世界遺産・日光東照宮の謎を探る旅!|旅人:村田綾

2019-05-22


最近、旅をするという事に今更ながらハマりにはまって!
頻繁に旅に出る為の貯金を始めました♪
旅人の村田綾です。

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ、今回の旅は栃木県の日光

日光と言えば、修学旅行で訪れる学生も多いと思うのですが・・・
実は、私もその中の一人。
小学校6年生の修学旅行は日光でした。

当時の事を思い返してみると・・・
記憶の中にあるのは、日光東照宮で「三猿」を見た事。
正直、それ以外の思い出は友達と一緒に泊まったお部屋でトランプをした事ぐらいです。

今思えば、もうちょっと歴史に興味を持つべきだったなぁ。
とか、写真も沢山撮っておけば良かったなぁ。と思っていたので!
改めて日光を巡る事が出来る絶好のチャンス。

しかも大人になった今、見るものも、食べるものも、人との出会いも、
全く別のものが得られるはずなので旅に出る前からワクワクでした。

さらに、とっても贅沢な事に・・・

今回の旅は、東照宮のみ!

私の記憶の中にある「三猿」以外の魅力と謎を知る事ことが出来る共に、
徳川初代将軍の徳川家康公についても、色々と知る事ができそうだぞぉ。
と、気合い充分に旅がスタート!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

まずは、東照宮の表参道をテクテク。
緑に囲まれていて参道の両脇では小川が流れ、水の音がとっても気持ちいい。
歩いているだけで心が洗われます。

自然の空気を堪能しながら表門に到着して、東照宮をご案内してくださる方と合流!


日光東照宮の元禰宜で、日光東照宮特別顧問であり、日光観光大使でもある高藤晴俊さん

 

 

 

 

 

 

 

 

実は・・・高藤さん。
13年前に、番組プロデューサーでもある井門さんが日光に訪れた時にも案内人を務めてくださった方だそうです。
凄くないですか!?

世代を超えて!?(そこまでじゃない?笑)
お世話になるとは・・・。

そのご縁も凄いし!
何よりも、長い期間に渡って東照宮に携わっていらっしゃる事が凄いですよね。

高藤さんは本当に東照宮にお詳しくて、何でも教えてくださるとの事だったので、
もはや詳しすぎて難しいお話だったらどうしよう。と少し心配していましたが・・・

まさかの出会った直後からダジャレ炸裂で、とてもユーモアのある優しい方。
旅と言うのは、人とのご縁も凄く大切。
先に言ってしまえば、高藤さんに出会えたことでまた一つ!

私の中での「旅」「歴史」「話し方」「振る舞い」に対しての考え方や魅力を学ばせて頂きました。
そんな高藤さんが、最初に教えてくれたのは・・・


【石鳥居】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 


石鳥居に辿り着くまでに、参道から10段の石段を登って行くんですが、この石段!
千人枡形と呼ばれていて、一段で大人が百人並ぶそうです。

え?そんなに?!と思われるかもしれませんが、まさかの高藤さんが実験済み。(笑)
観光客の皆さんに協力して頂いて、本当に100人並んだみたい。
1000人が石段に並んでいる写真とか見てみたい♪

 

 

 

 

 

 

 

 

この大きな石段の一番上には、お天気がわかる石が存在していて、気温や湿気の変化で一部の石の色が変わるみたいです。

昔は、お天気予報とか無かったし!
自然の変化を頼りにしていたでしょうから、街の人たちにとっては頼りになる石段だったんだろうなぁ。と想像してニヤニヤしてしまいました。

ひと際大きな石鳥居は9メートルあり、石鳥居の中では日本最大!
ですが・・・周りに大木があったりして遠くから見るとそうは見えないのが不思議。

 

 

 

 

 

 

 

 

鳥居に使われているのは、大きな石が15個。
福岡県から運ばれてきているそうで、石の大きさから考えると多大な苦労があった事が感じとれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

石鳥居を見上げると「東照宮大権現」と書かれた扁額が掲げられているんですが、なんと!その大きさは畳一畳分。


元々、鳥居自体が大きいので扁額に関しても大きく見えなのいのが摩訶不思議。
こんなに大きいのに、今も立派に残っているのには理由があって!
組み立てた15個の大きな石が、自然災害などによって簡単に倒壊しないように石の内部に心棒を入れた上で、固定して積み上げられているんです。
だから、振動があっても石の継ぎ目が少しずつズレて倒れるのをふせいでいるというわけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

