東京発どこいくツアー ディープじゃない池袋|旅人:井門宗之

2014-07-11

 

とにもかくにも池袋であります。
この街は行政が主導となり街のイメージアップを図っているのですが、
取材を終えてから悲しい事件が発生してしまいました。
勿論事件というのはどこでも起こり得るだけに、街自体に罪があるという訳ではありません。
今回取材させて頂いた場所はどこも素晴らしい場所であり、
そこでは素晴らしい体験が出来るのです。
それも踏まえ、敢えてどこ行くツアー「池袋編」を放送させて頂きました。
御理解いただければ幸いです。

 

我々が取材した場所は5か所。
まず訪れたのは池袋…というよりは東京メトロ有楽町線「要町」の方が近い場所。
出版社光文社が作った一般財団法人「光文文化財団」の主要事業の一つとして創設された、 


ミステリー文学資料館です。

 

 

 

 

 

 

こちらはなんとミステリーの専門図書館。
歴史的にも価値の高いミステリーの書籍が書庫だけで6000冊並びます。
(蔵書数はもっとですよ!)
1999年に開館したこちらの資料館。
大正時代の貴重な本も閲覧可能という事もあり、
ミステリーの作家さんが資料探しの為に訪れることもあるのだとか…。 


我々は事務局長の北村一男さんにお話しを伺いました。

 

 

井門「ミステリー専門の資料館というのは相当珍しいんですか?」

 

北村「ミステリーって文学的な価値が低いとみなされていたんです。
ですから普通の図書館で保存されていなかったりして、
昔の作品を集めるのも大変だったんですよ。」

 

 

なんという事でしょう!?
小学生の頃にそれこそ光文社さんから刊行されていた、
「三毛猫ホームズシリーズ」を夢中になって読んでいた身として、その事実は悲しい!
純文学とかさ、そりゃ立派かもしれませんけど…やるせないなぁ。

 

 

北村「横溝正史が編集長を務めた“新青年”とかね。
ここには勿論、江戸川乱歩や夢野久作も小説を寄稿していたんです。」

 

 

北村さんに見せて頂いた新青年。
貴重な雑誌なので一冊、一冊がパラフィン紙でくるまれている。
でも昔はそれだけ本を大事にしたのだ。
ページを捲るとそのタイトルだけで想像をかきたてる内容ばかり!

 

 

 

 

 

 

ちゃんと奥にも赤川次郎先生の作品が!
子供の頃読んでいた本がこうして資料館に並んでいるって嬉しい。

 

 

井門「北村さん、壁に作家の方々(しかも大御所)の写真がありますが、
こちらはなんですか??」

 

北村「歴代のミステリー文学大賞の受賞者の写真です。
今年は17回目で受賞者が逢坂剛先生。
これに伴い当館では8月30日まで逢坂先生の直筆の原稿などを展示しています。」

 

書架のある部屋の隣。
そこには逢坂先生の直筆の原稿、
趣味でもある西部劇の映画ポスター、子供の頃の写真などなど。
逢坂ファンにとっても貴重な品々が並ぶ。

 

 

 

 

館内は特別な許可を受けて撮影しています

 

 

 

北村「逢坂先生のお父様は中一弥さんといって画家なんです。
ですから逢坂先生の本の挿絵や表紙はお父様の中先生が描かれているんですよ!」

 

 

 

 

 

 

ちょっと良いなぁと思ったのは、
赤ちゃんの頃の逢坂先生のイラストであります。
そこにはお父様の愛が溢れるコメントが走り書きしてあり、
その絵がなんとも優しいタッチで描かれている。
中先生は100歳を超える今も、逢坂先生の挿絵だけは描いているんだとか。
親子の愛をミステリーに触れて知る事になるとは…(笑)

 

 

井門「ところで北村さんもミステリーは当然お好きですよね??」

 

北村「はい…もうマニアと言っても良いかもしれません(笑)」

 

井門「選べないかとは思いますが、例えば御自身が好きな作品をいくつか選ぶとして、
その中に必ず入る作品はなんですか??」

 

 

そんな難しい質問に「むむむ!」と言いながら選んで頂いたのが、 


『成吉思汗の秘密/高木彬光』です。
どうやらこの本、源義経が奥州から逃れ、
海を渡ってジンギスカンになった伝説を物語にしたのだとか。

 

 

北村「このジンギスカンの字に“成吉思汗”を充てるのも意味があるんです。」

 

 

そんな風に御自身のお気に入りを語る北村さんの表情が、
どこか悪戯好きな少年の様でもある。
ミステリーには人の心を童心に返す魔法があるのかもしれないなぁ。
そんな気にさせてくれる資料館、
館内であれば貴重な本の閲覧も可能だとの事。
ミステリーファンは是非とも押さえておいてください!

