東京・山手線一周!宝探しぶらり旅・新橋~有楽町編!|旅人:井門宗之
2019-06-13
集合場所は新橋駅前SL広場。
…と聞くとどうしてもイメージは『夜』。
駅前はC11形蒸気機関車が鎮座する都内屈指の待ち合わせ場所で、
僕も知らなかったのだけどこの蒸気機関車は一日に3回汽笛が鳴るのです。
12時、15時、18時。
もう18時の汽笛はサラリーマンを夜の街へ後押しする合図に違いない。
「今日も一日お疲れ様でした!思う存分いっちゃって~!ポッポー!」的な。
うん、やっぱりこの場所はどうしても『夜』のイメージなのだ。
新橋と言えば日本の鉄道発祥の地で、今回のぶらりでもその片鱗は出てくるのだけど、
鉄道開業100周年を記念して設置されたのがこのC11形なのであります。
そんな風に意識してこの機関車を眺めたことは無かったのだけど、
待ち合わせが『昼』だったからか、いつもの新橋とは街の表情も違って見えるのです。
「宝探し」がテーマでスタートした山手線ぶらりも今回で3回目。
今回のチームは最初のぶらりで最後のゴールを飾った構成作家:ミラクル氏!
全国の…いやさ全世界の夜の街を知り尽くす男、D:永尾氏!
その永尾氏に手ほどきを受けるカメラマン、橋本氏!
そしてピピピのP、井門でございます。
井門「なんかさ、ミラクルさんから台本が届いて思ったこと言っていい?」
永尾「俺も思ったこと言っていい?」
ミラクル「へへへ、なんでゲスか?」
井門・永尾「台本、ペラッペラ!!」
ミラクル「そ・そ・そんなことはないでゲス!
ぶらりはスタッフも含めて喋りながら街の様子を眺めるのが真骨頂!
ぶらりを愛し、ぶらりに愛された男、
サンシャインミラクル(本名要素ゼロ)を甘くみちゃいけないでゲス!!」
一同「( ・ _ ・ )」
ミラクル「そ、その顔!その顔をやめるでゲス!」
と、言う訳で昼のSL広場から始まった今回のぶらり。
なんと目的地の有楽町まではたったの1.1kmしかない!?
なのでぐるーっと色んな場所をウロウロしながらのぶらりとなりました。
永尾「全然夜の新橋と雰囲気が違うね。」
橋本「お店もまだまだ昼の感じですしね。」
ミラクル「そういえばニュー新橋ビルも建て替えが検討されているみたいだよ。」
井門「耐震の問題もあるだろうけど、これだけお店が入っているとすぐには難しいだろうね。」
*この辺りの問題は調べると色々と出てくるので、気になる方は是非。
ニュー新橋ビルは飲食店のみならずチケットショップなどが入る商業ビル。
1971年に開業した新橋を象徴するビルの一つであります。
このビルを横目に歩いていると、昼間だからか、
より新橋に並ぶお店のバリエーションの豊かさに驚かされます。
行列の出来るうどん屋さん、チェーン系の居酒屋さん、
マッサージ店各種、なんのお店だかよく分からないお店(笑)…などなど。
永尾「橋本君さ、新橋の遊び方って知ってる?」
橋本「いや知らないです!(興味津津)」
永尾「この一本裏手の通りに○○○○があって、
そこに○○○で○○すると良いんだよ。へへへ。」
橋本「べ・べ・勉強になりますっ!!」
井門「放送で使えるトークをしろっ!!」
こんなトークが出てくるのも、全ては『夜の街・新橋』だからだろうか(笑)
ミラクル「実は新橋には日本各地、って言うか世界中の料理を味わう事の出来るお店が多いんだけど、その中でも最近特に話題になっているビルがそこにあるんだよ。」
井門「ん?飲食店がいくつも入ってるけど…おお、
北海道のジンギスカンに青森のねぶた!横浜中華街のお店に、お好み焼きのみっちゃん!」
ミラクル「この“みっちゃん総本店 新橋店”が凄いんです!
