東京探訪 山手線一周ぶらり旅 東京~有楽町編|旅人:井門宗之
2012-06-27
「山手線ぶらりも佳境に入ってきたな。」
目の前の東京駅八重洲口を眺めながら、改めてそんな事を感じていた。
この場所を“無機質で寂しい感じがする”と同行Dの横山氏は言う。
「井門君もそう思わない?」って。
ところが僕の感想はちょっとだけ違うのだ。
北海道から出て来た自分にとって、
駅舎の周りをビルに囲まれているこの姿こそ、
井門にとっての「THE 東京」の姿。新宿と並ぶ大都会の象徴なのである。
東京駅にある沢山の想い出。何か一つくらい語ってみようか…。
いや、先を急ごう。東京の速度は今日も早いのだ。
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コバヤシ「今日はね、まず東京駅の地下に潜るよ!」
一同「えー!?それは“ぶらり史上初”かも!」
コバヤシ氏はYAJIKITAの中でも新しいメンバーである。
ところがその取材先を選択する目線は、しっかりYAJIKITAらしい。
地上から有楽町をまっすぐ目指すのではなく、
戻るって言うか潜るっていうか…(笑)
しかしいつの時代も東京駅ってのは、人の流れが凄い。
混んでるっていうのではないんだよな、人が流れている。
修学旅行生の集団も先生に先導されて隊列を組んで行進。
井門「やっぱり広さも凄いけど、東京駅って賑やかだよね!」
コバヤシ「その賑やかさが一層凄い場所があるんですよ。ほら出て来た。」
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見れば一角に人だかり。
そしてそこには誰もが知っているお菓子メーカーの名前がいくつも並んでいる。
いや、並んでいるのはお菓子だけぢゃないぞ!何でお菓子で行列が出来てるの!?
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ここはその名も「東京おかしランド」。
なんと言いましょうか、ヘンゼルとグレーテルの御菓子の家を思い浮かべて下さい。
東京駅の地下街を歩いていたら、
急に姿を現した一大御お菓子のページェント!!(屋内ですけど)
そこに吸い込まれる様に溢れかえる、人・人・人。
井門「す・すげぇ…スイーツ好きのパラダイスやぁ!」
横山「うんうん、何か甘くて良い匂いだねぇ…。」
お酒も好きだが甘い物も好き、
そんな仏の横山氏がその雰囲気で今にも昇天しそうになった、その時っ!
須永「ふふふ。凄い人でしょう?
GWの時は足の踏み場も無かったくらいなんですよ!」
急に来たー!!!
目の前のお菓子にワタワタしていた時、声をかけてきたイケメン。
東京ステーション開発株式会社 営業部営業課の須永晋一郎さんだ。
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聞けばこの「東京おかしランド」、今年の4月14日に開業したばかり。
現在、東京駅地下街の目玉として大注目のスポットなのであります!
須永「ここには日本の大手菓子メーカー3社がそれぞれの売り場を展開してまして、
“ぐりこ・やKitchen(江崎グリコ)”“森永のおかしなおかし屋さん(森永製菓)”
“カルビープラス(カルビー)”が、
ここでしか味わえないお菓子も出しているんです!」
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目移りしてしまいます |
井門「おぉ、それぞれ超有名なメーカー…。」
須永「その他にも期間限定のショップがあって、
来るお客さんを決して飽きさせません!
今ですと“PEKOPOKO SWEETS LAND(㈱不二家)”でしょうか。」
確かに【東京おかしランド】の一番目立つ場所にペコちゃん人形が!