大きな石を運んできた事だけでも凄いのに・・・
建築の技術が凄すぎて、開いた口が塞がらなかったです。

【五重塔】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 

石鳥居をくぐると、すぐ左側に見えるのが有名な五重塔。
家康公の33回忌の時に建てられたものです。


東照宮の建物は全て幕府が作るそうなんですが、木造建築の中では五重塔だけが大名から奉納されているという事もあってか、存在感も凄い。
色鮮やかで華麗、とても美しい佇まいでした。

五重塔の最大の特徴は中心にある直径50センチの心柱。
土台の上には立たずに、天井からぶら下がっているそうなんですが、
塔の高さがあるので、建物が揺れた際に倒れないように耐震構造がなされているとの事。

今の時代で言うスカイツリーも同じ構造で作られていて、五重塔が建築された当時から、その知識や技術があった事に驚き!

しかも、デザインに関しては5つある屋根の一番上だけが、あえて他の四層と違うデザインなんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

一番上の屋根だけが唐様。下は和様。
どうしてそのような作りになったのかは・・・
先に進んで行くと謎がわかるという事で、次の建造物へ!!!

【表門】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 

東照宮の最初の門で、左右に仁王像が安置されている事から「仁王門」とも呼ばれていますが、高藤さんから教えて頂いたのは彫刻で彫られた、表門を守っている沢山の動物達。

まず一番最初に目に入ってくるのが「木鼻の象」
とても大きな動物で、人間でも踏みつぶされてしまうぐらい強いから選ばれた動物。

 

 

 

 

 

 

 

 

その他にも「唐獅子」「獏」「麒麟」「虎」「豹」等、様々な動物の彫刻が施されているんです。
そのどれもが、とても見事!!!
近くで見れば見る程、新しい発見もあります。

最初の入り口という事もあり、彫刻に気付かずに素通りしてしまう事も多いみたいですが、ここを見ずに通り過ぎるのは、もったいない!

自分の目で、何頭の動物が見つけられるのか!?
はたまた、なぜその動物たちが表門を守っているのか、考えてみると面白いかもしれないですね。

さぁ!表門の天井を見上げながら、更に彫刻の美しさに触れ、向かった先は・・・

【三神庫】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 

三つ並んでいる倉庫「上神庫」「中神庫」「下神庫」を総称して「三神庫」と言い、倉庫の中にはお祭りで使われる馬具や装束類が今も収められているそうです。

率直な感想は、倉庫なのに作りが豪華すぎる。。。
佇まいも、色合いも、飾りも、倉庫とは思えない程に立派でした。
そこもやっぱり!東照宮だからこそですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、上神庫の屋根上には「象」の彫刻が施されています。
表門と同じように、大きな動物だから倉庫を守ってくれるという事なのかなぁ・・・と思っていたら、高藤さん曰く!


「倉庫」のもう一つの言い方は「蔵」(くら)
「蔵」(くら)を別の読み方で読むと「蔵」(ぞう)
だから「象」が選ばれたのかもしれないね。と。(笑)


高藤さんは、終始!こんな感じでダジャレを織り交ぜて案内をしてくださったんですが、その中で何度も仰っていたのが「ユーモアがあれば東照宮を何倍も楽しむ事が出来る」という事。

彫刻には、全て!そこに彫られた理由があって、作られた方の思いがある。
その意味が記述として残されている物もあるかもしれないけど、そうでない物に関してはその謎を自分の考えとユーモアで解いていくのが楽しと言う事なんですよね。

私は、この機会に東照宮はもちろんの事!学生時代は苦手科目だった歴史の楽しみ方を知れたような気がしました。

三神庫の説明を聞きながら、ダジャレを笑い飛ばし振り向くと・・・

【神厩舎に施された三猿】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 

神厩舎はご神馬をつなぐ厩で、昔から猿が馬を守るとされていた事もあり、その長押上には猿の彫刻が8面あって人間の一生が風刺されているんです。

旅日記の最初にも触れていますが、小学生の修学旅行で訪れた時の私の記憶に残っているのは「三猿」のみ!
そぉです。三猿のみです!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

