日本復帰60周年 音楽と巡る鹿児島県奄美大島|旅人:上野紋

2013-11-07

 

うがみんしょうらーーーん!
(うがみんしょうらん=奄美大島の言葉で「こんにちは」)



初めまして!上野紋です。
奄美大島の島ラジオ「あまみエフエム ディ!ウェイヴ」で番組を作っています。

 

 

 

あまみエフエム ディ!ウェイヴのスタジオです

 

 



「日本復帰60周年 音楽と巡る鹿児島県奄美大島」と題して
YAJIKITAスタッフの皆さんをお迎えしながら、
自分自身も「旅人」として普段暮らす島を巡る…何とも不思議な感覚です。

 

 

 



 

 



旅の出発点は、奄美市の中心、名瀬にある奄美市立奄美博物館!
館内には、奄美大島で昔から使われていた農具や生活用品、自然のジオラマ、
アメリカ軍政下時代、日本本土へ渡るために作られたパスポートなどがずらり。

 

 

 

農具に、大島紬の道具など

 


奄美群島日本復帰関係資料





学芸員の高梨修さんは、歴史や自然、
それぞれのシマ(集落)で歌い継がれてきたシマ唄についても、
丁寧に、わかりやすく解説してくださいましたよ。

 

 

 

学芸員の高梨さんにご案内いただきました。

 

 



奄美の歴史って、複雑なんです…
江戸時代以前は琉球王朝に統治され、江戸時代は薩摩藩に統治され、
戦後はおよそ8年間、日本から行政分離されてアメリカ軍政下にありました。



時代によって異なる場所の影響を濃く受けたため、
生活様式や言葉、音楽も、沖縄に似ていたり鹿児島と共通点があったりとさまざまです。



どちらにも似ていて、どちらとも違う…複雑だからこそ興味深い!!



アメリカ軍政下時代、日本本土と切り離された奄美大島では、
歌や劇団といった島内独自の文化活動が盛んになります。
また、集会を開いたり署名運動をしたりする日本復帰運動も熱を帯びていきました。
運動の甲斐あって、昭和28年12月25日に奄美群島は日本に復帰。

 

 

 



 

日本復帰に向けた想いが伝わる資料

 

 

 

暮らしは決して豊かではない中、娯楽を生み出し、祖国復帰を願って
激動の時代を生き抜いた皆さんのエネルギーには圧倒されるばかりです。



「無いなら自分で作ればいい」という精神、見習います…

 

続いては、復帰から1ヶ月も経たないうちに、
就職のために高校を中退し「パスポートが要らなくなった今だ!」
と定期船に乗った與(あたえ)幸治さんに会いに行きました。



神戸で修行して島に戻り、「やまさき靴店」を開いて今年で50年!
お店がある末広市場には、あまみエフエムの「末広市場ディ!放送所」も並んでいます。
ご近所さんの與さんですが、復帰当時の体験談は初めてうかがいました。

 

 

 


復帰当時の話をしてくださった、與さん

 

 

 

次の目的地へ向かう前に、天気もよかったので寄り道♪
土盛(ともり)海岸は風が強くて波も高かったですが…
青く透き通る海と真っ白い砂浜です。

 

 

 

 

 

 

土盛海岸に寄り道したあとは、
奄美の空の玄関口、鹿児島県奄美パークへ向かいました。

 

奄美パークは、奄美空港のすぐそばにある群島の紹介施設です。



奄美パークの中にある「奄美の郷」では、
奄美の人々の集落暮らしを等身大ジオラマで再現されていて、
多くの人々が訪れています。
その奄美の郷を、総務課長の奥田梯三さんに案内していただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこの日、奄美パークでは、
奄美群島の青年団員が手作りした日本復帰60周年記念イベント
「夜ネヤ、島ンチュ、リスペクチュッ!!(=今宵は島人に敬意を!!)」
が開かれました。

 

 

 



 

 



復帰50周年だった10年前にも、
奄美パークで行われた日本復帰記念「夜ネヤ~」、今回のテーマは「つなぐ」。 



先人たちがしてきたことを受け継ぎ、未完成でも次の世代につなぐ事が大事なんだ!
という思いが込められています。



「生まれ育った自分たちが島のことを知り、島で生まれたことに自信と誇りを持てたら」と
「夜ネヤ~」を立ち上げた1人が、
あまみエフエムを運営するNPO法人ディ!の代表理事 麓憲吾です。

 

 

 


「夜ヤネ~」について麓さんに伺いました

 

 


「大きな事はできなくても、自分の子どもには伝えて、つなぐことができる」と、
シマ唄漫談ユニットのサーモン&ガーリックのガーリックさんも話して下さいました。



島を拠点に活動している中孝介さんとカサリンチュは、
ユニット「アタリンチュ」として出演しました。 



集落で唄う唄者(うたしゃ)の先輩の姿から、
「地域に自然にある音楽を教わった」という孝介さん。

 

「島から音楽が発信できるんだ!ってことを島の子達に伝えたい」という
カサリンチュのお2人。

 

 

 



 

 

先輩からつないでもらったこと、
次世代へつなぎたいことがエネルギー源にもなっているんですね。



当たり前のように行ってきたことを、当たり前のように次につなぐ。
集落行事でも、シマ唄などの文化でも、島を好きだという思いでも一緒ですね。



こうして終わったYAJIKITA ON THE ROAD 奄美旅。
今回の取材を通じて住んでいる島をあらためて辿り、お話をうかがいながら、
普段の暮らしを番組という形でシマッチュの皆さんにひとつひとつ届けることが
今の私にできる「つなぐ」かなぁ、と感じました。



皆さんも実際に、奄美を旅してみませんか。
熱い人々と、あふれる音楽と、でっかい自然と一緒にお待ちしています♪



ありがっさまありょうた(=ありがとうございました)!!