水風景~夏の郡上八幡巡り~|旅人:服部好伸

2012-08-23

 

今回の旅人は、幼い頃、長良川で泳ぎ育った、岐阜県出身の服部好伸です。
“水の城下町”と言われる郡上八幡は、長良川の上流に位置し、
街の中央には、吉田川、小駄良川が流れています。

 

とは言え、川が流れている街は日本中どこにでもあるのに、
なぜ“水の街”と言われるのか?今回はその謎と深い歴史に迫ります!!

 

 

 


郡上八幡を流れる吉田川

 

 

 

まず、街を歩いていて気が付くのは、街中に「用水路」が張り巡らされている事!
その昔、郡上の街は大火に遭い、その教訓が今も活かされています。
民家の前には用水路があり、常に奇麗な水が流れています。
その上を見上げると、
軒先には“火の用心”と書かれたバケツがいくつもぶら下がっています。
何かあった時には、すぐに用水路から水を汲んで、火を消す事が出来るように、
常に準備が整っています。

 

 

 



 

 

 

また、堰板をはめ込めば、水かさを調節する事が出来、
昔は洗濯や野菜の洗い場としても使われていたとか。
今でも、各家の間には堰板をはめ込むための凹みが残っています。
生活の知恵ですねぇ!

 

今や観光名所のひとつにもなっているのが、「いがわこみち」という水路。
郡上八幡旧庁舎記念館の横にあり、
この水が街中の水路のモトのひとつになっています。
たくさんの鯉や川魚が泳いでいるほど、澄みきったとてもキレイな水です。
最近は、減って来たそうですが、
夏になれば野菜や果物が冷やされ、もちろん洗い場として使われていて、
近所のおばさまたちの社交場になっているそうです。

 

 

 





 

 

 

さて、街を歩いてもうひとつ驚くのが、至る所に「水舟」がある事。
「水舟」は、郡上八幡特有の水利用のシステムで、湧水や山水を引き込んでいます。
二槽、三槽から出来ていて、最初の水槽は、飲用や食べ物を洗うのに使われ、
次の水槽は汚れた食器などの洗浄、その先はさらに汚れているものを洗う・・・。
観光用に設置されたものが街のあちこちにあって、乾いた観光客のノドを潤しています。
改めて考えてみると、郡上八幡の自動販売機には、
ペットボトルの水があまり売っていません!水舟があるから必要ないんでしょうね!!

 

 

 



 

 

 

そんな水舟の元祖と言っていいでしょうか、吉田川の脇には「宗祇水」があります。
「日本名水百選」の第1号に指定されたことで有名になった湧水です。
もちろんここも、いくつかの槽に分かれていて、先に説明したように今でも使われています。
私も一口いただきました!味がどうこう言うより、その水温に驚かされました。
真夏でも、ひんやりした水温で、すごく飲みやすいです。
汗をかくと、どうしても冷たい水が欲しくなりますが、人工的に冷やしたものよりも、
いわゆる適温で湧き続けるので、とても体に優しい!!

 

 

 





 

 

 

突然ですが、おいしい日本酒を作る条件って何でしょうか?
もちろん、米麹や発酵させる微生物も必要です。しかし、何と言っても“水”でしょう。
日本全国おいしい日本酒が出来る所には、必ずキレイな水が流れています。
ということは・・・、そうです!郡上八幡でも美味しい日本酒が出来るわけです。
今回は、郡上で一番古い酒屋さん「上田酒店」にお邪魔しました。

 

 

 



 

 

 

店先にはやはり「水舟」が!
このお店でしか手に入らないこだわりの地酒、幻の秘蔵酒が数多く並んでいます。
長年研究された日本酒の楽しみ方として、ご主人に色々教わりました。
まずは、一口飲んでみて。
その後、塩をなめてから飲んでみて。
今度は、味噌をなめてから飲んでみて。
なるほど!全てお酒の味が変わります!!
好みはさておき、他の調味料との融合でお酒の味が全く変わってしまうのです。
普段、「お酒に合うつまみ」なんて、知ったような口を聞いていますが、
良いお酒と良いつまみが出会った時、そこには未知の世界が存在するようです!!
あっ、ずいぶん飲んでしまったので、車の運転はスタッフに任せます。。。

 

 

 


上田酒店の松浦さんと・・・。

 

 

 

水にちなんだ“地元の味”もたくさんあります。
強い日差しを浴びて、水分補給にオススメなのが、「郡上八幡天然水サイダー」。
郡上八幡の天然水にこだわり抜いた地元オリジナルの地サイダーです。
口あたりはピリッとして、のど越しがとてもやわらい一品です。
「水っぽい」という表現は、何かとネガティブに使われがちですが、
このサイダーは、天然水にこだわっただけあって、“水の味”がしっかりしています。
個人的に、炭酸があまり得意ではないのですが、コレはイケます!!