何が言いたいかといいますと・・・
猿の彫刻が8面あって!さらには、16匹もの猿が彫られていた事を恥ずかしながら知らなかったという事です。

高藤さんも「三猿」だけに注目していく方が多いと仰っていました。

だけど、彫刻で描かれているのは人間の一生。
実は、この彫刻!8面を人生に例えながら見るからこそわかる事がいくつもあるんです。
三猿についてもそれが当てはまる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして!
注目すべきところは、彫刻が彫られた一面一面の、隅から隅まで細かな部分を見落とさない事。
猿以外にも、雲やバラ等が彫られているんですが!
その色や大きさ、猿からの距離なども一つ一つ意味があるんです。

説明を聞いていると紙芝居を読んでもらっているみたいで、とても楽しく学べた事と!
彫刻の意味を、きちんと理解する事が出来て私にとっては大きな財産になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の1面を見た時、なんだか感動したのが本音。
三猿を見に行く方は、是非とも!
8面全ての彫刻に注目して見て欲しいです。

【御水舎】

 

 

 

 

 

 

 

 

参拝前に、心身を清めるために建てた御水舎。
お水が噴き上がるように設計されているそうです。

そして次に向かった先は・・・

【陽明門】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 

陽明門は、日本を代表する最も美しい門と言われ、いつまで見ていても飽きない事から「日暮れの門」とも呼ばれています。

もうね、その名の通り!
いくら見ても時間が足りなかったです。
だって、陽明門だけでも500以上の彫刻が施されていて!

 

 

 

 

 

 

 

 

更には、子供達や聖人賢人などの人物の彫刻もあったりと、とても細かい所まで楽しむ事が出来ちゃうんですから。

陽明門を見る為に、大勢の方が訪れるのも納得です。
まず門を見上げると、すぐ目に入ってくるのが最上部に掲げられた「東照大権現」の額。
そして、そのすぐ下には2段に渡って並べられている龍の頭の彫刻がズラリ。
結構なインパクトがあるのですが、ここでもサラッと見ると気付かないであろう秘密が。

実は、この龍頭の彫刻!
上下の列で種類が異なるそうなんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じっくり見てみると、確かに…
口の開き方や、口髭の有無、髪の雰囲気や、鼻の穴があったりなかったり。
上の列が王者の象徴でもある「龍」下の列はいまだに正体が分かっていない霊獣「息」だそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

これについては、違いを見つける度に興奮してしまいました。

そして、そのまま下に目線をずらすと…

今度は可愛らしい子供達の彫刻が9面に渡って施され、ジャンケンをしたり、動物と遊んだり、太鼓を叩いたり、勉強をしたりと、様々。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、中心にあたる彫刻は「命の大切さ」を物語っています。

権力の象徴でもあると思われている建造物に、平和な世の中であって欲しいという思いと共に、命の大切さを教えてくれる彫刻が彫られているという事。

それを知った時の感動は、見つけた人だから感じる事が出来る素晴らしいものでした。

陽明門をくぐると、裏側にも数多くの美しい彫刻が施され!
中でも注目して欲しいのは、聖人賢人の彫刻。

 

 

 

 

 

 

 

 

他の彫刻もそうなんですが、陽明門の彫刻は本来ならば上空からでなければ見えないような部分が、門の下から見上げた時に綺麗に見えるように、角度をつけて彫られているんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

その技術によって、聖人賢人が囲碁をしている囲碁版がリアルに再現されていたり!
髪を洗っているタライの中が見えていたりと!眺めている私達に対してとても親切。

でもこれ、言われないと気付かないぐらい繊細に作られているので、サラッと見ていたら見逃します!

