東京発どこいくツアー 赤丸急上昇タウン・北千住編|旅人:井門宗之

2015-07-30

 

東京には「この町も随分変わったなぁ…」としみじみするエリアがいくつかあるが、

今回訪れた北千住もそんなエリアの一つである事は間違いありません。

チャキチャキの江戸っ子でもある作家の親分も、

「北千住は用事がなきゃ来ない場所の一つだけど、でも随分綺麗になったなぁ…」

と集合場所でもあるルミネ北千住店の前でしみじみしている。

そうなのだ!大学のキャンパスが増えて若者が増加中の北千住は、

YAJIKITAが町ぶらりのバロメーターの一つにしている(笑)

「住みたい町ランキング」でも人気赤○急上昇中だと言う!

今回は足立の花火大会当日の北千住をぶらりしてみました!

 

 

 

 

 

 

 

北千住という場所は乗り入れている路線も多く、駅前のどの路地も商店街も賑わっている。

ぶらりするにはより取り見取りな場所なのだけど、

その中でも江戸時代も(恐らく)賑わっていたであろう商店街へ。

別名「宿場通り商店街」と呼ばれるサンロード商店街はかつて日光街道だった場所。

今でも右も左もお店が多く、しかも新旧入り混じり、多くのお客さんの足を止める場所なのだが、

ひと際目を引いたのが「千住 街の駅」。

 

 

 

 

 

 

聞けば足立区が観光交流の場としてオープンさせたいわゆる「憩いの場」なんだけど、

建物の中に入ると少し風変わりな感じも漂ってくる…。

我々はNPO法人千住文化普及会理事の中嶋喜文さんにお話しを伺った。

 

 

中嶋「この建物は昔、魚屋だった建物なんですよ(笑)

ほら、カウンター横に大きな木製扉の冷蔵庫があるでしょ?

ですから水回りも普通の建物よりも沢山あるんですよ。」

 

 

 

 

 

 

懐かしい雰囲気はなにも建物だけが醸し出している訳ではない。

鴨居の上の部分には白黒の写真が飾られているのだが…。

 

 

中嶋「それは昭和38年に撮影された千住のおばけ煙突です。」

 

井門「あ~!!見る方向でその数が変わったっていう、

こち亀で読んだアレだ!

ちなみにこの煙突は何の煙突だったんですか?」

 

中嶋「これはね、東京電力の火力発電所の煙突なんですよ。

あくまでも予備の発電の為の火力発電所。

昭和39年9月に取り壊されるんだけど、

東京タワーが出来るまで、東京で1番高かったんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

聞けば中嶋さん、根っからの千住っ子だそうで。

子供の頃はこのおばけ煙突を見ながら遊び回っていたとか。

昔と今とでは随分変わった所もあるけど、もちろん変わっていない部分も。

 

 

中嶋「ずっと昔から変わらず商売している人もいますからね。

大学が増えて随分と人は若返ったけど、雰囲気は変わりませんよ。」

 

 

そうなのだ。北千住の駅近辺だけでも、

東京電機大学、東京芸術大学、帝京科学大学の3校のキャンパスがあり、

ロケをしていても若者の姿がかなり目立つ。

そんな北千住…というか千住は、日光道中最初の宿場町でもあり、

かの松尾芭蕉は深川から船でここに来て、ここから奥の細道を綴ったのだ。

歴史と文化、そして今は学術で彩られる町、北千住。

昔から暮らしている中嶋さんにとってはどんな場所なんだろうか?

 

 

中嶋「住み易い町ですよ。

あとは安全です、川に囲まれてますからね!

悪い事をしても逃げられませんから(笑)」

 

 

街の駅では北千住だけでなく、足立区の色々なものを紹介しているとか。

まず街歩きの前に立ち寄って、歴史と文化のおさらいをしてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

井門P「で、また町ぶらりをしているわけだけど…。

確かにお洒落なダイニングバーとかバルとか多いね。

いま北千住が若い人にも人気が高い理由がなんとなく分かる気がする…。」

 

親分「騙されちゃダメなんだよ、井門くん!

もっともっとディープな北千住ってのがあるんだよ!

