東京探訪 山手線一周ぶらり旅 大塚~巣鴨編|旅人:井門宗之
2011-07-16
ヤジキタの朝は早い…。とても早い。
その早さ故、地方での我々を【お豆腐屋】と呼んだ別番組のスタッフもいるほどだ。
地方に行けば朝7時ホテルのフロント集合なんてのはザラ。
「朝食を食わせろー!」というシュプレヒコールが地方都市にこだまする事もある。
*メルシー氏が担当作家の時に稀に起こる現象。
ちなみにミラクル氏が担当作家の場合、「昼飯を食わせろー!」という現象が稀に起こる。
そんな感じなので仮にそれが都内ロケだったとしても、
『はい、明日は朝8時集合ね。』と平気な顔して言われるのであります。あな恐ろしや。
ところが、ところがであります。
メルシー「今度のぶらりは、大塚駅を夕方5時出発だから。」
井門「え!? 夕方5時っ??」
夕方5時と言えば、サラリーマンがネクタイを頭に巻いて飲み始める時間!
OLが今夜の合コンについて仲間と作戦会議を始める時間!
各家庭では晩御飯の調理なんかも始まって、奥さま方はニュースワイドなんかを観ながら、
長ネギのみじん切りを始める時間ではありませんか??
コース料理で言うと「もう次はデザートかなぁ?」と考えるような、そんな時間。
その時間にまさかヤジキタがロケをスタートさせるなんて…しかもメルシー氏の先導で…。
メルシー「ほら、早くレポートして。」
あっ、夕方からスタートでも急かすは急かすんだね…。
と言う訳で幕を開けた【大塚~巣鴨編】でございます。
スタートは大塚駅の北口、ロータリーになっている場所。
客待ちのタクシーと夕暮れ時の寂しさ、そして家路を急ぐ人達の背中に郷愁を感じずにはいられません。
珍しい時間帯に出発したメンバーは前回と同じく、メルシー氏、横山氏、慶吾、そして井門P。
まぁ、夏で日も長くなっているし、たまには夕暮れの東京を歩くのもオツなもの。
さっそくぶらりのスタートでございます。
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| JR大塚駅の下をくぐる感じで都電荒川線の 大塚駅前停留場がある |
ここ大塚駅から巣鴨までは山手線で行けば1.1kmの長さ。
これを聞いて若干物足りなく感じてしまうのは、既にメルシーの魔法にかかっている証拠。
実際今回のロケも真っ直ぐ巣鴨へは向かわない様ですが、ゆるりと歩く事にしましょう。
この大塚駅はJRの他に都電の駅もあり、なんとなく懐かしさが漂います。
会社帰りのサラリーマンの表情も「ふぅ、今日も街から帰ってきたぜ」的な感じだ(失礼)
前回も書きましたが、実は池袋から大塚の間で所謂“山の手エリア”は終了。
大塚の辺りから“下町”が始まるのであります。
とはいえ、大塚の駅も一日の平均利用客数は約5万3千人…。東京って凄いんだなぁ。
*ちなみに前回の池袋駅は約271万人ですって。
駅前を出発し、美味しそうなラーメン屋さんの前を通り過ぎると最初のポイント登場!
それが「滝不動」。
今やビルの中に安置されておりますが、もともとはこの辺りの川の近くに安置されていたそう。
川が小さな滝の様に流れていたので、そこにあったお不動様を「滝不動」様と呼んでいたとか。
戦災で台座を破損したものの、大東亜戦争後に再び元の場所近くであるここに安置された【滝不動】様。
今でも地元の方の信仰を得ていると言いますが…、
井門「シャッター閉じてて、お不動様が見えないよね?」
メルシー「おかしいなぁ、ロケハンに来た時は開いてたんだよ? ねぇ、横山さん?」
横山「うん…あっ、4時で閉まっちゃうんだね!」
メルシー「あぁ、そっか! ははは!」
横山「はははは!」
メル&横「あっははははは!」
じゃあ何故夕方5時からスタートにした!?
| クリックすると説明書きが読めるよ! |
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…ともあれシャッター越しにお不動様にお参りして、再びぶらりのスタートです。
しばらく歩いていると、大通り沿いに何やら不思議なお店を発見しました!
