東京探訪 山手線一周ぶらり旅 鴬谷~上野編|旅人:井門宗之

2012-02-16

 

ついに来たっ!ついに、つーいーにやって来たっ!!
山手線の駅の中でも老若男にゃに(←噛んだ)広く知られる【上野駅】。
今回のぶらり旅はその一つ手前の【鴬谷】から【上野】を目指す旅なのであります。 


ここから先はもう濃厚な駅ばかり!取材ポイントを絞るのが大変だ!
これがどう言う事なのか?何を意味するのか?皆さんはお分かりだろうか? 


そう!作家手腕が問われる、という事なのだ! 


本人も相当気合いが入っている事だとは思う。
まだまだ寒さの残る鴬谷駅南口で、
カメラマンのてっちゃんと2人で主役の到着を待った。

 

 

てつ「井門さん、何だかそわそわします!今日は動物園にも入るんですよね?? 


僕、実はパンダ見るの初め……(鼻血)」
井門「そうかそうか、今日のロケはぶらりの真骨頂らしいからね!僕もドキドキだ! 


あっ…、作家からメールが届いたぞ!気合いの入ったメールでも届いたかな?」

 

 

―――――――『到着が遅れます…ごめんなさい。ミラクル』――――――

 

 

2月某日、寒風吹きすさぶ鴬谷駅南口。
気付けば駅前のロータリーでは、タクシーの運転手さん同士が割り込みが原因で口論している。
気付けば夜の蝶々と思しきお姉さんが、僕らの事を煙たそうに見ながら通り過ぎていく。 


まさかの作家遅刻。うん、今日もミラクルが起きそうな予感!へへへ。

 

 

 

 

 

悪びれる事も無いミラクルさんも合流して、今回のぶらりも無事にスタート。
布陣は井門Pとサリー、カメラマンはてっちゃん、そして作家にミラクル吉武!

 

サリー「今回は駅前にホットプレートは落ちてませんからね!(*田端の回参照)」
井門「でもさ、上野までだよ。何があっても不思議じゃないでしょう?」 


ミラクル「今日はね、公園動物園だから。シンプルに。」
井門「おぉ、随分王道できたぢゃない!
それなら今日は、沿線を歩くよりは公園内を歩いて駅を目指す感じ?」
ミラクル「その通り!!」

 

 

距離的にも近い鴬谷~上野間。
ここの凄い所は、ここに広がる恩賜上野公園が一駅分カバーするほど大きいという事だ。
だったら沿線を歩くよりも中を歩いた方が色々と面白そうではないですか。
鴬谷方面から国立科学博物館を横目に見ながら、上野公園内へと。
公園内は丁度時期なのか、修学旅行生の姿が目に留まる。

 

 

ミラクル「上野公園はね、東京国立博物館や国立西洋美術館、
上野の森美術館、東京都美術館や東京藝大美術館など、 


まさに文化芸術華咲くスポットなんだよ。」

 

井門「元々は戊辰戦争で戦場になって、ほとんどが焼けたんだよね。
でもこの広大な土地を遊ばせておくのは勿体無いって言って、 


オランダ人医師ボードインが、

上野の自然は公園にして残すべきだと進言したらしい。」

 

ミラクル「なに、調べてきたの?へぇ調べてきたんだ…。」

 

 

喋り手に知識の先回りをされて、意気消沈する作家:ミラクル。
前回のぶらりに続いて、心無しか肌の色もくすんで見える。

 

 

サリー「あれぇ、なんか銅像が建ってないっすか?」
井門「あれがきっと、ボードインじゃないかな?」 


ミラクル「いやぁ、あれはどちらかと言えば野口英世像ぢゃないの?」

 

 

近付いてみると、明らかに野口英世像
試験管を持って実験中の像は、まるで我々に「挑戦を忘れるな」と語りかけてくる様だ。

よく見ると台座にはラテン語でこう書かれていた。

 

 

 

到着が遅れます…ごめんなさい。ミラクル

 

 

 

うん、嘘です
んなわきゃない。
しっかりと刻まれた文字には、

 

 

 

PRO BONO HUMANIGENERIS(人類の幸福の為に)

 

 

 

と書かれてありました。
僕らヤジキタもリスナーさんを少しでも笑わせられる様に、
今日も道なき道(公園内だってば)をテクテクと進むのであります!
しばらく進むと大きな十字路。 


左に進めばJR上野駅、右に進めば…恩賜上野動物園!! 

