ぐるっと伊豆大島!山編|旅人:井門宗之

2014-06-14

 

今回は…山であります。(唐突に始まりましたが)
前回は海でした。お寿司やくさやや(くさややって言いにくいね)温泉や…。
松島や、ああ松島や、松島や。違う違う。
周りを海に囲まれた伊豆大島は、三原山を有する火山島でもあります。
そうです、山の魅力もいっぱいなのです!
2010年にジオパークにも認定された伊豆大島、
今回はその“山の自然”を満喫しようじゃないかとミラクル、 


いやさ山クルは考えたのです!
ヤジキタのグループメールでは事前に、 


――当日は動きやすい靴でお願いでゲス。―― 


とのメールまで送られてくる始末(始末ってなんだ)。
いいえ、僕は知っているのです。
ミラクル氏が服装の注意喚起をした時は、 


けっこう本気なヤツが待っているって事を。
3年前に上高地をトレッキングした時もチラっとそんな事を言っていて、 


結果的に14km歩かされた記憶が頭をよぎります。
よっしゃ!そこまでミラクルが言うのなら、俺も装備していこうじゃねぇか。 


前回の上高地は農民がいきなり合戦しに来たみたいだったが、
今回は違うぜ!あの頃に比べて、ランニングまで始めた今の俺だ。
見て貰おうか!?俺の本気をっ!!

 

 

 

 

 

 

気合い…入れ過ぎた…(笑)
まぁ、でも結果的にこの格好で良かったのであります。
それくらい三原山の自然は素晴らしかったんだもん。

 

さぁ、今回ご案内戴いたのは、 


グローバルネイチャークラブの西谷香奈さん
伊豆大島で暮らし始めて26年。島をとことん愛する心強いガイドさんである。
元々はダイビングをやられていたそうだが、5年前から陸のガイドをする様になった。
この西谷さん、とにかく元気なのです(笑)
あちこちに生える三原山の植物たちを見ては歓声をあげる。
毎日見ている筈なのに、まるで今日初めて見つけたかの様に目をキラキラさせる。
西谷さんにガイドして貰ったお陰で、最後の方は僕らもこの自然が大好きになっていたもの。
今回のトレッキングは三原山頂口からスタートして2時間半歩くというもの。
とは言え目の前に広がる三原山の山頂、火口付近まで行くってことだから…。
こりゃ、けっこう覚悟していかなきゃ。

 

 

 

 

 

 

西谷さん曰く三原山山頂からの黒い筋は「溶岩の道」との事。
活火山である三原山は最近だと1986年に噴火している。
その時の溶岩の道やそれ以前の溶岩の道が緑の中に黒い筋となって見えるのだ。
86年の噴火で一度植物はダメになるのだが、そこから力強く植物は復活し、
国立公園の中を低木となった緑が広がっていく。

 

井門「ちょうどツツジも綺麗な時期ですからね。
この緑にツツジの色が映えますね~!」

 

西谷「今がいちばん華やかな時期ですよ~♪」

 

 

 

 

 

 

大自然に囲まれながらのトレッキングは西谷さんの面白トークと共に。
ホエホエ溶岩、アア溶岩を眺めながらずんずん進んでいきます。

 

 

 

 

 

 

西谷「1950年~51年には1年かけて溶岩が流れ出したんですよ。」

 

井門「えっ!?そんなにゆっくりですか?」

 

西谷「はい。だから地元の子供達にとっては、マグマも遊び場の一つだったようで。」

 

一行「マジすかっ!?」

 

西谷「ゆーっくり溶岩が流れてきたら、井門さんはどうします?」

 

井門「逃げます。(キッパリ)」

 

西谷「いや、ほら、子供だからね(若干焦りながら)、何かしませんか?」

 

井門「絶対に逃げます。(もう真顔)」

 

西谷「(コイツ…)伊豆大島の当時の子供達は、
この溶岩で溶岩灰皿を作って遊んでいたみたいです。
当時小さかったいまのお年寄りに聴くとほとんどの人がそうやって遊んでいたみたいで。」

 

 

 

 

 

 

そんな風に西谷さんが見せてくれたのは、
子供の頃に作った溶岩灰皿を持ったおじいちゃんの写真(いや、危ないがな!)
ただ今でも地下にはマグマ溜まりがある「活火山」の三原山。
そこで暮らす人にとっての火山や溶岩の考え方は、
僕らとはだいぶ違うのかもしれませんね…まっ、僕は絶対に逃げるけどな!な!

