奥の細道~芭蕉と歩く山形の旅~|旅人:井門宗之

2013-11-21

 

ある会議での出来事である。
またわがままなPが強権を発動。
その強権とは…山形で美味しい日本酒が飲みたい!
その発言を聴いたスタッフは慌てた。
この酒バカを納得させるだけの企画を考えなければならない…。
ただ山形に飲みに行く訳にはいかないのだ!!(当たり前だ)
宇宙兄弟的に言うと、このミッションにアサインされたクルーは…
D:ゴルッチ、作家:ミラクル、カメラマン:テツヤ…そして旅人:井門宗之!!
一部のリスナーさんの中では【神4(フォー)】とも呼ばれる面々なのであります。
という訳で知恵を絞ったミラクルは、こんな風に考えた。

 

 

ミラクル「日本酒…当然この季節は“ひやおろし”でゲスな…。
それを絡めて企画を1本作るとして、もう1本は…。」

 

ゴルッチ「ミラクルさん得意の歴史的アプローチから、
何か一本いけませんかね??」

 

ミラクル「山形は歴史的な人物を数多く輩出している土地でゲスからね。
武将系よりも、こう、少しひねっていきたいでゲスなぁ。」

 

井門「(独り言)山形に行けるぞ~♪ 


山形や、ああ山形や、山形や…なーんつって!」

 

ミラクル「そ・それでゲス!!!!

 

 

井門Pの独り言は勿論、松尾芭蕉の句をもじったもの。
そこにミラクルさんがピンときたのは、松尾芭蕉が山形に残した名句たちである。
実は奥の細道の旅で松尾芭蕉は山形におよそ40日間滞在したと言われる。
そこで皆さんがよく知る名句を数多く残しているのだ。

 

 

ミラクル「松尾芭蕉の残した句の場所を巡るでゲスよ!
そして井門Pに芭蕉の気持ちになって貰うでゲス!。」

 

ゴルッチ「さしずめ私たちは弟子の河合曾良という所でしょうか?」

 

テツヤ「なんか河合曾良って、もう既に『かわいそうだ』みたいに聞こえません?
井門Pに付いてってかわいそうな僕達…みたいになりません?」

 

ミラクル「大丈夫でゲスよ、井門Pはなんだかんだでちゃんとやるでゲス。」

 

ゴルッチ「そうそう、あの人はレポートはちゃんとやるから。
そんでATMだから(邪笑)」

 

一同「へへへ(邪笑)」

 

 

はい、はいはいは~いっ!!
皆さん、冗談ですよ!芭蕉のくだりは近い物があるとしても、
旅先を考えるのは真面目に企画会議で決めてますからね(笑)
冒頭のやり取りは半ばフィクションとお考え下さい。

 

とにもかくにも山形への旅が決まった今回のヤジキタ。
しかも松尾芭蕉の気分になって名句が生まれた場所へ行く…なんか風情ありません?
まぁ、台風の影響で行きの飛行機が現地に着かないかも…なんてハプニングもありつつ。 


山形でまず訪れたのは、かの山寺立石寺

 

 

 

 

 

ここでかの芭蕉が遺した名句とは…。 


閑かさや岩にしみ入る蝉の声」でございます(おぉ~!!)
天台宗の寺院であるこちら、正式には宝珠山阿所川院立石寺。
西暦862年に建立されたという非常に、ひじょ~に歴史のあるお寺。
我々は南北朝時代の建物(!?)、 


根本中堂で御住職の清原正田さんにお話しを伺いました。

 

 

清原「松尾芭蕉は元禄2年にここを訪れています。
でも芭蕉さんは本来この山寺に来る予定はなかった。
景色の良い所だからと地元の人に言われこの山寺にいらっしゃったとか。」

 

井門「確かにここから見上げるだけでも、
眺望はかなり良さそうですもんね!
ちなみに実際に登るとどれくらいの時間がかかるんですか?」

 

清原「そうですね…1時間半~2時間という所でしょうか?」

 

井門「参拝客の方々、皆さん登られます?」

 

清原「参拝客は年間にすれば70万人ですけど、
実際に登る方はその半分位でしょうかね…。」

 

井門「では、我々もしっかり自分の足で登っていきます!」

 

 

まずはお隣の神社で山を登る無事を祈願して…と。
ん?山を登る??

 

賢明なリスナーさんであればお気づきかもしれない。
今回の山形の旅、メンツは「神4」。 


そう、井門が肉離れを起こした旅と同じメンツなのだ!

 

 

井門「おい、ミラクル!
あんた、俺の脚がまだ完治してるかしていないかの時に、 


2時間かかる山寺を登るロケを入れるなぞ、鬼の所業っ!!