広島に本店を構える、広島のお好み焼きの原点のお店なんだけど、
広島以外で初出店なんだよ!」
赤を基調に鯉が所狭しと描かれる店内。
さすがに広島の愛を感じさせるが、どうして広島以外に初出店なのか…。
店長の小野雅彦さんにお話しを伺いました。
井門「広島の“赤”に囲まれながらのインタビューですが(笑)
広島以外に初出店というのは何か理由があるんですか?」
小野「はい、本店で半年間の修行を最低でも3人が行わないといけないからです。」
井門「でもそれをやればOKってわけでもないんですよね?」
小野「その上で出店を認められなくてはならないですから、厳しいです。」
短い言葉だが、修行の厳しさを小野さんの表情が物語る…。
恐らくその期間に“みっちゃんイズム”をたたき込むのだろう。
そして勿論、本店の“味”も。
小野「新橋ですからサラリーマンの方が沢山いらっしゃいます。
中には本店の味を知ってらっしゃる方もいますので、
“みっちゃんの味”をしっかり出さないといけません。」
井門「やはりお好み焼きの召し上がり方も新橋だと違いますか?」
小野「はい、皆さんお酒を飲みながら色々とつまんで、最後に食べていかれますね。」
井門「だからですね、壁には色々とメニューが並んでますけど…。
全部美味しそうだもんなぁ。」
メニューには広島ならではの牡蠣を使ったメニューも並ぶ。
牡蠣とレモンのさっぱりアヒージョ、塩牡蠣の炙り、牡蠣バター焼き、牡蠣フライ…。
永尾「良いなぁ、牡蠣とレモンのさっぱりアヒージョなんて…最高だろうなぁ。」
*永尾さんはかつて唐桑での牡蠣の取材で、
牡蠣だけでバケツ一杯をたいらげた牡蠣魔人である。
井門「ミラクルさんや、今日こちらに取材に来ているということは…?」
ミラクル「へい!話しはしてあるでゲスよ!」
井門「せっかくなので、お好み焼きを頂きたいのですが…。」
小野「勿論です、お待ちください!」
小野さんと一緒に阿吽の呼吸でお好み焼きを焼いてくださったのは、
お店の料理長を務める堀口和之さん。
小野「本店の方が彼を帰したくないと言ってましたからね(笑)」
一同「おーー!!」
井門「因みに“みっちゃん”のお好み焼きの特徴は…?」
小野「やはり特製のソースと、ソバをパリパリに焼きつける事でしょうか。」
本店も認める腕前の料理長と、同じく本店で修業をした小野さん。
二人のテンポの良い調理は一同を鉄板にくぎ付けにします。
生地にたっぷり乗せられた新鮮なキャベツ、海鮮、そしてパリっとした焼きそば。
そこに卵を円く薄くのばし焼いたものを重ねて、
特製のソースと青ネギをたっぷり乗せれば…。完成!!
もう見た目から旨い。
あっと言う間に旨い。見れば分かる、食べなくても分かる。
旨いに決まっているのだが、そこは食レポ、食べねばならぬ。
広島風にヘラを使って頂きます…、ふむふむ。
旨い!!!(知ってた)
野菜の旨味に海鮮の旨味、そこに焼きそばのパリっとした食感が合わさり、
更に全てをまとめ上げるかの様なソースの味わいが…見事!!
ミラクル「良いでゲスか?普段は行列しなきゃ、食べられないやつでゲスよ!
そこを今日は…特別に!!」
井門「分かってます!!分かってますとも!!
こんな美味しいお好み焼き、なかなか食べられないもんなぁ…。」
「みっちゃん総本店 新橋店」にお出かけの際は予約してからをオススメします。
小野さん、堀口さん、美味しいお好み焼きを有り難うございました!
井門「いやぁ、美味しかったね!」
永尾「ここは普通に食べに来たいお店だなぁ。」
ミラクル「お店を出るとさっきとちょっと街の様子が変わったね!」
橋本「ほんとですね!
1時間しか経ってないのに、もうなんとなく夜に向けて街がソワソワしてる(笑)」
永尾「橋本君さ、新橋の遊び方はね…。」
井門「だから!!(笑)」
賑やかに新橋の街をぶらりする一行。
確かに14時~16時の新橋って、いちばん表情の変化を感じる時間帯なのかもしれません。
本当ならその変化に身を委ねて、早くから開店しているお店に…といきたい所ですが、
一行はずんずん進んで汐留エリアへと入っていきます。
井門「さっきの駅前とは打って変わってビジネス街だよなぁ。」
永尾「高級ホテルも並んでるからさ、そういうのが好きな人にも良いエリアだよね。」
ミラクル「今回のぶらりにはテーマがありまして、それが…
このエリアには意外と後世に残したい建造物が多い…なんだけど。
汐留にもあるんだよね、井門は前にも来たと思うんだけど。」
井門「はいはい、新橋と言えば…。」
ミラクル「鉄道発祥!」
井門「最初の山手線ぶらりの時にも来たなぁ、旧新橋停車場。」
ここで2周目の山手線一周ぶらりお馴染み!