 




「上野動物園」の入り口でハイテンション井門!

 

 

井門「上野動物園への道ってさ、
駅から歩いて公園内に入ってくるとほぼ一直線じゃない?」

 

ミラクル「あぁ、確かにそうだよね。 


遠くからでも動物園ゲートが見えるもんね。」

井門「子供達はその“遠くに見えてくるワクワク感”が相当だと思うんだ。 


今日は動物園で遊ぶんだー!!って言うね。」

ミラクル「あぁ、そうかも知れないね。そうかも知れない。」

 

井門「だから上野動物園は、もう入る前から楽しいって言う、ね。」

 

 



パンダの親子がお出迎え…。

 

 

 

上野動物園でお話しを伺ったのは学芸員の黒鳥英俊さん。
動物園で黒鳥さんですか…と言うと、鳥の担当では無いんですけどねぇ、と優しく笑う。
僕も何度か上野動物園の方とお仕事をさせていただいたが、
(前任の小宮園長には何度かお世話になりました。)
皆さん笑顔がとても優しく、動物園をもっともっと広めたいという方ばかりだった。
黒鳥さんもまさにそんな方で、楽しく、そして丁寧に園内を案内してくださる。 

 




学芸員の黒鳥英俊さん



 

 

上野動物園はただ動物を展示するのではなく、
その動物達がどんな環境で暮らしているのかまで知って貰う為の展示を随所にしている。
それが例えばホッキョクグマとアザラシのプールを隣に作ったり、
同じ生息域に暮らすエゾヒグマとキタキツネを同じスペースで展示したり、という事なのだ。
*勿論クマとは仕切りを設けてあるので、キツネやアザラシに害は無い。


サリー「すげぇ!ツキノワグマがじゃれ合ってる!キャッキャッキャ。」
てっちゃん「本当だ!胸の白い所が月ノ輪!キャッキャッキャ。」
今日もヤジキタの若い衆はキャッキャしておる。

 

 

 

 

 

黒鳥「ツキノワグマの反対側には、 


冬眠しているクマの様子をモニター出来る場所がありますよ。」
井門「えっ!?冬眠中のクマが見られるんですか?」
黒鳥「正確には別室の様子をカメラでモニターしているので、 


直接見える訳ではありませんが…。当園初親子冬眠です!」

 

 

当然、直接中を見る事は出来ないが、
確かにモニター画面には親子で丸くなるクマの姿!

 

 


モニターに映る…冬眠中のクマの親子

 

 

黒鳥「冬眠中に出産して、春には親子で出てくる事もあります。
大体11月~3月頃までが冬眠期間中でしょうか。」 


井門「冬眠って、ずっと寝ている訳ではないんですか?」 


黒鳥「えっ?違いますよ。
ガ━━━━━━━(((゚Д゚;)))))━━━━━━━ン!!

 

 

知らなかった、今の今まで知らなかった…。
冬眠中の動物は一切何もしないものだと思っていたら…。
動きもすれば出産まですると言うではありませんか!!

 

 

黒鳥「クマも生息域が北に行けば行くほど、個体が大きくなります。」
井門「確かにマレーグマは小さいですもんね!可愛いなぁ。」 


黒鳥「あぁ、マレーグマは小さいですけど、むちゃくちゃ獰猛ですよ!」

 

(」゚ロ゚)」(((((オロロロローンッッッ!!!

 

いやぁ、可愛いと思っていたマレーグマさんがねぇ。
人間なんかひとたまりも無いんでしょうねぇ。
人は見かけによりませんねぇ(人では無い)。

 

 


こちらは上野動物園の旧正門(今は使用されていません)



 

黒鳥「それでは、いよいよパンダ舎に向かいましょうか!?」
一行「いえーい!!ぜひお願いします!」

 

 

現在上野動物園にいるのはオスの「リーリー」とメスの「シンシン」の2頭。
上野動物園に来たのは去年の事だ。
東日本大震災で落ち込んだ日本人の心を、この2頭がどれほど癒してくれただろうか。
そもそも上野動物園にパンダが来たのは1972年の「カンカン」「ランラン」が最初。
そこから40年。もう「上野」と言えばパンダというくらいの看板となっている。
現在は繁殖期に向けて「リーリー」も「シンシン」もトレーニング中。
取材時は平日の夕方だったにも関わらず、沢山のお客さんが見にきていました!パンダ人気!

