東京発どこいくツアー 目黒川ぶらぶら散歩・中目黒編|旅人:井門宗之

2014-11-28

 

――今夜どこで待ち合わせする?
――ナカメで美味しいバル見つけたんだ。
――じゃあ、ナカメで20時ね。

 

ナカメ。
カタカナで書くとそんなにお洒落に聞こえない街。
中目。
漢字で書くと、よく分からない街。
中込。
元気でやってるだろうか(関係無いだろ、いま)。

 

ナカメ=中目黒のことであります。
夜も更けていけば芸能人が夜な夜な徘徊する街と言われ、
代官山からナカメのエリアはお洒落な人達で賑わう都内でも屈指のお洒落スポット。
…と、5年前くらい迄は言われておりました。
勿論、今でもその感じは変わっていないんですが、
どうも昔よりは肩肘張らなくても遊べる街になった様な気がします。
「住みたい街ランキング」で上位に位置する中目黒。
今回はこの街をぶらりする事に…。

 

 

 

 

 

 

中目黒と言えば目黒川でございまして。
はい、あの都内有数の桜並木でございます。
ミラクルが夜を徹して数えてみたところ、およそ800本程あったとか(数えてない)。
池尻大橋の大橋から太鼓橋まで全長3.8kmにこれだけのソメイヨシノですから。
シーズンは物凄い人だかりになるんです!
そうでなくても目黒川沿いは風情が良い。
暮らしている方々もこの辺りを中心に住まいを展開していらっしゃいます。
が、良いですか?ちょっと不動産情報サイトを覗いてみたところ、 


中目黒の家賃相場「1K=11万8千円」くらいだとか…。 


これは一人暮らしの人もなかなかな感じではないかと。
流石は交通アクセスの良い場所ですね。
なんてったって、渋谷から2駅。東急東横線と地下鉄日比谷線が走る街ですもの。
あんまりぼけ~っとした顔でブラリしてると、笑われますぞ、YAJIKITA一行。

 

 

 

 

 

 

テツヤ「ちょっ…井門さん、佐々木さん!
さっきすれ違ったカップル見ました!?」

 

井門&佐々木「いや、2人でキャッキャしてたから…。」

 

ミラクル「俳優の○○さん、奥さんと仲良く歩いてたんだよ!」

 

テツヤ「いやぁ、絵になってましたよね!」

 

井門&佐々木「ぼ・僕らだって絵になるんだからねっ!」

 

 

犬も歩けば棒に当たる。
ヤジキタも歩けば芸能人に当たるのであります。
芸能人や流行に敏感な人達が、何故に中目黒に集まるのか。
それはこの街にハイセンスなお店が多いと言うのも一つ、理由でしょう。
ファッション、食べ物etc.レベルの高いお店が集まるのも中目黒の特徴。
そんな中目黒において、開店から今までランチに行列が絶えた事のないお店があります。
山手通り沿いにあるそのお店の名は… 


Pizzeria e trattoria da ISA




 

 

 

店内もオープンな雰囲気で、
店の外にも椅子とテーブルが並べられる様子はまさに本場の雰囲気。
若いスタッフがキビキビと働く姿もとても気持ちが良い。 


こちらを切り盛りするのが山本尚徳さん
日本人初、本場ナポリの「ナポリピッツァ職人世界選手権」で、
2007・2008年と2連覇を果たした方です。
同い年という事もあって山本さんのお話しには頷くことばかりでした。
2年連続で世界一になる…凄まじい努力があってこそです。
本場でも一人前のピッツァ職人になれるのは一握り。
しかも12歳頃から修行を始める人もいるほど厳しい世界。
山本さんがナポリを訪れた時は既に20歳を過ぎていた頃でした。
あどけなさも残る同期と一緒に雑用から始め、
当然地元の人間からは「日本人に何が分かる!?」という視線も向けられたでしょう。
それでも山本さんの親方は、地元の人間と分け隔てる事なく山本さんを育てていきます。
そうして手にした、世界一の称号。

