夏だ!都内激辛メシ探訪パート2|旅人:井門宗之

2012-06-22

 

サリー「ちょっと井門さん!大丈夫ですか!?」 


井門「(腰をクの字に曲げながら)うん…この体勢が一番楽なんだ…イタタタ。」
サリー「ほら、鈴木さんがもうどんどん先に行っちゃいますよ!」

井門「あれは…もう激辛魔人じゃ…。
誰かが魔法陣で召喚した、激辛魔人なんじゃ…。」

 

 

このやり取りはロケ開始から2店舗目を終えた、 


いわゆる“まだまだの時間帯”での実際の井門Pの様子である。
辛さを中和させる為に買ったチョコレートがもう既になくなろうとしていた。

 

 

 


3軒目へ移動中の地下鉄で早くも放心状態の井門

 

 

“まだまだの時間帯”に井門Pは既にZONEに入っていたのだ。
賢明なYAJIKITAリスナーさんならお察しであろう。 


今回の旅はあの伝説の【激辛探訪第2弾
前回の旅は昨年の10月の事でありました。
激辛通王選手権のチャンピオン:鈴木浩二さんを御意見番に、
都内屈指の激辛店を巡り歩いた企画である。
旅の途中で悶絶しながら井門が発した(ほら、そこ一緒に言うよ)、

 

鈴木さぁ~ん!!

というのがYAJIKITA的流行語大賞を受賞(そんなの無いから)。
しかも激辛に強い筈の鈴木さんですら、旅の最後には抜け殻のようになっていたという…。 

 

 




8か月前の抜け殻の2人…。

 

 

 

あれから8カ月。

 

リスナー達からは「おいおいYAJIKITAさんよぉ。
最近またちょっとピリっとして無いんじゃないのかい?

 

そんな声がちらほらと聴こえてきた(気がする)。

 

甘い空気にあの頃の闘争心が薄れちまったんじゃねえのかい?

 

そんなとんがった言葉を突きつけられた(気がする)。
我々だってそれぞれの取材には必死になって取り組んできた。
そこでしか聴けない音を拾い、そこでしか会えない人の声に耳を傾けてきた。
しかし、そろそろそこに「スパイスを振りかけても良いんじゃないか?」
そんな声が聴こえてきたのである。

 

 

井門「第2弾…やるよ。」
サリー「えっ!?そ…そんなっ!!」
ミラクル「ちょ、そh:gpagekikarafi.com98whf-s」

 

 

思い立ったとある会議の日(思い付きかい)。
井門の口から突いた言葉に、激辛メンバー(もう固定)は震撼した。

 

 

井門「そこまで言うなら、サリー誰か替えようか?」
ミラクル「そもそも俺もサリーも激辛は苦手なんだってば。」

 

 

仏の横山戦慄した
YAJIKITAきっての激辛弱者の横山氏。
激辛バカがセレクトした本気の激辛なんか食った日にゃ、 


本当になってしまうかもしれない。

 

 

横山「(ビクビクビクビクビク……)」 


サリー「いや、ここは前回と同じメンバーじゃないと面白くないっす。
俺が行きます!

 

 

横山「(フ―――――………)」

 

 

仏の横山は安堵のあまり昇天した。
そして本当の仏に…ならないならない。
しかしこうして「激辛探訪」の第2弾がスタートしたのである。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

あれは前回のロケが終わった後の話だ。
鈴木さんに御礼のメールを送ると「第2弾楽しみにしてますよ!」との返信。 


この人の激辛への探求心はまさプロである! 


いや、ひょっとしたらただ辛い物が食いてぇだけなのかも?
そんな気持ちを持ちながら、ついに取材当日を迎えた。 

 

 




この日、最初で最後の笑顔…。

 

 

 

晴れ渡る土曜日の午前中。
場所は若者の街:原宿(しかもラフォーレ前で、更に言えば開店前)。
とは言うものの東急プラザもOPENしたばかりで、
午前中なのに結構な人が原宿には集まっていた。
そんな中、完全な「どんよりオーラ」、 


いやいや、言い換えれば「ヤジ気」を出していたおっさん5人。
*説明しよう!「ヤジ気」とは、只者ではない「雰囲気」の事をいう。
例:)「あいつ最近ヤジ気ってきたなぁ。」 


「ヤジ気のない奴は去れ!」「やる気よりヤジ気!!