 

 

 



 

 

 

さらに、和洋菓子を扱う「中庄」にお邪魔して、「清流のしずく」なるものをいただきました。
お店の前には「清流のしずく」と大きく書き出されているものの、何の事やらさっぱり!
“どこまでも水に近い天然水を使ったお水のゼリーです”という通り、水そのものをゼリー化したものでした。見た目は「水風船」、味は「水」。

 

 

 



 

 

 

熱中症対策で、水ばかり飲んでいると、お腹がタプタプになりますよね?
また、口当たり・のど越しに飽きてきた頃、丁度良いのではないでしょうか?!
「せっかくお菓子なのに“水”の味って・・・。」と思っているあなた、ご心配なく。
ちゃんと「蜜」が付いているので、お好みで味を調節できます。お土産にもオススメ。

 

 

 



 

 

 

 

お腹が空いたら、郷土料理はいかがでしょう?
キレイな水が流れる川には、美味しい魚がいるものです。
長良川と言えば、「鮎」!(avexのアーティストではありません・・・)

 

 

 


取材当日は、「やな」制作中

 

 

 

郡上八幡を横切る長良川沿いでは、至る所で夏の風物詩、「やな」が楽しめます。
「やな」とは、竹で作った”すのこ”で川の流れをさえぎって、
鮎を捕獲する伝統漁法のひとつです。
実際に鮎の掴み取りも体験出来ますが、
何よりここでは、地元の鮎料理を堪能していただきたい!というよりいただきます!

 

鮎料理の王道はやはり「塩焼き」!ですが、ここでは、
「魚田」、「甘露煮」、「フライ」、「鮎雑炊」など、とにかく鮎尽くしです。
どーですかこのボリューム!!
食べきれるかなぁ、と思っても、あまりの美味しさに食が進みます!
得意不得意もありますが、特に「フライ」は、丸ごと骨まで食べていただきたい!
というよりいただきました!
川魚をキレイに食べる男って、ポイント高いですよね?・・・そう信じています!!
「郡上八幡観光ヤナ」は、10月末まで営業しています!

 

 

 



 

 

 

 

さて、吉田川にかかる「新橋」をご存知ですか?
(サラリーマンの街ではありません・・・)
高さおよそ12m、ビルで言うとだいたい5階ほどの高さがあります。
昔からこの「新橋」から吉田川へ飛び込むことは、
地元の子供たちにとっては、ひとつの通過儀礼のようなものだったそうです。

 

 

 





 

 

 

小さな頃から水に親しみ、川に親しみ、
自然と上手に付き合いながら大人になっていったわけです!
最初は低い岩から飛びこみ、次に高めの岩、「学校橋」という少し低めの橋、
やがて「新橋」から飛び込むことで、地元ではヒーローにのし上がって行くのです。

 

しかしその中には、自然から学んだルールが存在します。
雨が降った後は・増水の時は飛び込まない。
川の水温が高くなった午後の時間に飛び込む。等々・・・。
そしてあくまでも自分の責任で飛びこみ、無理と感じたらやめるのも勇気のひとつ。
そう教えてくれた畑中さんも、子どもの頃、「新橋」からは飛び込めなかったそうです!

 

実際、お話を聞いている間も、周辺では若者が、
「おまえ行けよ!」、「いや、無理だよ!」など長時間やりとりをしていました。

 

えっ?私ですか??
スタッフ曰く「服部くんが飛ばないと、このロケ終わらないよ!!」
そりゃ・・・、行くしかないでしょう!!

 

 

 





 

 

 

高い所が大好きで、目立ちたがり屋で、ヒーローになるのが夢の私は、
さほど躊躇することなく、5、4、3、2、1・・・ダーーーーーーイブッ!!

 

 

 



 

 

 

超気持ちいい!何も言えねぇ!!

 

 

 



 

 

 

やれやれ、「○○と煙はたかいところが好き」とはこのことでしょうか・・・?!

 

 

 

 

“古い街並み”とはよく言いますが、そこには必ず、
歴史と先代の生活の知恵が凝縮されている事を改めて実感しました。
何となく空気を感じながら散策するのももちろん楽しいですが、ちょっと足を止めて、
歴史や所以に降れてみると、よりその街を好きになること間違いなし!!

 

いずれにしても、川遊び、水遊びは、安全第一でお願いします。
悪い大人、悪いスタッフには、十分注意して下さいね!!