!?とスタッフ一同、騒然としました(笑)

 

 

 

 

 

 

そしてあまりの旨さに、ロケ中にも関わらず…ビール飲んじゃいました…。
そんなにいっぱい飲んで無いから、良いよね??ね、ね、良いよね??
田牧さん、有り難うございました!

 

「羽田」というと都内に暮らす人間でも空港のイメージがほとんどだ。
でもそこを歩いてみれば、溢れる人情と歴史がそんなイメージを消してくれる。
今回の「どこ行く」ほどイメージと実際の町のギャップを楽しめたロケも無かっただろう。
流石に東京に遊びに来てこの町を散策する方は少ないかもしれない。
だけど例えば羽田空港から京急線に乗っている時にふと思い出して欲しいのです。
通過する駅や停車する駅の周りには、
町の歴史や人情を大切にする、熱い気持ちを持った羽田っ子が沢山いるって事を。
まだまだ面白いぞ、東京!!
東京、どこ行く。次は、どこ行く?