 

会議ではあれだけやる気を出していたサリーすら、ヤジ気になっている。

 

 

鈴木「激辛第2弾、楽しみにしてました!」
井門「今回のお店のセレクトも鈴木さん、かなり本気なんですって?」 


鈴木「えぇ、今回お店はどこも凄いですよ。
前回とは比べ物にならないです。」
全員「…絶句。」

 

 

激辛魔人が「凄い」って言った…。 


これは貞子が「怖い」って言うようなものだ…。
しかもその凄いお店が若者の街「原宿」にあるというのだ。
一体それはどこに…?

 

 

 


2階が「シャンティ原宿店」

 

 

 

ラフォーレから原宿の裏通りを進むことおよそ5分。 


我々の目の前に現れたのは「シャンティ原宿店」。
建物の2階にあって、原宿にぴったりのお洒落なお店。
店内はアジアンテイストで溢れ、照明の雰囲気もかなり良い。
入るなりフライングでメニューを広げたのだが、
雰囲気の良いのも納得の「夜メニュー(おつまみ的な物やお酒など)」が豊富。
そんなシャレオツなお店で我々を迎えてくれたのが、 


シャンティ原宿店 店長:寺本篤志さん(笑顔)。

 

 

井門「こんなお洒落なお店に激辛なんてあるんですか?」
寺本「ふふふ。メニューを御覧下さい。」
鈴木「ふふふふ。」

 

 

こちらシャンティのカレーは人気のスープカレー。
そもそもは北海道の人気店が東京に進出してきたのだ。
カレーも様々な種類があるのだが、 


その辛さを調節する単位をここでは「ボーガ」と呼ぶ。
通常のお客さんが選ぶのは市販のカレーと同じ辛さの1~5。 


しかしその「5ボーガ」でもメニュー表には「超辛」と書かれている。 


更に上に行くと6ボーガからメガ辛ギガ辛テラ辛
20ボーガには「確実にブットびます」と書かれている。
メニュー上頼める辛さの限界は「40ボーガ」らしく、
そこには「間違いなく身体に悪いです」とまで書かれているではないか。

 

 

井門「あのぅ、40ボーガまでなんですよね?」
(他のスタッフも子犬のように目を潤ませながら寺本さんを凝視) 


寺本「いえ、そこから先裏メニューとなります。」
鈴木「ふふふふ。」

 

 

その瞬間、我々のヤジ気が失せた。
私には確かに見えたのだ、ミラクルの口から何かが抜けていくのが…。
サリーの背後から薄い影が昇天していくのが…。
ただ一人元気なのは、今回のロケが激辛初挑戦のカメラマン:テツヤぐらいのもの。

 

 

井門「あのちなみに、ボーガってどんな意味ですか?」 


寺本「ははは。快楽って意味ですよ。」
鈴木「ふふふふ。」

 

 

もはや僕の目には寺本さんの漢字がメガ本、 


いやさギガ本、いやテラ本に見える(あっ、いいのか)。
そして先程から不敵に笑みを浮かべるうちのテラ木(鈴木)氏。

 

 

テラ木「ここの150食べて倒れた人を僕は知ってますからね。」
井門「鈴木さんはどのくらいまで快楽を極めたんですの!?」 


ボーガ「120ですかね。辛かったですよ。ふふふふ。」

 

 

最早テラ木でも鈴木でもなくなった、ボーガ鈴木氏。
120って…だって表メニューMAXの3倍だよ!?
何で原宿のお洒落スポットで、しかも誰にも見られずに、
汗をダラダラ流しながらカレー食わなきゃいけないんだ!?

 

 

サリー&ミラクル「この企画立ち上げたのは誰ですか?」 


井門「………僕です………orz。」 


鈴木「では井門さんは…100にしときますか!