こんなねぇ、若者に寄り添ってる部分だけを見て北千住なんて言っ(ry」

 

 

まだまだ何か言いたそうな親分の口に6重くらいに粘着テープを巻いた井門P。

通りの角に物凄く可愛らしいお店を発見。

赤と白を基調にしたPOPな外観にはハンバーガーのポスターが!

SUNNY DINERは北千住でも行列必至の人気ハンバーガーショップ。

本格的なハンバーガーが手軽に食べられるという事もあって、

この日も店の外には行列が…!

 

 

 

 

 

 

百聞は一“食”にしかず!という事で、我々もしっかり並んで店内へ!

店の中はアメリカンダイナーらしいミッドセンチュリーな看板や、

心地いいBGMが目と耳を楽しませ、更に香ばしく焼けるパテの香りが鼻をくすぐる。

一番人気のベーコンエッグチーズバーガーを注文し、そわそわしていると…。

 

 

 

 

 

 

 

井門P「キターーーーーーッ!!!!!!!!

香ばしく焼けたパテに大ぶりのベーコン、大きな目玉焼きが乗って…

そこに添えられている玉ねぎやピクルスを挟んで…!

いっただっきまーす!!!!!(mgmg)

 

ウマーーーーーーーーッ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

どれも大きな具材ではあるのだけど、お口いっぱいに頬張ると全てのバランスが最高。

これは若い子達に人気も出るわなぁ~。

なんてしみじみしている場合じゃなかった(笑)

 

オーナーの関根勝さんにお話しを伺わねば!!

SUNNY DINERには他にもテイクアウト専門店などがあり、どこも賑わっているという。

関根さんは地元が足立区であり、根っからの下町っ子。

北千住にハンバーガー屋さんをオープンさせたのも、

『ただ好きだったから』だそうだ。それでこの人気ぶりは凄い。

 

 

関根「でも最初の頃は全然お客さんもいらっしゃらなくて、

ずっと床磨きばっかりしていた時期もあったんですよ(笑)」

 

 

オープンは2005年だというから10年前になる。

ちょうどその頃にハンバーガーブームがやってきた。

 

 

関根「それと大学が出来たりして、若い人が各段に増えましたね。

朝なんか凄いんですよ!駅からキャンパスまで、学生の行列ですもん(笑)」

 

 

それはかつての北千住の姿からは想像もつかなかった姿だったという。

売上にもそれはダイレクトに影響し、現在に至るという訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

関根「最初の頃はハンバーガーに1000円以上かけるなんて!みたいな風潮があったんですが、

ウチは質を落とさず続けてきました。それが少しずつ浸透していったのかもしれません。」

 

 

学生が多く暮らす町、北千住。

しかしテイクアウト専門店のある場所は思いっきり下町だったりする。

 

 

関根「ウチの店舗の中で、このテイクアウト専門店が一番年齢層が高いです。

だからこそ御年輩の方が御裾分けを持ってきてくださるんですよ(笑)

梅ゼリーとかを持ってね。」

 

 

この町で10年やり続けてきた関根さん。

いま願うのは、この町に根差すことですと語る。

 

 

関根「いつか地域の子供達に、

ハンバーガー屋のおじちゃん”って言われる様になりたいですね(笑)」

 

 

地元を愛し、地域を大切にするSUNNY DINER。

きっと関根さんの想いが、更にハンバーガーを美味しくしているに違いない。

 

 

 

 

 

 

SUNNY DINERを後にした一行、

続いては北千住が生んだあるお酒があるという事で、

地酒専門店 成田酒店へ。

 

 

 

 

 

 

地元でも有名なこちらの酒屋さん、店内にも珍しいお酒が数多く並んでいる。

その中でも千住を代表する焼酎がここの看板商品!

その名も…「ねぎ焼酎 やっちゃ場」!!!