 

 

山本「世界一になってからの方が大変でした。
道を歩いていたら卵を投げつけられるなんて日常茶飯事。
ナポリの人間にとってピッツァ職人は親から受け継いでいく“血の濃い”仕事です。
“日本人のくせに!”って気持ちが強いのは当たり前ですよね。
ところが2年目に再び世界一になると、
今度は店に僕の味を試しに来るんです(笑)
ですから当たり前ですけど、手も気も絶対に抜けない。
世界一になってからの方が大変でした。」

 

 

 

 

 

 

帰国して日本に店を構える時も、山本さんの心は揺れた。
二年連続世界一の称号があれば、
一等地で1枚2000円を超える値段のマルゲリータでも売れると言われた。
山本さんがそういうお店を出すのであれば、出資するとまで言ってくる者もいた。

 

 

山本「正直、揺れました(笑)
でもそんな時、親方に言われたんです。
色んな事を考えてるかもしれないけど、
お前はナポリで学んだ事をしっかりと日本に植えなさい、って。」

 

 

山本さんの心はそれで定まった。
本場ナポリの雰囲気。
貧しい人達が貧しいながらも、食へのリスペクトをもって大事にしているピッツァの文化。
150年~200年のその本場の文化を、その雰囲気と共に日本に植えたい。
リストランテではなく、ピッツェリア。
現地の人間が気軽にピッツァを食べている様に、
日本人にも気軽に本場のピッツァを味わってもらいたい。
お店の場所を中目黒に定めた山本さんは、店の内装も仲間と共に自ら手掛けた。
メインとなる石釜はナポリから職人を呼び寄せ、徹底して本場にこだわった。
こうして2010年に完成した「Pizzeria e trattoria da ISA」。
素材も本場から仕入れ、それを世界一のピッツァ職人が焼き上げる。
男が決めた価格は、平日ランチ1000円。
サイズも本場と同じ直径26cmという大きなピッツァが、この値段で食べられるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

山本「勿論、大変なことも沢山あります。
けど、大切な事は“自分が感銘を受けた事を真っ当にやる事”だと思うんです。
ピッツァ文化は僕が作ったものではありません。
僕がやる事は、綿々と続いてきたものをしっかりと伝えていくだけです。」

 

 

そんな風に笑う山本さんを晴れがましく見つめる様に、
店の壁には今日も、山本さんと共に笑う親方の写真が飾られている。

 

 

 

 

 

 

全員が山本さんの焼くピッツァの味に驚きながら、
続いて向かったのは再び目黒川沿い。
この地で15年オリジナルブランドを展開する、 


メンズファッションシヨップ「HOSU」さん。 


迎えてくださったのは大澤透さんです。

 

 

 

 

 

 

こちらの人気はデニムと刺繍を施したパーカーなどのアイテム。
ディティールにもこだわり抜いたアイテムは、
お洒落な人が多い中目黒でもファンが多い。

 

 

 

 

 

 

お店の実力は「激戦区中目黒に店を構えて15年」という歴史が物語っています。
なんせ店内、ひとつひとつのアイテムが凄く良いんです!
洋服が大好きな井門P、値段が許せば即買い取りもなんて言っていたのですが、
やはり妻の了解を取り付けないと…という理由で今回は買い取り無しに(笑)

 

 

 

 

 

 

 

中目黒はお洒落な街のイメージですが、
大澤さんはここ数年は女性も増えて入り易い街になったと仰います。
肩肘張らずに楽しめる街、それが中目黒。
お洒落な人が多いので洋服が好きな人はきっと街を歩いているだけで、
自分のファッションの参考になること間違いなしですよ!
*お店の取材の後、まさかの井門Pのベストのジッパーが壊れるというアクシデントが!
大澤さんとゴルちゃんの尽力でなんとか直りました!大澤さん、感謝です!!

