夏休み!上高地トレッキング|旅人:井門宗之
2011-07-23
慶吾「ねぇねぇ、井門。これから俺達は何に乗るの??えっへっへっへっ。」
井門「なんだよ、慶吾。俺達が乗るのは“あずさ1号”だろ?」
慶吾「えっへっへっへっ。何時ちょうどの?」
井門「7時ちょうどのっ!!」
7月某日・時刻は午前6時40分頃、我々一行はJR新宿駅にいた。
乗り込む電車は7時ちょうど発の“特急スーパーあずさ1号”松本行き。
そのホームで、早速カメラを構える太っちょ一人。
みんなに何かを言わせたくて仕方ない様子だ。
慶吾「佐々木君、これから俺達は何に乗るの?えっへっへっへっ。」
佐々木「何ですか?“あずさ1号”ですよ。」
慶吾「へっへっへっへっ。何時ちょうどの?」
佐々木「はいはい、7時ちょうどですね。」
慶吾「吉武さん、俺達は何時ちょうどの何に乗るんでしたっけ?」
吉武「7時ちょうどの~♪あずさ1号で~♪」
井門・佐々木「(歌った…)(あ、歌った。)」
本厄・ミラクル吉武(41)。
まさかこの人のミラクルが今回も発揮されるとは、この時は誰も知らなかったのである。
今回の行き先は信州松本上高地。
目の前に3000m級の山々が聳えながらも、気軽に自然を満喫出来るトレッキングコースも充実。
夏休み目前のヤジキタで旅をするにはこれ以上無い場所、という事で白羽の矢が立った。
元来がインドアな男・井門Pに何とかして山の魅力を教えようと立ちあがったのが慶吾氏。
彼は随分前から本格的な山登りを始めておりまして、一時期は口を開けば、
“あの山は良かった”とか“この前登ったあそこの素晴らしさは…”とか、
ヤジキタ唯一のアウトドア派を自負してやみませんでした。
そんな彼が少し前に訪れたのが上高地。何度となく彼の地は訪れていたようですが、
流石に3000m級の山を登る旅は厳しいとしても、何とかしてあの自然をリスナーさんに届けたい。
『大自然の中で鳴る音』を聴きながら、聴いて感じる旅番組・ヤジキタをシンクロさせていたのです。
ある日の会議でのこと。
慶吾「前に行った時にガイドの方に少し話しておいたからさ!」
ミラクル「日本の美しい自然の風景を伝えるのもヤジキタだよね。」
メルシー「この時期は上高地、気持ち良いだろうなぁ。」
佐々木「あぁ、確かに良い音録れそうですね。」
会議の席は上高地の自然に思いを馳せた大人達で、盛り上がり始めていた。
しかしその話に水を差す男の声が…。
井門「山登るの~?登山~?えぇ~…?ぶーぶー。」
井門宗之・プロデューサー(34)
この男、子供の頃の登山の記憶にあまり良い思い出がなく、
出来れば今後の人生でも山登りは“避けられるならば避けたい”と考えていたのだ。
慶吾「でもさ、上高地なら山登りじゃないから!」
ミラクル「そうそう、沢歩きみたいなもんじゃない?」
佐々木「良い音録れるから!」
インドアな男達も久々に良い空気を吸おうと必死だ。
井門「でもけっこう歩くんだよね?」
どこまでもネガティブな井門P。
この時の自分を振り返り我ながら思うのだが、やっぱり行くと聞くとぢゃ大違いなのだ。
今なら大声で言える!!
人間は経験からしか学べない!
会議での紛糾(ゴネてたのは僕だけですが…)も収まり、
晴れて夏の上高地トレッキングを取材する運びとなったヤジキタ。
こうして7時ちょうどのあずさ1号で松本へと旅立ったのであります。
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新宿からおよそ2時間半の旅で松本へと到着した我々一行。
すっかり車内の空調で冷えた我々を迎えたのは、長野の照りつける強い日差しだった。
*車内の冷房が効きすぎた為に佐々木君のやさぐれ方が半端ではない…。
到着と同時に流れたアナウンス「本日は混雑の為、御迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」に、
「温度のこと言えよ、ばかやろう。」と怒っている(笑)
そんな佐々木君を尻目に何ともない顔を見せるミラクル氏。
「あれ?ミラクルさん寒く無かったの?」という質問に、
「おれ意外と暑さ寒さに強いんだよね!」と、世界一どうでも良い情報で応えてくれた。
駅前でレンタカーを借りて、まずは車で入れるギリギリの場所「沢渡」へ。
この上高地は特別天然記念物として保護されている為、マイカーの乗り入れ規制がかかっている。
自然を美しいままで保つため、様々な工夫がなされているのだ。しかしご安心を!
