東北応援スペシャル! 会津の歴史と福島の底力|旅人:ふくしまFM 中村哲郎
2011-08-06
2011年7月23日。
会津若松駅で、YAJIKITAスタッフと待ち合わせ。
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旅人の井門宗之さんとは、今回の旅で初めて顔を合わせる。
今まで井門さんが担当している全国放送に
レポーターとして中継させていただいたりしていたが、お会いするのは初めてだ。
電話でしか話していないが、僕は勝手に、井門さんに親しみを感じている。
それは、ふくしまFMのリスナーの皆さんも
全国のリスナーの皆さんも、一緒だと思う。
その理由として根底にあるのは、井門さんの
日々の放送から伝わってくるラジオ愛。
ラジオが好きな人を大切に思うその姿勢に
距離はぐっと縮まってしまう。
3月11日震災発生後、ふくしまFMは、ライフライン情報、安否情報を中心に、
震災特別放送を続けていたが、4月にはいり震災特別編成を解き、
やっと井門さんの声を福島県のリスナーの皆さんに届けられた。
その瞬間にふくしまFMのリスナーの皆さんから
「ふくしまFMありがとう!」
そんなメールが局にたくさん届いた。
きっと井門宗之さんの声を聴いて、少し日常を取り戻せた、そんなリスナーの皆さんも、
当時、たくさん、福島県内にはいたのだと思う。
震災後「必ず福島に近いうち行きますから」
井門さんとの約束は、この日、果たして頂けることになった。
井門さん、YAJIKITAスタッフの皆さんありがとう・・・。
約束の午前10時30分・・・を過ぎた。
YAJIKITAスタッフはまだ来ない・・・。
会津若松駅の前に、大きな赤ベコがあるが、
余りにも待ち遠しくて、赤ベコの首を何度も揺らした。
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すると・・・「中村さん!」
この声は間違いなく、井門宗之さん。
そしてYAJIKITAスタッフの皆さん(横山さん、久保さん、仲野さん)
井門さんを初めて見た印象は・・・「なんてFUNKYな方だ」(笑)
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歩いているだけでソウルミュージックが流れてきそうな風貌と
YAJIKITAスタッフの皆さんのアットホームな雰囲気。
旅はいつのまにか始まっていた。
「福島といえば・・・白虎隊ならぬ やじき隊結成ですよ!」
やじき隊の私たちはまず、会津若松の心のオアシス。
鶴ヶ城に足を運びました。
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案内して頂いたのは、鶴ヶ城ボランティアガイドの中野まさ子さん。
中野さん。地元では大変有名なガイドさんで
取材させて頂いている最中にも
声をかけてくる観光客の方たちがたくさんいらっしゃいました。
震災後、私も初めて鶴ヶ城を訪れました。
保科正之公の時代をほうふつとさせる黒い瓦の鶴ヶ城もいいけれど、
戊辰戦争の時の鶴ヶ城をイメージしてリニューアルされた
赤瓦は何ともきらびやかで絢爛豪華。
「白い雲とのコントラストが最高!」
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井門さん、YAJIKITAスタッフの皆さんも鶴ヶ城にご満悦な様子。
何だか嬉しくなりました。
鶴ヶ城の中に入ると、鶴ヶ城、会津の歴史が良く分かる企画展が展示されています。
普段、鶴ヶ城を訪れるたびに、見てはいるものの、
ガイドの中野さんと一緒にまわると・・・密度が全然違う(笑)
歴史はもちろん、刀、鉄砲など武具、装飾品、
また当時どんなものが鶴ヶ城下で、ごちそうとして食べられていたか?