 

 


食欲旺盛のリーリー。

 

 


なぜかふてくされている?シンシン。

 

 

 

本気で見て回ろうとすれば、1日は遊べる上野動物園である。
今回だって実はまだ半分も見て回っていないのだ!(えぇっ!?)
上野動物園は西園と東園があり、歩いて移動も出来るのだが、
園内では日本初のモノレールまで走っている。お子さん達に大人気なのは言うまでも無い。

 

 


五重の塔の下に…なぜかアヒルが…。

 

 

 

黒鳥「入口のすぐ左手に、トイレで分からなくなっているんですけど、
凄く面白い鳥舎があるんです。日本の鳥達を展示してあるんですけど。」

 

井門「でも皆さん、入ったらすぐパンダ舎を目指しちゃうんでしょうね。」

 

黒鳥「そうなんです。
上野動物園は敷地面積がそれほど無いので、
展示の一つ一つが工夫を凝らした見せ方をしています。
都会の動物園とは言え、500種以上がここで暮らしているわけですから、 


ぜひ皆さんも日本一動物園に足を運んでみて下さい!」

 

 

 

 

 

こうしてすっかり一行も童心に返った動物園。
しかしここまでの取材で随分と録れ高はあるわけだ。

 

 

ミラクル「まぁ、動物園だけでも番組1本は出来るよねぇ。へへへ。」
サリー「もうちょっと考えてくださいよー…。」 


ミラクル「へへ。大丈夫でげすよ

結局は何とかなるでげすよ。へへ。」

 

 

日も暮れ始めた上野公園。
ここから公園内を歩いて上野駅へとぶらぶらするわけだが、
ミラクル氏には何やらプランがあるらしい。

 

 

ミラクル「ここからね、不忍池ボート乗ろうよ。ボート。」
一行「はぁ?ボート??」

 

 

不忍池は上野公園を代表するスポットである。
蓮池があったり、鳥達の憩いの場があったり、そしてボート乗り場があったり。
確かに都内に住んでると、上野でボートはなかなか乗らない。
しかし、しかしである。
今は特に桜が綺麗な時期でも無ければ、蓮の時期でも無い。
温暖な春の陽気に船を浮かべるでも無ければ、夏の暑気払いでも無い。 

 


真冬で、何の植物も見頃では無いにも関わらず、
オッサン同士でボートに乗れと仰るのです。ああ無情。

 

 

ミラクル「確かに今は何の見所も無い季節かもしれない。 


でもさ、ひょっとしたら面白くなるかもしれないじゃん。 


ってか、面白くしなさいよ!
井門「よぅし、そこまで言うなら乗ってやろうぢゃないの! 


ボートと言ったら、奄美で転覆して機材を全てダメにしたアナタだ。
今回はあなたの言葉に乗っかってやろうぢゃない!」

 

 

こうしてサリーと井門、ミラクルとてつやと言うコンビで乗り込んだボート。
我らが手漕ぎボートで、向こうはスワンボートであります。

 

 

 


なぜか同じ場所をくるくる回る井門号…。

 

 

 

サリー「井門さん、そうじゃない! 


オールは水から上げて引かないと…ホラ水がかか…ちょっ!!

