ニール・ヤング “AFTER THE GOLD RUSH”特集!

2011-11-28


NY

『絶望の中の光! 
 ニール・ヤング
 “AFTER THE GOLD RUSH”特集』

M
  DON’T LET IT BRING YOU DOWN   

悲しいコード進行から、まるで救いのような後半のメロディ!
美しいです。
絶望について歌っていますが、ただ“頑張れ!”と歌うんじゃなくて、
絶望を抱えたまま生きていけ!と歌っています。
ニール・ヤングらしい優しさですよね。

M
TELL ME WHY  /  NEIL YOUNG  

さて、次にお送りしたのは、
1970年のそのアルバムから、
アルバムの1曲目「TELL ME WHY」です。

CSN&Y
の大名盤(この番組でも取り上げましたね!)
『デジャ・ヴ』と同時期に
 制作された、
というのが如実に分かるような、本当にCSN&Y的なハーモニーと
カントリーテイストあふれるメロディな魅力的なナンバーですね。

コーラスには、CSN&Yのスティヴン・スティルスも参加しているとか?
本当に犬猿の仲、と言われたり、仲良しだったり・・・
不思議な2人ですねー。

さてさて、ニール・ヤング。
1945年生まれ。カナダ・トロント出身のシンガーソングライターです。

地元カナダでバンド活動を地味にやっていましたが、そんな時、
1965年に
カナダにバンドのツアーに来ていたスティヴン・スティルスに出会います!
お互いにその才能を認め合う2人ですが、所詮遠距離恋愛。
そのまま別れてしまいますが・・・

翌年。どーしてもスティヴン・スティルスと一緒にバンドを
やりたかったニール・ヤングは、
バンド仲間とアメリカ・ロスに移住。
スティヴン・スティルスを居場所を探しますが、
まだ携帯電話もない時代。なかなか出会えません。

そんな時に、街中で大渋滞に巻き込まれていた時に、
偶然スティヴン・スティルスの車と
ハチ合わせ。

奇跡の再会を果たした彼らは、あっという間にバンド:
バッファロー・スプリングフィールドを結成。
同じ年には、メジャーからレコードデビューまで果たします。

M
I BELIEVE IN YOU  /  NEIL YOUNG  

左チャンネルのアコギ。そして、右チャンネルのエレキギターとピアノ。
どれもが、本当に“いい意味で”力が抜けた荒削りな演奏。
そこに、ニール・ヤングの“いい意味で”弱弱しい歌声が合わさって、
独特のニール・ヤングサウンドを醸し出します。
絶対に“作り込み過ぎない”。これがニール・ヤングのロックですよね。
CSN&Yとはやっぱり違います。

メロディーの美しさ、も素晴らしいですよね。
さて、さっきの話の続きです。

1966
年に、バッファロー・スプリングフィールドの1員として
デビューした
ニール・ヤング。

素晴らしい才能のぶつかった作品たちは高い評価を受けて、
様々なロックフェスなどにも呼ばれますが、バンド活動は苦難の連続。
メンバーが、ドラッグ所持で何度も捕まって活動がその都度STOP
したり、
あんなに相思相愛だったニール・ヤングと
スティヴン・スティルスの対立が激化
するなど、
その素晴らしい音楽とは裏腹に全てがうまくいかず、
活動わずか2年ほどでバンドは解散してしまいます。

その後、ソロに転向したニール・ヤングは、1969年にソロ1作目を
発表。
同年には、自身のバンド:クレイジー・ホースを従えたロックな
セカンドアルバムをリリース。

ソロ活動に専念するか、と思いきや、あの“愛しすぎるゆえにぶつかり
過ぎる”
スティヴン・スティルスの誘いを受けて、CSN&Yに加入。
歴史的なロックフェス“ウッドストック・フェス”で伝説となって、
爆発的なヒット作品『デジャ・ヴ』をリリースするなど、
とんでもない成功を
手にします。

そして、その時期に、CSN&Yの活動と並行して制作されたのが、
今日特集しているニール・ヤングのソロの大名盤
AFTER THE GOLD RUSH』です。

アメリカンドリームを手に入れて、大成功している24歳の若者とは
全く思えないほどに、
絶望と孤独に満ちた作品となっています。

1970
年。ベトナム戦争は泥沼に入って、
ロックで世界を変える!と叫んでいた夢は、ビートルズの解散、
ジミヘン、ジャニス、ジム・モリソンの死でガラガラと崩れてしまった
そんな時代。

AFTER THE GOLD RUSH』。
黄金狂時代の末路、と題されたアルバムは、
まさにそんな時代を映したアルバムになっています。

M
AFTER THE GOLD RUSH  /  NEIL YOUNG 

美しいピアノで歌われるこのタイトル曲。
まさにさっきも言った通り、“ロックの理想”が崩れ去った1970年代に
絶望している曲です。

それにしても、こんな達観したような曲たちを、24歳で書いた
ニール・ヤング。
どんだけなんだよ!と。すごすぎますよね。
完全に世界観が完成されています。
1瞬の迷いすら感じません。

“祭りの後の寂しさ”。アルバム全体を覆う切なさは、
多くの人が共感できるものじゃないでしょうか?

M
ONLY LOVE CAN BREAK YOUR HEART   

さてさて、当時、CSN&Yの活動と並行してソロ活動をしてこんな
名盤を
リリースしたニール・ヤングですが、やっぱり、
スティヴン・スティルスと対立が多くなって、
あっという間にCSN&Yを脱退してしまいます。

その後はソロ活動が中心です。
常に挑戦的で、間違った体制に反抗しながら、
ニール・ヤング・サウンドを奏で続けています。

いまだに本当にロック、です。

さて、特集の最後にお送りするのは、アルバムの中でもかなり
ロック色が強いナンバーです。

アメリカ南部。保守的で差別の強く残る地域を強く批判する
ナンバーですが・・・、
この曲に怒った南部のバンド:
レイナード・スキナードは、
SWEET HOME ALABAMA
という曲で、ニール・ヤングのことを
こき下ろしまくってましたね。

“南部の人間は、2度とお前の事なんか相手にしない”
なんて歌ってました。この曲も凄くいい曲ですが・・・、
どっちが正義か?は、説明の必要もないですよね。

ニール・ヤングの、つたないけれど、感情のこもったギターソロが
堪能できる
名曲中の名曲です。

M
SOUTHERN MAN  /  NEIL YOUNG