 

 

もうね、その後に僕が否定しようが何しようが、
店長は笑顔で厨房に走ったものだよ。100ボーガでお願いします!ってね。
そこからの時間がどのくらいだったのか、僕はもう覚えていないものだよ。
だって40が表の最高なのに、ここのスープカレー食べた事ないのに、 


時間はまだ午前11時なのに、いきなり裏メニューの100ボーガだもの。
昔から知ってるみたいに言ってるけど、
そもそも「ボーガ」なんて知らんがな(涙)

 

 

寺本「お待たせいたしました~!」 

 

 




裏メニューの100ボーガのスープカレー

 

 

 

見た目は予想通り真っ赤…。
しかも青い(緑)の何かが細かく刻まれている。
野菜は人参、茄子などが素揚げされた後に乗せられ非常に旨そう。
でもこの店は確か、スープカレーの店でしたよね?ですよね?
なにこの粘度…もうルーのカレーみたいになってるけど…。

 

 

鈴木「ではいっただっきまーす!!(元気)」

 

 

鈴木「あぁ、辛いですけど…旨いですねぇ。辛さだけじゃないな。
あー、うんうん。なるほど、この緑色の物は青唐辛子を細かく刻んだ物だ。(パクパク)」

 

 

一同は忘れていた。 


この男が“ただの辛い物好き”では無かったという事を。
ジャケットに身を包み、どんな街にも溶け込む姿は、世を忍ぶ仮の姿なのだ。
頭の中は常に「はやく激辛になりたーい!」が渦巻いているのだ!
*なんだよ、“激辛になりたい”って。
でもこれだけ美味しそうに食べるって事は、実はそんなに辛く無いのかもしれない。
よし、俺も男だ、プロデューサーだ!
いっちょオラも「ヤジ気」を出してみっか!!いくぜ、辛仙人のじっちゃん!

 

 

井門「なんか旨そうだもんね。ではいっただっきまーす!(パクり)」

 

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!


井門「ヴェッホ、エッホ、エッッホォオォォ!!!!×5」 

 

 




悶絶…。

 

激辛探訪第2弾、午前11時の記念すべき1軒目。
俺の「ヤジ気」はいきなり吹き飛んだ…。
辛さの中に旨さは、ある。確かにある。しかし、そこに辿りつくまでが…長い。
まだ自分は辛いのが得意な方である。
なので辛さの先の旨さに到達する距離感で言えば、 


半蔵門から渋谷くらいなもの(謎)。
ところが辛い物が苦手な人間にとってこの距離は、 


豊洲から立川くらいなものっ!!(さらに謎は深まる)

 

 

それが証拠にサリーとミラクルは旨いとも辛いとも言わず、
一匙食べただけで悶絶が止まらない。
止まらないのはロマンティックだけでは無かったのだ。

 

 

鈴木「いやぁ、確かにこれは辛い。1軒目からこれは凄いでしょう?」
井門「(泣きながら)…店を出たら牛乳買っても良いですか?」

 

 

弱い…今日の井門Pは弱過ぎる。
こんなんで今日の残りの店を回り切る事は出来るのか!?
「ヤジ気」を失った男の姿を見て、サリー&ミラクルがそう思っていたその時っ!!

 

 

テツヤ「辛い…けど、これ旨いっす!(パクパクパク)」

 

 

23歳、カメラマン:テツヤ。
今日は彼が激辛魔人へと進化を遂げていくのでありました。
そんなテツヤに“若い芽は摘んでやるっ!”と鈴木さんの目がメラメラ燃えていたとか…。

 

 

 

 


涼しい顔の鈴木氏・店長の寺本さん・1Rで意気消沈井門

 

 

 

もう帰りたい。
1軒目にも関わらず、店を出た時にそんな思いが頭をよぎっていた井門P。
しかし今日はあくまでも「探訪」。激辛を探訪しなくてはいけないのだ。

 

 

鈴木「ほら、次に行きましょう!(超元気)」
一同「(抜け殻の様な表情で)ふ…ふわぁい…。

 

 

皆さんは韓国料理のサムゲタンは御存知だろうか?
漢字で書くと参鶏湯。文字通り鶏を一匹丸ごと使ったスープなのだが、
これが普通に食うと本当に旨い!(普通って…)
ところが皆さん御察しの通り、次に向かうお店はこの参鶏湯を激辛にしてしまったのだ。

 

そのお店は芝にあった。
田町から降りて芝の商店街に向かう事しばらく。
食後の運動には最適の距離、そしてお日柄も良い土曜日の昼。
俺達が向かっている店が激辛でさえなければ、こんなに素敵なぶらりは無い。 


何だろう、一歩一歩が重い

 

 

サリー「あっ、ハンバーガー旨そう。」
ミラクル「本当だねぇ、チャコールグリルだって。」
井門「炭火焼って言いよねぇ。」

 

