栃木県の寺院・佐野厄除け大師まで、寄り道の旅!|旅人:井門宗之

2019-12-19

ある日の会議にて…。

 

井門「年末になると必ず佐野厄除け大師のCMが流れるよね?」

 

佐々木「そうですねぇ、あれが流れると年末って感じがします。」

 

井門「でも実際に行った事がなくて、気になってるんですよね。」

 

河合「今年は佐野ラーメンも色々とありましたからね。」

 

井門「せっかくだから佐野厄除け大師に行ってみませんか?
今年は寒川神社にもお参りしましたし。」

 

…会議でそんな事を話していたのが今年の9月頃。
11月末にはロケをしようなんて話をしていました。
そんな中で発生した台風19号によって甚大な被害を受けた佐野市。
秋山川が氾濫する映像に心を痛めた方も多かったかと思います。
今回の旅は当初の予定通り、佐野厄除け大師を中心に、
台風19号の被害から一歩ずつ日常を取り戻し始めた佐野市を巡ります!

 

 

 

 

 

 

 

 

佐野市を車で走っていると気付かされるのが『佐野ラーメン』の幟の多さ!
さすが地名を冠するラーメンだけに、地元の方にも愛されているのが分かります。
今年は別の意味で佐野ラーメンに注目が集まってしまいましたが、
ご当地ラーメンの中でも歴史は古いと言われているのがこの佐野ラーメン。
その発祥は諸説あって、
佐野市の洋食屋で働いていた中国人のコックが作り始めたのがきっかけとか。
時代は大正時代まで遡るというから、かなりの歴史があるというわけです。
東京からは東北自動車道を使えば車で1時間程度という立地の良さも手伝って、
市内にはラーメン店が200軒以上もあると言われており、
まさにラーメンの町とも言えるのであります。
そんな名物佐野ラーメンのお店の中で我々がお邪魔したのが、佐野やつやさん
こちらのご店主は佐野らーめん会会長も務めていらっしゃいます。
団体観光客も立ち寄る店内は広い座敷とボックス席が並ぶ広々とした造り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店主の谷津茂さんにお話しを伺いました。
谷津さん曰く、佐野ラーメンが全国的に広まったのは佐野を訪れるゴルフ客の口コミだとか。
1972年に東北自動車道が開業して、東京からのゴルフ客でにぎわった。
その時に佐野で食べた佐野ラーメンの評判が口コミで広がり、
佐野=ラーメンという図式が出来上がったのだと言います。

 

谷津「それと佐野は両毛地区で水も美味しいですからね。
水が美味しいとうどん、そば、ラーメンが美味しくなるんです。」

 

更に言えば佐野ラーメンは何度でも食べたくなる“あっさり味”なのも特徴。

 

谷津「鶏と豚で出汁をとった醤油ベースのあっさり味が特徴です。
喜多方じゃないですけど、朝から食べられるラーメンです。
また麺の打ち方にも特徴があって、青竹打ちといって麺の生地を青竹で踏むんです。
これによって麺にコシが生まれるんですよ。」

 

はいはい、頂いてきましたよ!
佐野ラーメン会会長のお店、やつやさんのラーメンを!
お店には単品のラーメンの他に、佐野名物をセットで頂ける『佐野名物セット』、
腹ペコのお腹を満たしてくれる『餃子セット』に『チャーハンセット』なども。
また地元高校生考案の『黒からあげ』も自慢の逸品だそうで…。

 

井門「じゃあ僕は佐野ラーメンに餃子3個付けてください!」

 

橋本「僕は…そうだなぁ、チャーハンセット!」

 

河合「私は佐野ラーメンに…みんなで黒からあげつまみませんか?」

 

男子「良いですねー!」

 

佐々木「僕はこの佐野名物セット、行ってみようかな!」

 

というわけで完全に“喰いモード”に入ったKIKI-TABI一行。
ロケ先でたまに顔を出す“取材なのに本気喰い”。
目の前に美味しい物が並ぶとスタッフの表情が鬼気迫る…、
いやさKIKI迫る表情に!そんな我々の元に運ばれてきたのが…こちら!!

 

 

 

 

 

 

 

 

どうですか、みなさんこのシンプルで美味しそうなラーメン。
具材もシンプルにメンマ、ナルト、長ネギ、ワカメにチャーシュー!
手打ち麺だけあってなんとなく不揃いな感じも最高。
あっさり澄んだスープもなんとも美しい。
こんなに美味しいのに1杯650円だもの。

 

井門「全国のリスナーさんにもひと言ぜひ!」

 

谷津「はい、よろしくお願いします!」

 

井門「あっさりだ!スープと一緒!

