もう冬だけど… 山形発のひんや~りな旅|旅人:井門宗之
2013-11-28
前回の旅日記の冒頭を振り返ってみよう。
井門Pの強権発動により山形へと行く事になったYAJIKITA。
「日本酒=ひやおろし」を絡めて1本作ると言ったミラクルであったが、
そこからのひらめきが実は神がかっていたのである!
ミラクル「日本酒…当然この季節は“ひやおろし”でゲスな…。
山形って言えば“冷やしラーメン”“冷やしシャンプー”なんてのもあったなぁ。
おっ…こ・これは…!!!!!!
テーマ、冷んやりでいけるでゲスよ!へへへ。」
ってな訳で「もう冬だけど、山形発冷んや~りの旅!」
が今回のテーマだが、「ひやおろし」からの冷んや~り…。
常にロケスケジュールがヒヤヒヤのミラクル氏らしい発想と言えば、発想。
今年の井門は激辛から冷んやりまで、身体を張っている。肉離れまでやった。
36歳、と・し・お・と・こ、年男。こうなったら山形で燃え尽きようじゃないか!
今回のメンバーも、D:ゴルッチ、作家:ミラクル、
カメラマン:テツヤ…そして旅人はワタクシ。
一部のリスナーさんの中では【神4(フォー)】とも呼ばれる面々である。
しかも旅のテーマがちょっとネタっぽい。これは何かが起こる予感。
山形の夏は暑い。
今では熊谷が有名になってはいるが、
日本の最高気温の記録を70年以上も守り続けた程、夏の気温は高いのだ。
そんな暑い夏を乗り切る為に工夫という名の発明で完成したのが…
「冷やしシャンプー」。
山形市にある「メンズ・ヘアリズム」さんが15年以上前に始めたというこちら。
夏になると県内に「冷やしシャンプーはじめました」の幟が立ち、
山形の人たちは本格的な夏の訪れを感じるとか感じないとか…。
で、11月だよね?もうかなり寒いよね?
冷やしシャンプーって何?あ~、シャンプーがキンキンに冷やされてるんだ…。
それを、どうするっていうの?
冷エクル「当然、井門Pが体験するでゲスよ!へへへ。」
素敵な笑顔で迎えてくださったのは、店主:大沼幸市さん。
なんと井門が担当する朝の番組のリスナーさんでもありました!(感謝)
井門「冷やしシャンプーってのは定義があるんですか?」
大沼「シャンプーがメントール系のスキッとするやつですね。
これも我々“冷やしシャンプー推進協議会「冷やしびと」”が作っているものなんですよ!
後は流す時に、お客さんにお伺いはしますけど、
真水・ぬるま湯・お湯のどれで洗い流すか。上級者は真水でいきますね(笑)」
冷え門「で…でも既にメントール系で頭は冷や~ってなってますよね??」
大沼「ですから、真水は効きますよぉ~~(笑)」
スタッフ「ま~み~ずっ!ま~み~ずっ!」
冷え門「よしっ、分かった!俺も男だ!
冷やしシャンプー、真水でお願いします!」
大沼「おぉ!分かりました!冷やし、真水入ります!」
勢いで言っちゃうよね、井門、喋り手だしね。
椅子に座らされてね、床屋さんだからそのままの状態で、
いきなりシャンプー液でね。いきなり泡だらけでね。
大沼「さっ、では洗い流しますよ!
床屋スタイルは流し台に前屈み!さぁ、どうぞ!」
冷え門「ふ…ふぁい…(もう既に戦意喪失)」
大沼「では真水、いってみますか?」
冷え門「ふぁい…」
(真水ブシャー!!!)
冷え門「ひぇぇぇぇぇぇえええええええ!!!!!!」
こうして全てを終えた男の顔から、表情が消えた。
頭がすっきりした分、気持ち良過ぎて魂が抜けたらしい。
そしてこの後、まさかのスタッフ全員が冷やしシャンプーを体験する事に(笑)
大沼さん、御無理を聞いて頂いて、本当に有り難うございました!