 

 

 

 

 

 

目黒川沿いの雰囲気も良いのですが、一本路地を入るとまた変わります。
より住宅街の雰囲気なのですが、路地裏の古民家に素敵なお店を発見。

 

 

 

 

 

 

ここがテレビ・雑誌でもお馴染み。青山有紀さんが手がける「青家」さん。
青山さんがスタッフと一緒に作り上げたお店は落ち着いた雰囲気。
そこかしこに青山さんの気遣いが散りばめられている。

 

 

 

 

 

 

こちらで戴いたのは人気メニューの「青家辛鍋」。
お出汁と辛味噌のスープは、見た目は辛そうだけど味は深く、優しい。
お豆腐、お野菜、卵に熱々のスープが絡んでどんどん食べ進んでしまう。

 

 

 

 

 

 

ずっとお店にいるので、中目黒がどういう街なのか分からないんですけど…と笑う青山さん。
それでもお店を訪れる地元のお客さんに育てられていると言う。
これからも中目黒で優しい味を提供し続けてください!ご馳走様でした。

 

中目黒から代官山に向かう坂の途中に、今回の旅の終着点が。 


それが美空ひばり記念館

 

 

 

 

 

 

昭和の大スターの偉業に触れることが出来る貴重な記念館は、
実際にひばりさんが暮らしていた自宅を一部改装したもの。
今年の5月に開館してからというもの、多くのファンが訪れている。 


責任者の幸先健一さんは言う。

 

 

幸先「ご年配の方も多いですが、
皆さんひばりさんを近くで偲ぶ事が出来たと仰って感激していただいてます。」

 

 

入口は当時ガレージだった場所を改装したもの。
ここでひばりさんの資料映像を観て、我々も気分を高める。

 

 

幸先「中で見学出来る場所はひばりさんが大好きだった庭、
そして御位牌がある仏間、それと当時乗っていたキャデラックが駐車しているガレージです。」

 

 

 

 

 

 

個人的に感動したのは御位牌のある仏間です。
だって実際に美空ひばりさんの御位牌に手を合わせる事が出来るのだから。
昭和の大スターに深々と頭を下げる井門P。
芸能の世界の片隅にいる者にとっては神様みたいな存在です。
しっかりと手を合わせた後は、隣の間でひばりさんの愛した味を。

 

 

 

 

 

 

記念館の1階で販売もしているんですが、
こちらで戴けるのは美空ひばりさんが愛した「新宿中村屋の黒かりんとう」。
ここでひばりさんの愛した味を噛みしめながら、
それぞれのひばりさんの思い出話を語るのです。

 

 

井門「大スターが愛した味が黒かりんとうってのも素敵だね…。」

 

 

しみじみとそんな事を思いながら、ひばりさんに想いを馳せる。
広い庭には四季を楽しむ為に春夏秋冬で花を咲かせる植物たちが植えられています。
季節の移ろう様をこの庭で楽しみながら、ひばりさんは何を思ったんでしょう。

 

 

 

 

 

 

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ちなみに取材の日はタイミング前だったので見る事が出来なかったんですが、
今年のクリスマスまでの期間、目黒川が初めてイルミネーションに彩られます。
「青の洞窟」をイメージしたブルーLEDのイルミネーション。
なんと全長500mにもなるとの事ですので、
春の桜のピンクを思い出しながら、ブルーに染まる目黒川を堪能してみたいですね!

 

大人の街、お洒落な街というイメージの中目黒。
取材を終えてもそのイメージは変わらなかったですけど、
「でも肩肘張らないで楽しめる街」という言葉がしっかりと僕の中でくっつきました。
個人的には飲みにくるだけの街だったんですけど、
今度は息子を連れて昼間にお散歩に来てみようかなと思っています。
本気で楽しむ大人の街で、
本気の大人は格好良いんだぞって事を、息子に教える為に。
東京発どこ行くツアー、次はどこ行く!?