車で来る方は松本の「沢渡」か、岐阜の「平湯」からバスかタクシーが出ています。
駐車場に車を止めたら、そこから乗り継いで上高地に入って来られるのだ。
駅から快調に車を飛ばすヤジキタ一行。
山に入り、既に景色は濃い緑を醸し出している。
実は取材に入る少し前に、上高地は大雨の影響で土砂崩れが起き、数百人の方が孤立した。
懸命の復旧作業のお陰で、今はまたこうして上高地に入る事が出来るのだが、
車を走らせていても所々で崩れた痕などが残っている。不意に表情を変える自然。
今年のヤジキタの旅は、どこまでもそれを痛感させられる。
慶吾「沢渡から先はトイレもお金かかりますからね。」
ミラクル「飲み物は売ってるの?」
慶吾「売ってるけど、少し値段が変わってきますよ。」
美しい自然を守る為、上高地には様々なルールがある。トイレもその一つ。
自然が当たり前の様にそこにあるのではなく、人間もその中で生かされてる。
上高地はそんな意識を持って楽しむ場所なのだ。井門Pも少し心構えが変わってくる。
車がどんどん山を登るにつれて、気持ちも中から外へ向かい始めたようだ。
井門「あ~、緑が目に気持ち良いなぁ…。」
慶吾「あれ?いま気持ち良いって言ったよね?」
ミラクル「おやおや?傾いてきちゃった?」
佐々木「今の、良い声だったね。」
山の緑のコントラストが美しく、初夏の自然はどこまでも元気だ。
そんな風景を間近に見ていたら、思わず声も漏れるってもんさ(笑)
気持ちの高揚と同じ様に、標高は既に1000m近くになっていた。
沢渡からタクシーに乗っておよそ30分、我々はバスターミナルに到着した。
それにしても凄い観光バスの数であります。土曜日とは言え、この時期で数十台!?
上高地はトレッキングだけではなく登山で訪れる方も多いため、
ピーク時期には若干の規制がかかる事もあるのだとか。
でも良いですよね、ここにはマイカー規制があるお陰で、
“上高地に来て自然に触れる事”を目的とした人しかいないのです。
ドライブをしていたらたまたま来ちゃった、という訳にはいかない。
訪れる人の自然への意識も高いので、ルールがしっかりと守られている。
周りを囲む大自然と同様に、人の心も心地良いのであります。
「ようこそ!上高地へ!」
明るい大きな声で現れたのは、今回の心強い助っ人。
NPO法人 信州まつもと山岳ガイド協会やまたみ 理事 中島佳範さんであります。
その鍛え抜かれた筋肉は“鋼”と呼んでも過言では無いほど。
ぷにぷにの慶吾の身体とはえらい違いに、一行も感嘆の声を上げます。
中島さんは普段山岳ガイドを専門にしているのだが、
今回は特別に山仲間の慶吾のお願いでトレッキングガイドを買って出てくださったのです!
中島「今日はここから徳澤という場所に向い、また戻るコースです。
行きと帰りは違うルートなので所要時間は5時間くらいでしょうね!」
井門「や・山登りぢゃ…ないですよね?」
中島「ははは(笑)大丈夫ですよ!アップダウンはほとんど無いですから。
自然の中を歩く、気持ちの良いコースです!」
中島さんは“アウトドア大好き”という雰囲気が全身から漂っていらっしゃる。
弾ける笑顔を見て「自然に囲まれると、笑顔はこんなに素敵になるのか!」と思ってしまう。
特に万年どよーんとした表情のヤジキタ一行を見慣れていると…むむぅ…。
聞けば中島さんは高校時代は山岳部で、ボーイスカウトもやっていたそうな。
山の事は中島さんに聞けば間違いない!何だか楽しみになってきた!
井門「中島さん、僕らの服装はどうですか?