 

井門「えっ?なになにサリー、こうすんの?(水がはねる)」

 

サリー「ちょ…井門さん、ワザとやってるでしょっ!」

 

井門「そんな事ないって(ばしゃばしゃ)。キャッキャッキャ!」

 

サリー「だめ、寒いんだから!冷たっ!キャッキャッキャ!」

 

 

 

 

 

 

こうして寒風吹きすさむ不忍池で、ボート遊びをした我々。 


OAを聴いた皆さん、僕ら気持ち悪かったでしょう?
うっかりミラクルマジックにかかり、物凄く楽しかったわけですが…。
上野公園にはまだまだ見所が沢山あるわけです。 


我々がこの旅の最後に向かった先が「下町風俗資料館」。
不忍池のほとりにある大きな建物がそれなのだが、
ひょっとすると上野に来た事がある方なら見た事があるかもしれませんね。
ここは明治・大正・昭和の東京の下町の暮らしがどんなものだったかを知る事が出来る資料館。 


お話しは学芸員の本田弘子さんだ。(藩士)

 

 

 


不忍池のほとりにある「下町風俗資料館」


 

 

 

館内を奥に進むと右側に商家、左側に長屋。
それも当時の原寸大で再現されているのだから、かなりの大きさ。

 

 

本田「長屋の主も細かな設定があるんですよ。
箪笥に女物の着物が入っているから、ここはお母さんと娘さんが営む駄菓子屋さん(笑)」
井門「どこもデティールが凝ってますね~!」
本田「長唄の先生の家では、軒先に足袋が干してありますよ。」
井門「昔の暮らしを、そのまま再現かぁ。」

 

 

2階に上がると戦時中の千人針や戦火で焼けた品なども展示されている。

 

 

本田「どうしても下町と戦争は切り離せないので…。
様々な展示品を、それでも暗くなく皆さんに知って欲しくて展示してあります。」 


井門「あれ??その真ん中に物凄い存在感で鎮座しているのは?」 


本田「あぁ(笑)これは当時、実際に使われていた番台です!」

 

 

まるでドラマのセットの様に、壁側に入口の硝子戸。
真ん中で仕切る様に番台があるのだが、これ結構な高さであります。

 

 

本田「実際座って戴く事も出来るので、良かったらどうぞ!」

 

 

苦節35年。
ついにこの日がやってきた。
番台に座れるなんて…って言うか、もうこのスタイルの番台も少ない気もするが…。
“それでは遠慮なく”なんて台を昇っていったら、これがまた意外と高い。
サリーの身長が190cm以上あるのだが、昇り切るとサリー以上の高さ。 


そして番台からの眺め…これが夢にまで見た…って、おいおいそこのオヤジ共!!
何で俺から向かって女湯方向にミラクルが立ってんだよ!雰囲気ぶち壊しぢゃないか!!

 

 


番台に座り…にやける井門(何を想像しているのか?)

 

 

 

その他にもこれまたドラマのセット並のカフェバーがあったり、
中はレトロな雰囲気で束の間のタイムトリップを楽しむ事が出来る。

 

 


カフェ~で寛ぐ井門…。

 

 

 

“緊張するー”とは言うものの、上野公園の歴史を見事に語ってくれた本田さん。 


上野の良い所はやはり“ここにいる人達の個性”だと言う。
色んな人がいて飽きない街、それが上野なのだと。

 

 

 


学芸員の本田弘子さん

 

 

 

資料館を出るともう外はすっかり暗くなっていた。
不忍池のほとりでは、地元のおじさん達が寒空の下で乾杯している。
路地裏には野良猫がいっぱい。
ピンク映画館の前にはおっぱいの張り紙もおっぱ…いやいっぱい。
下町の風情を背中に受ければ、目の前は北の玄関口と言われる上野駅前の賑わい。
これまでのぶらりが嘘の様に、そこには煌びやかなネオンが並んでいる。
光の明滅、そしてここを起点に動き続ける電車の数々。
江戸時代からきっとここは無数の人の流れが出来ていたはず。
しかし、何か“上野の色”というものは変わらずにあり続ける気がするのです。
それは夜に輝くネオンの色の様に、消えたり光ったりの不確かなものなんだけど、
それでも人は上野の光を求めて今日もこの街を訪れるのだ。
そうか、この街の光が強いのは、歴史がこの街に落とした影が濃いからなのかもしれない。
街の歴史は決して明るさだけではない。
今回のぶらりではそんな事も考えた。
そして次回はここから…御徒町…なのだが、
上野から御徒町ってかなり近いよね?? 


でもここには東京屈指のディープゾーン「アメ横」がある!!
一体次回のぶらりでは何が待ち受けているのか!?
不定期シリーズ「山手線ぶらり旅」!次回もお楽しみに!!