 

ゴル&テツ「そーだ、そーだ!!」

 

鬼クル「へへへ。こちらに取材の申し込みをしたのは、 


井門が肉離れを起こす前でゲスよ。へへへ。」

 

 

ちっ…そう言われてしまえば仕方無い。
ここは山寺立石寺、心を穏やかにして石段を登っていかねばならぬ。
なんせ山門入口には「1段1段登る毎に煩悩が消える」と書いてあるんだから。

 

 

 


実は、おみくじで「末吉」を引き真顔でビビる井門くん…。


芭蕉さんと2ショット

 

 

でもなぁ…YAJIKITAと書いて「ぼんのう」と読むくらいだからなぁ。
そうだ!ちょっと煽ってみよっと♪

 

 

井門P「THE 煩悩ズ!! 


Vocalミラクル吉武!!!!

 

ミラクル「いぇーい!金が欲しいかー!!

 

ゴルッチ「うるさいよ!真面目な回なんだから!」

 

 

かくしてゴルッチに窘められた一行は石段を登っていく事に。

 

 

 

 

 

しばらくすると少し開けた場所に出てきました。 


うん?なになに?「せみ塚」?
あー!ここが「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」が生まれた場所!?

 

 

 

 

 

 

あの切り立った岩肌を見て、蝉の声を聴いて、
芭蕉はここであの名句を詠んだのか…。同じ場所にいるって、しみじみ凄いなぁ。
でも参拝はここで終わりではありません!まだまだ続くのであります(笑)
放送を聴いて頂いた方はお気づきでしょうが、
旅人井門(36歳)、息が切れています。

 

だってかなりな急こう配なんですよ(言い訳)
まだ足が完治していなかったんだから(言い訳)
天気もそんなに良くなかったし(言い訳)

 

え?天気??
あれ、さっきまで小雨がパラついていたのに、
なんか背中がジリジリと日差しで焼ける感じなんですけど…。

 

 

井門「なんかYAJIKITAって、持ってるよね!?」

 

ゴル「さっきまで雨が降ってたのに…。」

 

 

なんと我々が頂上の山寺に到着すると天気は一変。
秋の日差しが山々を照らし、薄い雲がその上を撫でる様に浮かぶ。 


美しいの一言しか出てこない景色が広がっているのであります。

 

 

 

 

 

僕ぁね、ここで眺めが最も良いとされる五大堂で素敵な風景と出会ったんだ。
60代くらいの御夫婦が展望台から景色を眺めてらっしゃった。
奥さんは手すりに寄りかかり、旦那さんはその少し後ろに立っている感じ。
景色を眺めながら奥さんは「綺麗ね~!」「あっ、電車が通ってるわ!」って、
前を見ながら、でもはっきり旦那さんに向かって言っている。
旦那さんはそれを聴いてね、「うんうん。」って目を細めて頷いてるわけですよ。
すると奥さんがいきなりクルっと振り返って、とても素敵な事を仰った。

 

あなた、有り難う。」ってね。

 

僕はその風景を少し後ろから見てたんだけど、
なんだかとても幸せな気持ちになりました。
想像だけど、子供達が自立してこの御夫婦は2人での旅行を楽しんでいるんだと。
奥さんはこうして旅行が出来る幸せを、ちゃんと旦那さんに伝えたかったんだなと。
普段は照れくさくて言えないけど、
この素晴らしい景色の前だったら言えちゃう。言っちゃえ~と(笑)
あくまでも想像ですけど…でもこの景色なら素直な言葉も出るかもしれませんね。

 

 

 

 

 

ミラクル「そうそう、芭蕉が食べたであろう、お蕎麦があるんでゲスよ!」

 

井門「なんですって!?」

 

 

実は山形の尾花沢という地は古くから蕎麦の産地。
芭蕉はその尾花沢で10泊している、と。
なので芭蕉もこちらのお蕎麦を食べたであろう、と。
芭蕉の時代のお蕎麦の種は今の物とは少し違ったそうだ。 


でも何とかその在来種である最上早生で蕎麦を挽こうと、
「おくの細道 尾花沢そば街道」という会を地元有志が結成。
我々はその会長のお店「手打ちそば たかはし」で、 


会長の高橋晃治さんにお話しをお伺いしたのであります。

 

 

井門「在来種の最上早生で作る蕎麦ってのはいつから提供されているんですか?」

 

高橋「実はようやく今年から…なんです!」

 

井門「おぉっ!おめでとうございます!!
ぜひそれを頂きたいのですが…。」

 

高橋「挽きたて打ち立て茹でたて!
その三たてでお出しします!お待ち下さい!」

 

 

 

 

 

そして出てきたお蕎麦がこちら!!