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気になる。
何が気になるって、
「ここでしか味わえないお菓子」のペコちゃんver.が気になりまくる。
しかもペコちゃんの所に何て書いてある?あれ。
ペコちゃんの帽子(飲むシュークリーム)
おいしそーだなー、たべたいなー |
横山「ののの…飲むシュークリーム!!!?」
コバヤシ「あれ、あれを買ってよ!ねぇねぇ、プロデューサー!」
甘い物の誘惑に飢えるオッサン達の望みを叶える為に、
ここでしか買えない「ペコちゃんの帽子」を購入する優しい井門P。
聞けば他にも沢山のショップ限定お菓子を販売しているんだとか。
須永「ちょうど改札の前というのもあって、人の出入りは予想以上です。
作り立てのアーモンドチョコや、
揚げたてのポテチは大人気ですよ!」
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まさにお菓子天国…。
こんな素敵スポットが東京駅地下に誕生していたなんて。
とは言え東京駅地下には他にも「東京ラーメンストリート」、
「東京キャラクターストリート」と、人気スポットだらけ。
取材時は平日の昼間だったのだが、東京駅地下の盛り上がりは凄かった。
須永「東京駅はターミナルではあっても、
なかなか“降りて買い物”とは今までならなかったんです。
ですが、今の東京駅地下街は見所がいっぱいです。
是非みなさんも、改札を出て歩いてみて下さい!」
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井門「地下かぁ。確かに東京駅は中継点としての利用しか、
特に地方から来る方はしないかもしれないですねぇ。」
コバヤシ「灯台もと暗し。
井門君だって何やら丸の内エリアには思い出があるんだろう?」
思い返せば2002年10月~2004年9月まで、
僕は伝説の番組「ヒルサイドアヴェニュー」内のコーナーでレポーターを担当していた。
月曜日から木曜日までのコーナーでは取材先を決める事、ブッキングする事、
当日の機材関係や台本、選曲に肝心のレポートまで全ての作業は一人で行う。
当然大変な作業ではあったのだが、
そのお陰で日々生まれてくる東京の最新情報を、それこそ必死になって探したものだ。
そしてそんなリサーチの中で、当時最もアツい場所が“丸の内エリア”だった。
新丸ビルやオアゾなどが続々と完成し、クリスマスシーズンにはイルミネーションが輝く。
情報感度の鋭いOLやビジネスマンをターゲットにした面白いお店も続々登場し、
しかも立地は一大ターミナル駅の東京と目と鼻の先。
1カ月に2度、3度はこのエリアに取材に来ていたかもしれない。
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井門「なんでね、この丸の内側から東京駅を眺めると、
何かこう甘酸っぱい気持ちになるんですよ…へへへ。」
井門Pの甘酸っぱい気持ちを皆で分けあいながら(気持悪い)、
一行は梅雨の晴れ間の中、丸の内仲通りを進んで行く。
仲通りというぐらいの細い通りは、道の両脇の並木が陽射しを良い具合に抑えている。
オープンカフェには絵に描いたように、外国人がパンとワインで遅めのランチ。
犬を散歩するセレブの姿も見受けられる。
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コバヤシ「臆するな、臆するなよ、井門君!」
横山「そうだよ、この人達は全員セットなんだから!」
井門「なぁに、何てことは無いですよ!
よし、テツヤ!ちょっとひとっ走りフランスパン買ってこい!」
テツヤ「へい!がってん承知の介!」
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取り敢えずこういうシャレオツな場所では、
フランスパンを長いまま袋から3分の1ぐらい出して歩くのがお洒落だと思っている。
どうですか!?(同意を求めるな、おれ。)
テツヤ「すみません!フランスパンが見当たらなかったので、
とりあえずさっきの“ペコちゃんの帽子”をそのお洒落な中庭で食べませんか?」
シャレオ「ちっ、仕方ねぇ…。取り敢えず小休止すっか!」
一同「おうともよ!!」
*もう既にお洒落でも何でもなくなっている…。
美味しく、いただきました |
木漏れ日差すお洒落広場でペコちゃんをちゅーちゅーするYAJIKITA一行。
意外と周りで休んでいる人もサラリーマン風のおじさんが多かったりして、
実はあまり違和感がない。
そうか、丸の内お洒落エリアと言えど、排他的ではないのだ!