 

何だろう、もう商店街のハンバーガーのお店とかを気にし始めている。 


そんな我々をあざ笑うかの様に現れたお店が「芝の鳥一代」。


うん?なんだ、見た目は完全にお洒落な居酒屋じゃないの。
店内も奥行きがあって広く、右手の厨房では仕込みのスタッフがきびきび働いている。
ここに激辛?そんな疑問をこの男が打消してくれた。

 

 

鈴木「ここの激辛メニューが先日京都で開かれたKARA-1グランプリで、
地元以外からの出店では唯一3位入賞を果たしたんですよ!」
井門「へぇ~。って何そのKARA-1グランプリって!?」

 

 

このイベントは今年3月に京都で行われたものなのだが、
実はイベントだけではなく、ここ芝商店街も激辛商店街へと姿を変えているらしい。
しかもそのきっかけが「芝の鳥一代」さんだというではないか!?
って、そこで笑顔で我々を見つめる、そう、そこのあなた!
あなたがそのきっかけ作りをした店の店長ですね?

 

 

福岡「はい!店長の福岡孝司です。」

 

 

見た目は爽やか、かなり活発な元気印店長だ。
この店長が商店街の目玉を作りたいと、芝商店街を激辛商店街へと変化させたという。
「激辛参鶏湯」もそんな想いから生まれた、いわば情熱のメニューなのだ!

 

 

鈴木「僕も京都に取材に行きましたけど、
あまり辛そうぢゃありませんでしたよ。旨そうでしたけど。(不敵な笑み)」

 

 

やめろって、鈴木!なに勝手に挑発してんだよ!
一人で激辛魂に火がついてる場合じゃねぇ!
こっちは「ヤジ気」すら抜けてんだぞ!
ほら見ろ、もう吉武なんかは隣のテーブル行っちゃってるぢゃねぇか!

 

 

福岡「一応京都のはイベントですので、ジョロキアの量は抑えたと思います。
色んなお客さんが召し上がるのを考慮して。
でも店で出す分には…ねぇ?(不敵な笑み返し)」
鈴木「ほう、そりゃあ楽しみだ。(不敵な笑み返し返し)」

 

 

なにこの山岡vs海原みたいな流れ。
俺も食うんですけどっ!!
下手に挑発してそのジョロキアっつったっけ?
ジョロキアの量を増や…。
…え?いまジョロキアっつった?

 

 

井門「ジョロキアやて――――!!?

 

 

ここで説明しよう!
ジョロキアとはタバスコの数百倍の辛さを持ち、
悪魔の辛みを持つ食材として恐れられている。
ここの参鶏湯にはその「ジョロキア」がふんだんに用いられているのだ!

 

 

福岡「あっ、大丈夫ですよ。
辛さが1~5まで選べますから。どうしますか?(明らかに鈴木さんを挑発しながら)」

 
ジョロ木「もちろん辛さは5でしょう!」 

 

 




参鶏湯(サムゲタン)5辛

 

 

 

見た目はかなり旨そうな参鶏湯。
韓国では寒い時、身体の調子が悪い時などに食べると、
もう一発で体調不良も治る万能鍋である。
見てもらったら分かるように、辛そうなジャケでは無い。
むしろ優等生タイプの参鶏湯だ。
あっ、ちなみに辛さ5の参鶏湯をスープまで完食すると、何と無料になるとの事。
チャレンジしてみても良いよ思うよ。まぁ、大変な事になるけど…。

 

 

鈴木「ではいっただっきまーす!!(元気)
*今日は鈴木さんが食べる時、全てこのテンション…と思うなかれ。 


おぅ、ほふほふ、あ~、これはこれは…辛いですねぇ。」 


全員「辛いんかいっ!!

 

 

福岡店長曰く、KARA-1グランプリに出店した時は辛さを抑えたのだろう。
しかしここは店、いわばホームグラウンド(いわばになって無い)。
更には目の前に辛さを挑発してきたジョロ木が座っている。
店長もスタッフも本気で向かってきたのだ。
ここは俺も男だ、プロデューサーだ!
何か“さすがは参鶏湯の旨い店!鶏の旨さが素晴らしい!”とかジョロ木が言っている。

 

 

井門「これは食えるでしょ。では、いっただっきまーす!(パクり)」

 

 

!!!!!!!!!!!!!!!!!