 

 

火山と共に暮らす人も逞しいけど、
そこに生えてる植物も逞しいんです。
噴火のあと、一番先に生えてくるハチジョウイタドリ。
なーんの栄養素も無いところに種から生えてくるんですもの。なんで!?
でもこの植物のお陰で大島は緑の回復が早いんだとか。
自然の力はやっぱり偉大なのであります。

 

 

 

 

 

 

西谷「伊豆大島の植物の1割は固有種で、
中には楽をして成長する植物もいるんですよ(笑)」

 

井門「それは天敵がいないからですか?」

 

西谷「そうです!ですから普通の成長の仕方とは違うんです!」

 

 

もしミラクル氏がここで成長していたら、
もっと楽をする放送作家に成長していたかもしれない…良かった良かった。
それはさておき(さておいちゃったよ)、この日は本当に天気がよく、
徐々に登り始めた三原山からの景色が美しいのなんのって。

 

 

 

 

 

 

井門「よぅしっ!この火口までの坂道、 


おれ、走るっ!!!

 

一行「はぁっ!?」

 

 

この自然に我慢出来ず、井門Pはずっとウズウズしていたのである。
3年前の上高地の頃には考えられなかったことだ。
まさかこの男の口からこの急な山道を「走る」ってフレーズが出てくるとは。
きっとこの時、この男の脳内では「Happiness / 嵐」が再生されていたに違いない。

 

 

 

 

 

 

井門「お~い!はやく登っておいでよ~!!(キラキラの笑顔で)」

 

一行「うるさいよ、ランニングバカ!

 

 

そんな微笑ましいやり取り(微笑ましいのか!?)に笑顔の西谷さん。
我々を気遣ってお水をくれたり、お菓子をくれたり。
そう、これからの季節は特に熱中症も気をつけねばいけない時期。
皆さんも三原山を登る際は、お水の用意をお忘れなく!
走る方もお気をつけて(走らねえよ!)。

 

そうこうしている内に火口付近に到着。
そこに広がるのはなんとも幻想的な、この世のものとは思えない風景でした。
例えて言うなら「ネバーエンディングストーリー」でロックバイターが食べる岩…みたいな。
(良いんだよ、分かり難くても)

 

 

 


これ、ロックバイタ―ではなく何かに似ていません?ゴ、ゴ、ゴジ…

 

 

 

西谷「あ~、神社の鳥居の上に富士山も見えますね!」

 

井門「本当だ!あれ?西谷さん、この神社は噴火の被害を受けなかったんですか?」

 

西谷「えぇ、そうなんです。
溶岩流はこのお社だけを避けてここから二股に分かれて流れていったんです。」

 

 

 

 

 

 


これは奇跡なのかと、そんな風に思わざるをえない。
溶岩流がこの社を避けて流れていったなんて。
勿論、神様がいるって考えた方がロマンチックなんですけど、
西谷さんの種明かしによればお社のちょうど後ろに大きな岩があるんですって。
その岩に守られて溶岩は二手に分かれて流れていったと。
溶岩は少しでも流れを邪魔するものがあるとそれを避けていくそうなので、
もしかしたらこのお社を作った人はそんな溶岩の性質を熟知していたのかもしれませんね。

 

更に進んでいよいよ火口付近。
標高705mの火口付近には地球って凄いな…という景色が広がっていました。

 

 

 

 

 

 

井門「あれっ!?遠くに噴煙が見えますけど…。」

 

西谷「そうですよ!バリバリの活火山ですから!
地下5kmの所にはマグマ溜まりがありますからね!
1100度のマグマが活発に活動中なんです!」

 

 

 

 

 

 

山頂の景色にすっかり飲みこまれた我々。
帰りは「表の砂漠」という火山灰が砂状になり、
まるで砂漠の様になっている場所を通って帰ってきました。
そこまで山肌を滑っておりてくる感じなんですけど、 


ランニングバカがまた走り出しまして…(笑)
もうね、三原山最高ね!(単純)

 

 

 

 

 

 

最後に西谷さんが仰ってくれた大島の魅力。

 

 

西谷「地球が生きてるぞって、実感があるんですよ。
植物は育って森になるんだけど、また噴火で焼かれてしまう。
そんな所に人も住んでいる。 


でもそんな風景の中に命の繋がりを見つけることが出来るんです。」

 

 

本当にそう思います。自然と戦うのではなく、
共存・共生の中に命の循環の大切さを学ぶヒントが隠れている。
大島の自然を「大好き!」とキラキラしながら話してくれた西谷さん。 


僕もその自然を前に何度も「This is Geopark」と叫びました。
だって、まさになんですもん。
お話しも面白い西谷さんにガイドをお願いしたいリスナーさん、
ぜひグローバルネイチャークラブのHPを覗いてみてください。

 

 

ミラクル「大島の特産品、知ってるでゲスね?」

 

井門「もちろん!ホテルの売店にもあった椿油でしょ?」

 

ミラクル「あれ、自分で搾ってみたいでゲスか?」

 

井門「みたいでゲス!!」(うっかりミラクル化)

 

 

三度の飯より体験物が好きな井門P。
37歳になりたての男の顔は華やぐ…。 


一行が向かったのは「大島ふるさと体験館」。

 

 

 

 

 

 

ここにいらっしゃった素敵オジサン、菊池清さん指導のもと、
さっそく椿の実から椿油搾りにチャレンジ!!