トレッキングするのに合ってますか?」
中島「(ひとしきり服装を見回して)あ~……。何とかなる…かな…。」
ちなみに我々の服装の統一感の無さったら無い。
例えて言うなら“農民がいきなり合戦にきた”みたいになってる。
まずミラクル氏はハーフパンツだし、佐々木君も靴底の薄そうなスニーカー。
井門Pも街履きのスニーカーにGパンといういでたちなのである。
ただ一人、山登りが趣味の慶吾だけは完全武装だ。リュックにはストックまで差さっている。
慶吾「君達、山を甘く見てはいけないよ。」
一同「だったら事前にこんな服装で来て下さいと教えろよ、ばかやろう。」
慶吾「いや、その格好で戻ってきた時の表情も見てみたいぢゃない(邪笑)
とくにいもん。えっへっへっへっへ。」
何故だろう、普段だったら「池にでも落としてやろうか」と憎々しく考えるのだが、
大自然に囲まれているからだろうか?心はどこまでも穏やかである。
井門「さっそく行こうか、太っちょよ。」
慶吾「太っちょって言うな!」
上高地が観光客に人気の名勝として知られる様になった歴史は、相当に古い。
遡ること明治時代、イギリス人宣教師のウォルター・ウェストン氏によって、
世界中に紹介されたことに端を発する。
彼は日本各地の山を登り、『日本アルプスの登山と探検』を出版。
前穂高岳に登った際には地元の猟師・上條嘉門次と深い親交をもったそうな。
ちなみにこの上條嘉門次の山小屋は現在も『嘉門次小屋』として残っている。
恐らくこの嘉門次さんが名ガイドだったから、
ウェストンさんも良い思い出を作る事が出来たのではないだろうか?
山を登る時はガイドがどういう方なのか、また一緒に登る人間との相性も重要だという。
慶吾「俺さ、中島さんと山登ると頂上を踏破してもまだまだける、って思っちゃうんだよね。
たぶん中島さんが上手に登る人間のペースを掴みながらリードしてくれるんだと思う。」
中島「そうですね、どんなペースで登るのが疲れが出にくいか?って言うのは考えます。
当日の天気や気温・湿度なんかも影響してきますからね。」
ウェストンさんがどんな思い出をこの場所で作ったかは分からない。
しかし、名ガイド嘉門次さんはきっとこの場所の魅力を最大限に伝えた筈だ。
バスターミナルを抜けると豊富な水量の梓川に出てくる。
左手には梓川、右手には林。そして目の前には3000m級の山々が聳える神聖な風景。
梓川に手を浸けてみると、思いのほか冷たくて驚く。
そうか、山の上にはまだ残雪が見えているのだ。
中島「もう少し行った先には、飲める水が湧いている綺麗な川もありますよ!」
どうしよう…、中島さんの口から出てくる言葉は、
普段僕らが暮らしている場所から最も遠い清らかな言葉だ(笑)
あまりに遠すぎて“またまたまた~、冗談ばっかり~”とか言ってしまいそうだ…。
しかしその湧水の綺麗な川は、河童橋を過ぎた所にしっかりとある。
その名を『清水川』という川は近付いてみると川底から“ぽこ、ぽこ”っと綺麗な水が湧いている。
中島さんは勢いよく川の水を容器に掬うと、この水が旨いんですよね~と無邪気に笑う。
掬ったばかりの水がたっぷり入った容器は、触ってみると氷嚢の様に冷たかった。
照りつける夏の陽射しの中で、そこだけが特別な温度だった。
僕らが歩いたコースはバスターミナル~河童橋~明神池~徳沢まで。
帰りは逆の方を今度は川の反対側、木道の架かる場所をえっちらおっちら歩くというもの。
大体4~5時間のコースなのだが、その間も自然は様々な表情を見せてくれる。
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どんどん景色が変わっていく。
五感を研ぎ澄ませていると、匂いが、空気が、音が変化するのがすぐに分かる。
川からの風で肌が涼しくなったり、森の中で湿度が高くなると少しだけ息が上がったり。
同じ様に見える山も、その出来上がった年月の違いに驚かされたり。
今まで土だった場所が、いきなり花崗岩を細かく砕いた砂の川になったり。
そして気が付くと、僕らは明神池の近くにある明神館に到着していたのだ。
井門「あれ、もう明神館ですか?どれぐらい歩いたんだろう?」
中島「実はもうかれこれ1時間は歩いてるんですよ(笑)」
一同「えー!?」
僕らは夢中になって、刻々と変わる景色を眺めていた。
土を踏みしめる音や、川のせせらぎを穏やかに聞いていた。
そしてガイドの中島さんの、愛情溢れる山への想いも心地よかった。
すると、あっと言う間の1時間なのであります。
中島「さっき汲んだ水、飲みますか?まだ冷たいですよ!」
一同「いっただっきまーす!(即答)」
ステンレス製のコップに入れて貰った湧水。
気付かない内にとは言え、1時間歩いた身体にすーっと浸み渡っていきました。
普段の生活では気付かないですね、水がこんなに旨いって事を。
さてさて、のんびり休んでるわけにもいきません。
我々はここから更に奥にある徳沢を目指さないと!