前回の旅日記から旧新橋停車場のくだりを抜粋してみましょう!
『旧新橋停車場』
松下電工、汐留シティセンターに囲まれる様にして、静かに佇むレトロな建物がそれ。
明治の時代、そう鉄道の歴史が始まった当時、まさに旅の起点になった新橋停車場駅舎。
元々本当にこの場所に停車場はあったんですが、残念ながら関東大震災で焼失してしまいました。
その後しばらくして、発掘調査で何とプラットホームや構内施設の礎石が発掘され、それぢゃあ!と、
往時を偲ぶために駅舎を再現し建てられたのがこちらの建物なのであります。
石造りで、とても雰囲気の良いこの建物は、当時アメリカ人の設計で造られたんですって。
建てられたのが1872年ってんですから歴史も古い。しかも鉄道発祥の地、起点であり終点。
ここから旅立つ人も、ここに到着する人も、この駅舎を眺めながら色んな事を思ったんでしょうね。
そう思ってこの建物を眺めてみると、周りを高層ビルに囲まれているにも関わらず、
何だか誇らしげに見えたのは、気のせいだけぢゃないかもしれません。
あぁ…若いっ!文章がなんだか瑞々しい!!
そしてやっぱりフォントが10.5だ(今は11だ)。
井門「なんか思いだしたよ。当時お茶を土瓶に入れて売ってたんだけど、
お客さんが車窓からポイポイ捨てちゃうんだって。」
ミラクル「へぇ…今じゃ考えられないよね…。
で、どう?この建物もじっと眺めてみると。」
井門「そうだね、後世に残したい建物かなぁ…。
…はっ!!(何かに気付いた)」
ミラクル「へへへ。完全にミラクルの術中にハマったでゲス。へへ。」
という訳で完全にミラクルの術にしたやられた一行。
どうやらすぐ近くにもそんな建物があるとかで。
永尾「まだ中銀のビルってあるの?」
ミラクル「あるある!まさにこれから行こうと思ってたところですよ!」
首都高のすぐ近くに建っているなんとも特徴的なデザインのビル。
このビルが中銀カプセルタワービル。
井門「このビルって集合住宅なんだよね?」
ミラクル「そう、あの黒川紀章さんが設計したマンションなんだよね。
作られたのが1972年だから50年近く経ってるんだ。」
井門「そうなると耐震だったり色々と考えなきゃいけないよね?」
ミラクル「ひょっとしたら数年後には見られなくなってるかもしれないよ?
どう、この建物は井門的に?」
井門「そうだね、後世に残したい建物かなぁ…。
…はっ!!(また気付いた)」
ミラクル「へへへ。」
こうして2度目のミラクルの術にハマッた一行。
どうも新橋のはずれにもう一つ見せたい建物があるという事で、続いては土橋へ。
土橋ってのはリクルートの本社がある場所で、銀座にも近い場所。
僕自身はリクルート1階のギャラリーによく行くので、ここは何度も来ているんだけど…。
ミラクル「リクルートを背にして、道路の反対側を見てごらん?」
井門「ん?あっ、えーっ!?なにこの建物!?」
ここは静岡新聞と静岡放送の東京支社が入るビル。
先程の中銀カプセルタワービルよりも完成は古く、1967年だと言います。
井門「なんかアレだね!
茶色いニョロニョロみたいなデザインだよね!」
永尾「ちょっとしたツリーハウスみたいだね。」
ミラクル「子供の頃さ、電車に乗って新橋に向かってくるとこのビルがあって、
なんのビルなんだろうって物凄く不思議でさぁ。」
設計は「世界のタンゲ」こと丹下健三氏。
なるほど~、凄いなぁ…とカメラマンの橋本君と写真を撮っていたら…。
おばちゃん「なに?このビル、有名な建物なの?」
井門「えぇ、あの丹下健三さんが設計されたビルなんですよ。」
おばちゃん「あら、有名な人なのかしら?じゃあ私も写真撮っちゃおう!
あの、皆さんは何をしてらっしゃるの?」
井門・橋本「仕事です!」
おばちゃん「あら、ごめんなさい!
