1964年から未来へ。国立競技場の歴史を巡る旅|旅人:中田美香
2013-11-01
国立競技場」と聞いて、アナタは何を思い浮かべますか?
サッカーファンである私にとっての国立競技場は、
モチロン“サッカーの聖地”!
元日に国立競技場で天皇杯決勝戦を観戦することが出来れば、
その年はより素晴らしい一年になる、気がする・・・。
初詣とあわせて新年の恒例行事にしたいぐらいだ!
数々の代表戦も観戦した。
そして国立競技場といえば、
なんといってもJリーグ初年度となる
1993年シーズン開幕戦が行われた舞台になったこと。
ヴェルディ川崎(現在の東京ヴェルディ)VS横浜マリノスの対戦!!!
その一戦のキックオフと同時に
日本のプロサッカーリーグの歴史がスタートしたのだ。
そりゃー、聖地でしょ。
そのグラウンドに足を踏み入れることが出来るとなれば、
こりゃ興奮しないワケないでしょ。タマリマセン‼‼‼
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今回のヤジキタは『1964年から未来へ。国立競技場の歴史を巡る旅』。
2014年7月に解体、新しい国立競技場「新国立競技場」の建設に着手する。
その前に伝統あるこのナショナルスタジアム「国立競技場」の魅力、
そのスケール感などをあますところなくチェック!チェック!チェック!
まず「国立競技場」の歴史を知るべく、
競技場内にある「秩父宮記念スポーツ博物館」へ向かった。
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国立競技場・千駄ヶ谷門の左奥にあるこの博物館内には、
国立競技場の歴史からスポーツの歴史まで、
貴重な資料がドーーーーーっと展示してある。
現在、競技場の解体を惜しんで、
特別展「SAYONARA 国立競技場」が開催されている。
エントランスには、1964年の東京オリンピックで使われた表彰台のレプリカが展示されているではないですか‼‼‼
これは、乗るっきゃないっしょ(笑)
お決まりの定位置(笑)、1位の台に立って、まずはパチリ★
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館内を、秩父宮記念スポーツ博物館 図書館学芸員の新名佐知子さんに
ご案内頂いた。
入り口に大きく「1958年~2013年」と年号が書かれていた。
ん???たしか国立競技場は、
1964年の東京オリンピックのために建設されたのでは・・・・。
新名さん:「そう思われている方が多いのですが、
実はこけら落しは1958年に開催された“第3回アジア大会”なんです。
およそ55年間の軌跡を、この特別展で振り返っているんです」
一同:「へぇ~×10」
入口付近には、ダダダッと東京オリンピック関連の資料が並ぶ。
なかでも目をひくのは、鮮やかな赤色のジャケットだ。
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新名さん:「東京オリンピックで選手たちが着用したジャケットです。
今では日本選手団が真っ赤なジャケットを着用するのは
珍しいことではないのですが、当時は斬新だったようですよ」
作家のオヤブン:「実況のアナウンサーがしきりに
“赤い”ジャケットであることを強調&連呼してたもんなぁ。
ほら、テレビがまだ白黒だったから」
一同:「へぇ~×20」
艶やかな振袖も展示されていた。
新名さん:「選手へのメダル授与の際に着用したものです。
3つの紋をいれるところに、五輪のマークが縫い付けてあるんですヨ」
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中田:「ホ、ホントだーーー。へぇ~×30」
そのほかオリンピック関連のメダルや選手のサイン入りのユニフォーム、
また、日本スポーツの歩みがわかる資料などなど、
本当に貴重なお宝の数々が所狭しと並ぶ。感心しっぱなし・・・。
まさに「へぇ~」の連発だ。
かわって「国立競技場」内を、
競技場 事業課の居田真由美さんにご案内いただいた。
最初に向かったのは聖火台!
想像以上にスタンドの傾斜がキツく、高所恐怖症の私にはドキドキものだ。
もー、足元グラグラ、すくみました・・・。
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でも、間近に聖火台を見て、さらに触れてみると、
55年という歳月を感じさせないほどにツヤツヤと黒光りしている。
鋳物で作られているというこの聖火台は、
毎年製作者のご家族が磨きに来られているそうだ。
ゴマ油を使用して、ゴシゴシゴシ。
やはり丹誠込めて磨くことが大事なのね~。お肌と一緒かしら・・・(^^;;。
歴史を感じます |
競技場のてっぺんからの眺めもサイコー。
新宿のビル群もよ~く見える見える。
反対側にはスカイツリーが。さらには斜め45度ぐらいの場所には、
富士山が顔を出していた。
ウォー。まさに都会のド真ん中にある競技場なのだなぁ。
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ここからスタンドをグルリと半周。
続いては普段は決して入ることができない、
特別席やVIP席、ロイヤル席などを見せていただいた。
大会の際に皇族や来賓者たちがお座りになるというその席は、
幅がゆ~ったり、ドリンクホルダーも付いて、
眺めもグレイト!グレイター!!グレイテスト!!!
ワタクシ、記者席でなら観戦したことがあるのだけどなぁ・・・(プチ自慢w)
メインスタンド側には2枚のモザイク壁画が掲げられている。
何度となく国立に足を運んでいるというのに、
これまではあまり意識したことなかった。
居田さん:「この壁画は相撲の神である野見宿禰と
ギリシャ神話の勝利の女神であるニケが描かれているんです」
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中田:「ほぉ、まさに日本の国技である相撲の神様と勝利の女神様となると、
日本と海外の美しい融合ですね」
居田さん:「そうなんです。日本で初めて開催されるオリンピックですから、
国際色を意識したと聞いています」
続いては貴賓室でVIP気分を満喫だ。
ソファーに腰掛けてみると、もうふわっふわっで座り心地抜群。
そして、この貴賓室内に設置されたエレベーターでスーーッと上昇して、
写真判定室を見学させて頂く。
ココ、本当に一カ所だけ小さいドアが開くようになっていて、
そこから選手のゴールシーンが撮影できるようになっているのだ!