それが「おにぎり専門店 ぼんご」。
店の外から中を覗いてみると、L字型のカウンターにガラスケース。
そのガラスケースには何やらおにぎりの具らしきものが容器にいっぱい。
お客さんはそのL字のカウンターの前に座り、中の職人さんに握って貰う具を伝えるのだ。
店内は割と広々としているのだが、何よりカウンター内がゆったりしている。
握る職人さんがいる側がゆったりしていると、お客さんものんびり出来る。
のんびりした空間に目を惹かれていると、女将さんの笑顔とぶつかった。
ぶらりの醍醐味だ、中にお邪魔する事にしよう(笑)
ガラガラと扉を開けると、そこには「おにぎり2個、お味噌汁¥600(曜日限定)」と書かれているし、
中に入れば壁一面に種類も豊富な具のメニュー表が! これがどれも旨そうなんだ…。
笑顔の素敵な店長の右近由美子さんにお話しを伺った。
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| カウンターにはお寿司屋さんのネタの様に、 おにぎりの具材が並ぶ |
「ぼんご」が大塚に店を構えたのはおよそ50年前。
店の場所もここでは無かったそうだが、それでも大塚の人達に愛されてきたお店なのだ。
右近「私は嫁いできてから握ってるんだけどね、ここ下町でしょ? 常連さんが厳しくて(笑)
そんな握り方で握ったおにぎりなら、ウチで食った方がましだ! なんてね。よく言われたのよ。」
口は厳しいがそれでもお店への愛情は誰にも負けない。それが下町っ子。
口も出すけどその分、お店に毎日の様に足を運ぶ。
そして常連さんのアイデアでメニューが決まる事も多いのだ。
右近「あれとこれを混ぜたら旨いんじゃないか? なんてね(笑)
実はお客さんの方が色々と家で試してきてね、ここでそれを披露するんですよ!」
お客さんの発想を大切にし、それを繋いで商売とする。
そうこうしている内に店のメニューは約50種類にも及ぶようになったのだそうだ。
常連さんが何を頼むか、顔を見て分かったりするのだろうか?
右近「ある方が言ってたの。店に来る前はいつもと違うのを試そうと、色々考えるんですって。
だけどね、席に着いた途端に“いつもの鮭と梅な”ってなっちゃう(笑)
若い子の方が色んな冒険をするみたいね~。若さゆえの特権かしら?」
ちなみにその若者が考案したメニューが【マヨネーズ系】だそうだ。
そしてその中の一番人気は「鳥の唐揚げ」…??
我らがヤジキタには医者に揚げ物を止められた慶吾がいる。
慶吾を前にそんなマヨネーズ系でしかも唐揚げなんて…口が裂けても食べたいとは言えるわけが…
井門「じゃあ、鳥の唐揚げ行ってみよっかな~♪」
慶吾「あんたは鬼やぁ…!!」
この唐揚げが何故にマヨネーズ系なのか?
実は【ぼんご】の唐揚げは一度揚げた鳥を刻み、醤油マヨネーズで和えた物を具にしている。
それをおにぎりの具としてホカホカご飯に“これでもか!?”ってな具合に詰め込んでいるのだ。
目の前で職人さんがおにぎりの型に一度ご飯を入れ、形を整えてから手でふんわり握る。
そのふんわり感がたまらない。そんなにふんわり握っていいの? ってなぐらい。
右近「お茶碗で食べる位にふわっとさせるの。
だから、強いて言えば全体を包む海苔が“お茶碗代わり”かしら。」
一般的なコンビニのおにぎりは110gぐらいの大きさなのだが、
【ぼんご】のおにぎりは170g~180gぐらい。本当に大きいのだ!
*でも20個食べた人もいるみたいですよ(驚)
見た目にも大満足のおにぎり、僕の目の前には定番の鮭と唐揚げが到着。
嬉しいのは三角のおにぎりのてっぺんに、たっぷりと具が乗せられていること。こうでなくちゃ!
添えられたお味噌汁の横には乾燥岩海苔が。味噌汁に入れると、途端に磯の香りが広がる。
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もう、味をここで書くのは野暮天だろう。
口の中に入れた瞬間、米粒がふわ~っと広がる。そして中の具のたっぷりな事…。
米の層より具の層の方が厚いんぢゃないだろうか!?
繊細な口当たりとは裏腹に、具の多さの武骨な感じがたまらなく幸福感を誘う。
井門「大塚って、どんな町ですか?」
右近「地味よ(笑)こんなこと言ったら怒られるかしら?