 

これが椿の実(種)です。
ぱっと見はクリみたいな形をしていて割と固め。

 

 

 

 

 

 

臼と杵でその種を細かく潰していきます。
殻が割れると中から黄色の中身も顔を覗かせていきます。
この黄色いところから油が出てくるのだそう。

 

 

 

 

 

 

粉砕した椿の種をセイロに入れて蒸します。
セイロで蒸さないと油が沢山搾れないんだそうで。

 

 

 

 

 

 

5分ほど経って蒸し上がった椿の種。
それを台に移動させます。

 

 

菊池「2人で一緒に持ちあげましょう。」

 

井門「わかりました!はい、セ~ロっ!!!

 

菊池「はっはっはっ!面白いことを言う人だ。(冷静か)」

 

井門「俺ね、このセ~ロってダジャレ、
今度誰かに体験させる時に菊池さん、使うと思うんだよなぁ…。」

 

菊池「残念。そのギャグもう使ってますから。

 

 

くっ…なんだこのオジサン…(笑)
気を取り直して、蒸し上がったものを今度は加圧機で搾ります。
ジャッキで圧をかけていくのですが、徐々に琥珀色の油がしたたって…。

 

 

 

 

 

 

出てきたのは量にして500mlの椿油。
いや、化粧品として椿油を使ってる方なら「贅沢な量!」と仰るのでは!?
普通に化粧品として販売している椿油、高価ですもんね?
もちろん販売する為にはここから精製しなくちゃいけません。
この段階ではまだ中に水分や殻などが含まれていて、劣化の原因になるからです。
でも勿論、このままでも使う事は出来るわけで…。

 

 

菊池「ぼくね、地元のお百姓さんでもあるんですよ。
明日葉を作ってるんだけど…椿油を使って明日葉のソテーしましょ!」

 

 

そう言って持ってきてくださったのは、
菊池さん作の明日葉(ボイル済み)。これを椿油で炒めるわけです。
油にはまだ水分が含まれるので、火にかけるとパチパチ音がする。
でもそれによって少し濁っていた椿油がクリアになっていくんですよね~!
工房に広がる香りもとっても香ばしい!!

 

 

テツヤ「自分…明日葉はソテーじゃなくて、揚げ専門ですから…ブツブツ」

 

仏「あっ、明日葉おじさんだ!
おじさん!今日はやらなくて良いの!?」

 

テツヤ「ま…祭りの会場などでしか…揚げませんから…プププ」

 

 

連日の明日葉おじさんごっこに花が咲き(俺たち暇か!)、
火の通っていく明日葉に菊池さんが醤油をひとたらし。

 

 

 

 

 

 

これがまぁ、旨い!!
明日葉の香りに椿油の香り、香りのミルフィーユや~状態になるのですが、
どちらの香りも両方が高め合っている感じで深みが増していくんです…。
一緒に出して戴いた明日葉茶も美味しかったし、
う~ん、大島の自然の恵みに舌鼓でございましたな!
貴重な体験、有り難うございました、菊池さん!

 

 

 

 

 

 

続いては楽しみにしていた取材でゲス(自然にミラクル化してしまうほど)。
伊豆大島に1軒だけという焼酎の酒蔵へGO!
まるで宮崎アニメに出てきそうな建物が迎えてくれました!

 

 

 

 

 

 

ここが島に1軒の酒蔵「谷口酒造」さん。 


御主人の3代目の谷口英久さんにお話しを伺ったんですが、
この谷口さんがとっても素敵な方で…。
ちょっとだけ裏話をしますね。
実は伊豆大島に着いて一番最初のロケ先がこちらだったんです。 


朝10時から焼酎の取材…試飲もあり…もう最っ高でした!(笑)


ここで作られている焼酎は三原山を表す「御神火」。
こちらはお店の他に貯蔵庫と酒蔵があるのですが、
(貯蔵にも12~13のタンクがあるんですよ) 


なんと谷口さんが一人で仕込みを行っていらっしゃる!!