 

 

 

 

 

 

2軒目は目白から近い場所。 


自由学園明日館にお邪魔しました。
閑静な住宅街の中にあるこの建物は国の重要文化財です。
帝国ホテルの建築に携わった巨匠、フランク・ロイド・ライトの設計による建物で、
1921年に羽仁吉一、もと子夫妻により創立された学校の校舎なんです。

 

 

 

 

 

 

広くとられた緑の庭に、クリーム色の「コの字」の校舎がよく映えます。 


吉川紗恵さんにお話しを伺いました。
こちらは一般の方の見学は勿論なのですが、
なんと結婚式も挙げることが出来るのです!
取材中も見学の方や結婚式の下見に訪れている方がいらっしゃいました。

 

 

ゴル「いやぁ…こんな綺麗な場所で結婚式とか良いですね!」

 

親分「井門くんもさ、ここで式をやり直しちゃえば良いじゃない!」

 

井門「ここを知っていたらここで挙げていたかもしれませんねぇ(笑)」

 

 

そんな風に思ってしまうくらい雰囲気の良い場所。
吉川さんの案内で通されたのは、学校時代に食堂として使われていた場所です。

 

 

 

 

 

 

暖炉もあって沢山の椅子やテーブルがあって。
(復元した物が並びます)

 

 

吉川「当時女学校だった自由学園は、
生徒の食事も自分たちで作っていたんです。
いま私達がいる下に調理場があって、そこで生徒が食事を作っていたんですよ。」

 

 

ここが校舎として機能していたのはおよそ10年。
その後、生徒の増加に伴い東久留米に学校は移る事になる。
この建物はその後、卒業生の事業活動に使用されるのだが、
建物の老朽化の影響で一時は取り壊し寸前まで追い込まれたとか。

 

 

井門「高名な建築家が設計した歴史ある建物でも、ですか!?」

 

吉川「そうなんです…。でもその後、沢山の方の御尽力によって、
1997年に国の重要文化財へと登録されました。」

 

 

元々、ジャーナリストだった羽仁夫妻が当時の学校教育に不満を感じ、
子供達の“考える力”を養う為の教育の場として創立したのが自由学園。
羽仁夫妻の三女・恵子さんが女学校に上がるのを機に学校を作ってしまったってんだから、
当時の羽仁夫妻の行動力には頭が下がる想いです。

 

食堂に続いて通されたのは施設の歴史などが展示されたミュージアム。
中2階の高さにあって、下のホールでお茶を飲みながら談笑する人の声が聞こえてくる。

 

 

吉川「このホールの正面にこの建物を象徴する窓があるんですが、
最初はこの窓にステンドグラスを入れる予定だったそうです。
ところが羽仁夫妻は、
“ステンドグラスを入れると、その印象が強くなってしまう。
自由学園の主役は建物ではなく、子供達だ。”との想いから、
ステンドグラスをやめて通常のガラスにしたんだそうです。」

 

 

 

 

 

 

吉川「8月にはこの庭で1日だけビアガーデンをやろうと予定しているんですよ♪
ぜひお時間が合えばいらっしゃってください!」

 

 

 

 

 

 

吉川さんに話したんですが、
この庭で坂本美雨ちゃんの歌声なんかが響くと…気持ちいいでしょうねぇ。
楽器を使ったコンサートは実施した事もあるそうで、
住宅街にあるにも関わらず、近隣の方の理解が有難いですね。
それだけこの場所になくてはならない建物なんでしょう。
吉川さん、貴重なお話し有り難うございました!
あっ、ちなみに自由学園のクッキーが素朴でなんとも言えず美味しいのですが、
この日売店に行ったら既に売り切れていて…。
しょんぼりしている僕に、
なんと事前にクッキーを買っていた親分から貰っちゃいました!
皆さんも自由学園に行ったらクッキーを是非!!

 

3軒目は池袋防災館。
消防署の中にある施設なんですが、
ここでは模擬消火器を使った消火体験や、震度7が体験できる地震コーナー、
煙の中を避難する煙コーナー、AEDの使い方が学べる救急コーナーなどなど。
それぞれ専用のシステムで体験することが出来ます。
予約をすればどなたでも体験できるということもあり、
この日も若者や子供連れの姿がかなり多く目立ちました。
池袋防災館の熊沢清さんの御指導のもと、
私、井門も模擬消火器で消火体験をさせていただくことに。

 

 

 

 

 

 