徳沢まではまた歩いて1時間ぐらいとの事、
来た道のりを考えると余裕!と思ってしまいます(笑)
この道中で中島さんはまた色んな話を教えてくれました。
中島「山登りも良いですけど、この辺りのキャンプ場でキャンプも贅沢ですよ。」
井門「キャンプも出来るんですか?」
中島「はい、これから向かう徳沢でキャンプなんて最高でしょうね!」
僕らはスタートしてから1時間以上の道のりを歩いていた。
よく“贅沢な時間だなぁ”という言葉を聞くし、僕自身も使ったりするのだが、
改めて本当に贅沢な時間の中に身を費やしてみて、この言葉の意味を実感した。
普段何気なく過ごす1時間と、ここで自然の音を感じながら過ごす1時間。
同じ1時間の流れでも、明らかにここでの1時間の方が贅沢なのだ。物凄く当たり前なんだけど。
比較対象を肌で感じるからこそ、実感のこもった感想になる。
喋り手として凄く基本的な、そして凄く大切な事を再認識。
なぜにそんな喋り手の基本を改めて感じたのだろうか、しかも素直に。
あぁ、ひょっとしてこの“もくもくと歩く作業”がそうさせたのかもしれない。
中島「あぁ、そうですね。山登りなんかもそうですけど、景色を楽しむと同時に、
自分の中にも入っていけるんですよ。」
中島さんも山登りをしながら、ふと何かのアイデアを閃いたり、
何故か同じ音楽がずーっとループしていたりするそうだ(笑)
*ちなみに何の曲ですか?と聞くと、笑いながら“平井堅さんとかですね~”との返答。
それを言われた瞬間に、僕と佐々木君がPOP STARを口ずさんだので、
恐らく中島さんの脳内ループはPOP STARで固まってしまっただろう…。
中島さんは年間で100日以上は山へ入ると言う。
そうすると、逆に休みで山に入らない日は体調が悪くなるそうだ。
それぐらい身体に自然が染みついている。
歩き初めて2時間、僕らの息もとっくに上がっていた。
身体を流れる汗は、川からの風にさらされて心地良い。
普段インドアで過ごす事の多い僕らにも、中島さんの様に少しは自然が染みついただろうか?
中島「そろそろ徳沢に入ってきましたよ!」
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徳沢の辺りはまるで森の中といった風情で、陽射しも柔らかく気持ちがいい。
実はここは昔、牧場だった時代もあるとかで、その名残も広い芝生が残している。
この広い芝生のスペースはキャンプサイトになっていて、テントを張って宿泊も出来るのだ。
取材に来た日も何組かがテントを張って、思い思いに自然に身を委ねていた。
それこそ一人で木陰で読書をする“山ガール”風な女の子もいたのであります。
こんな気持ちの良い場所で、好きな本を読みながらキャンプか…、最高だろうなぁ。
そんな事を考えていたら、目の前に木造洋館風の物凄くお洒落な建物が現れました!