 

 

 

 

 

 

 

 

井門P渾身のひと言が出たので、今回の佐野の旅は8割方終了したと言っても…。過言です。
はい、過言でありますので、続けていきましょう。
あっ、やつやさんで食べた他のメニューも最高に美味しかったです!
『黒からあげ』はなんと衣にソースの味が纏わされておりまして、驚きの味でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のロケが佐野厄除け大師までぶらりしながらという訳で、
今回は観光ボランティアガイドの栗原辰男さんにもお手伝い頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

栗原さんと待ち合わせた佐野駅前には佐野のご当地キャラさのまるくんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

丼かぶって麺が顔にちょっとたれている、腰には佐野名物いもフライも差されている。
さのまる君はお侍さんらしく、脇差がいもフライなのだ!!どうだ!!(何がだ!)
そして佐野は鋳物の町。駅前には『天明鋳物の町』という看板も出ている。
栗原さんに町をご案内頂きながら、天明鋳物の歴史、町の歴史を伺います。

 

 

 

 

松竹の透文様の電話ボックス。屋根に擬宝珠。

 

佐野市の全域案内版10mのガラスのオベリスク

 

登録有形文化財の建物になっている
日本クリケット協会
明治に建てられた鋳物の工場跡

 

 

 

 

栗原「佐野の町のシンボルの鳥が“おしどり”なんですよ。
ほら、おしどり夫婦っていうでしょ?あのおしどり。
あそこのおしどりも鋳物で出来ています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「栗原さんのところも“おしどり夫婦”ですか?

 

栗原「…………。(おし黙る)

 

井門「ノーコメントかよっ!(三村さん風)」

 

 

 

 

 

 

 

 

途中で佐野天命(明)鋳物伝承保存会の代表、若林洋一さんにもお話しを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鋳物造りは土や水が大切。
佐野ラーメンの谷津さんも水については仰ってましたが、
そう考えると佐野の自然の豊かさを感じずにはいられません。
かつて天明鋳物の町として日本中にその名を轟かせた佐野ですが、
現在鋳物師は佐野に10人位しかいないそう。
やはり後継者の問題は深刻なようですが、
そんな中、若林さんを含め保存会の方々が天明鋳物の歴史についてまとめた物を、
来年完成させるとか。なんとか職人の町、佐野の姿を後世まで伝え続けて欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

小雨降るなか栗原さんに御案内頂き、佐野の町をぶらりした一行。
そうこうしている内に佐野厄除け大師様に到着!

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらよく“厄除け大師さま”“お大師さま”なんて呼びますけど、
正式には春日岡山惣宗官寺(惣宗寺)というお寺になります。
今回御住職の旭岡靖人さんにお話しを伺いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の金の釣鐘は金銅大梵鐘と書いて「きんづくりだいぼんしょう」と読むのですが、
御住職曰く“純金ではなく金箔を張っているから”だそうです(笑)なんて正直な…。

 

住職「漢字というのは便利なものですからね(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

境内には天明鋳物の大梵鐘も鎮座。
こちらは貴重な物なので、今は飾られているだけなのだけど、
その音は素晴らしいそうです。

 

住職「ご家庭にある仏壇のお鈴も一つ一つ音色が違います。
鐘もそうですけど楽器ですからね。楽器なので一つ一つ音が違う。
例えば里にある鐘は音が遠くまで響く様に音を上げて、
山の鐘は下に響く様に音を下げるんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

流石ご住職のお話しは面白いなぁ…ふむふむ、なんて伺っていると、
本堂横の金色の観音像前で立ち止まる御住職。

 

 

 

 

 

 

 

 

住職「こちらの観音像、実はかつて盗難に遭ったんです。」

 

一行「えぇっ!!!?」

 

住職「それで私もテレビで、
“盗難に遭ってしまいました。どうかお返しください。”と訴えましたら、
しばらくしてお寺の駐車場に観音様が置かれているのを檀家さんが見つけてくれまして。」

 

井門「戻って来たんですか!?」

 

住職「はい、奇跡的に無事に戻ってきたんです。
これは凄いことだと私は思っているんですけどねぇ。
皆さん本堂の方には熱心にお参りされるんですけど、
この観音様の方には足を運んでくださらなくて…。」