中野さんが分かりやすく、解説してくれて、
鶴ヶ城だけで、2時間も3時間もあっという間に
時間が過ぎてしまう。
石垣の話だけで、話に引き込まれて軽く40分くらい過ぎてしまう(笑)
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(ちなみにこの大きな石は「遊女石」というそうです。詳しいことは
現地でガイドさんに聴いてみてください。目の当りにすると大きいですよ~)
中に入ると鶴ヶ城の歴史、当時の風習、
お城で働く人々の様子などが面白く展示されている。
のぞき窓があって、顔を近づけると・・・
当時のお城の様子がよくわかりました(笑)
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武器や武具も展示されています。
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中でも面白かったのは、
当時、鶴ヶ城にいらっしゃったお姫様さながら、着物を着られるスペースがあって、
井門殿に仕えるお姫様を演じようと、袖を通したら、
井門殿が目をあわせてくれない(笑)
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今度は井門さんが袖を通して姫を演じてみたところ、
やっぱりしっくりこない(笑)
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30を超えたおじさんたちが、
喜々として、着物を着て笑いあえる
そんな雰囲気が 鶴ヶ城にはありました。
中野さんは、事あるごとに、私たちに俳句を詠ませようと、
「ここで一句」を連発。
予想だにしていなかった私たちは、
完全に生放送さながら、俳句を詠みあいました。
中野さんは目をきらきらさせながら、
本当に嬉しそうに何度も会津の歴史を教えてくれました。
「家庭を築き縁ある人たちがたくさん住むこの会津の街を愛しているんです」
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続いて訪れたのが「山田民芸工房」
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最近ではレディー・ガガさんが来日した時、
溝畑観光庁長官が、日本政府からの感謝状と一緒に
プレゼントしていた「起き上がり小法師」を作っている工房です。
実際に販売もされていて、
中に入ると、野口英世や、白虎隊などいろんな起き上がり小法師があって
良く見ると、ひとつひとつ顔が違う。
まさに手作業で伝統を守っている場所だと、実感できました。
ご主人の山田利正さんにお話を伺うと・・
なんと溝畑観光庁長官が、実際にこのお店に来て、
レディー・ガガさんに渡す起き上がり小法師を
受け取り、東京に戻って、そのままガガさんにお渡しになったとのこと。
えーっ???!!
「レディー・ガガさんって有名な歌い手さんだよね~?(笑)」
一同の驚きをよそに、素知らぬ顔でさらっと凄いことを話すご主人に、
昔ながらの職人スピリットを感じることができました。
この山田民芸工房では、絵付け体験もできるんです。
世界で一つだけの「起き上がり小法師」を作ろうと、
井門さんは私を、私は井門さんをテーマに、
お互い、「世界に一つだけの起き上がり小法師」の制作にとりかかりました。
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井門さんの印象は唇が厚く、情が深そうな印象。
更に第一印象のFUNKYをイメージして
仕上げたところ・・・・こうなりました(笑)
ちなみに井門さんは私をイメージして
こんな起き上がり小法師を作ってくれました。
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(左が井門さん制作の「中村」/右が中村制作の「井門さん」)
お互いの姿をイメージして作った、世界でひとつだけの起き上がり小法師交換会。
それだけでも楽しかったのに、
井門さんが「中村さん! お誕生日、おめでとうございます!」
そうだった・・・今日は、私の誕生日だった。
世界にひとつだけの起き上がり小法師と一緒に、心の中に、熱いものがこみあげた。
最高の記念日だ。
起き上がり小法師には、こんな楽しみ方もあるのだと
YAJIKITAスタッフの皆さんに教えて頂いた。
やはり山田さんも会津若松についてこんなお話をされていた。
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「昔の人たちがいたから、今の自分たちがある。歴史がつながっているんだよ」
私たちは旅を締めくくりに飯盛山に白虎隊が眠るお墓の前に行きました。
| 飯盛山の「白虎隊自刀の地」 |
そこはいつ訪れても、不思議と空気が落ち着いていて、
自分と向き合える場所です。
ぐずついたお天気でしたが、鶴ヶ城もしっかりと見る事ができました。
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今回の旅は、人から歴史を感じることができた旅になりました。
1000年に1度の未曾有の大震災と
今回の東日本大震災についてよく言われます。
歴史から学ぶ。その大切さを訴える方がたくさんいらっしゃって、
僕は今回の旅をするまで、
その意味は、未曾有の大惨事を乗り越えてきた過去の人たちの行動を学び、
今の時代に活かしていくことだと思いこんでいました。
でも今回の旅を終えて、中野さん、山田さんにお会いして、
歴史から学ぶ、その意味を違うとらえ方も出来ると実感しました。
歴史というものはその土地を愛する人たちがいて、
郷土を愛する気持ちから語り継がれてきた。
歴史から学ぶ、ということは、郷土愛につながっていくんだと。
郷土を愛する気持ちがきっと、
今回の福島の苦しい状況を乗り越えていける原動力になる。
実際、福島で、きらきらと輝いている中野さん、山田さんを見て、そう実感しました。
自分1人では気付けなかった。
このことに気付けたのも、
井門さん、YAJIKITAスタッフの皆さんと旅ができたおかげです。
どんな時も旅を楽しむ! その気持ちがあるから、
「YAJIKITA ON THE ROAD」がこれだけ長く続き、
リスナーの皆さんに愛されているんだと、実感できました。
今回旅ができたこと。感謝しています。
日々の取材を通し、歴史を学び、
僕は、もっと福島を好きになろうと思います。
ありがとうございました。
ふくしまFM 中村哲郎