井門「ヴェッホ、エッホ、エッッホォオォォ!!!!×5」 

 

 



 

 

旨い、旨いのだが…なんちゅう辛さだ…。
福岡店長…、あんたもムセてるやないか…。しかも涙目やないか。
同類?あんさん、ひょっとしてワテと同類なんか?

 

 

 

 

 

福岡「いやぁ、これは僕も5は無理です。凄いですね~お二人とも。」

 

 

凄いのはジョロ木だけ。
見てごらんなさい、サリーもミラクルも舌をべえって、べえって出してるでしょ?

 

 

テツヤ「これも辛いけど、旨い!!旨いっす!

 

 

あぁ、ここにまた激辛馬鹿がいる…。
結局完食は叶わなかったのだが、
通常の参鶏湯が相当旨いんだろうなぁ…と予感させつつ、我々は店を後にした。 

 

 




辛いものは苦手の福岡店長!と一緒に…。

 

 

そしてここで、この旅日記の最初に戻る(5行読んだら戻ってきてね)。
はい、お帰り。
そうなのだ。
あの状態に井門Pを突き落としたのは、
何を隠そう激辛参鶏湯だったのだ!!

 

もう帰ろう…。

 

そんな言葉が脳裏を過る。
しかし言葉が口から出ようとすると、
鈴木さんのわくわくした顔が決心を鈍らせるのだ。
前回の激辛探訪もそう、何せ鈴木さんが楽しそうな表情なのだ。
いまだってずんずん前を進んでいるものの、
ほら、振り返ったその顔は…あれ?笑ってねぇ。 


むしろ少し苦悶の表情を浮かべているじゃないですか!?

 

 

井門「ほらね、やっぱり鈴木さんも辛かったんぢゃん!」
鈴木「ドアホっ!!!!!バチーンッッ(井門の頬を叩く音)
あんさん激辛をなめとったらアカンで!
今までの激辛は前回も含めて、まだまだアマちゃんや!
ワテの表情が硬くなったんは、これから行く店の事を思い出したからや!」
井門「お…思い出したっていう事は前に行かれた事がある…?」
鈴やん「ドアホっ!!!!バチーンッッ!!(再び頬を叩かれる音)
“前に行った事がある”レベルで済むかい!? 


ワテはこの店の激辛にチャレンジして…敗北したんや…。」
一同「は…敗北!!?」
鈴やん「あぁ、そうや。 


敗北という言葉は生ぬるいか。完敗や完敗
そしてその後、本気で激辛業界から引退しようとまで考えたんや。」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

遡ること2008年3月。
当時から激辛業界の道端ジェシカとして鳴らしていた鈴木氏は、 


初台に“物凄く辛いラーメン”を出すお店の存在を知った。
都内のみならず各地の激辛を食べ歩く鈴木氏にとって、
――物凄く辛い――このwordだけでも、彼の中の“男”が疼いた。
「ハッ、何が物凄く辛い、だ。そんな売り文句は俺の喉を通ってから言え!」
男はそう言わんばかりに同じように激辛で鳴らした友人と連れ立って店へと向かった。
聞けばその激辛ラーメンの名前は、 


宇宙一辛い味噌ラーメン ほたる」。
男は友人と店への道すがらこんな事を話していたと言う。

 

 

鈴木「辛さは1~10まであって、そこから裏メニューらしい。
でも僕らも初めてだし、最初っから辛さ10をクリアしたら店に悪いからねwww」
友人「うん確かに。店のプライドを傷つけてもねぇ…www」
鈴木「最初は8くらいから攻めて、店側の様子を見ますかwww」
友人「そうですなwww」

 

 

そんな話をしながら入店。
ほたるにチャレンジした2人は、その圧倒的な攻撃力の前に虫けらのように散ったと言う。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

井門「そ…そんな事があったんですか…。」 


鈴やん「友人はな、ラーメンを一口啜って、 


そのあまりの辛さ30分動けなかったんや!」
一同「(絶句)」
鈴やん「ワテも同じや。激辛で鳴らしたワテが、 


ここのラーメンの5本くらいしか食えんかったんや。」
井門「そ、そのお店の名前は…??」 


鈴やん「(忌々しそうに)初台 支那そば やぐら亭…。」

 