メンズヘアリズムさんには井門、サインを書かせて頂いたので、
もし行かれた方は是非その辺りもチェックして頂ければと!
ミラクル「おっ、一足先に冷やしシャンプーを終えた井門P、
なにか面白そうな本を読んでるでゲスな?なんですか?」
井門「いや山形のラーメン本なんだけど、
冷やしラーメンの特集がしてあって凄く旨そうなんだ!」
ミラクル「へへへ。任せるでゲスよ。山形のミラクルは一味違うでゲス。
お次の冷やしは、冷やしラーメンを押さえてあるでゲスよ!」
一同「っしゃ~!!!(歓喜)」
訪れたのは「冷やしラーメン」の元祖「栄屋本店」。
阿部徹さんにお話しを伺うことが出来ました。
お蕎麦屋さんなんだけど、冷やしラーメンが人気のこちら。
初代が試行錯誤の末に完成させたこの冷やしラーメンは、
そもそもがお客さんの要望から生まれたものだとか。
暑い山形の夏。恐らくは冷たい麺が欲しかったのだろう。
そして蕎麦よりもしっかりしたラーメンでそれを味わいたい…と。
お客さんの要望第一に考え、初代は1年がかりで冷たいラーメンを完成させたとか。
井門「メニューにはいつから載せられてるんですか?」
阿部「昭和27年からです。
難しいのはやっぱり冷たいスープで脂が固まってしまわないこと。
色んな工夫がこの1杯の中に込められているんです。」
井門「スタッフもそわそわしているので、
元祖の味、冷やしラーメンをいただけますか?」
阿部「はい、ではお待ち下さい!」
道産子の井門、今まで本当に各地のラーメンを食べてきた。
そのどのラーメンも間違いのない味わい。
ただこの「冷やしラーメン」だけは、想像がつかない味なのだ。
いったいどんなラーメンが出てくるのだろう?
阿部「お待たせしました!」
透き通ったスープにお肉は牛である。
氷も浮いていて、清涼感はさすが…だけど、とっても美味しそう!
まずはスープから…ズズズッ。
井門「うわ~!澄んでいて美味しい!
これはさっぱりしてますね!では麺も…ズルズルズル…
あぁ、このあっさりスープにめちゃくちゃ合う!」
山形の夏は暑い。
その暑いなか、汗をかきかき店に入り、威勢良く「冷やし!」
身体の熱も冷めないうちにこの麺をズズズっとすすれば、
それはそれは心地良いだろうなぁ。山形の夏には欠かせないメニューが冷やしラーメンなのだ。
阿部「冬場もお店では出してますし、お土産もありますからね!是非この季節も!」
スタッフともども冷やしラーメンで満たされた一行。
ミラクル氏のセレクトに皆が満足している様子だ。
どやクル「そう言えばゴルッチさん、稲川淳二さんがお好きでしたよねぇ?」
ゴル「えぇ、よく怪談を聴きに行ったりしてましたけど…。」
どやクル「次はその怪談でゲス。
怪談を聴いて冷んやりするでゲスよ。へへへ。」
(ここからは稲川淳二さん風にどうぞ)
何だかねぇ、霞城公園って所に怪し~い話を聞かせてくれる人がいるってんですよ。
僕はね、季節的にやだなやだな~って思ったんだ。
真夏の怖い話ならまだいいですよ、気温は高いんだから。
でも今はもう初冬。この寒空の下で怖い話なんて、はっきり言って逃げ場なんてないんだ。
公園も木枯らしが吹くなんだか物悲しい雰囲気でねぇ、人もそんなにいない。
だからその雰囲気が余計にその怪しさを増していったんですよ…。
でもね、公園に入った瞬間に足が自然とその怪しい雰囲気の方へと向かっている。
やだなやだな、やだなやだな~と思っても勝手に足が向いちゃうんだ。
あっ、あそこのベンチに座ってるあの方、あの方がそうじゃないかなぁ…。
(ごめんちゃい)
山形在住の怪談作家:黒木あるじさん。
元々そういうお話しが好きで、探していると山形や東北に怪談話が多い。
黒木さんは70代、80代のおじいさん、おばあさんからお話しを集めたという。