なんか私と同じような事をしてらっしゃるのかと思って。
私ね、山手線一周をやってたの。」
井門・橋本「∠( ゚д゚)/」
あの時は特に考えもしなかったけど、
よく考えたらとんでもない偶然だったんじゃないだろうか…。
だってこの広い東京で山手線ぶらりのロケをしている我々に、
偶然にも山手線ぶらりを経験した御婦人が話しかけてくる…。
怖い…なんだろう、山手線ぶらりの神様だったんじゃなかろうか…。
……さ、気を取り直して……
ミラクル「ここからが新橋~有楽町間の真骨頂でゲスよ!」
永尾「いいね、ガード下の居酒屋。」
井門「まずは有名な“羅生門”さんね。良いよねぇ、最高だよねぇ。」
ミラクル「いつ来ても混んでるんだよね。」
井門「串物も煮込みも最高に美味しいからなぁ。」
新橋から有楽町までのJRの線路下は煉瓦造りになっていて、
更にそのゾーンには赤提灯の素敵なお店が沢山ある!!
今回のぶらりの締め括りにこのゾーンを歩いて、あわよくばお店で乾杯!
…う~ん、想像するだけで楽しいじゃないの。
ミラクル「この辺りの雰囲気が最高なんだよね!」
永尾「そうそう、歩いていると良い雰囲気のお店が沢山あってさ。
もう、歩いていると赤提灯が…赤提灯が…。」
ミラクル「赤提灯のお店が…、えっと…赤提灯のお店が…。」
井門「随分昔に取材でもお邪魔したお店とか…赤提灯のお店が…。」
一同「ないっ!!」
そうなのです。
どうやらJR高架下の耐震工事の為にお店がなくなってしまっている。
1年かかる工事らしく、工事が終わった後はお店も戻ってくるのかもしれないけど、
とにかく今はあの風景が見られなくなってしまっているのです!
ミラクル「ロケハンしてないでゲスからなぁ…へへへ。」
井門「いや、へへへじゃないよ!
どうするの!?録れ高が足りないんじゃないの!?」
永尾「いや、結構ある(笑)」
井門「あるんかい!」
ミラクル「だから言ったでゲシウ!」
井門「ゲシウってなんだ、ゲシウって!」
ミラクル「でもね、こんなこともあろうかと…ちょっとこっちへ移動でゲシウ。」
井門「だからゲシウ!」
ミラクル氏に連れられ気付けば住所は銀座。
ここに何やら重厚な佇まいの建物があるではありませんか!
その建物こそ、歴史ある中央区立泰明小学校。
入口には記念碑が建てられているのですが、それを読むと…。
井門「ほうほう、1878年6月に開校して北村透谷と島崎藤村は初期の卒業生だったと。」
ミラクル「ツタの絡まる校舎がなんとも言えない雰囲気でゲスなぁ。」
後で調べてみて分かったのだけど、
関東大震災の後の復興計画の一環として建てられた泰明小学校の校舎は、
なんと1929年に建てられたもので今年で築90年。
石造りの雰囲気がなんとも銀座の街にマッチしている。
ミラクル「どうでゲス?」
井門「うん、後世に残したい建物かなぁ…。
…はっ!!(気付いた)」
ミラクル「へへへ。」
井門「イトシアの前も本当に雰囲気が変わったよね。」
永尾「そうだね、あの八百屋さんと隣の中華料理屋さんが頑張って残ってるかな。」
ミラクル「交通会館があるからまだ昔の風情も残ってるけどね。」
井門「そうね、この近くに小さな映画館があってさ。
大好きなラーメン屋さんもあったんだけど、再開発で無くなっちゃったなぁ。」
有楽町の駅前は巨大な商業ビルが建てられ、
僕が東京に来たての20年前とは随分変わってしまいました。
当時はシネコンも無かったから、映画と言えば有楽町で。
銀座も近かったから、結婚する前は奥さんとよくデートに来てたっけ。
当時の僕らのデートコースは有楽町で映画を観て、そのあと銀座で御飯を食べる。
御飯は煉瓦亭とか天龍とかナイルレストランとか。
帰りに交通会館一階の本屋さんに寄って…みたいな。
あの頃の風景からは随分と変わってしまったけど、
でもまだあの頃の雰囲気は残っていて。
そのピースが有楽町から新橋の間にまだ少し残る赤提灯のお店だったりする。
こうしたピースは普段この街を歩いているとさほど重要にも思わないんだけど、
ゆっくりと“徒歩”という速度でぶらりしていると、
いかに街の風景の一つとして大切な物なのかを再確認させられるのです。
建物ではないけれど、そんなピースも後世に残したいなぁなんて思う。
そしてこの街に来た時には、ちゃんと僕もそんなピースの一つになりたいのです(笑)
そんな風に強引に理由を付けて、
ロケが終わってからの僕らは炭火の煙の中へと消えていったのでした。
めでたし、めでたし。