でもうちはこの町でしか出来ない。だから、ずっとここでやれたら良いな。」
終始笑顔の右近さん。取材中も実はお客さんがひっきりなしだった。
【ぼんご】の名前は、御主人が昔太鼓を叩いていた事に由来するという。
――ぼんごの音(評判)が、遠くまで響きますように。――
そんな風な願いで名付けられたお店は、
この地でお客さんに50年以上も舌鼓を打たせている。
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◆◆◆
すっかり満腹になったヤジキタ一行(スタッフ全員御馳走になった…右近さん有難うございました!)
お店の前を歩きながら、巣鴨に向けてぶらり再開。
しかし流石に夕方5時から始めたロケだけある。もう空はオレンジ色だ。
大通りを歩きながら地図の読めないP:井門がふとした疑問を投げかけてみる。
井門「この道って、巣鴨に向かってるんですよね?」
メルシー「いや、どっちかっていうと巣鴨とは90度違う方向に…。」
横山「でもこれには理由があるんだよね? 久保ちゃん?」
メルシー「そうそう、東京の路地裏を堪能しようと。はい、そこ入って!」
2人の掛け合いに狐につままれた気持ちになりながら、
それでも夕暮れ迫る東京の路地裏を歩く事にした井門。
だがそこには子供達が元気に遊びまわる、古き良き東京の姿があったのです。
入り組んだ道、にょきにょきと立つ電柱、密接した住宅、その路地を窮屈そうに抜けていく車。
まるでここだけタイムスリップしてしまったみたいだけど、これも東京。
途中には銭湯があったり、町工場があったり。
駐車場には痩せた野良猫が物欲しそうにこちらを見てて。
井門「下町の路地裏だね。うん。」
メルシー「そう、これも東京なんだよね。」
| ボディーマッサージ風呂、 電気風呂などもある銭湯「銀泉湯」発見! |
| 路地の奥には石段が! 「やじきた探検隊」進みますっ! |
| さらに進むと少し開けてきて「東大豊島学寮」が! |
あぁ、もう行き止まりだろうな…と思っていたら、ちょっとした石段があって。
その先も路地になっているんだけど、少しずつ道は広くなっていく。
何本もの毛細血管が集まって、いずれ大きな血の流れを作る動脈になる。
毛細血管の傍には沢山の小さな細胞(住宅)があるんだけど、
新陳代謝で出たり入ったりを繰り返している。血は新しくなるんだけど、もう昔には戻れない。
昔には戻れない東京が、これからどんな姿を見せてくれるのかは分からないが、
それでも昔の面影だけなら、今の東京でも稀に見る事が出来る。
路地を抜けたところで見つけたのが、東大豊島学寮。
去年の秋に新陳代謝の為に閉鎖された学生寮だ。
壁一面にはつたが絡まり、壁などもヒビが入って“いかにも”な佇まい。
男子学生の為だけの寮で、2人1部屋。もちろんトイレと風呂は共同。
平日の夕方にのみおばちゃんが食事を作りにやってきたそうな。
きっと最高学府の東大の学生達はここで夜な夜な議論を戦わせていたのだろう。
酒を酌み交わしながら、時には恋の話の一つや二つあったに違いない。
それぞれが見ていた夢の先に、あの頃の学生たちは立てているのだろうか。
あの頃、学生だった僕は、あなたはどうだろうか?
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ちょっと懐古趣味な今回のヤジキタ(笑)
だって昭和の路地裏に入りこんじゃうんだもん。あ、でもそろそろ大きな通りに出るよ!
ここは…都電荒川線の「庚申塚停留場」か。
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地図で表してみましょうか。大塚駅・庚申塚停留場・巣鴨駅を結ぶと三角形になる。
僕らは大塚駅からまっすぐ巣鴨駅には行かず、地図上では斜めに歩き、三角形の頂点に。
ここから巣鴨駅へと戻るわけなのですが、すると「巣鴨地蔵通り商店街」を抜ける事になる!
うまく出来ているなぁ。さすがロケハンしただけの事はある!