黒木「山形のお年寄りに“怖い話を教えてください”って言っても、
あまり向こうがピンとこない事が多いんですよね。」
井門「それはどうしてですか?」
黒木「こっちの慣習と言うか、死者との距離が近いんですよ。
だから死者が出てきて怖いって感覚が希薄なのかもしれません。」
だからなのかもしれないが、
山形の怪談話には幽霊が出たとかの類の話は少ないそうだ。
その代わり自然の中で発生する不可思議な現象、狐火とか、そんな話はとても多いとか。
井門「せっかくですから、黒木さん…怪談を一つ…」
黒木「はい、じゃあ短いのいきましょうかね。」
一同「(無言でうなずきんちゃん)」
黒木「ある所に4歳の一人娘と暮らすシングルファザーがいた。
彼には恋人がいてね、その恋人も彼とは結婚を前提にお付き合いしていたそうな。」
一同「(え、現代の話??)」
黒木「ある日、彼女は彼の家に遊びに行く事になった。
娘ちゃんとは初対面だったんだけど、そこは4歳の女の子。
あっと言う間に彼女とも仲良くなって、色んな遊びをしていた。
しばらくして…
―ねぇ、お姉ちゃんのお顔を描いてあげる―
その子はそんな事を言い始めた。
彼女も子供の純粋な気持ちが嬉しくて、描いて貰う事にした。」
一同「(やべぇ、なんかコレ怖いやつだ)」
黒木「4歳とはいえ、上手に描くんですね。
その日の髪型から洋服のボタンの色まで、それはそれは丁寧に描いてくれる。
…しばらくして
―はい、出来たよ!―
その子が描き上げた似顔絵、
髪型、輪郭、服装、全部が上手に描けている。
だけどね、その似顔絵には…顔が描かれてなかったんだ。
まるでのっぺら坊の様に、顔の描かれていない似顔絵。」
一同「(ぉぉぉおおお…)」
黒木「彼女はその子に聞いた。どうしてお姉ちゃんの顔は描かないの?
これで完成じゃないでしょ?って。
するとね、その子は不思議そうな顔をしてこう言ったんです。
―だって、お姉ちゃん、お顔が無いじゃない―
それを聞いて、彼女はその男性との結婚を考え直しました。
整形してるのがバレたと思ったんですって…。
一同「うぎゃあああああああ!!!!!
怖ぇ!!怖ぇよぅ!!!」
黒木「はっはっは(笑)
楽しんでいただけたでしょうか?」
いや、楽しかったし無茶苦茶怖かったわ!
恐ろしいっていうよりも、ざわざわする怖さって言ったら良いんでしょうかね。
そして黒木さんの話術がやっぱり巧み過ぎます(笑)
YAJIKITA一行、冬の山形ですっかり冷んやりしました。
ミラクル「どうでゲス?冬の怪談は?」
ゴル「いや、面白かったです!」
井門「なかなかに怖かったじゃないの!?」
ミラクル「それでは最後に井門Pお待ちかねの…」
井門「あれか?あれなのか?」
ミラクル「ひ・や・お・ろ・し、ひやおろし!でゲスよ。へへへ。」
冷んやりの旅、最後にやはりお楽しみが待っていた!
日本酒は山形の地酒しか扱わないこだわりの酒屋さん。国井酒店さん。
こちらの御主人:国井功一さんにお話しを伺いました。
*国井さんも御夫婦で朝の番組のリスナーさんでした!感謝!
実は山形に行く前、東京での話。
僕がよく行く地元のビストロがあるんですけど、
そこのオーナーに“今度山形に行くんだよ”なんて話したんですね。
するとオーナーとスタッフがこんな事を言う。
――いま、山形のワイナリーが凄く良いですよ!――
山梨は知ってるけど、山形のワインか…その時はそんな風に思っただけだったんですけど、
実際に国井酒店さんをお伺いして合点がいきました。
店内は正面に沢山の地元の酒が並び、右を見るとそこにも地元のお酒が揃っている。
ところが左手を見るとそこには…山形のワインがビッシリ並んでいるではありませんか!?
