世界遺産登録から10年、熊野古道の今を歩く旅|旅人:井門宗之
2014-06-19
もうこの際だから言っちゃおう。
10年以上もの長きに渡り続くこの番組こそ、
ラジオ界のパワースポットであると!
事実、番組でも各地のパワースポットを訪れているし、
今年最初のロケも谷中七福神巡りだったし。おすし。
そんなラジオ界のパワースポットを率いる井門P(←パワーの略)。
とある日の会議でこんな事を言いだした。
パワー「熊野古道が世界遺産登録されて、10周年なんだよ今年。
YAJIKITAでも過去に行った事があるけど、改めて行かないかい?」
一同「おぉ…たまにはまともな企画を口にするじゃないか…。」
パワー「パワー!!!!!!!!」
はい、という訳で(すみません、いつも)、
今回は熊野古道を取材でございます。って、世界遺産登録から10周年なんですね。
なんだかあっと言う間のように感じますが…。
熊野古道の取材…と一口に言っても、熊野三山へと続く熊野古道、
紀伊半島全域で1000km以上ありますから(笑)
いかに前回のジオパークの時の様な“本気の格好”を見せたところで、
全部を回りきれる筈がありません。
恐らくDのゴルちゃんが途中で、
「55分に収まんねぇよっ!」とキレます。
なのでその中でも今回は、熊野那智大社へと続く参詣道を巡る旅。
そもそも熊野古道は、
熊野三山と呼ばれる熊野本宮大社、
熊野速玉大社、熊野那智大社へと通じる参詣道。
中でも、熊野那智大社へと続く参詣道・大門坂は最も熊野古道らしい風情とか。
我々も歴史あるこの道の風情をたっぷり満喫しようと、
大門坂茶屋である方と待ち合わせをする事に。
今回御案内戴いたのは熊野・那智ガイドの会・副会長の大久保彰さん。
全長で2時間半くらいのコースを楽しいガイドで解説してくださいます。
この世と神域を分ける鳥居をくぐれば、途端に空気が凛としてきます。
参詣道の入口とも言える場所には、樹齢800年の夫婦杉の巨木が。
大久保「なんで夫婦なのかって言うとね、
地中で根が絡み合っているんですよ。そしてこの杉の太さ!
このまえ小学生に手を繋いでこの杉の周りをぐるっとしてみたの。」
井門「何人くらいになりました?」
大久保「だいたい12人くらいになったかなぁ…。」
その夫婦杉に迎えられると、
森の中にも沢山の杉の木が生えている。
我々の言葉をじーっと聴いているかのような存在感。
でも何故か守られているようで、落ち着くのだ。
大久保「恐らくこの杉の森が一番、熊野古道らしいんじゃないでしょうか?
皆さんもお感じになっているかと思いますが、空気が違うでしょ?」
井門「はい、確かに空気が澄んでるし、何よりも気温が随分と下がって感じます。」
大久保「ここは杉の木のお陰で必要最小限の光しか入りませんし、
だから日焼けの心配もいらない(笑)
女性にとってはトレッキングで運動にもなるし、日焼けの心配もいらないし、
若い女性にも人気の場所でもあるんですよ。」
1丁目~6丁目と呼ばれるポイントが杉林であります。
石畳の道はかなりの高低差で(およそ100m)、
既に3丁目のあたりで親分がキツそう。
大久保「あっ!井門さん!
ここ、ここは多分、熊野古道に来た事が無くても、見た事がある人が多い場所!」
ここから上に伸びていく石畳の眺め、
世界遺産に登録された時にTVで使用されたという。
石畳の上に苔が生していて、雨上がりの日は幻想的だともいう。
まぁ、この参詣道のどこを見ても幻想的なんですけどね(笑)
大久保「ここの道は意識しないで進んでくださいね。
奥さんに疾しいことがある人間は、真っすぐ歩こうとしても、
身体が右に右に曲がって進んでしまうんです(笑)」
井門「えっ!?それなら大丈夫~♪
(思いっきり意識しながら真っすぐ歩く)
ホラ、真っすぐ歩けた!(ドヤァ)」
大久保さんのガイドで6丁目まではすんなり。
汗はかいているんだけど、風がとっても気持ち良く。
ここからの眺めも十分凄いんだけど、社殿はもう少し上です
(ちなみにここまで観光バスで登って来られます。)
しばらく登っていくと見えてきたのは御神木のクスノキ。樹齢850年はあるとか。
太陽に照らされながら石段を一歩、一歩登り…ついに本殿へ。
標高およそ500mからの眺めは、もう溜め息しか出ません。
境内には八咫烏の烏石、日本一の大きなおみくじ、
体内くぐりの出来るクスノキ…。
そしてこちらでお話しを伺ったのが熊野那智大社の宮司・朝日芳英さん。
朝日「自然=神様であると考えると、
人が拵えた熊野那智大社の社殿よりも、
那智の大滝こそ、その根本なのです。」
我々は次いでお隣、那智山青岸渡寺へ。
こちらのお寺は花山法王が西国三十三ヶ所の一番札所に定めたお寺。
熊野那智大社とは対照的などこか男らしい、どっしりとした構えであります。
大久保「ここから那智の大滝まで歩きますけど、
急な下りの石段がありますから気をつけてくださいね!」
親分「ガ━━(゚Д゚;)━━ン!」
ここから大滝までの険しさはまた別物で(笑)
今までの石畳が江戸時代に整備されたものなら、
ここからは鎌倉時代のもの。大昔から祈りの為の道としてきたこの道、
そう思うと多少険しくても何やら“有難さ”まで浮かんでくる。
そして向かった先にあるのが、133mの高さから落ちてくる大瀑布。
那智の滝であります。
自然には神がいるとの朝日宮司の言葉をここで噛みしめざるを得ません。
133mの高さから落ちてくる滝は、
その中にやはり神様的な何かを見出したくなってしまう程、神々しいのです。
我々もここで静かに手を合わせます。
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自然に感謝すること。
そこで生かされている事に感謝すること。
都会にいると、その視野はどんどん狭くなり、
人はどこか自分勝手になってしまう気がします。
参詣の道は神への祈りの道。
大昔から人々が通ってきた(そこに色んな想いを乗せて)道は、
一歩一歩を踏みしめるという言葉がぴったりでした。
そして踏みしめた先にある、神様の姿。
その姿はお参りしたそれぞれの人に姿を変えて現れるのでしょうが、
でもきっと素晴らしい姿を見せてくれるはずです。
世界遺産登録から10周年の今年。
熊野古道の神秘的な世界を、ぜひ多くの方に体験して戴きたいです!