ここが徳沢で100年以上の歴史を誇る、『氷壁の宿 徳澤園』さんなのです。
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こちら『氷壁の宿 徳澤園』でお話しを伺ったのは、専務取締役・上條靖大さん。
徳澤園の5代目であり、才能とアイデア溢れるナイスガイだ。
上條「敢えてギャップを楽しんでもらおうと、ここは“山小屋”と言っています。
ですからガイドブックに写真は載せていないんですよ(笑)」
なるほど、確かに初めて訪れた人はこの洗練された雰囲気に驚くに違いない。
漆喰の壁、天然の丸太、ダイニングの扉は英国から運ばれたステンドグラス。
お香が焚きしめられた入口を抜けただけで、この宿に漂う気品を感じずにはいられない。
上條「そもそもこの徳澤には牧場があったんです。
その番小屋を宿に替えて山屋さん達の宿としたのが、“山小屋”の始まりです。」
上條さんが“山小屋”と言う度に、館内とのギャップに驚かされる。
僕らがお話しを伺っていたラウンジには統一されたダークブラウンの家具、そして暖炉。
本棚にはゆかりの『氷壁/井上靖』の他に様々な本が並び、
さながら裕福な家の別荘に遊びにきたような錯覚を覚える。(そんな知り合いいないけど…)
上條「もうちょっとでお客さんが入りますけど、今の時間なら…お部屋、見ますか?」
僕らが“良いんですか”と言い終わる前にパッと移動を始める上條さん。
上條さんのアイデアでこの宿も様々な変革を遂げているそうだが、
その行動力は出会って間もなくのテキパキとした印象からも頷ける。
僕らが見せて戴いたのは個室・相部屋ともにバリエーションに富んだ部屋で、
これからの季節は満室になる事が多いので、必ず予約をして戴きたいとの事だった。
徳澤園にはここを拠点として山登りをする“山屋”さんも数多く利用される。
また、ここに来る事を目的としてトレッキングを楽しむ方も数多く利用される。
出発の地であり、目的の地でもある。
だからこそ、きめの細やかなサービスが求められるのだが…
上條「私どもは例えばハイシーズンだからと言って、料金を高くする事はしません。
本来ハイシーズンとはお客様の数が多くなり、宿のサービスは手薄になりがちです。
その時に何故、受け入れる側の料金が高くなるのか。お値段が安くなるなら理解できますが…。
ですから私どもは常に同じ料金で、サービスを提供させて戴いているのです。」
まさに真理ですね。宿とは常にお客様あってのもの。
そこに心が向いていれば、サービスの質も、宿の個性も、ブレる事はないのでしょう。
実は徳澤園さんへの取材は本当に突然だったのですが(上條さん本当に有難うございました)、
さっきまで2時間トレッキングしていた気持ち良さとは別の居心地の良さに、
あっと言う間に包まれました。そして空間を楽しんだ後のお楽しみもまだあったのです!
慶吾「僕はここに来ると必ずソフトクリームを食べます!」
中島「前回は2回も食べてましたもんね?(笑)」
上條「あー!ぜひ皆さんも食べてってくださいね!」
徳澤園さんは宿泊施設なのですが、食事を摂る場所ももちろんあります。
そしてその横では山小屋定番のソフトクリームも戴く事が出来るんです!
山に囲まれながら、そして自然の音に抱かれながら頬張るソフトクリームの旨いこと!
少し疲れた時の甘い物って最高なんだよね(笑)
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こうして徳澤園のソフトクリームで充分回復した我々は、再び河童橋を目指して歩き始めた。
行きは良い良い、帰りは怖い…とはよく言ったもんで。
徐々に我々の服装の綻びが出てき始めてきた。
既に井門の足は痛みを持っていたし、スタッフは無口になっている…。
行きでは野生のサルを見て“わー、きゃー”言っていたのに、
帰りはサルを見ても“あっ、またいる”ぐらいにしか感動を覚えなくなっている。
って言うか、少ない体力がもう尽きようとしているだけなんだけど(笑)
それでも帰りは陽も少し柔らかくなって、夕暮れの山の魅力的な表情を見せてくれた。
木道を歩くと、小川が流れている。
澄んだ小川には岩魚が泳いでいる。
山の稜線は夕陽で染まり始めている。
中島「ここでは普段の生活とは別世界を味わって下さい。
苦労した分だけ、山は返してくれますから!」
最後の力を振り絞りながら歩く僕らに、中島さんの檄が飛ぶ。
一歩一歩を踏みしめながら、2時間30分を再び歩ききったヤジキタ一行。
ゴールの河童橋に着いた時には、もうすっかり陽も傾いていました。
だけど、夕暮れの上高地の風が汗をかいた肌にとても心地よく、
何とも言えない達成感が僕らを包んでいたのであります。
歩行距離:約14km
合計歩数:約3万3千歩
中島「人の一歩はとても小さいけど、
歩いた先には大きな感動が待ってますから。」
そうなのだ!本当の喜びは、多少苦労した先にしかないのだ。
今なら胸を張って、大きな声で言える…。
山、最高!!