国井「山形のワインもどんどん出来が良くなっています。
生産者の方々が物凄く頑張っていますから。
少し前に開かれた洞爺湖サミットってありましたよね?
あのサミットで各国首脳に提供されたワインって実は山形のワインなんですよ!」
井門「えー!!それは凄い!」
山形県内にもいくつもワイナリーがあり、
地元で作られたブドウを使って美味しいワインが作られているとか。
なるほど、気候がそもそも酒造りには向いているのかもしれない。
ひやおろしも美味しそうなのが揃っている。
井門「あのう、ここに出ているのが全て…なんでしょうか?」
国井「いえ、地下の貯蔵室にもまだありますよ!御案内します!」
普通は入れない地下の貯蔵室へと案内してくださった国井さん。
この感じ、きっと超レアなお酒も…あるんだろうか?あるんだろうな…。
地下に降りると徹底した温度管理のもとに保管されている日本酒が。
井門「ここにある日本酒で一番レアなものって…」
国井「これでしょうね。
亀の井酒造 くどき上手 大吟醸10年古酒1.8L 。
僕なら1本2~3万の値段をつけても良いくらいなのに、
蔵元の出血大サービスです。これ一本いくらだと思いますか?」
井門「1万5千円…とか?」
国井「4,725円です。」
井門「えぇえぇええええ!!!!!
あ・・・あのう・・・」
何か気付いた一同「ばか、言うな、やめるでゲスよ!!」
酒門「それ、味見させて頂くことは…??」
国井「あっ、良いですよ!僕もこれ飲んでないんで、一緒に味見しましょう!」
一同「すみません…有り難うございます!!」
ってなわけで酒モンスター井門の空気を読まない交渉で、
幻のお酒を試飲する事になった一行。
その他にもひやおろしと、ワインを試飲させて貰いました!
もうそのどれもが至福!!!
幻の日本酒を時間をかけて、味の変化を楽しみながらゆっくりと楽しむ。
舌の先から喉まで幸せが流れ込んでいく。その流れは余韻となって、時間を彩っていく。
お酒ってこんなにも物語を紡ぐんだな。そんな風に感じる瞬間。
お酒が飲めて幸せだって、こんなに感じた事はないかも(笑)
国井さん!本当に、本当に有り難うございました!
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今回は季節外れながらも「山形発冷んや~りの旅!」と題して旅をしてきた訳ですが、
なんのなんの!!最高に楽しい体験ばかりで、
冷んやりどころか、心は熱くなりましたよ!(笑)
もちろん冷やしシャンプーや怪談は夏に体験すれば、効果は倍増するかもしれません。
でもこの季節に夏の文化を体験したって事はですよ、
2つの季節を同時に楽しめたって事じゃないですか!?
山形に来て、そんな贅沢な(強引か)時間を味わえるなんて…!
注)決して美味しいお酒を飲んだからテンションが上がってるわけじゃない。
因みに後日談なのですが、国井酒店さんで2本のワインと1本の日本酒を購入しまして。
どっちも果てしなく美味しかったです!特に高畠ワイナリーのシャルドネとカベルネが…。
はい、この旅日記を書き終えたら、国井さんにまた注文のメールしようと思うくらい(笑)
山形のワインが面白いって、本当だなぁ。
帰りの新幹線で飲んだスパークリングも良かった…。
あぁ、違う違う、旅日記のまとめでございました。
様々な表情の中に季節を楽しむ工夫があって、
山形の方々はきっと季節や風土を楽しむ術に長けてるのかなって。
そんな事を今回の旅を通じて考えました。
そう言えば僕がよく知っている山形の人たちも、
日々の生活を楽しむ工夫に長けてる人たちだったっけ。
山形を旅すれば、自分の生活を楽しむヒントが貰えるかもしれない。
また来るよ、山形。美味しい物と、素敵な人たちへの再会を誓って。