こちらの御主人であり酒千会代表の成田一司さんにお話しを伺いました。

 

 

井門P「どうしてまた“”だったんですか…??」

 

成田「千住にはね、葱しか扱わない市場があるんですよ。

草加なんかで作った葱から厳選された物をここで扱うんです。

この市場は江戸の台所でもありましたからね、

ここで扱うネギは千寿葱と呼ばれ大変貴重な物として、主に飲食店で使われました。」

 

井門P「そもそも一般流通していなかったんですか?」

 

成田「葱商の人達の職人気質なところがね、流通を良しとしなかったんです。

それが近年になり、これをもっと多くの人に知ってもらおう、

その為に何か展開出来ないだろうか…となって、この“やっちゃ場”が完成しました。」

 

井門P「もともとは米焼酎なんですよね?そこに葱の香りを入れていく??」

 

成田「千寿葱は糖度が高くメロンと同等と言われます。

ですから蒸して甘みを引き出した葱を使用する事で、葱臭さはなくなり、

あの独特な葱の甘さだけを焼酎に移す事が出来るんですよ!」

 

 

そこまで言われて試飲しない訳にはいきません(笑)

成田さんの御厚意でまずは(まずはって言った)ストレートを。

 

 

 

 

 

 

井門P「あっ、全然葱臭さが無いですね!

葱って聞いちゃうと、あのクセの強い香りが全面に出てくるかなと思いきや。

全くそんな事はなくて、探していってやっと葱に出会える、みたいな。」

 

成田「今日も暑いですから、キリっとロックでもどうぞ!」

 

井門P「ん~~~~~♪

これまたキリっとした中に、葱の甘みが際立ちますねぇ。」

 

 

ちなみに「やっちゃ場」とは「青果市場」のこと。

市場の中で行われるセリの声が「やっちゃ!やっちゃ!」と聞こえた事に由来する。

千住の宝でもある千寿葱を広く知って貰う為に、10年程前に作り出した「やっちゃ場」。

なかなか味わう機会は無いかもしれませんが、その味は保証します(井門購入しました、笑)

インターネットからも購入可能だそうなので、興味のある方はぜひ!!

http://www2.plala.or.jp/naritasaketen/negisyoutyu.html





 

 

 

少~しだけ「やっちゃ場」で心地良くなった井門P。

再び駅の方に戻ると、親分が得意そうなアンダーグラウンドな路地へと歩き出す。

 

 

親分「どうだい?この飲み屋街なんか、ザ・北千住っぽくて良いだろう?」

 

永尾「いやぁ、良いですね。この○○○のお店、○○○○なサービスが×××で(笑)

最高だなぁ、この雰囲気。」

 

橋本「ちょ…ダメですよ!いま録画はしているんですから!

皆さんの声も入っちゃうんですから、せめて放送出来ること言ってください!」

 

井門P「見てみて!ほら、あそこの店の看板!○○が××で○×なことを…!」

 

親分「おっ、良いねぇ。北千住アレしちゃうよ。

 

橋本「もうマイク切るわっ!

 

 

という訳でようやく北千住の本領発揮のゾーンをぶらりし始めた一行。

北千住のもう一つの顔と言えば(ってかそもそもそっちがお馴染の顔)、

酒飲みのテーマパークの一つに数えられる町なのである。

我々の様な酒飲みの多いチームからすると、

朝からやってる居酒屋は「ビッグサン○ーマウンテン」であり、

外に煙をモクモクさせている焼鳥屋さんは「スプラッシュマ○ンテン」なのだ!(何でだ)





 

 

 

この路地をぶらりするというのは、完全に趣味だとしか思えないのだが、

今回はちゃんと目的地があるという。(本当か)

 

 

親分「次に行くのが老舗の喫茶店なんだけど、その造りがかなり面白くてさ。

あれ…確かに地図だとこっちなんだけど、アレ?おかしいな…。飲み屋街を突き抜けちゃった。」

 

井門P「もう一度戻りますか?」

 

永尾「なんならどこかに入りますか?(邪笑)」

 

橋本「ほら、ヤジキタじゃなくなっちゃう!

それじゃエロキタになっちゃうから!