 

 

 



 

殻も一緒に挽いているので、かなり濃い色をしている。
十割蕎麦独特の色合いと香り。板蕎麦という山形独特の盛り方で、見た目もインパクト大!
横に添えられているのは大根の絞り汁で、これがまたツユに加えると最高なんだ。
では、いっただっきまーす!!ズルルルル~。

 

 

井門「うっまーい!!!!
歯ごたえが凄いのと、蕎麦の香りがツユにつけても負けません!!」

 

 

 

 

 

うん?なになに?
分かった、分かったよスタッフ達。ちゃんと味見させてあげるから(笑)
ってなわけでスタッフ全員で最上早生のお蕎麦を頂きましたが、
全員が全員、その旨さに悶絶!!大根の絞り汁も良かった。

 

 

 

 

 

今ならこのお蕎麦、食べられる様ですから!
尾花沢で芭蕉も食べたであろうお蕎麦、召し上がってみて下さい!

 

 

井門「ミラクルちゃん、芭蕉の足跡を辿る旅、良いじゃない?」

 

ミラクルちゃん「そうでゲショ?次は最上川でゲス!
最上川…と言えば??」

 

一同「五月雨を集めて早し最上川!!

 

一同「Yeah~!!Bashoooooooooooo!!!!」

 

 

お気楽な一行はこうして最上川へと向かう。
ここで実際に最上川を下るのだ…が、そこは現代。
ちゃんと観光船(屋根も窓も付いてるので寒くない)で下るのであります。 


そして今回、我々が乗船する船の船頭さんが…星川遼子さん

 

 

 


紅一点の山形美人の遼子さん


なんだ、井門くんその視線…(笑)。

 

 

 

船頭歴8年という女性船頭さんであります。
大学は関東だったそうなのだが、
どうしても船頭になりたくて地元に帰ってきた頼もしきお方!
しかも完璧な東北美人のお顔立ちにスタッフのテンションも↑↑↑

 

 

井門「芭蕉ラインってのは歴史も長いんですか?」

 

星川「そうですね、昭和39年から芭蕉ラインからやってます。
ぜひ船に乗ったら景色と船頭さんのトークを楽しんで下さい!
ガイドや舟歌なんかの民謡も歌いますからね~♪」

 

 

こうして最上峡ライン下りに参加した我々でございましたが、
結論から言いますと…最高に楽しかった。
OAを聴いた方なら分かって頂けると思うのですが、
やはり星川さんの方言と紡がれる歴史の数々、
目の前で変化していく景色をいかに魅力的に伝えるかのトークの妙、素晴らしいのです。
あのゴルッチをして、
「最高のエンターテインメントだ!」と言わしめたライン下り。
途中の船上コンビニ(笑)で日本酒も飲んだ井門P、景色に、歌に酔いしれたとさ。
えっ!!?仕事だよ、これは完全なし・ご・と♪

 

 

 

 

 

 

井門「ミラクルちゃ~ん、楽しかったじゃないの!
ライン下り。ねぇ、ねぇ、温泉とかないの?温泉とかさ。」

 

ミラクルちゃん「芭蕉も訪れたとされる温泉、あるでゲスよ。 


1000年余りの歴史を誇る赤倉温泉って秘湯が!!」

 

一同「よしっ!赤倉温泉へGO!!」

 

 

我々が宿としたのが「湯守の宿 三之亟」。

 

 

 

 

 

とても雰囲気が良くて、まさに秘湯の風情。
入口を入ってすぐの一角には囲炉裏もあって…。 


湯守の高橋孜さんにお話しを伺いました。

 

 

 

 

 

こちらの宿、お風呂も素晴らしくてですね、
たぶん見たくはないと思うんですよ、見たか無ぇとは思うんですけど、
露天風呂に入っている井門をミラクルちゃんが激写してますので、
雰囲気だけでもどうぞ!(笑)

 

 

 

 

 

お食事も素晴らしかったなぁ…。
最上牛のしゃぶしゃぶ、最上牛のローストビーフ、芋煮などなど。

 

 

 

 

 

すっかり「湯守の宿 三之亟」の雰囲気を満喫した我々。
夜はお風呂に誰もいないのを良い事に、修学旅行生の様にはしゃいでしまい…。
いや、ぜひ赤倉温泉行ってみて下さい!
「湯守の宿 三之亟」さんの風情もとても素敵ですよ♪

 

―涼しさを我宿にしてねまるなり 松尾芭蕉

 

 

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今回は山形を芭蕉の気持ちになって巡る旅だったわけですが、
良い句はなかなか詠めませんでした…とほほ。
その代わり、芭蕉に山形の魅力を教えて貰った気がします。うん。
名句が生まれた場所だもん、それは間違いなく素晴らしい場所で。
そしてそこに行けば何かしらの感情は生まれる訳です。 


僕に今回の旅で芽生えた感情、それはやっぱり山形良いトコ!!
これから本格的な雪のシーズン。
冬の山形の景色がどんなものなのか、いつかまたそれを見に伺います!
お世話になった皆さん、有り難うございました!!

 

 

 


ちなみに「AM10時30分」です。