違和感なく、それでいて見る者を魅了する彫刻が江戸時代に作られていたと思うと、本当に昔の人を尊敬します。

それから!陽明門を支えている白柱。

 

 

 

 

 

 

 

 

それぞれの柱に同じ模様が彫られているのですが、まさかの一本だけ!
他の柱とは天地逆転で建っている柱があるんです。

建築された時に、作った人が間違えたのかと思いきや?!
昔から、建物は完成したら劣化していくと言われていて、あえて完成させない!という方法を使っていたそう。
その為に、一本の柱を逆にする事でいつまでも陽明門の美しさを保っているという事だそうです。

そこで思い出して欲しいのが、序盤に見た「五重塔」
5つある屋根の一番上だけが、他のものと仕様が違っていましたよね。
高藤さんが進んで行けば謎がわかる。と言われていたのは、この事だったんだ!と納得。
五重塔も、完成した事で建物が崩れていかないように、あえて一箇所だけ違いを残したのではないか…という見解です。

もぉ、知る事の全てが新鮮で驚きの連続。

まさか江戸時代の建造物から、こんなにも新たな知識を得られると思ってもいませんでした。
陽明門については、まだまだ知りたい事がありすぎて…本当に日暮れの門だった。

【唐門】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

胡紛で白く塗られた人物など、611体の彫刻が施された唐門。
特別な時だけ開くという、神聖な門。
この先には、拝殿があって、拝殿の先に、最も神聖な場所・本殿があるんです。
柱に、昇り龍や下り龍があって、見ごたえがありますよ。


 

さぁそして、いよいよ出会う事が出来たのは…
【眠り猫】の謎

 

 

 

 

 

 

 

 

正直な話、修学旅行の時には素通りをしてしまったのか…記憶が全く無いんですが、存在は知っていて見られるのを楽しみにしていた眠り猫。

小走りで東回廊の出入り口へ。
この場所を通り抜けると、家康公のお墓に行く事が出来る場所。
そこで牡丹に囲まれ目をつぶって眠っている猫の彫刻がある事には、どんな意味があるのか。
実は「眠り猫」については、その理由が諸説あり、何が本当かはわかっていないそうなんです。


その中でも、高藤さんが教えてくださったお話は・・・
猫は本来ネズミを追いかける役目があり、それをせずに眠っている姿を見ると!
家康公のお陰でネズミもいない平和な時代であるという事。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして眠り猫の裏側にはスズメの彫刻があるのですが、そのスズメ達も天敵を気にせずに存在している事から平和の象徴ではないかと仰っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

私自身も東照宮の入り口から、様々な彫刻を見させて頂いた上で!
その解説が一番しっくりくるのではないかと感じました。


眠り猫を眺めながら改めて感じた事は!
作り手にしても見る人にしても、それぞれの発見や考え方や感性で同じ彫刻が別の意味をもって存在していくという事。


だからこそ!
その謎解きが楽しかったり、想像し思い浮かんだものを誰かと話し合う事で新しい発見があったりと、東照宮の魅力は何年たっても尽きないのだなぁ・・・と思いました。


最後は、眠り猫を通り抜けて大きな石段を207段登り「家康公の墓」がある奥宮へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに立派な階段を、江戸時代に山奥まで運ぶのは想像もつかないぐらい大変だったはずなのに、ただただ登っているだけの私がハァハァ言ってる場合ではない!!!
と心を奮い立たせ、207段を登りきると・・・
そこには、木々に囲まれて神聖な空気に包まれた「家康公の墓」が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訪れてみるとわかるけど、本当に空気が違うんですよね。
しっかりと手を合わせて、その場を後にしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の旅で回る事が出来たのは、東照宮のほんの一部。
まだまだ、見所が沢山あります!!!
たぶん、全てをじっくり見ようと思ったら一日では回り切れないと思います。


実際に40年以上も東照宮に勤めていらっしゃった高藤さんでさえも、まだまだ知らない事があると仰っていたぐらいですからね。


高藤さんに「高藤さんでも知らない事はあるんですか?」と伺った所「知らない事を知らないです。」という言葉が返ってきました。
それを聞いた私は、東照宮に関してはその言葉が全てだな!と思ったんです。


こんなにも東照宮の歴史や建造物、5173個もある彫刻の全てにお詳しくて、今まで何十年にも渡り大勢の方々をご案内してきた方が「知らない事を知らない」って言える事って、とても素敵じゃないですか。


私は、その知らない事を見つけてみたい!と思ったし、今回ご説明頂いた彫刻の知識を持った上で、自分なりの解釈で東照宮の謎解きを更に楽しみたくなりました。


小学校6年生のままの記憶で終わりにしなくて、本当に良かったぁ~~~!


大人になった今!改めて東照宮を巡る事が出来て、とても幸せな旅でした。


また必ず!東照宮を訪れると誓った、旅人の村田綾でした。