 

因縁の対決…。
もはやその言葉しかない。 


しかも激辛の神様奇跡的な偶然をもたらした。

 

 

鈴やん「おや…?あ―――――!!!
店のカウンター見てみぃ!彼や、彼がおる!
ワテとかつてここに来た友人が、カウンターで酒なんか飲んどるやないか!」
(ドアを開ける音→鈴やん慌てて入店)

 

友人「おぉ~、鈴木さん!」

 

鈴やん「ど・ど・どないしたんや!あんさん、確か家は足立の方で…」

 

友人「そや、ここまでは1時間半かけて飲みに来とる。
あの敗戦ですっかり戦意を無くしたワシは、
ここの普通のラーメンが食いたい
その一心で再訪し、それ以来この店の心尽くしの酒肴で飲むのが定番になったんや。」

 

 

我々は…見落とさなかった…。
激辛界から足を洗った友人のその姿を見て、寂しさから鈴やんの頬に光るものがあったのを。
BGM C.I.-【Walk on / U2】

 

井門「(鈴やんの肩に手を添えて)さぁ、鈴やん。 


俺達は俺達の闘いをしよう。」
サリー「そうですよ、俺達がここで成すべき事はただ一つ。」
ミラクル「あなたが敗北したここのラーメンと、もう一度向き合う事です。」 


てつや「リベンジですよ!!
鈴やん「お…お前ら…。
そうか…そうやったな! 


いっちょワテも“ヤジ気”っちゅうんを出してみよかい!(照)」 


一同「鈴や~~ん!!」 


女将「あ…あのう…。
鈴やん&井門「なんぢゃい!」
女将「ほたるにチャレンジするなら、やはりこれを先に…。」 

 

 




ラーメン前の牛乳で乾杯!

 

 

確かに前代未聞の激辛の世界へと誘われるわけだ。
すっかり鈴やんの色に染まって、俺まで激辛王みたいな気分でいたぜ。
ふぅ…危ない危ない。
聞けばここの“ほたる”、麺にもハバネロを練り込んであるとかで、
麺自体の辛さが半端な物では無い。
初心者は一口すすり、そのあまりの辛さにスープに逃げようとするのだが、
そのスープの中にも細かくハバネロが躍っている。

 

 

麺にもスープにも逃げ場なし!

 

 

それが「やぐら亭」の“宇宙一辛い味噌ラーメンほたる”なのである。
ここで我々は考えた。
どんな激辛でもこなす鈴やんが麺を5本しか食べられなかった8辛。
ひょっとすると、井門が食べたら…死ぬかもしれない…。
ならば鈴やんはリベンジの意味も込めて、
井門はチャレンジの意味も込めて、 


ここは「5辛」で勝負だろう!!と。

 

 

鈴やんの友人「ここは普通のが旨いよ。」

 

 

そんな忠告は無視である。
ホラ、そんな甘い事を言うから、
鈴やんが鼻の穴にハバネロをねじ込んぢゃったぢゃないの。

 

 

友人「ぐ…ぐむぅ…。」

 

 

こうして改めて挑戦したのが、ほたるの「5辛」。

 

 

 


ウォッカで炎が怪しげに揺らめく…。

 

 

 

その見た目は漆黒の闇。
スープの黒さに茹でたもやしの白、とろとろのチャーシューが輝いている。
驚いたのは麺の細さ。
いわゆる豚骨ラーメンに入っていそうな細麺が、
スープからすくいあげるとよく絡んで旨そうなのだ。

 

 

鈴やん「ではいっただっきまーす!!(意を決して)」 

 

 




あの鈴木氏でも恐る恐る食べ始める危険なラーメン

 

 

 

鈴やん「おぉ…。これは、これは、これは…。凄いなぁ…。
むぅ…これは凄い。辛い。5辛でもちょっと…これは凄い…。」

 

 

しきりに「凄い」と「辛い」を連発する鈴やん。
後に控える井門をびびらせない様にする優しさは0だ。
とその時、ラーメン大好きサリーがよほど気になったのか、
蓮華でスープをかき回してみた。すると…

 

 

サリー「ヴェッホ、エッッホォオォォ!!!! 