きゃあきゃあ、オモロい。
競技場内見学のファイナルは、
1964年の東京オリンピックの記録が残されている正門前へ。
東京オリンピックで金メダルを獲得した
「すべての選手の名前」が刻まれた銘板がある。
左右対称に319人の金メダリストの名前がズラーーーっと刻まれているさまは、
そりゃ圧巻、お見事だ!
そーしーてー、遂に遂にグラウンドに降り立ったゾー!
いつもはスタンドから見下ろしているグラウンドなのに、
逆にスタンドを見上げるってコレはっきり言って、“カ・イ・カ・ン!”←ふるっ。
青々とした艶のあるピッチのグリーンを間近で見て改めて惚れ惚れ。
この芝を守る専門職、
つまりグリーンキーパーの主任を務める渡辺茂さんにお話をお伺いした。
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競技場のグラウンドは、一年中緑を保たねばならない。
そこで国立競技場では、夏芝と冬芝の両方を使用しているそうだ。
そして、髪の毛が生えかわるように、夏と冬の季節のかわり目に新しい芝のタネを植え、それが芽を出す頃、役目を終えた芝が枯れていくというサイクルになっている。
中田:「芝の管理において最も苦労することは何ですか?」
渡辺さん:「芝のケアをしたいときにいつでもグラウンドが使えるわけではないんです。
年に何度かある主要な大会にあわせて、芝をピーク状態に持っていくのは
とても難しいです」
ふむ。たしかに。
芝管理と言っても、芝のコンディションばかりを伺うわけには行かず・・・。
選手が快適にプレイできるために、各大会に目標を定めて芝をある意味
“しつけ”ないといけないのねぇ。
渡辺さん:「良い芝をキープするためには時折芝をいじめる必要があるんです。
空気を入れたり、表面のいらないものを取り除いたり、
畑を耕すような作業をしたり・・・・そうやって元気を出してあげるんです」
奥が深い・・・。深すぎる・・・。
渡辺さん:「30年見続けていますが、毎年が同じ状況だったことはありません」
そう語る渡辺さんの芝を見る瞳は、
まるで我が子を見つめるような深い深い愛情が感じられた。
「誇りをもって、芝の管理をしています」という渡辺さんのおコトバにジーーン。
胸に響いた。
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実は私、国立競技場を舞台に繰り広げられたスポーツイベント
『2013東京夢舞いマラソン&ポタリング』にも自転車で参加してみたのだ。
国立競技場からスタートし、表参道、青山通りを抜け、
皇居や歌舞伎座、東京スカイツリーなど数々の東京の名所を通過する
42.195キロをポタリングするという道のりだ。
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国立競技場のトラックの上を自転車で走破するって、
これだけでキャーーー!もう大興奮です。
大会当日は雲一つない秋晴れ。
その空の下、風を切って走り、久々にイイ汗かいたなぁ。腰も痛かったけど・・・。
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さて『1964年から未来へ。国立競技場の歴史を巡る旅』。
最後は、改修後新たに生まれ変わる新国立競技場について
新国立競技場設置本部の運営調整課長、高崎義孝さんに伺った。
高崎さんから頂いた名刺の裏には、既に「新国立競技場」のデザインが・・・。
改めて、印象的な曲線でインパクトがアリアリだなぁ。
中田:「高崎さん、いざ国立を壊すとなると、寂しくないですか?」
高崎さん:「そりゃー寂しいです。僕は最初にこの国立競技場に採用されたのですよ。だからこの競技場への思いもひとしおです」
中田:「印象に残っていることは?」
高崎さん:「入社してすぐ、諸先輩方から芝の大事さを教えられました。
スゴく印象に残っていますネ」
気になる新国立競技場は、8万人の収容規模になるそうだ。
快適に観戦できるように屋根が付き、トイレの数を増やすなどのホスピタリティを
第一に考えられて建築される。また、可動式スタンドへチェーンジだ。
可動式によりピッチが迫り出してくる。つまりサッカーファンにとっては、
より臨場感のある観戦が可能となるワケだ。ウヒョー!
「世界一の競技場を造りたい」という高崎さんの熱い思い、
さらには「最大のリスペクトを込めて今の競技場を解体する」という
強い使命感が伝わってきた。
ちなみに、聖火台や壁画など競技場内におよそ25ある記念物は
しっかり保存する考えだそうだ。ほぅ~。安心だ。
余談ながら、取材終了後は競技場内にあるレストラン、
その名も"オリンピア"で腹ごしらえだ。
ナポリタンは昔ながらの“ザ・王道”スタイル!
麺が太くて、アルデンテ関係なしのこの感じが良い!
他のスタッフがオーダーしたのは人気No.1のカツカレー。
これ、ラモスさんの好物で、必ず生ビールとともに注文するらしい...。
全てサイズがビッグなのはアスリート仕様だからかしら...。
まさに日本スポーツの歴史とともに歩んできている国立競技場。
多くのサポートがあってこそ、さまざまな感動やドラマが生まれているコトを実感。
しかも、携わっている全てのかたがこの国立競技場を心から愛している!
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いよいよ解体作業までのカウントダウンに入った。
感謝の気持ちを込めて、新宿区民のひとりとしてもなるべく沢山足を運ばねば!
と思ったひとときだった。