 

井門「とても立派な観音様ですけどね。」

 

住職「名前を変えたら良いのかもしれませんけど、
まさか“出戻り観音”って言う訳にいかないですし。」

 

井門「絶対にだめでしょ(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

本堂前を通り過ぎると絵馬が掛けられていて、
その前にはお掃除をする小僧さんの像もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

住職「皆さんが頭ばかり撫でるから、頭がツルツルになってしまって…。」

 

井門「(ツルッと触りながら)本当だ(笑)
で、御住職、目の前に何やら自動販売機がありますが…これは?」

 

住職「はい、これはおみくじの自動販売機です。」

 

 

 

 

 

 

 

 

住職「お寺なので朝は早いのですが、
朝の勤行中に寺務所を訪ねてこられる方も多かったんです。
御守りをください、おみくじを…と仰るんですけど、
せっかくいらっしゃったのに朝の勤行中なのでとお断りをするわけにもいきません。
だとすれば24時間対応出来る様に自動販売機にしよう、と。」

 

 

 

 

 

 

 

 

井門「おみくじの他にも絵馬もありますね(笑)」

 

住職「おみくじの自動販売機は元々はタバコの自動販売機なんです。
業者にお願いすると無地の箱を用意して貰えるんですよ。
なので箱の中に手作業でおみくじを入れまして、販売する様になったんです。」

 

井門「ほうほう。」

 

住職「ところがいざ販売してみると、箱が軽過ぎて下まで落ちてこない!
そうです、おみくじは紙ですからそれだけだと落ちてこないんです!」

 

井門「ほうほう(これ絶対面白いやつだ)」

 

住職「なので一旦販売は止めまして、考えました。
そこで考え付いたのが箱の中に重りを入れる事でした。
一つ一つ木を切って形を合わせまして、箱の中に重りとして入れたんです。」

 

井門「となると御守りやおみくじを買った方には返して貰わなきゃいけませんね。」

 

住職「そうなんです。ですから自動販売機の隣に箱と木の重りの返却カゴを置いてます。」

 

井門「みなさんちゃんと返してくれますね!」

 

住職「一つ一つに書いてますからね。」

 

井門「へ?」

 

住職「(おもむろに箱から木を取り出すと)ほら、
木型に書いてあるでしょう?“おもり”って(笑)」

 

井門「ほんとだ!手書きで“おもり”って書いてあるじゃないですか!(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

 

いやいや、御住職のお話しはただ面白いだけじゃないですよ!
僕が大きく頷いたのは、
“なくて揃えられないのと、あるのに手を抜くのは大きく違う”と言うお話。
…あれ?このお話し、なんのタイミングで出て来たんだっけ?(笑)
面白い話が印象深過ぎて思い出せない…(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

御住職のお話しを伺った後は、
ついに厄除けの御祈祷を受けることに!
御祈祷を受けながら心の中で具体的な祈願をしつつ、しっかり祈りの時間を。

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして今年最後の旅を佐野厄除け大師の御祈祷で終える事が出来たKIKI-TABI。
今年は寒川神社の力もお借りし、お大師様の力も授かるという大変貴重な経験をしました。
番組の内々の話にはなってしまいますが、
僕も含めてスタッフの多くが健康を損ねてしまった2018年~2019年。
でも神様や仏様のお陰でなんとか無事に1年の幕を降ろせそうです。

 

まだ年末SPは残っていますが、東京を離れての旅はこれで今年は最後。
おっ、気付けば僕が今年最後の旅人となりました。
2019年も日本全国、本当に様々な場所で多くの方のお世話になりました。
今回の旅もそうでしたが、やっぱり旅は「人の話を聞くのが何より面白い」のです。
皆さんも旅をする時は勇気を出して、地元の方々に気になったことを聞いてみてください。
自分の地元の事を興味をもって尋ねられるって、僕は嬉しい事だと思います。
きっとそこで生まれたコミュニケーションは、その旅を忘れられないものにしてくれる筈。
2020年、みなさんにとって忘れられない旅が一つでも増えますように。

 

そして番組的には『山手線ぶらり』が一つでも先に進みますように(笑)
いや、これ本当にそうだからね!開業しちゃうよ、新駅(もう間に合わない)
まぁ、こうした歩みもKIKI-TABIらしくて良いのかな←開き直った。
とにもかくにも、今年も聴いてくださり有り難うございました!
来年も皆さんと共に、よき旅が出来ます様に!