これダメなやつだ!絶対にダメなやつ!井門さん、麺を取り敢えず1本でいいから…。」 

 

 



一本の麺をじーーとみつめる不思議な画

 

 

井門「サリーがそこまで言うなんて珍しいぢゃないの。
では仕方無い、麺を1本取り敢えず啜ってみようかね。いただきます。(舌の上に当てた) 


うギャ―――!!!!!! 辛い!痛ぇっ!!!!!!!

 

麺にハバネロを練り込んである。
凄そうだけど、確かに聞いただけだと良く分からなかった。
とにかく、痛いのだ。
舌の上に当てただけで痛いのに、それを啜らなくてはいけないのだ。

 

 

チュルチュルチュルいたたたたたたたたた!!!!!

 

ってなるのだ(涙) 

 

 



うぎゃ~~~うほおほほほおうおお

 

 

 

――10分後。――

 

 

 


井門、引退宣言…。

 

 

すっかり冷めて8割方食べ残された「ほたる」はまだ黒く輝いている。
挑戦者のおっさん5人は不思議と「ほたる」から目を離せないでいた。
ハバネロのダメージがデカ過ぎて、舌の状態が元に戻るのに数分はかかる。
その数分で、脳は「もう一回食えるかも!?」と訳の分からないアホ信号を出すのだ。
しかし誰も手が伸びない、でも食べられるかもしれない、やっぱり食べられない…。
この繰り返しで結局、 


おっさん5人でラーメンを見つめる
という傍から見たらおかしな感じになってしまうのである。

 

 

 


おっさん5人がみつめる、一向に減らない“宇宙一辛い味噌ラーメンほたる”

 

 

 

ご主人の清水克哲さんは、そんな我々を笑顔で見つめる。

 

清水「ははは(笑) 大体の方はそうなるんですよね。
なんかまた食べられそうな気分になるんでしょう。
僕もどうせ激辛を作るなら、中途半端な物は作りたく無かったんです。」

 

 

ひょっとして、今回一番「ヤジ気」があったのはご主人だったのかもしれない。
僕らは今度、普通のラーメンを食べる事を約束して店を後にした。 

 

 




全国の兵どもよ!待ってるぜ!by清水店主

 

 

 

この世にはカレー、ラーメン、韓国料理etc.と、
あらゆるジャンルに渡って激辛を標榜する物が多い。 


しかし今回のやぐら亭の「ほたる」は、 


その全ジャンルの中で最も辛い物だろう。
*やぐら亭の行での鈴木さんの関西弁等は全てフィクションです(笑)

 

 

鈴木「池袋に…。(ぼそぼそ)

 

井門「はい?何ですって?どうしましたか、鈴木さん!?」

 

鈴木「世界一辛いカレーを出すお店がある…。(ぼそぼそ)

 

井門「だから何ですって?」

 

鈴木「次が最後のお店です。池袋に向かいましょう!」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

激辛ジョーンズ最後の聖戦。
その激戦の場は、池袋という雑多な街で繰り広げられる事になった。
その店の名は「サフラン」。
本格インド料理の名店である。
昼はランチのお客さん、
夜はディナーや、店で行われるイベントで楽しむお客さんでいっぱいだ。
2階にある店舗は窓際が通りに面して作られている為、
池袋の街を流れる人を眺めながら、インド料理を楽しむ事が出来るのである。

 

かなり良い雰囲気なのはお分かり頂けたと思う。
しかしここで待ちうけていた激辛メニューの名前は… 


世界一辛いカレー」。
その成功率およそ10%。
10人に1人しか成功しないという、何とも可愛くないカレーなのだ。

 

 

井門「ちなみに鈴木さんは…?」

 

鈴木「過去に1度チャレンジしました。
もちろん、完食しましたけどね!ははは!」

 

謎の男「パチパチパチ(手を叩く音)それは凄い。
あなた、相当の激辛王ですね。」

 

 

言葉遣いと物腰は丁寧だが、
明らかに鈴木さんの言葉に燃えている…そんな印象で登場したのが、 


店長:チャタルジー・ジャイヤンタさん
流暢な日本語で鈴木さんを牽制している。

 

 

鈴木「世界一辛いカレーは何が入っているんでしたっけ?」

 

チャタルジー「はい。チキンカレーの中にジョロキア3つ程。」

 

井門「じょろ・・・じょろき・・・ジョロキアやて―――!!?」

 

 

