桜田門外の変~烈士たちのゆかりの地へ…。|中田美香

2010-11-24



今回の旅のスタートとなった場所、それは私が日々通い慣れ、
この番組のナレーション収録を行っているJFNスタジオがある、東京・半蔵門の「TOKYO FM」ビル前。
せっかく“旅人”を担当させて頂けるというのに、
待ち合わせ場所が、通い慣れたいつもの半蔵門ってトコが、なんだか笑える。

今回は映画『桜田門外ノ変』公開記念ということで、烈士たちのゆかりの地をグルリと巡る旅となった。
事件現場となった江戸城・桜田門は、半蔵門のスタジオから目と鼻の先にある。まちかく。
まずは、皇居のお堀沿いをテクテク歩いてみた。
ココって普段ワタクシがジョギング・コースにしているところなのよねぇ。
1周するとジャスト5km。
緑が多くて景観が良く、そして信号もないからすごく走りやすいのだ。
この日も、旅取材をする我々ヤジキタ・スタッフの横をひっきりなしにランナーたちが走り抜けていく。
ワタクシ、そんな中で必死に幕末に思いを馳せてみる。
むむむ。
でも、目の前に広がるのは、のどかな風景・・・。
あ~ん。これではやっぱりイメージが湧かないネェ(苦笑)。
いまから150年前、季節外れの雪が降りしきる中、
その白い雪が真っ赤に染まるほどの烈しい斬り合いがこの場所で起ったなんて・・・。
そもそもこの周辺には歴史的大事件を伝える碑などは一切残されていない。
やはり、開国の歴史の中でもこの事件って、ある種のタブ―だったのかしら。

改めて。
事件が起きたのは、1860年3月3日のこと。
水戸の浪士を中心とした18名が、江戸幕府の大老、井伊直弼を桜田門傍らで襲撃し、暗殺したのである。
たとえば、江戸時代での"大統領暗殺される!"っていうぐらいの衝撃&ニュアンスなのかな!?
ん?ちょっと違う?
その襲撃の実戦部隊の指揮官を務めたのが、当時三十代だった関鉄之助。

もともと水戸藩の下級武士だった彼が、なぜこんな大きな事件に関わったのだろうか?
彼はどんな人物だったのだろう・・・?

映画を観たら、そんな疑問がフツフツと湧いてきた。

日本の歴史を大きく変えた『桜田門外ノ変』。
今回の旅を通し、教科書には載っていない事実をわずかながらヒモ解くことが出来たような気がした。

水戸駅までは上野駅から特急「ひたち」に乗り、ビュ~ンっと1時間ちょっとで到着!
そこからさらに車に乗って、1時間半のドライブ。
到着したのは、大子町の袋田温泉。
ここは、関鉄之介が『桜田門外の変』の後、幕府から追われる身になってひっそりと隠れていた場所だ。
大子町の地元の歴史の研究をされている元教師の小澤圀彦さんが、
潜伏中に詠んだと云われる関鉄之助の歌碑に案内してくれた。




















それまで、ワタクシの中での関鉄之助像とは、とてつもなく過激な人物というイメージだった。
なぜなら、あれだけの大きな事件に関与した人物ですぞ。
でも、実際は歌を詠む才能に優れ、楽器なども嗜む、趣ある方だったそうだ。

ふるさとである水戸を愛した、ごく普通の青年。
その一方では、正義感が強く、日本の未来を案じ、よくしていくために己を信じ、とるべき行動をとった。
そう、とても強固な意志をもった人物。
少しづつ、ワタクシの中での関鉄之助像が変わっていく。
なんといっても、当時の関鉄之助と今のワタクシはほぼ同年代・・・。
今のワタクシは日本の未来について、しっかり考え、また行動しているのかというと・・・シテナイ・・・ぜんぜん。












続いて、我々は水戸市内の「弘道館」へ向かった。
「弘道館」は、1841年に水戸藩の藩主だった徳川斉昭が開いた、藩のための学校。
当時の学校としては最大規模で、幅広い分野を学ばせる、いわば総合大学ともいうべきところ。
全国津々浦々まで教育の影響を与えたそうだ。

手入れされた庭が広がり、建物には歴史やロマンを感じることができる。
こんな場所で学べるなんてイイなぁ。
勉強もはかどりそー。

床の間には大きく力強い文字で「尊攘」と書かれた掛け軸が掲げられていた。
「尊攘」、つまり「尊王攘夷」。
この藩校の教育の根源であり、関鉄之助もこの学校でその教えを学んでいる。
う~む。

少しずつ、当時の時代背景がクリアになり、歴史のピースがひとつひとつ繋がっていく思いがした。


















旅の締めくくりは、茨城県水戸市松本町にある「常磐共有墓地」と「回天神社」。
常磐共有墓地には、"水戸黄門"での「格さん」のお墓のほか、
『桜田門外ノ変』の烈士18名のうち11名が眠っている。
もちろんその中には関鉄之助のお墓もある。
この映画の公開をきっかけに、大沢たかおさんのファンを含め、多くの方がここを訪れるようになったとか。

日本の歴史を変えてきたのは、教科書に載っている人物ばかりではないんだ。
そう改めて強く感じた。

そして、大袈裟かもしれないが、私たちが生きている現代も、
一分一秒すべてがしっかりと未来に繋がっているんだなってコトにも気付かされる旅となった。








 







10月に公開された映画『桜田門外ノ変』。
主人公の関鉄之助を大沢たかおさんが、その妻を長谷川京子さんが演じ、
北大路欣也さんや伊武雅刀さんなど、豪華俳優陣が脇を固めている。
あなたはもう観ましたか?
「まだ」という方、来年にはDVD化も予定されているとのことですヨー。

さて、我々の『桜田門外ノ変』公開記念、烈士たちのゆかりの地を巡る旅はまだまだ途中です。
次回は、オープンロケセット探訪をしまーす。ワクワク。

お楽しみに♪