メルシー「井門、商店街に人いるかい?」
井門「いないねぇ。」
横山「もう夜になってきて、お年寄りはいなくなっちゃったでしょ?」
井門「そうですねぇ。」
メルシー「“おばあちゃんの原宿”におばあちゃんがいないのは厳しい。
なので明日また庚申塚停留場で待ち合わせて、ロケは明日にしましょね!」
横山「はいはいはーい!」
井門「何故夕方5時から…(ry 」
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翌日(もうね、何事も無かったように始めましょ)。
おばあちゃんの原宿・巣鴨と呼ばれる所以から探っていこう、と言う事で、
我々は先代が商店街で酒屋を始めてからの巣鴨っ子・塚本貞司さんにお話しを伺いました。
現在塚本さんは酒屋があった場所でコンビニの経営をされているわけですが、
我々は一度コンビニのバックヤードでご挨拶をすることに。
なんでしょうね、何も悪いことしていないのにも関わらず、ドキドキする(笑)
9分割ぐらいにされたモニターを観ながら、万引きGメンの如く目を光らせる井門P。
井門「悪い奴がいたら、すぐに飛び出しますから!」
塚本「(苦笑)」
あまりに我々の落ち着きが無いので、塚本さんは気を利かせて場所を移動してくれました(汗)
塚本さんは60年以上、この町を見続けてきた巣鴨っ子。
この商店街が元気なのも、地元の方の努力があればこそなんだそうです。
塚本「今でも商店街は縁日やイベントなどを沢山行っています。
休む場所も多いですし、来る人を考える商店街作りは江戸時代から変わらないのかもしれません。」
確かに商店街のお店の前には、小休止出来る様な椅子が置いてある店が多かった。
お肉屋さんの前では、焼鳥を食べながら談笑するおじいちゃんの姿もあった。
地元の人にも優しく、そして観光客にも優しい町。
巣鴨の底なしの優しさは訪れるお年寄りの数に比例するのかもしれない。
井門「随分商店街も距離がありますけど、お店はどれぐらいあるんですか?」
塚本「お店の数自体は200くらいでしょうか。
商店街は長いですよ、800mといったところです。」
僕らは庚申塚停留場の方から来たので、そちらはまだ住宅街の静けさもあったのだが、
JR巣鴨駅の方に近くなるにつれ、お店も増え人の往来も増える。
長さがある分、色んな表情を見せてくれるのが「地蔵通り商店街」なのかもしれません。
塚本「ある新聞でね、“おばあちゃんの原宿”なんて言われ方をし始めたんですけど、
巣鴨は元々、おばあちゃん・おじいちゃんの多い場所ですよ(笑)
だから実はこの町は何も変わっていないのかもしれません。」
そうなのだ、変わらないのだ。町のスタイルもそこで商売をやる方々も。
むしろ変わらないから安心してここに遊びに来られるのだ。
他の町と比べて違うことは沢山ある。その一つはエスカレーター。
塚本「地下鉄の駅から伸びるエスカレーター、速度を遅くしてます。
お年寄りに安心して来てもらう為ですね。けがしちゃいけないですから。」
そう言う塚本さんの話を聞きながら、速度を敢えて遅くしているのは、
町の速度自体も変えたくないからなのでは? と思ってしまった。のんびり楽しむ町が巣鴨なのだ。
そしてここでお店を構える方々が変わらずに持っているもの、それは…
塚本「おもてなしの心です。」
最近では外国人のお客さんも増えたと言う。
江戸時代より寺町として栄えてきた巣鴨は、外からくるお客さんで持っている。
そのお客さんに気持ち良く過ごしてもらうために、様々な工夫がされているのだ。
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我々は塚本さんと別れて、少しだけ「地蔵通り商店街」をぶらりしてみる事にした。
変わった物もたくさん売っているんですよ、この商店街は(笑)
スリッパならぬ足袋で出来た「足袋っぱ」とか、非常に滋養強壮系の物を売っている店が多かったり、
あんころ餅ではなくて“ぼた餅”だったり、カラオケボックスではなく“昔の唄の店”だったり…。
この店で最近のJポップなんか歌った日にゃ、大変な騒ぎになるかもしれない(失礼)
そんな中見つけてしまったのが【マルジ】という洋服屋さんである。
巣鴨のお年寄りに赤いパンツが人気というのは聞いた話ではあったのだが、
ここまで見事に全てが真っ赤というのも圧巻であります。
だってここ【マルジ赤パンツ館】って書いてあるものねぇ…。
スタッフの松本智美さんは物凄くノリの良い方。
なんせ元気なのだ。きっと赤パンツに囲まれているせいだね。
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井門「この町はどんな所が魅力なんですか?」
松本「えぇ、お年寄りが一人でも安心して遊びに来られるところかしらね。」
| 松本さん、ありがとうございました! |
塚本さんも松本さんも巣鴨の町は“優しい”とおっしゃる。
確かに一人で歩いているお年寄りも多いけど、
何よりも“大きなお寺に守られている”って意識もひょっとしたら強いのかもしれません。
それではついに参りましょう! 地蔵通り商店街の真骨頂でございます!