 

 

谷口「昔は人も何人かいたんですけど、やっぱりそれぞれに作り方があって、
コレが良いと言ってもなかなか商品への反映が遅くなるんです。
だったらもう一人でやっちゃえば良いと。」

 

井門「となると絶大な味への信頼、というか自信がおありですよね?」

 

谷口「勿論です!」

 

 

自慢の焼酎は酒蔵でモーツァルトのレクイエムと共に仕込まれる。
谷口さんも音楽好きという事で、モーツァルトの他にも沢山のCDが。

 

 

谷口「大体取材に来られる方は、まずそのCD棚をご覧になりますね(笑)」

 

 

 

 

 

 

谷口さん酒蔵を継ぐ前は東京で文筆業をやられていました。
島に唯一の酒蔵を残す為に、故郷の蔵を継ぐ決心をしたんだとか。
その自慢の御神火を飲ませて戴くことに(ほくほく)。

 

 

谷口「まずは1年物からいきましょうか。」

 

 

 

 

 

 

なみなみと焼酎が入ったタンクに柄杓を入れて、
それを猪口に注ぐ。
美しい焼酎が、その香りと相まって「早く呑んでくれ!」と言っているかの様だ。

 

 

井門「うわぁ…飲み易い!香りも良いですね!」

 

 

 

 

 

 

御神火の味、麦焼酎なのだがどこまでも香ばしい。
麦の香りが口中で膨らんで、綺麗なハーモニーを醸し出している。
そう、それはまるでモーツァルトの音楽の様に…。
(なんだこのレポ)

 

 

谷口「では御神火の8年物も飲んでみますか?」

 

 

8年熟成させた御神火。 


酒バカにはたまらない言葉だ…熟成
井門は単純なので「寝かせりゃ寝かせた分だけ旨いに決まってらぁ理論」があり、
1年目でこんなに旨いのだから8年物はそりゃたま消る旨さだと信じて疑わない。

 

 

 

 

 

 

井門「旨い…じわじわ旨い…。」

 

谷口「よりアルコールと香りの溶け具合が良いですよね。」

 

井門「確かにさっきよりも男らしい味に仕上がっている気がします。」

 

谷口「折角ですから14年物も飲んでみますか?」

 

井門「勿論です!(キッパリ)」

 

 

結論から言いますと14年物は深みが凄まじく、
そこには長い年月手間をかけて育てた作り手の愛情を感じます。

 

 

 

 

 

 

 

お一人でやられている分、なかなか手に入れる事は難しいかもしれませんが、
大島の魂を感じさせる焼酎「御神火」。是非、いちどお試しください!
谷口さん、有り難うございました!

 

 

 

 

 

 

最後に訪れたのは大島の方にとってのソウルドリンク! 


大島牛乳を味わいに産地直売所の「ぶらっとハウス」さんへ。

 

 

 

 

 

 

こちらでは大島で獲れた新鮮野菜が、お手頃なお値段で販売されています。 


お話しを伺ったのは浅沼務さん
大島で育ったホルスタインのお乳、大島牛乳は子供の頃から親しんだ味だという。

 

 

浅沼「普通の牛乳よりも味が濃いです。
しかも明日葉を食べて育った牛ですから、乳の出も良いんですよ!」

 

 

 

 

 

 

この浅沼さん。
アイス作りに情熱を燃やしていらっしゃいまして。
もともと「ぶらっとハウス」さんでアイスクリームを販売していたんですが、
その先代の技術を継承して大島の物を使って様々な試行錯誤をされている。
メニューも面白いんですよ。
グリーンピースとか焼きピーナッツとか。 


その中でも我々が気になってしまったのが「明日葉アイス」。
明日葉を混ぜ込んだジェラートなんですけど、どんな味がするんでしょ?

 

 

浅沼「このラインナップの中で一番リピーターが多いのがコレです。
一度食べたら、やみつきになる方も多いんですよ。」

 

 

 

 

 

 

食べてみましたよ、明日葉アイス。 


一言で言うと…武骨な味(笑)
明日葉の香りが割とダイレクトに来るお味なので、好きな人にはたまらないでしょう!
ね?明日葉おじさん?

 

 

明日葉おじさん「(モグモグ)良い仕事しやがる…。(モグモグ)」

 

 

他にも酸っぱい大島のイチゴを使ったいちごアイスや、
椿のジャムなど、こちらには特産品がいっぱい。
大島の特産を知りたければ、是非「ぶらっとハウス」にぶらっと!!

 

 

 

 

 

 

 

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出会う人、出会う人が仰っていた。
「大島は星が綺麗なんです。」
「自然が美しいんです。」
都会で暮らしていると、ついつい見逃してしまう美しさを、
この島の人たちは丁寧に拾い上げ、そしてその美しさと共にいる事に感謝している。

 

島にいる間、不思議な事に時計を見る回数が減っていた。
きっとそれが大島にかけられた魔法なのだ。
時間を忘れさせてくれる島、それが大島。

 

ここは東京都、大島町。
羽田空港から飛行機で30分。
たったそれだけの時間で、大島の魔法にかかるのだ。
四季折々に美しさが変わるこの島に、自然と共に丁寧に生きるこの島に、
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう?
きっとあなたも、大島の魔法にかけられるはずです。