熊沢「火災を発見したらまず何よりも大事なことは、
火事だ~っ!!と大声で叫ぶことです。
周りに知らせる事により多くの協力者を得る事が大事なんですね。
では井門さん、目の前の画面に火が燃える映像が映し出されます。
この消火器の中には水が入っておりますが、
炎に向けてその水を上手く当ててください。
ちゃんと当てると鎮火する事が出来ます。」

 

井門「消火器の操作手順は…?」

 

熊沢「まず映像が出たら“火事だ~!”と叫ぶ。
そしたら、消火器のピンを外し、ホースを持って、レバーを握る。 


ピン、ホース、レバー!
さぁ、では映像をスタートさせますよ!」

 

井門「あっ、映像が…あぁ、炎が上がりました!
えっと、まずは大声で周りに知らせなきゃ…。 


火事だ~っ!!!
そしたら火に向かって一連の流れ、 


ピン、ホース、レバー!
(水が勢いよく画面に向かって放水される)」

 

 

徐々に火が鎮まっていき鎮火完了!
普段目にするものの、使い方ってちゃんとしらない消火器。
そして火を見つけたら大事なのは大声、という事を学び防災館を後にしました。

 

 

 

 

 

 

続いては池袋を象徴する建物「サンシャイン60」です。
流石にこのビルの全景は写せないので、
皆さんには59階からの眺めをご覧いただきましょう!

 

 

 

 

 

 

えっ?なんで「サンシャイン60」なのに60階からじゃなくて、59階からなんだって? 


だって60階の展望室に行ってないんだもん!
いえね、我々は59階のレストランフロアに用があったのですよ。 


本格イタリアンのお店「OCEAN Casita」。
地上220mという抜群のロケーションを誇るレストランは、
特別な日に特別な人と…も素敵なのですが、なんとお子様連れもOKなのです。 


店長の中山晃一さんも小さなお子さんをお持ちとかで…。

 

 

中山「レストランに隣接する形で“THE DOME”というスペースをご用意しております。
こちらは大人数でも大丈夫な広い空間で、
中には子供達が遊べるように遊具や玩具などもご用意しております。」

 

 

 

 

 

 

いま豊島区は子供のいるファミリー層に優しい街づくりを目指している。
だからなのかもしれないが、子供連れでも大丈夫なレストランが増えた。
しかもちょっと前なら考えられなかった高級レストランまでが。
小さなお子さんをお持ちの親御さんなら物凄く分かると思いますが、
小さな子供と一緒に入れるお店って、なかなか無いですし、
他のお客さんの事を考えると入るのを躊躇してしまうケースが多いです。
そんな所に独立したこういうスペースがあるのも嬉しいのかもしれませんね!

 

 

 

 

 

 

最後に訪れたのは宮城ふるさとプラザです。
何を隠そうプライベートでもよく行くお店がこちら。
YAJIKITA.でもお馴染み、高政のあげかまが都内で買える場所なのでしょっちゅうきます。

 

 

 

 

 

 

 

この日はお店に入るとすぐ「三陸直送のホヤ」を威勢の良い掛け声と共に売ってたりして。
季節によって旬の東北の味が東京で味わう事が出来るんですよね~。 


こちらの鈴木慎太朗さんにお話しを伺いました。

 

 

井門「1階が食べ物で2階が特産品や伝統工芸、お酒などを販売しているんですよね?」

 

鈴木「はい、その他にも2階では観光情報なども御案内しております。
また1階では仙台名物の牛タンが食べられるレストランも併設しているんですよ。」

 

 

そうなのです。
1階の奥には本格的に牛タンが味わえる「伊達の牛たん本舗」があるのです!
ここに並ぶ宮城の味はどれもこれもが本格的なもの。
立地の良さも相まって、だからこそいつも多くのお客さんで賑わっているのです。
震災から3年4カ月が過ぎて、
それでもここを訪れるお客さんからは、
「頑張って!」「応援してますよ!」と声をかけられると仰る鈴木さん。
えぇ、いつだって応援してますよ。

 

ですから、来週・再来週YAJIKITA… 


東北応援SP「石巻編」「女川編」でございます!!
海の物も農産物も美味しくなる季節。
東北の旨い物や素敵な人に会ってきた様子をたっぷりお伝えしますからね!
どうぞお楽しみに!
宮城出身の鈴木さん、貴重なお話し有り難うございました!
プライベートでもまた来ます!

 

 

 

 

 

 

いつもとは違うテイストで書き進んできましたが、
池袋がこれから更に変貌を遂げていく事は、まず間違いないと思います。
良い街にするには、そこを訪れる人のマナーや心がとても大切。
そうした想いやりの心が、街をまた少し美しくするんです。
街作りとは人作りでもあるのかな、と。
池袋という街が、これからもっと良い街になる事を心から願います。