 

井門P「(エエ声で)エロキタ、オ~ンザロード!(キャッキャ)」

 

永尾「そこで転換ステッカー!明けは店内で女の子と!(キャッキャッ)」

 

親分「あ~っ、こっちの路地に入るのか!(地図を再三確認しながら)」

 

 

珍しく迷う親分に従って細い道を更に路地に入っていく一行。

時刻はまだ夕方だが、これが夜だと北千住の魔窟に誘われる気分だろう。

路地の奥を更に曲がり、先へ先へと進んでいくと…。

 

 

 

 

 

 

飲食店通りを一歩中に入ると空気まで変わる。

アパートの窓には雨にも関わらず無造作に吊るされた洗濯物。

空き地には草が生い茂り、下町の生活がそこに広がっている。

そんな中で静かに佇んでいるのが、喫茶 蔵なのだ。

何故に「蔵」という名前なのか?それは建物の外観自体が物語っている。

喫茶店としての入口の後ろにはドーンと「蔵」が聳えているんですもの(笑)

これ以上「蔵」を表現している物もあるまい。

そしてその蔵には「大倉屋質店」という名前が。

こちらのお店、中の雰囲気も良いんです。

 

 

扉を開けるとゆるくカーブしたカウンターが左手にあって、その向かい側には数段の階段。

それを登るとパーンと開ける高い天井といくつかのテーブル。

どうやらこのテーブル席のある場所が、かつての「蔵の中」だったようで。

雰囲気のある照明が、この空間を更に演出している。

 

 

 

 

 

 

僕らはこちらの名物女将さん、大和田公子さんにお話しを伺った。

 

 

大和田「昔は質屋には質蔵が必須だったんです。

私の母が質屋をやっていてね。蔵自体90年以上あるんですよ。」

 

井門P「喫茶店としてはどれくらいなんですか?」

 

大和田「私が継ぐ事になって、何か違う業態で出来ないか考えてね。

30年前に喫茶店としてオープンしたんです。蔵も取り壊すとなるとまたお金も掛るでしょう?

だったらそのままの形で、活用出来ないかなって。

そうしてこのスペースが出来上がったんですよ。」

 

 

よく見ると壁には当時の大福帳が掛けられていたり、

至る所にその名残を見る事が出来る。喫茶店としては30年前からというけど、

もっと前からある様な雰囲気を感じられるのは、質店の名残があるからだろう。

これなら最近の純喫茶ブームで、若いお客さんもかなりの数訪れるのではないだろうか。

 

 

大和田「北千住も大学が沢山出来たでしょう?

文化の香りがしてきましたよね。だからかもしれませんけど、若いお客さんも増えましたよ。」

 

 

取材中も別のテーブルには明らかに大学生くらいの女子が談笑しながらコーヒーを飲んでいた。

こうして新しい世代にも「喫茶 蔵」の雰囲気は受け継がれていくのだ。

 

 

大和田「私、いくつに見えます?(笑)」

 

 

突然の質問だったが(笑)大和田さんの美しさと元気さは是非お店に見に行ってもらいたい。

女性の年齢を明らかにするのはマナー違反なので秘密にしておきますが、

年齢を聴くと、多分100人が100人とも驚くと思いますよ!

 

 

大和田「私ね、東京オリンピックが見たいの。

だからまだまだ頑張らなきゃ!」

 

 

きっと東京オリンピックも、その次のオリンピックも元気だと思います(笑)

大和田さん、蔵の雰囲気も大和田さんご自身も、元気であり続けてくださいね!

 

 

 

 

 

 

北千住、実は町をぶらりするのは初めてだったんですけど、面白かったなぁ。

一癖も二癖もありそうなんだけど、懐に入ってしまえば寛容で。

結局その敷居を高くしているのは、そこに入る前の人間の主観だけだったりして。

中の人達はそんな壁なんか全然作っていない。何も屈託がないのです。

穏やかに、ただ穏やかに変化の渦の中にいる。

SUNNY DINERの御主人・関根さんが仰っていた言葉が、

この町の全てを表している様な気がします。

 

 

――洗練された下町。

 

 

これから益々面白くなっていく北千住、

今がその変化の真っただ中にあります。

変化こそ、東京の象徴だとするならば、

そのど真ん中にいる北千住で東京を楽しんでみませんか?

東京発どこ行くツアー、次はどこ行く!?