ここで井門の脳裏に浮かんだのが2軒目の「芝の鳥一代」。
あそこでジョロキア入りの参鶏湯を食べて、 


ぽんぽんぽんぽんぽんしたのだ(謎~ぱみゅぱみゅ)。

 

 

チャタルジー「もしもこのカレーを完食したら、
お店から認定証を差し上げています。」

 

井門「その称号とは…?」

 

チャタ「ミスター(ミス/ミセス)ジョロキアです。」

 

 

帰っていいですか?
そんな言葉が頭をよぎる。
しかしそれは企画の立案者として許される事ではない。
良いでしょう。受けてたちましょう!!
…とは言ってもね、そんなガチで「鈴木さん一皿」「井門一皿」みたいにはしなくてさ、
ラジオだから分からないから、取り敢えず一皿を2人で分けて味見程度にしようって感じね。
ね?そうだよね、みんな?

 

 

ミラクル「じゃあ、その世界一辛いカレー2つ下さい!」

 

 

井門は…戦慄した…。
まさかこんな所に敵がいたなんて。
今まで激辛探訪では同じサイド…いわゆるライトサイドにいた仲間だと思っていたのに…。

 

 

サリー「(小声で)いや、ここは4店舗目ですし、
2人で一皿で良いんじゃないですか?井門さんも苦悶の表情ですし…。」

 

ミラクル「は?なに言ってんの? 


そんなの番組的美味しくないでしょ?
はっ!?なに、サリー、馬鹿なの?」

 

 

サリーは…戦慄した…。 


そうだった。この人は生粋の業界人
寸前で仲間に甘い顔をして、番組自体をつまらなくするのを最も嫌う人間だったのだ。
いまのミラクル氏の肩には、
そっとかけられたカーディガンが見える…。
そんなミラクルの言葉に、鈴木氏は不敵な笑みを浮かべている。
どうやら厨房では2人分の世界一辛いカレーの調理が始まったようだ。
ここの厨房を仕切るのは、勿論インドの方。
辛さはお手の物なはずなのだが、時折厨房から聞こえるのだ…。

 

 

厨房「ウォッホウォッホ!!!!!(むせるシェフ)」

 

 

本場インドの方でもむせるほど。
それがこのカレーの破壊力を物語っているではないか。
それを何で1人一皿食わなきゃならないんだ…えぇ?吉武よ!

 

 

ミラクル「ほら、つべこべ言っている間にカレーが来たでゲスよ!へへへ。」 

 

 





 

チキンカレーだったよね?
きっと昔は、ジョロキアなんて入れられる前は、
君も普通のチキンカレーだったんだよね?
あぁ、やっぱりだ。 


真っ赤じゃねぇか!!!

 

 

鈴やん「はいはい、いっただっきまーす!!(楽しそう)
うん!これは旨い!味わい深いけど、やっぱりジョロキアは辛いですねぇ。(ぱくぱく)」

 

 

うん、もう良いよ。
あなたが凄い事はよ~く分かった。
だから、そんなに美味しそうに食べないでくれ。
絶対に辛いんだから、これ。
辛いんだよ、きっと。知ってるんだ。匂いがもう辛いんだもの。
でもいくよ、だって俺、 

 

ヤジキタプロデューサーだから!!!
井門の「ヤジ気」発動!ちゅどーん!

 

 

エッッホォオォォ!!!!


ブォッフォ、ブォッホ!!!!


フェェェッッホッッ!!!!




 

 

井門は…散っていった。
そしてやっぱり最後はテツヤが旨そうに食べてくれた。

 

第1弾から半年ちょっと。
あの辛さを忘れていた、俺達。
調子に乗って、もう一回やるよと言った考え無しプロデューサー。
全てに反省の意味を込めて、
前回の旅日記の〆の言葉を、改めてここに記載しておこう。

 

 

 

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「YAJIKITAさん、この頃ピリっとしてないんぢゃないのかい?」という感想。 
今回の旅でひとつ答えが出たのではないだろうか? 

 


YAJIKITAピリっとしてはいけない番組なのだ。 

 


あくまでものんびり、放送業界をたゆたう様に、そんな流れで進めば良いのだ。

 

――結論:

 

 

(から)”と“(つら)は紙一重。

 

 

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良いね?もう第3弾は絶対にやらないぜ!!