コバヤシ「実はこれから行く美術館がこの近くにあるんだ。」
井門「このお洒落エリアに美術館?」
コバヤシさんの先導で向かった「三菱一号館美術館」は、
初めて丸の内に建てられた洋風のオフィスビル「三菱一号館」を、
明治時代当時の資料や材料などを再利用して復元した、レンガ造りの建物。
三階建ての建物の中には、美術館のほかに、歴史資料館やデジタルギャラリー、
明治時代の銀行営業室を“当時のままに復元した”ミュージアムカフェもある。
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オシャレ番長・井門率いる我々YAJIKITA一行。
そんなシャレオツなcaféに行かない手は無い!とばかりに、
【カフェ1894】の扉を開けた。
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お話しを伺ったのは三菱一号館美術館 プロモーションチーム石神 森さん。
ミュージアムカフェの内装について色々と教えて下さった。
色々と、説明をしてくれました |
石神「ちょっと窓を見てみて下さい。
少しだけぼやけて外を眺められませんか?」
井門「あっ、本当だ。少し歪んで見えますね!」
石神「あれは昔の新丸ビルで使われていた古いガラスを使って嵌めこんだんです。
少し歪んで見える景色がいかにも“タイムスリップ”したみたいじゃないですか?」
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近代化した東京を、明治の名残の中から眺める。
なかなか味わえない雰囲気が、なんとも心地良い。
ここは本当に現代の東京?って思ってしまう。
ビヤホールの様なカフェの様な、そんな不思議な空間【カフェ1894】。
散歩の途中でちょっと立ち寄るには最適の場所でした!
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東京駅から有楽町駅まで、実は凄く近い距離にある。
実際の距離としてもそうなのだが、
いつの間にか「東京国際フォーラム」が見えてくるとその近さを実感。
「東京国際フォーラム」(通称フォーラム)は、
様々なイベントやLIVE等が行われる巨大な多目的空間を有する施設。
ここも今年で開業15周年だと言うのだ。
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コバヤシ「井門くん、この場所が昔何だったか知ってる?」
横山「さすがに知ってるんじゃないの?」
井門「いや、僕が上京したのが14年前なので、ちょっと分からないっす!」
コバヤシ「その名残がフォーラムの入口にあるんだよ。」
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ひょっとしたら有名な話なのかもしれないが(不勉強で井門は知りませんでした)、
東京国際フォーラムがある場所は、昔は東京都庁があったのだ。
そう教えられてこの場所の敷地の広さを思うと、確かになるほどなのだ。
*しかし東京都ってお金持ってますなぁ。
コバヤシ「更にまだ名残があるんだけど…」
井門「あっ!ひょっとして建物の中に見える、あの銅像ですか?」
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実はこの道灌像も都庁時代の名残だそうだ。
フォーラムの入口すぐの所に建っているのだが、
明後日の方向を向いていて、お客さんの方を全く向いていない。
コバヤシ「井門君、太田道灌と言えば江戸城を築城した人物だよね?」
井門「そうですねぇ。」
コバヤシ「江戸城の敷地は、現在は何だろう?」
井門「それは勿論、皇居ですよ…はっ!!!」
コバヤシ「そうなんだ、ここが都庁だった時代に庁舎敷地内にあった太田道灌像は、
旧江戸城、つまり今の皇居の方角に向けて建てられたんだ。
その名残で現在も道灌像の向きは昔と同じ様に皇居に向けて建っているんだよ。」
一同「おぉ~!!!」
YAJIKITAが珍しくアカデミックになった瞬間だった。
江戸城を作った人物が、今でもその方角を向いて建っている。
何だかとても物語性を感じるし、YAJIKITA的にはぶらり3度目の御登場の道灌さん。
*新宿中央公園と日暮里の駅前でもお会いしているんですよぅ。
一行のテンションもなかなか良い感じなのだが、
ここで旅人井門Pのテンションが何故かMAXに…。
井門「あっ!この像を作ったのって朝倉文夫ぢゃないですか!?」
