ジェネシス!インヴィジブル・タッチ!!!

2010-09-08

genesis


『超ポップなプログレ・サウンド
   ジェネシス“インヴィジブル・タッチ” 特集』

1986
年リリースされたジェネシスのアルバム
『インヴィジブル・タッチ』。
余りの大衆向けの作風に、プログレファンはそっぽを向きましたが、
そんなのはお構いなしに、売れに売れまくりました!

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  INVISIBLE TOUCH   /    Genesis   

1曲目にお送りしたのは、
タイトルトラックの
“インヴィジブル・タッチ”。

シンセドラムの軽ーーーいサウンドが、80'sらしさを醸し出しますね。

70
年代のジェネシスと言えば、シンフォニックなプログレという
イメージがあるんですが、
強烈な個性のフロントマン:
ピーター・ゲイブリエル(ガブリエル)が1975年に脱退して、
フィル・コリンズが主導権を握るようになってから、
音の方はだんだんとポップになっていきました。


その中でも、この曲は80'sを代表する一曲といっても過言では
ないのではないでしょうか?
もちろん、シングルチャート全米ナンバー1を記録しています。

ちなみに、この曲をチャート1位から蹴落としたのは、
その脱退メンバー:ピーター・ガブリエル。皮肉ですね。

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    Throwing it all away   /    Genesis  

2曲目にお送りしたのは、1986
年リリースのそのアルバムからの
セカンドシングル
Throwing It All Away”です。

※全米4位となったシングルヒット!  

さてさて、イギリスを代表するプログレ・バンド“ジェネシス”。

1967年にボーカルのピーター・ガブリエルを中心に結成されました。
デビュー時は、方向性も定まらず、音楽的にもオリジナリティに欠けたため
大した評価を得られませんでしたが、
1970年にギターのスティーブ・ハケット、
そしてドラムのフィル・コリンズが
加入してからは、
緻密なアレンジと、ピーター・ガブリエルの強烈なパフォーマンスで
ヨーロッパで大人気のプログレ・バンドとなりました。

ところが、1975年に中心メンバーのピーター・ガブリエルが脱退。
バンドの核を失ったバンドは、あらたなステージへと向かいます。

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    In Too Deep   /    Genesis  

         

『じゃあ、しょうがねえ・・・俺が歌うよ!』

 

ということで、ドラムのフィル・コリンズがボーカルも兼任。

まるでC-C-Bのようなスタイルで、バンド活動を続けていきます。

でも、引き続きアルバム大ヒットし続けるんですよね。

それほど、フィル・コリンズという男の才能もまた、
ピーガブに引けを取らないもの、
だったんですね。

 

バンドの正式メンバーが3人!となってしまった1978年からも、

徐々にポップな作風に変化させながら、大ヒットを連発。

同時に、フィル・コリンズ、マイク・ラザフォード、
トニー・バンクスという3人のメンバーは
ソロでも大活躍して、
ジェネシスというバンドはよりビッグになっていきます。


そんな中で、1986年にリリースされたのが、今日特集している
アルバム『インヴィジブル・タッチ』。

 
イギリス、ヨーロッパだけでなく、すでにアメリカでの人気も
不動のものにしていた彼らは、
その作風をアメリカ向けのポップスに大転換します。

もちろん、往年のプログレ・ファンからは大ブーイングをくらいますが、
老若男女のロックファン、ポップスファン、AORファン、
そしてMTV視聴者などに
圧倒的に支持されて、アルバムはメガヒット!

8曲いりのアルバムから、なんと5曲もシングルカットされて、
アルバムは全世界で1500万枚を超えるセールスを記録する、
歴史的なヒット作になります。

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    Land Of Confusion   /    Genesis 

          

さて、80'sのジェネシスというと、
フィル・コリンズの独断場と思われがちですが、
アルバム曲を聴くと、ジェネシスは3人の有機的なバンド
いうことが良く分かりますよね。


フィルのソロ・アルバムとは違って、メンバー三人の演奏の高揚感を
十分堪能することが出来ます。フィルの歌声に負けないとする、
ギター、キーボードの音色の良さは、
(腐ってもプログレ!)圧巻ではないでしょうか?

●さて、アルバムがリリースされた'86年といえば、
フィル・コリンズは個人のソロ活動も
含めて、
「世界で一番忙しい男」とも言われていた時期でした。

自身のソロ・アルバムをリリースして、
'84年には映画『カリブの熱い夜』の主題歌
「見つめて欲しい」をリリース。大ヒット。

 
またロバート・プラントのアルバムをプロデュースしたり、
'85年のライヴ・エイドでは、レッド・ツェッペリンや、
スティング、エリック・クラプトンのバンドでドラマーを務めたり・・・、
コンコルドに乗って、イギリス会場とアメリカ会場を行き来したり・・・。

っと、ホント、どこまで出たがりなんだ?というような状況でした。

ま、基本『仕事を断らない人』だったらしいですね。

 

●そして。先ほどジェネシスとピーター・ゲイブリエルとで、
 シングル・チャートの交代劇があったと書きましたが。

今日紹介している『インヴィジブル・タッチ』と同時期に、
ピーターは『SO(ソー)』という、 これまた化け物のような大傑作!
をリリースしています。エスニック・テイストへのアプローチや、
プログレッシヴ・ロックが持つゴージャス感といったものが、
当時の双方のアルバムには盛り込まれているのですが…。

同じ起源(ジェネシス)から出発し、
二つに分かれたアーティストがそれぞれどのように進化・変容していったか、
改めて聴き比べてみると、面白く響くのではないでしょうか?

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Tonight, Tonight, Tonight   /    Genesis