とげぬき地蔵尊・高岩寺
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ちなみにお地蔵様って位の高い仏様なんですよね。
道に安置されている事が多いので、道祖神と同じ様に結界を守る神様なのかと思われがちですが、
なんてったって「地蔵菩薩」ですから、救済の菩薩様なのであります。
閑話休題。
「とげぬき地蔵尊」と言われてTVなんかでも見た事がある方は多いと思います。
正確には高岩寺という名前がついております。
その歴史はとても長く、関ヶ原の戦いよりも4年ほど前。いまから415年前というから驚き。
昔は湯島の方にあったものが、上野の下谷に移り、今の巣鴨にきたとか。
我々は高岩寺の執事長・村上友章さんにお話を伺いました。
村上「江戸の昔にね、病に臥せっていたある方の夢枕に僧が現れた。
“死病を追い払いたくば、印像を川に浮かべて流しなさい。”とね。
目が覚めると地蔵菩薩の御影が枕元にあったので、その言いつけどおりに川に流した。
するとある日、死魔が現れた病床に黒衣の僧が再び現れ、それを追い返した。
それ以来、その方はずっと病気をすることは無かったというんですね。」
さらに話は続く。
村上「その話はあっという間に広まりましてね。ある僧がその御影を譲ってもらったそうです。
するとその僧が出入りしている家で、女中が針を飲み込んでしまい大騒ぎになってる。
“これは”と思い、御影を飲ませてみると、あっと言う間に針は身体から出て行った、と。
それが口コミで広まっていって、いつの間にか“とげぬき地蔵尊”と呼ばれる様になったんです。」
とげぬき地蔵は信仰が広めた愛称なんですね。
こちらのお地蔵様は“延命地蔵”なのでお年寄りの参拝が多いのは納得なのですが、
それにしても参拝客が多いのは何故なんでしょう…。
村上「あまり畏まらないお寺だからでしょうね! ははは(笑)」
豪快に笑う村上さんの笑顔を見ていると、このお寺が愛されている理由が何となく分かる気がする。
畏まらない、飾らない、来る人の目線をとても大切にするお寺なのだ。
村上「この町を訪れる人、みんなに心のとげを抜いて欲しいんですよ。
特にこんなご時世じゃね。安心して、この町に来て欲しい。」
とげぬき地蔵尊で心のとげぬきかぁ。
我々もしっかりお参りした後は、外にある洗い観音にもお参り。
こちらは治って欲しい所、丈夫になって欲しい場所をタオルで磨くと御利益があるとか。
せっかくなので妻が無事に元気な赤ちゃんを産んでくれるように、お腹をせっせと磨く。
“元気で産まれますように、妻も元気でいられますように”
そんな事を呟いていたら、向かいで磨いていた御婆ちゃんに、
“そうそう。人の為に願いを込めて磨くのが良いのよ。”とちょっと誉められる(笑)
ちなみに「洗い観音様」は以前タワシでこすっていたそうなのだが、
さすがに擦り減って、今の観音様は2代目なんだとか。現在はタオルのみ使用可ですよ!
| 頭がよくなりますよーに! |
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さてさて、老舗が建ち並ぶ「地蔵通り商店街」において、ニューカマーが登場した!
高岩寺からだと少し庚申塚停留場方面に戻るのだが、これもぶらりの楽しみ。
商店街を行ったり来たりしていると、面白い店も見えてきたりするのです。
到着したのは【すり鉢茶 さくらびより】。
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なんと6月20日オープンなので、僕らが取材で行った時もまだ10日ぐらいしか経っていない。
純和風の外観とは裏腹に、中で接客をしてくれるのは“7月だから”と浴衣を着た女性達。
そもそも【すり鉢茶】って何なのよ?? とお思いでしょ?