朝倉文夫についてはいずれ番組でも必ず取り上げようと思うのだが、
井門の大好きな作家であり「東洋のロダン」と評された人物でもある。
まさかこんな場所で朝倉文夫の作品に出会えるなんて…。
しかも「ぶらり3度目の御登場」の道灌さんがそうだったなんて。
何だかこの偶然な感じが「ぶらりも最終回に向かっている」というのを実感させる。
コバヤシ「実はこのフォーラムの中にも有名な人物の美術館があるんだ。」
井門「えっ!?それは気になる!」
コバヤシ「行ってみたい?」
井門「行きたいですよ!当然。」
コバヤシ「そうだよね。人間だもの…。」
【相田みつを美術館】
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2003年に東京国際フォーラム内に設立された(それまでは銀座にあった)美術館であり、
あの「人間だもの」で有名な、相田みつを作品を展示する美術館である。
館長は相田一人さん。相田みつを氏の御子息だ。
美術館の中は見所がいっぱいであり、
中でも相田みつを氏に関する資料が実に興味深かった。
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井門「中をざっと見せて戴きましたが、
お父様は意外と子育てにも積極的に参加されていたんですね?」
相田「そうなんです。
PTAをやってみたり、集会のチラシを作ってみたり、運動会にもちゃんと来てくれたり。
どうしても相田みつをというと超然としていて、
外部からの接触を一切遮断しているイメージがありますが、そんな事をは全然ないんですよ。」
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井門「作品を書かれている時はどんな雰囲気だったんですか?」
相田「母屋みたいな仕事場があって、そこで書いていたんです。
そこに入って仕事をしている時はまさに鬼気迫るという感じでした。
誰も近付く事が出来ない…というか。」
井門「色んな作品を見せて戴きましたが、
ぐるっと回ると不思議とその言葉に“自分が許された”気になってしまいました。」
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相田「父は書家として、自分の言葉を書にするという独自の事をしていました。
現代で言えば曲を作って自ら歌うという事なのかもしれません。
ただ父は、誰かを救おうとか癒そうとして言葉を作っていったのでは無いと思います。
結果として皆さん、癒されたと仰って戴けるので、有難いです。」
井門「人間だもの…。」
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相田美術館を出た我々は、
最後の目的地「有楽町駅」へと急いだ。
とは言え、東京国際フォーラムからは目と鼻の先である。
梅雨の晴れ間、この日の東京は結局最初から最後まで太陽が顔を見せてくれた。
もう有楽町駅は、目の前だ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
西日差す有楽町駅前。
「山手線ぶらりも、もう終わるのか…。」
やたら綺麗に光る駅名看板を眺めながら、ふっと力が抜けて行く様な感覚がある。
感慨深さを感じるにはまだ早いのだが、それでも、あと1駅なのだ。
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「東京駅~有楽町駅」間が僕達に見せてくれた物は、何だっただろう。
前回が「江戸から東京に街が変わる姿を見せてくれたぶらり」とするなら、
今回は「東京が、より大都市東京へ変貌する姿を見せてくれたぶらり」だったかもしれない。
古きよき東京から、新しい東京へ。
しかもそこに僅かに過去への畏敬の念を残しながら。
東京はやっぱり不思議だ。
新しい物をしっかりと溶け込ませる器がある。
どんどん新しいものが出来ていくのに、
古いものが“ただ古びて”いかない。街にしっかりと調和していく。
自分が最初にぶらりを始める時に抱いていた疑問が、
ひょっとしたら解けるかもしれない。
次回はついに“ぶらり”最終回の旅だ。
有楽町から新橋まで。
果たして誰かは涙するのか!?
駅前でメルシー氏は待っているのか!?
天気はどうなのか!?
様々な不安と期待を胸に、僕らヤジ気全開で頑張ります!
リスナーの皆さんも、どうか楽しみに待っていて下さい!
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