スタッフの紫織さんに尋ねてみました。
紫織「数種類のお茶っ葉をご用意しているのですが、
選んだ茶葉を大きなすり鉢でごりごりと擂って戴くんです。
粉状になったら冷たいお水かお湯を注いで飲むんですよ♪」
ちなみに茶葉の味も細かく分類され、割るお水も3種類から選ぶ事が出来る。
井門もすり鉢でゴリゴリしたのだが、紫織さんにダメ出しをされ、
結局紫織さんにごりごりしてもらう羽目に…。意外に紫織は厳しい…。
茶葉が細かく“これでもか!?”ってなぐらい粉末状になったら、水を注いでぐび~。
なんせすり鉢が大きなカフェオレボウル位のサイズなので、たっぷり飲める。
| ごまをするのは上手いんだが、 お茶をするのは初めてだしなぁ… |
| すり鉢茶、完成!! |
紫織「セットのお茶菓子はスタッフが選んだ物なんです。
みんな日本全国から探してきて、自慢の逸品を供するんですよ!」
確かにお茶菓子、センスもあるし旨いし。
地方で有名な物をメーカーに問い合わせながら、お店で出しているんだという。
この日はたまたま運よく社長の田邉治さんがいらっしゃった。
井門「どうして巣鴨でお店を出そうと思われたんですか?」
田邉「そりゃあ、○○で○×だったんだけどな? △△が□□になっちゃってよ。
結局□□で××の○○にしたってわけよ!」
社長、随分と破天荒な感じで面白いです(笑)
お店自体は紫織さんを始め、女性スタッフが自分達の好きな物に囲まれながら、
洗練された空間ですり鉢茶を提供してます。すり鉢茶、旨いです。
これからの夏の盛りは、冷たいお茶をたっぷり飲めるこの店は嬉しいかも。
| 紫織さんをはじめ、美人ぞろい |
【さくらびより】を出た我々は、旅の終着点であるJR巣鴨駅へ向けて最後のぶらり。
途中で目に付くのはやはり茶店や飲食店の数々。
お年寄りが不意に休憩したくなった時の為にあちこちにベンチも置いてある。
お年寄り向けのお店ばかりなのかと思いきや、全くそんな事はなく。
慶吾もお腹を空かせてしまう様な店頭販売のお惣菜屋さん、甘味屋さんも軒を連ねる。
もちろん、地元の方の為のスーパーやコンビニ、クリーニング店も。
ぶらりしながら思わず立ち寄った塩大福の名店【みずの】さん。
横山氏とメルシー氏、井門が塩大福を求めながら店員さんと立ち話をしていると…
店員「良かったら持ってって下さい! かんぴょう巻きとみたらし団子!」
袖触れ合うも多生の縁。
その一度の出会いをとても大切にされていらっしゃるんだろうなぁ。
【みずの】の塩大福もかんぴょう巻きも、物凄く美味しかったです!
みたらし団子のあの懐かしい味は、巣鴨の郷愁と相まって泣きそうになるくらいでした(笑)
| 「庚申塚」側から歩いたので、 こっちが巣鴨駅寄りのメインの入口 |
| JR巣鴨駅に到着! |
今回は大塚~巣鴨までのぶらり旅。
このぶらり旅も17回目となりました。スタートの新橋まではあと12回となります。
これまで色んな山手線の駅を見て回りましたが、
町と人がここまでリンクしている場所も、珍しいような気がします。
人がありきで町の形が変わってくる。
人の優しさが町の姿を変えていく。
便利さや流行など関係なくて、ただただここを訪れる人の為に町の姿がある。
山手線の駅にはこんな場所もあるんです。そして、ここから先はそんな場所ばかりかもしれない!
次回のぶらりは巣鴨駅から駒込駅へと向かいます。
放送予定は今のところ未定ですが、また長い旅日記と共にお付き合い下さい!
≪オフショット≫
「衝撃! 井門がオシリにタッチ!!」
「巣鴨地蔵通り商店街」の大人気キャラクターが、鴨の「すがもん」。
そしてこれは「すがもん」のお尻!
お尻と言われると触りたくなってしまうのは悲しい男の性。
なので触ってみた!
いもんがもんもんとしてすがもんのおしりのもんを…。
「逮捕しちゃ~うぞっ!」